保守とリベラルの対立は理性観のズレにあり

右翼と左翼の本質をわかりやすく解説

右翼と左翼の対立

右翼と左翼の本格的な理解へ

右翼と左翼、ニュースでよく聞く言葉ですね。保守派(≒右翼)と革新派(≒左翼、リベラル)の対立もほとんど似たようなものです。

私としては、右翼と左翼についてわかりすいという視点だけでなく本格的に理解してもらいたいと思っています。それには、まず理性を理解する必要があります。

その前に理性が重要

そもそも理性というのは人間が物事を理屈っぽく冷静に考える力を意味します。たとえば、現代人は外出すると様々な衝動に駆られると思います。電車の中、店の中、お金を手にしたとき、嫌いな人を前にしたときなどです。

そんなとき、ほとんどの人は様々な衝動に駆られるとしても、実際には犯罪行為をしでかさないと思います。なぜなら理性がいけないと判断しているからです。

犯罪を犯すと刑罰を科せられるとか社会的に不名誉な烙印を押されますから、ほとんどの人が犯罪を犯さないのは当たり前です。理性はそれを認識しているのです。

理性は世界中で通じる人間として基本的な力だといえます。?

左翼は理性を信用する

左翼はこの理性というものを強く信用しています。そうなると、たとえば経済運営は自由競争に任せるよりも頭のよい人(基本的に政府)が計画的に管理する方がよいと考えます。

政府による計画的な運営下では人々の賃金は平等になり、さらに労働環境も向上するからです。そのため左翼は政府と社会保障の規模を拡大するように訴えています。

また左翼は人権を重んじます。人権も理性と同じように普遍的に存在する産物、つまり人間の誰もが平等にもっているものだと左翼は信じているからです。それゆえ、王族や貴族のような血筋・コネクションだけで崇められる存在は不平等だと見なしがちです。

左翼は外国人との間でも理性という人類共通の能力を使えば、高額な武力を使った脅しがなくてもわかり合えると考えます。そのため左翼は、政府は国防にお金をまわすよりも人々の社会保障費や生活費にお金をまわす方がよいと考えます。

理性を駆使すれば素晴らしい社会がつくれると考えることから、左翼の姿勢は急進的です。このように普遍的な考え方である理性、人権、平等を重んじるのが左翼です。

左翼が多い層

一般に芸術家(小説家、音楽家、画家、芸能人)の類は左翼が多いです。左翼も芸術も基本的には理想主義という点で共通しているからです。

たとえば、売れる流行歌の歌詞は愛、自由、平和、努力・友情・勝利などを理想的に仕上げたものが多いでしょう。この点、右翼のような現実主義的な歌詞では魅力に欠けるわけです。

それから左翼は、貧しくて社会保障の改善を願う労働者、弁護士・医師・教授といったインテリ金持ち(理性を信じながら勉強に明け暮れた人)などに多いです。

居住地でいうと、各国の選挙では左翼は都市部で健闘する傾向があります。

一般に都市部は存在する人間(住民・勤労者・観光客)が田舎よりも多様です。そのため彼らの人権を重んじる風紀が現れたり、都市部に多いインテリが有権者を導いたりするからです。

右翼は理性を疑う

こうした左翼の考え方に右翼は異論を唱えます。というのも、もう一度冷静になって左翼の考え方を見直すと現実の人間はそんなに理性的な存在だとは思えないからです。

たとえば、もし人間が本当に理性的な存在であるなら、犯罪を防ぐ刑罰や警察は存在しなくてもよいはずです。しかし、現実には刑罰や警察がないと人間は法を守れないでしょう。右翼が軍拡や安全保障にこだわるのも、人間、とくに外国人とはわかりあえないと考えているからです。

左翼は人間の本質を善と見なす一方で、右翼は人間の本質を悪と見なす傾向があるのです。

右翼の教育方針が道徳的だったりやたら管理的だったりするのも、子どもは人として未熟なので大人が管理してあげないと危ういと右翼は考えるからです。逆に左翼は子どもにも一応の人権や理性を見出して、放任的な教育方針を掲げる場合が多いです。
計画経済など不可能

また、政府が経済を計画的に管理できるかといえば現実にはほとんど不可能です。実際、ソ連や北朝鮮といった国では誰もが平等になる理想社会をつくりあげようとしましたが派手に失敗しました。

そんな運営をすると経済はかえって非効率になったり、幹部・上層部ばかり肥えて権力が腐敗し国ごと貧しくなるからです。大体、人々の賃金が平等になることは、有能でやる気がある人にとっては、むしろ不平等になることと同じです。

このように右翼は理性や人権をどこか疑っていますから、政府や社会保障の肥大化に懐疑的な傾向があります。

ただし、日本の自民党は中道右派の政党でありながらも与党・包括政党として社会保障をある程度手厚くしてきました。

右翼は理性を疑っていますから、理屈では説明しきれない存在である神・宗教や伝統の価値を尊重しがちです。また同時に人権や平等も疑っており社会を急進的に変えようとしません。

誰もが平等なままで社会はうまくいくのか、皆から崇められる特別な存在がいる方が社会はまとまるのではないか、あるいは地域で昔から続いてきた慣習や王制は理屈では表せないほど尊いものだから、続ける方がよいじゃないかと考えます。右翼は国粋主義の傾向があるのです。

右翼が多い層

一般に中レベルから上位レベルの収入のサラリーマンや起業家、第一次産業の従事者、宗教関係の人などに右翼が多いといわれています。競争に勝ち抜いたサラリーマンや起業家は自由競争を肯定するとともに、絶えず現実と向き合わなければならないと考えているのでしょう。また宗教は右翼と相性がいいです(左翼は理性教)。

居住地でいうと各国の選挙では右翼は田舎で健闘する傾向があります。

というのも一般に田舎は存在する人間(住民・勤労者・観光客)が多様ではありません。さらに都市部の労働は多様な人間を相手にする以上、労働者にも多様性が必要ですが、田舎の労働(おもに第一次産業)には多様性が必須ではありません。そのため、外国人やよそ者を避けるような国粋主義を身につけやすいといわれています。

左翼 右翼
理性 信用する あまり信用しない
人権・民主主義 尊重する どこか疑う
伝統・神話・宗教 どこか疑う 尊重する
政府の規模 大きな政府を志向 小さな政府を志向
教育 放任的 管理的
外交・軍事 ハト派・理想主義 タカ派・現実主義
多い層 都市部 田舎
右翼・左翼の語源

18世紀後半のフランス、すなわちフランス革命期の議会の座席に由来します。このころ議長席から見て左側は急進派、右側は保守派が座っており、フランス革命は諸国に多大な影響をあたえたからです。

実際の人間は中道が多いか

一般に現代の政治家ではパフォーマンスや支持母体の関係もあって右か左かを明確に表します。しかし、それ以外の大半の一般人は中道付近にいると思われます。たぶん、筆者自身も中道です(中道右派?)。

ちなみに現代の右翼には改革的なところがあったり、逆に左翼には保守的な姿勢を見せたりと、かつてよりも境界線が明確ではなくなっている面もあります。

左翼も右翼も極端になると見分けがつかなくなったりします。一般的な理解では左翼が理想主義で右翼が現実主義ですが、極右というのは強力な理想主義者でもあるからです。実際、イスラム圏の極右は7世紀ムハンマドの時代、日本の極右は大日本帝国時代、という具合で国土・軍事力・文化力が相対的に強かった時代を美化・崇拝する傾向があります。



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