社会・教育

戦争はなぜ起こるの?【原因一覧と大きくなった過程】

2020年10月14日

今回は戦争の一般的な原因と戦争が大きくなった原因についてわかりやすく示します。

戦争とは人類にとって暴力的な解決を集団VS集団(とくに国VS国、国家連合VS国家連合)という形で図っている状態のこと。

特定の戦争の原因ばかり追うのではなく、さまざまな戦争に共通した一般性・法則性を探ります。

私は社会科学の商業出版本の著者であり、戦争の原因も専門的に探った経験があるため参考になるはずです。

たとえばフランス革命は「革命」とはいいますが、実質的には一種の内戦であるように戦争という名称がついていなくても戦争に相当する場合もあります。

戦争はなぜ起こるの?【なくならない原因】

戦争の具体的な原因はとても複雑ですが、あえて一括して言うと人間の悪なる(不完全な)理性と感情が原因だといえます。

理性とは物事を理屈っぽく判断する能力のこと。

たとえば、ある原始人が日々の食料獲得にもがき苦しんでいたところ、遠征先で見つけた部族は食料がめぐまれていたとします。

このとき人間は「他の部族がうらやましい」という感情をもつと同時に「我々が急襲すれば食料を奪える」という策略をもつ場合があります。

こういった策略(≒悪知恵)こそ人間の理性が悪い意味で発現したもの。

妬み、怒り、焦り、憎しみ、うぬぼれ、恨みといった負の感情が争いにつながるといえます。

普段なら冷静な人なのに、あるタイミングでは冷静じゃなくなって攻撃的な行動を起こしたりするよな。
それは各国の政府にもあてはまるね。20世紀前半のドイツや日本にはそういうところもあった。
マスコミが国民感情をよくない方へ煽ったこともあったよな。

戦争もいじめもなくなるわけない

よく人は「戦争は根絶できないの?」と問いかけますが、人間が感情をもっている限り戦争は残念ながら完全なゼロにはなりえません。

人間が感情をなくすことは不可能ですから戦争もまた根絶できないのです。

以上は平和な環境下で暮らしている現代の日本でさえもいじめは完全になくならないことと似たようなものです。

いじめを減らしたり早期に対処したりする(隠さない)くらいはできるでしょうが。

夫婦げんかや兄弟げんかみたいな争いでさえも永久になくならないだろうね。
見知らぬ人同士が街中で肩がぶつかっただけでもケンカになる場合があるからな。
「ケンカするほど仲がいい」という格言はウソかな?

戦争に勝つには武力が必要

そして集団間の争いに勝つためには武力を整えた方が有利ですから、古来から国家は武力を拡充してきたのです。

野生動物も集団で他の動物を襲うくらいの知恵はありますが、強力な兵器を生み出すほどの知能や器用さはありませんから人間の方がたちが悪いといえます。

まあ人間が感情を抑えて争いを控えたり、他の人間や動物を助けることも理性の働きによるものですが。

紀元前の人体の骨・化石を分析すると、他人から暴力がふるわれた形跡が多いです。

この多くは食料をめぐって起きた争いの形跡でしょう。

人間はよくも悪くもたがいに協力する生き物。
いい方向に協力するのならいいけど、戦争やいじめは悪い意味での協力だな。

アメリカの刑務所を舞台にした実験では、権力を与えられた看守は、立場の弱い囚人に対して暴力的になることがわかっています。

これはアメリカ人に限った傾向ではなく普遍的に起きる現象でしょう。人間は加虐性をもっているのです。

人間の不完全性が戦争の原因

  • 人間の感情
  • 人間の能力
  • その人間を取り巻く環境
  • 戦争の原因や責任を導くための証拠
  • 宗教
  • 学問
  • 各国政府の歴史認識
  • 教育および歴史教科書(自国にとって都合がいい記述が多い)

↑はいずれも不完全。

歴史面での人類の究極目標は「すべての人間に共通した客観的な歴史を共有すること」ですが、人間は不完全である以上、それは不可能だといえます。

せめて「いつの時代の人間も、そして人間がつくり出した産物も不完全であることくらいは自覚しようぜ」と主張したいですが、唯一神の絶対性を信じる宗教の人は相手にしないでしょうね。

「私が信じる神は完璧だから、その神の声をもとにした行為は許される」という極端な考え方もテロや紛争ではよく見られます。

人間は不完全だからこそ唯一神に全能性(完全性)を見出すのかも。
各国の政府も、過去の自国政府の誤りを認めたらがないよな。

戦争はなぜ終わらない?

たとえばA国がB国を侵略しているなどA国とB国の間は戦争状態にあり、戦況はA国にとって優位だとします。客観的にはこの戦争はA国が悪いです。

しかしというか当然というべきか、戦争は簡単には終わりにくいです。それは次のような理由があるから。

  • A国の強欲な要求にもとづいて戦争を終わらせるとA国の侵略が正当化されてしまうし、A国は調子に乗って以後も他地域を侵略してしまうから簡単に降伏できない
  • B国とて国家の威信があるから、ぶざまに敗北したところを国際社会に見せたくない
  • サンクコストにこだわる※
  • 戦争を早く終わらせるための交渉として第三国がA国やB国の政権幹部を下手に刺激すると、核兵器を使ってしまう懸念がある(核兵器が連鎖的に使われたら世界大戦になって人類滅亡…)
  • 戦争状態における政権幹部は理性がまともに働かない(たとえばヒトラーは第二次世界大戦を長引かせ、ドイツ降伏前に発狂して自●)

「さっさとB国は降伏すればいいのに」と思う人もいるでしょうが、よく考えると戦争を穏やかに終わらせるのはかなり難しいです。

異なる国・思想の人同士でも正論が通じればいいんですけどね。

※サンクコストとは回収できない費用のこと。たとえば、あなたはお金を払って映画を見ているとします。

この映画は見ている途中でつまらないのであればすぐに退出すべきですが、多くの人は「もうお金を払っちゃったし払い戻せないから最後まで見よう」と考えてしまうのです。

戦争もひとたび人員やお金を投入してしまうと「勝つまで続けなくちゃ」と考えてしまいがち。

サンクコストは意外と頭がいい人に目立つ考え方だよな。
頭がいい人は「オレは頭がいいからオレがお金をかけるにふさわしいと判断した事業は勝つまで続ける」と考えるからね。
投資の塩漬け(損切り下手)にも通じる考え方だな。

戦争の具体的な原因

次にもう少し具体的な戦争の原因を10コ述べます。その原因と対応している戦争の例も出します。

ただし戦争の原因はとても複雑であるため、戦争の主因が資源獲得だったとしても他の原因も複数絡んでいることを覚えておいてください。

日本は島国だから対外的な衝突は少ない歴史だったけど大陸諸国は衝突が多かった。

(1)国境・領土や資源をめぐる戦争

「A国は資源が豊富でうらやましいから、A国に戦争を仕掛けて奪っちゃえ」みたいな考え方にもとづく戦争です。縄張り争い系の戦争もこれに含まれます。

B国とC国が魅力的なA国をめぐって戦争を展開したなんていう事例もありました。

2000年前後ではアフリカのコンゴ戦争が有名です。

コンゴは鉱物資源がとてもめぐまれた国なのですが、その獲得を争い、さらに部族対立やコンゴ以外の国も加わったために大きな戦争がたびたび起きました。

アフリカの真っ直ぐな国境線

現代のアフリカで紛争が多い根本的な原因は19世紀後半に西欧列強がアフリカ大陸を分け合ったからです。

それは現地民の民族分布や文化を考慮しない直線的な分け方でした。砂漠地帯が多いとはいえ国境線が直線だらけというのは不自然(人工的)ですからね。

直線的な分け方によって一つの民族がバラバラにされたり、宗教が異なる民族が一つの国にされたため、現代でも争いが絶えないのです。

奴隷貿易ではアフリカの黒人が黒人を奴隷にして白人商人に売っていた。
現代でも同じ人種だからといって仲がいいとは限らないよね。

(2)宗教や民族観をめぐる紛争

「あの部族は我々の近くに住みながらも我々の宗教や民族観と相容れないから滅ぼしたい」「我々の宗教上の聖地を奪い返してやる」「英霊のために戦う」みたいな考え方にもとづく戦争です。

このタイプは中世ヨーロッパの宗教戦争や現代の中東絡みの紛争が典型的です。

ただ、キリスト教の聖書には「汝(なんじ)、殺すなかれ」と書かれているようにキリスト教徒による殺人・戦争は明らかに矛盾しています。仏教やイスラム教も同じように殺人は宗教的に禁止です。

こんな大きな矛盾が起きる理由としては、

  • 聖書を読んでいない
  • それは真のキリスト教徒ではない
  • 聖書を読んだとしても、それでも感情を優先して殺してしまった
  • 周りに流された
  • 命令された
  • 殺人を正当化するためにキリスト教を利用しているだけのこと
  • 多数者を守るためには少数者を殺すしかなかった

などが考えられます。

とくに「聖書を読んだとしても、それでも感情を優先して殺してしまった」とすれば、人間の自制心は弱いといえます。

そして聖書と矛盾した行動が起きる理由としてもう一つ挙げられるのが原理主義です。

原理主義とは、ある宗教や理論について誤りがないと見なして原理原則を徹底的に守ろうとする主義のこと。一部の宗教家やテロリストは原理主義者です。

原理主義者は「あいつは〇〇教の原理主義とは少し違うから粛清してやる」などと不寛容な態度をとりがち。

こういう少しのズレも許さない姿勢は戦争に発展しやすいです。

(3)統治をめぐる戦争

「この地域はいろんな為政者が入り乱れていて統治が安定していないから、ワシが広域の長になるべく戦争を仕掛けたる」みたいな考え方にもとづく戦争です。

王侯貴族が政権を争うタイプの戦争も含まれます。

人間、とくに男性は権力欲をもっていますから覇権を争うのです。歴史上の為政者や独裁者って男性ばかりですからね。

覇権というよりリーダーシップだけど、現代日本の小中高(共学)の生徒会でも男のほうが多いんだよな。

このタイプの戦争は、古代の中国、中世ヨーロッパ、戦国時代の日本のように有力な大名が各地に複数いたときに起きやすいです。

日本では古代に壬申の乱という皇族継承争いが起きました。

このタイプの戦争の終結後は統治権力が一本化されたために秩序が安定することもあります。

(4)独立をめぐる戦争

「我々が住んでいるK地域は大国に属しているが、大国の支配から独立したい」みたいな考え方にもとづく戦争です。

一方、大国側としては「K地域には独立してもらいたくない」と思っている場合が結構あります。

大国側はなぜ独立を認めたがらないのかといえば、

  • 一つ独立を認めると他の地域も連鎖して独立し大国の力が弱まる
  • 周辺国に弱体化を見せたくない
  • 貴重な天然資源がとれる地域は手放したくない
  • 経済力の高い地域は手放したくない
  • 交通の要路を確保したい

といった理由があるから。

大国と、その大国の中で独立したがっている地域を比べると、前者の方が人口も武力も大きいため、一般に後者は苦戦を強いられるのが普通です。

たとえば現代の中国が大国を気取って、ウイグル、チベット、台湾、香港などにひどい態度をとっているのは周知の事実でしょう。

本格的な戦争には至っていませんが、中国の横暴は目に余るものがあります。

香港の金融、台湾の電子部品の生産力は世界的にかなり高い水準にあります。
中国(漢民族)は昔からプライドが高いんだよな。
それは中華思想と呼ばれる。中国は古代・中世では大国だったからね。
今の中国で大国感があるのは人口と国内総生産だけか。一人あたりの経済力はまだ弱いし。

(5)政策への反発から生まれた戦争

「あの政策はひどいから、あの政策を課してきた政府にみんなで反発しよう」みたいな考え方にもとづく戦争です。

これにあてはまる例としては、本国イギリスから不当に課税された植民地が反発して起こしたアメリカ独立戦争が有名です。

中世の日本で農民が蜂起した一揆もこの類に含まれるでしょう。

(6)自衛のための戦争

「国を守るためには戦うしかない」みたいな考え方にもとづく戦争です。

とくに戦争を仕掛けられた側が応戦するときは「自衛戦争」という概念を使いやすいです。

日本の右翼は太平洋戦争が自衛戦争だと論じますが、真珠湾を先制攻撃されたアメリカの立場から見るとアメリカの立場こそ自衛戦争といえるかもしれません。

ちなみに現代のアメリカのような銃社会では周りのみんなが銃をもっているのであれば、自分だけ銃をもたないというのは危ない選択だといわれています。

各国の政府が強力な武器(とくに核兵器)をもちたがるのも「みんながもっているから」が大きいです。

(7)自暴自棄の戦争

「我が国は経済情勢が厳しいから、なんだか自暴自棄になってしまい周辺国に戦争を仕掛けたくなってきた」みたいな考え方にもとづく戦争です。自爆感・自滅感が漂っています。

これを遠因として大戦を起こしたのがかつてのドイツ。

というのも第一次世界大戦の敗戦国ドイツは巨額の賠償金を課され、その後、世界恐慌で大ダメージを受けました。

そのあたりから悪名高いヒトラーが台頭し、ドイツは劇的な経済復興を遂げました。

しかし、いろいろな思惑があってドイツはふたたび対外的な攻撃態勢を強めました。

第ニ次世界大戦の末期(降伏直前期)、ヒトラーが自殺した展開は自暴自棄の末路だといえます。

世界中を巻き込んだ罪はあまりにも大きいですが、自殺したら裁判で裁かれませんし、監獄で罪の重さを実感できませんからね。

アメリカの銃乱射事件の犯人もひどく自暴自棄な感じがする。
現代では北朝鮮(とくに金正恩)が核兵器とともに自暴自棄にならないかが懸念されます。

(8)代理や支援としての戦争

「味方同盟国には勝ってほしいし、敵同盟国は嫌いだから参戦する」みたいな考え方にもとづく戦争です。

冷戦下の朝鮮戦争やベトナム戦争があてはまります。三十年戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦といった大戦争も大きな同盟関係が影響していました。

ちなみにアメリカは朝鮮戦争やベトナム戦争に参加していますが、アメリカの国土は南北戦争以降は戦場になっていません。

現代のアメリカは金持ちおよび金持ちの資産をたくさん抱えていますから、金持ちが国土を戦場にしたがらないのかもしれません。

それは永世中立の金融立国であるスイスについてもいえます。

(9)過去の恨みをめぐる紛争

「あの国は過去に我が国にひどいことをしたから、それ以上の報復もやむを得ない」みたいな考え方にもとづく戦争です。

いわゆる「目には目を歯には歯を」の精神です。これはあらゆる戦争に結びつけることができる原因でしょう。2001年のアメリカの同時多発テロにおいても「恨み」が生じたために、そのあとには対テロ戦争が勃発しました。

たとえば、あなた個人としても街中で他人と肩がぶつかったら大なり小なり腹が立つでしょう。それが国家規模のトラブルだとしたら戦争に発展する可能性があるのです。

国家規模のトラブルとは領土・領海・領空への侵犯行為、外国の国旗を燃やす、ミサイルの威嚇射撃など。

戦争を直接的に経験していない世代でさえも昔の戦争によって生じた恨みを未だに訴えることは珍しくありません。

近隣国同士の仲は悪い例が多いのも昔の恨みをいつまでも引きずっているから。戦争を直接的に経験していない世代でも歴史の教科書を目にすることで近隣国への恨みを知ったりします。

近隣国同士で仲がいい例はオーストラリアとニュージーランド、日本と台湾などかなり限られています。まあ台湾は国とはいえないかもしれませんが。

たとえば歴史の教科書を見ると【太平洋戦争、1941年12月7日~1945年9月2日(8月15日)】と書いてあります。

12月7日は真珠湾攻撃の日ですが、それ以前の段階でも日本と英米の間にはいざこざがありました。

つまり、戦争は勃発の原因や開戦~終戦の年号だけを覚えるだけでなく、それ以前の流れとともに理解しないとあまり意味がないのです。

日本はアメリカから原爆を落とされたけど、日本の若者はアメリカに恨みをもっていない気がする。
それは地理的に離れていることが一因かもね。
政治面は別として、ハリウッド映画、マクドナルド、iPhone、ディズニー、4大スポーツなどアメリカの文化・経済力はすごいからな。
ちなみに現代のドイツが難民・移民を受け入れるのは、かつての大戦に対する贖罪心があるから。いつまで昔のことを償えばいいのでしょうか。

(10)正義の戦争

「我々は正しいから悪の国に攻撃しても問題ない」みたいな考え方にもとづく戦争です。

こういった思い上がり?としての正義はいろんな戦争に結びつけることができる原因です。

「どっちも、自分が正しいと思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ。」

引用文献:小学館てんとう虫コミックス『ドラえもん 1巻』8話:ご先祖さまがんばれ

上の引用にもあるように戦争の当事者は大抵「自分が正しい」と思い込んでいます。

こういうのは多くが思い上がりであり、そういった「自分が正しい」と強く思い込んだときに起こす暴力はかなり過激です。

ちなみに現代の日本では日本共産党がよく「正義」という言葉を使っています。

共産党は「正義」と同時に「平和」も標榜していますが、その反面、デモ行進では自民党幹部の人形をボコボコに壊しています。

平和主義者が、人形とはいえ政治家をボコボコにする有様はかなり矛盾しています。

まるで「私たちこそ絶対的に正しいのだから、私たちと意見が違う人には正義の名のもとに暴力を振るっても許される」と考えているかのようです。

正義を強く主張すると、それと少しでも違う正義は邪悪に映るように強すぎる正義は暴力に発展します。

たまに共産党絡みで内ゲバにおよんでいる人がいますが、それは正義の概念が他人と少し違うことにさえも腹を立てるからです。

彼らは「強すぎる正義」の危うさをわかっているのでしょうか。

歴代の共産主義各国は最初は美辞麗句のもとに強引に革命を起こしてできあがりましたが、やがて権力は腐って国民の大虐殺におよびましたからね。その虐殺数は1億人以上ともいわれています。

現代日本の共産党員は「旧ソ連やカンボジアは真の共産主義ではない。我々とは違う」と主張しますが、共産主義はどんな内容にしてもいずれは腐るようになっているのです。

『名探偵コナン』の佐藤刑事も言っていたように「正義」なんてのはやたらと振りかざす言葉じゃありません。

『ワンピース』の赤犬みたいな強すぎる正義は危ういよな。

それに「この世の正義はこれしかない!」などと強く思い込んでいると、何か問題が起きたときに事実を見誤ってしまいます。

お子様向けの戦隊ヒーローの世界では正義と悪の対立は単純だったりしますが、現実世界における正義ってそんなに単純な概念ではありません。

各国の共産党が大好きな赤旗は血と暴力と革命の象徴であって美しいモノではありません。赤旗は血みどろの歴史の象徴なんです。

戦争へと感情を駆り立てる要素(戦争の遠因)

次に戦争の直接的な主因にはなりにくいですが、近現代において戦争の規模が大きくなった原因について紹介します。

こういうのは戦争の遠因や長期化・総力戦の原因になりやすいです。

  1. 新聞やラジオといったマスコミによる煽動たとえば東京と鹿児島という離れた人同士でもマスコミがあると「同じ日本国民だ」という意識をもつ
  2. 国旗や国歌による国民意識の高揚フランス国歌はすごく戦闘的な歌詞で知られているように国歌には国民意識を高揚させる作用がある
  3. スパイの暗躍陰で重要人物を殺すなどして両国間の対立を煽る輩がいた
  4. 為政者の演説「立ち上がれ〇〇国民よ」という感じで直接的に国民を煽る人物がいた
  5. 軍拡競争外国が武力を拡充するなら我が国も拡充するしかない、という考え方
  6. デマや噂「我が国では〇〇人が暗躍しているから〇〇人を根絶やしにしないと危ない」というデマが闘争心を駆り立てた
  7. 子どもや動物の写真かわいそうな子どもや動物の写真が戦争への闘争心や休戦論を高めたこともあった(そういう写真は捏造も疑われる)
  8. 食糧不足や経済恐慌人間は食糧不足や経済恐慌などに追い詰められると冷静な行動がとれない

ここで注目すべきは8番目の「天災や食糧不足、経済恐慌」です。

フランス革命(実質的には大規模内戦)の過程では大規模な食料不足があったように、人間は食料不足に陥ると暴力的になることがあります。

そこではよからぬデマも流れやすいですからね。

太平洋戦争における日本兵の死因は餓死や同士討ち(食料の奪い合い、あるいは食人)が多かったように、食料不足はかなり怖いです。

戦争が大きくなった原因

最後は、現代に至るまでに戦争が大きくなった過程についてざっくり紹介します。

そもそも紀元前の狩猟採集社会でも争いは多数ありましたが、国(組織化された兵)VS国(組織化された兵)みたいなのはありませんでした。

しかし、農耕が発達すると貧富の差や統治権力が生まれ、戦争は国VS国の色彩を強めました。

農耕の発達⇒農作物や富の蓄積⇒貧富の発生⇒他の集団から富を守るために統治権力設立⇒統治権力が兵を組織

そして近代における火器の登場・発達は戦争を決定的に大きくしました。

というのも、火器の登場以前の武器である剣・槍や弓は至近距離の戦いであり、騎馬術とともに訓練された専門職としての兵士が必要でした。

雑兵には農閑期の農民が動員されました。

しかし、銃やミサイルは引き金を引けば強力な殺傷力がだれにでも簡単に実現できてしまうのです。

そうなると大衆も十分な兵力になりますから、政府は義務教育によって大衆を教化し始めました。これは日本では19世紀後半の時代以降があてはまります。

教化された大衆は軍需の生産工場の工員やビジネスマンとして利益を生み出す存在としても重要な存在です。

火器の生産・購入は技術と大金が必要であるため、19世紀後半~20世紀前半にかけては利益を効率的に生み出すのに適した大規模な企業が先進国で生まれました。

それは日本では「財閥」と呼ばれる名門企業群です。戦後には部分的に解体されましたが。

まとめ:戦争はなくせるか

今回の記事を読んだらあらためて「戦争はなくなった方がいい」と考えた方が多いでしょう。筆者もそう思います。

しかし、平和は武力を全面的に放棄することによって実現するものではありません。

警察を廃止しても犯罪はなくならない、いやむしろ犯罪は増えるように、軍隊を廃止したら戦争がなくなるというものでもありません。

このあたりはジレンマなのですが、どうも日本人の中には軍隊を廃止すれば戦争もなくなると考えている人がいるように思えてなりません。

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