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社会・教育

日本のアニメや漫画はなぜ人気になったのか【発展条件が整っていた】

2020年10月31日

さて、海外で有名な現代の日本人ランキングを見ると決まって上位にはアニメーターの宮崎駿とドラゴンボール作者の鳥山明が入ります。

要するに日本の漫画やアニメ作品は世界的に人気が高いため、その作者もまた知名度が高いわけです。

ここで気になるのはなぜ日本の漫画やアニメ作品は世界的に人気が高いかということ。

簡単に言うとその理由は以下のとおり。

  • 大人もうならせる深くて多様なストーリー(海外のは割と単純、あるいは子ども向けが多い)
  • 人生に深く役立つ名言がある
  • 漫画家ごとにキャラの絵柄が違っており、キャラの容姿が魅力的(コスプレしたくなる)
  • 基本的に主人公は少年または少女であり(若年読者が共感しやすい)、なんらかの弱点をもっている(アメコミは無欠のヒーロータイプが多い)
  • 単純に絵がうますぎるが、スーパーリアリズムのような超写実的な絵とは違う独特の味がある(鳥山明、村田雄介、大友克洋、三浦建太郎、小畑健、岸本斉史、井上雄彦)
  • キャラの心情描写が細かい(日本の主要キャラは生い立ちからして複雑)
  • 1話完結になっていない作品が多く連続的(一度ハマると抜けられない)
  • 悪役キャラも多様で魅力的
  • 古今東西の古典や神話が元ネタになっている作品も多い(古典や神話は人気があっていまだに読まれているから、それを現代風にアレンジした作品にも人気が出る)
  • 外国人にとっては何気ない日本文化も興味深く映る(食べ物、和洋折衷、部活、多神教観、風呂、年功序列、将棋など)
  • 現実世界で起きた歴史や社会情勢を想起させるところがある(スポーツ漫画とて元ネタは現実世界のプロスポーツにあったりする)
  • アニメでは作画や声もこだわっている
  • 基本的にストーリーや音楽は無国籍感が強いが、欧米風や中国風もつくれる
  • 主要人物がアジア系か欧米系かハッキリしない(悟空が白人かアジア系か未だに論争があるが、定めなくてよかった)(セーラームーンの主人公は金髪・碧眼だが日本人という設定…)
  • 最終回をすでに迎えた作品であっても謎や議論・考察する余地がいまだにある
  • 人類の夢を実現した世界を魅力的に描いている(タイムスリップ、超古代文明、死者の復活、不老不死、空を自由自在に飛ぶ、超人的な体格と体術、ハーレムなど)

それなら、なぜ日本人は優れた漫画やアニメをいくつも生み出すことができたのかと疑問をもったでしょう。

そこでこのページでは、日本の漫画やアニメ作品は世界的に人気が高い理由、そして日本で漫画やアニメが発展した理由を解説します。

これはゲーム業界にも通じます。

この記事では漫画家や芸能人の名前は敬称略とします。

また、このページの画像は株式会社スタジオジブリが提供している「常識の範囲で自由に使える画像」です。

スタジオジブリの懐の深さに感謝。

↑の絵は模写とはいえキャラの個性が際立っています(作者によってキャラの絵柄に独自性がある)。

日本のアニメや漫画に人気がある理由

以下は日本のアニメや漫画の発達に役立った要素。

  • 欧米が発明したモノへの改良精神
  • 手塚治虫の偉大さ
  • 日本の自然条件は絵の感性にプラス
  • 平和と他国の文化に寛容な環境
  • 識字率の高さ
  • 日本語の文字特性
  • 日常の閉鎖性への反発と異世界への想像力の豊かさ
  • 日本はフィクションの中では自由度が高い
  • 日本人の宗教は多神教的(文明観が多様)
  • 何でもかんでも擬人化する
  • 「漫画やアニメのキャラは生きている」という感覚
  • 日本人の感性は鋭い
  • 漫画やアニメは政府の介入が弱く利権化しなかった(政府が強く入り込んでくるとコンプライアンス重視になってつまらなくなる可能性が高い
  • 漫画で成功すると、アニメ、映画、フィギュア、ゲームなどに多展開するように成功した原作者はそれなりの金持ちになれる
  • ただ面白いか否かで判断される(学歴や年齢、出身地みたいなのはほとんど関係ない)
  • 市場競争が作品の水準を引き上げた
  • ゲーム会社やおもちゃメーカーと組んで売上を大きくするなど市場規模を大きくした
  • 編集者が有能なパターンもあった
  • 日本人の性格の細かさが活きた
  • 徒弟制度:アシスタントになって経験を積む
  • 海外勢に比べてジャンルが多様
  • ストーリーや絵柄がパクリだと叩かれるから多様化した
  • 実世界の問題を取り入れて大人もうならせる
  • 人気アニメは音声も一級品
  • 音楽はお国柄が出ていない

ここから先は以上の箇条書きを順番に掘り下げていきます。

簡単な歴史:日本人の改良精神と手塚治虫の偉大さ

まず漫画およびアニメの歴史を大まかに紐解くと、戦前の日本では田河水泡の漫画『のらくろ』、そして第二次大戦前後の欧米ではディズニーのアニメの人気・評価が高いものでした。

そして終戦後、手塚治虫は田河水泡とディズニーに憧れて本格的なストーリー漫画を多数描き、アニメ制作にも携わりました。それとともに日本全体で漫画・アニメ制作が盛んになったという感じです。

手塚治虫はアニメ『鉄腕アトム』において原作と脚本と原画と絵コンテと演出と制作会社社長を担っていたよ。どんだけ~?

日本人は他国の発明品の改良が得意だとよくいわれるように、手塚治虫もまたディズニー作品を手本に改良しました。

世界初の漫画とアニメは欧米産、さらに現代のアニメ・漫画・ゲームに多大な影響も及ぼした『指輪物語』も欧米産ですから。さらにアニメやゲーム関連の作曲家は欧米のクラシック音楽に大きな影響を受けた人が多いです。

手塚治虫以前の漫画のコマ割りは1ページを均等な面積で4等分・6等分したものばかりでした。

しかし、手塚治虫はコマ割りをもっと大胆に設定しました。手塚治虫作品はストーリーは壮大ですし、キャラも魅力的。

ただし、日本の鎌倉時代の鳥獣戯画(絵巻物)、江戸時代の浮世絵、百人一首の絵入りの歌がるた、北斎漫画、明治時代の紙芝居は漫画の源流にあるといえなくもありません。

百人一首の起源は平安時代ですが、江戸時代では絵入りの遊戯として広まったのです。

昔から日本人は線画が好きだといえます。

現代のスクリーントーンを多用した漫画は制作コストが高めだけど、線画は戦争前後の貧しい時代でもつくれる。

日本の自然条件は絵の感性にプラス

そもそも漫画というのは絵と文字で表されます。

これに関して歴史の教科書に載っているような完成度の高い絵はヨーロッパか中国か日本で生まれたモノが多いです。

北アメリカやオーストラリアは文明国として開拓したタイミングが遅いため置いておくとして、なぜ中東やアフリカでは優れた絵はあまり生み出されなかったのでしょうか。

その一つの要因に自然条件の違いがあります。中東やアフリカの大地は基本的に暑くて乾燥しており砂漠地帯も多いです。そこでは四季の違いが明確に感じられません。

中東の芸術といえばアラベスク(絨毯のような単調な幾何学模様)であり、これは殺風景な自然環境が原因で生み出されたともいわれています。

紀元前の中東は緑豊かな地域もあったとされます。

この点、ヨーロッパと中国と日本付近には四季があり、国土には色鮮やかな植物と山・川がたくさんあります。

2021年の東京五輪ではセミの鳴き声がうるさいと感じた外国人が多数いたように虫の鳴き声も豊かです。

こういった緑と水が豊かな自然環境に住んでいる民族は、感性を刺激されるため優れた絵を生み出しやすいといわれています。

とくに日本は昔から天災も多いため、いろいろと自然から感性を刺激されるのでしょう。

平和と他国の文化に寛容な環境

また現代のアフリカや中東のように争いが多いと優れた芸術は生まれにくいです。

銃弾が飛び交う戦時中に絵や漫画を描く人はいませんし、芸術活動は政府から規制されますからね。もともと中東は欧米の文化を嫌っているうえに表現の自由に厳しいですし。

日本も戦中はそんな感じで(戦前は漫画もあった)、戦後は社会の自由度も平和度も漫画・アニメも大きく発達しました。

日本はアメリカから原爆2発を落とされたようにアメリカは憎むべき国ともいえますが、戦後はアメリカ文化を広く受け入れているように海外文化の受け入れはかなり寛容です。

他国の文化・娯楽に対して寛容でそこらじゅうにエンタメ作品があふれていると、日本国民は感性を刺激されて自分も芸術表現したくなります。

その先駆けが手塚治虫であり、彼はディズニーの『バンビ』と『ピノキオ』に感動して漫画・アニメの道に進んだという感じです。

初詣や七五三(神道)、西洋風結婚式やクリスマス(キリスト教)、お盆や除夜の鐘(仏教)など日本人は多神教の価値観をもっている。
逆に北朝鮮のような他国の文化を受け入れようとしない国の人間は感性が刺激されませんから、優れた芸術が生まれにくいのです。

識字率の高さ

漫画はセリフ(文字)も大切ですから、日本のように国民の識字率が高くないと質の高い作者も読者も編集者も数多く生まれません。

読者や編集者が作品を理解して口を出さないと漫画やアニメは発展しませんから。

日本は大学教育は評判が悪いけど、15才時点の平均的な学力は国際的に見てかなり高い。
小中で読み書きや四則演算はきちんとやるからね。

日本は実技科目も義務教育で習う国

日本人が小中高で習う科目と言えば、国語(母国語)、第1外国語(日本の場合は英語)、数学、理科、社会、体育、美術、音楽、家庭科です。

でも、国英数理社は多くの国で教えられているとしても、体育、美術、音楽、家庭科が義務教育上の学校できちんと教えられている国って割と少ないんですよ。

実技科目は義務教育外の私塾でしか教えられていない国もありますからね。

日本人はプロの漫画家・アニメーター以外にも絵が上手い人がまあまあ多いのは、小中高で図工・美術をきちんと教わってきたことが影響しています。

日本語の文字特性は意欲をかき立てられる

それから日本語の文章はひらがなとカタカナと漢字を縦書きで使うなど視認性がよく、漫画や小説では表現の幅が広いです。

たとえば『北斗の拳』では「強敵」と書いて「とも」と読ませるのが有名。

さらに日本語の一人称は「私」「オレ」「わい」「わて」「余」「吾輩」など個性があります。「余」なんていう一人称を使う人はそれだけで偉い奴だとわかります。擬音語や擬態語も多いです。

『幽遊白書』における蔵馬VS海藤の言語バトルは日本語だからこそできた表現です。

このように母語の表現に多様性があると、その母語を使っている人間は表現する意欲をかき立てられます。

漫画家は成功すれば億万長者になり引退後も不労所得が入るなど夢がありますが、成功した漫画家はお金よりも「漫画で表現したい」という意欲を優先させてきたと思います。日本の漫画家は企業家よりも芸術家に近いのです。

日本人は絵への文字入れが好きだし得意

それから現代のYouTubeを見ていて思うのが、日本語圏のYouTuberはサムネイルに大きな文字を数多く入れるとともに、動画内ではテロップを積極的に入れるということ。

これは漫画と同じで「絵と文字」を組み合わせる表現技法です。昔の日本人は絵巻物や百人一首など「絵と文字」を得意としていたことの現代版といえるのかもしれません。

他言語圏にもサムネイルの文字や動画内のテロップはありますが、日本語圏ほど多くはありません。

古今東西で人気の古典や神話が元ネタ

日本のアニメ・漫画は諸国の有名な古典や神話が元ネタになっている点も興味深いです。

たとえば『ギリシャ神話』『古事記』『竹取物語』『イソップ寓話』『アンデルセン童話』『グリム童話』『ピノッキオの冒険』『桃太郎』『金太郎』『浦島太郎』『西遊記』『ジャックと豆の木』『ガリヴァー旅行記』『聖書』など。

とくに『ONE PIECE』は童話ネタがとても多い。
古典は著作権が切れているから取り入れやすいよな。

有名な古典は各国で人気があって現代の学校の教科書にも載っているほど人々に浸透しています。学校で習った作品が元ネタになっているのなら現代の子どもたちとしても漫画・アニメの世界に入り込みやすいでしょう。

古典の時点で人気がありますから、そういった人気作品を現代風にアレンジした日本の漫画・アニメもまた読みやすいです。

なんか神話や古典に出てくる言葉って日本語ではないとしても妙に惹かれるものがあるんですよね。

ドラゴンボールの人造人間編は『ターミネーター1~2』の影響、北斗の拳は『マッドマックス』という映画の影響が色濃く出ている。

有名な史実が元ネタの作品も多い

一般に神話や童話はフィクションっぽい部分が多いもの。

これに関して日本の漫画・アニメは各国の有名な史実や紀行文を元ネタにしている場合も多くあります。

有名かつ多く出てくるのは、フランス革命、魔女狩り、アメリカ独立革命、明治維新、三国志の時代、日本の戦国時代、大航海時代、大奥、陰陽師、東方見聞録など。

もちろん漫画やアニメ向けに脚色されていますけどね。

日本はフィクションの中では自由度が高い

日本とは対照的に人々が陽気で風紀が自由な国といえばアメリカです。

しかし、アメリカは銃社会であり子どもへの悪影響を気にするためか、子どもが見るようなアニメ作品では奴隷、流血、銃、人種、たばこ、薬、酒、刺青といった表現が強く規制されています。

欧米人は、日本のお笑い芸人がテレビ番組でツッコミとして他人の頭をたたくのを目にするだけで「これって暴力だろ」とドン引きするくらいですからね。

その割にフランスでは映画『ONE PIECE』の上映中に観衆が不満をもって暴動を起こしましたし、アメリカの治安は日本よりも悪いです。

日本はその逆で表向きは人々は慎ましく行動しているのに、大人専用作品と漫画・アニメはかなり自由な展開になっているのです。

『聖☆おにいさん』なんて宗教上の大物がギャグ感覚で登場しますからね。あれは欧米や中東では理解されにくいというか…、放映が難しいと思います。

日本は多神教の国だから宗教的な制約は低いよな。
日本人は無生物や人間以外の生き物にも魂が宿ると考えているよ。だから擬人化キャラも多い。
馬、国、果物、電車、武器、船など擬人化キャラは多いよな。
昔から国鉄・JR特急には「はやぶさ」みたいな愛称と絵的なヘッドマークがついていた。

まあ現代の日本の地上波テレビ放送はアニメも含めてかなり規制されてしまいましたが。

自転車の2人乗りシーンが出てくるアニメを批判する人とかいるよね。
フィクションを非現実だと割り切れない人には困ったものだ。

ちなみにアニメ『美味しんぼ』は放送自粛回(禁止回)は名作揃いだったりします。

フィクションキャラは生きているという感覚

『北斗の拳』のラオウ、『あしたのジョー』の力石徹などについて日本のファンは現実に葬式(昇魂式)を行いました。

作者の葬式は普遍的に存在するとしても、漫画・アニメ登場キャラの葬式をまじめに行うという社会行動は世界的にかなり珍しいです。

いわゆるVTuber(バーチャルYouTuber)なんかもファンにとっては生きている感覚があるでしょう。

このような「モノやフィクションキャラにも生命がある」という日本人の宗教感覚は日本のアニメ・漫画を発展させた気がします。

そういう宗教感覚をもっていると、フィクションキャラの心理描写も熱が入って細かくなるというもの。

ほかにも『タッチ』の上杉和也、『ドラゴンボール』のクリリン(衝撃的な死は2回)、『NARUTO』のイタチ、『ONE PIECE』のエースの死はかなり衝撃的でした。

『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』で現れた命の火を抜き取る巨大工場もトラウマ級の衝撃。まるでクロノトリガーの未来工場みたいでした。

『鉄腕アトム』の主人公はアンドロイドではありますが、地球を救うために太陽に突っ込んで自分が犠牲になったシーンは今も語り継がれています。

悲しさに対する感情が発達している:鋭い感性がある

たとえば『フランダースの犬』というベルギー産の文学は日本でアニメ化されヒットしました。

しかし、『フランダースの犬』はベルギー当地ではあまり評価されていません。

こうも態度が違うのは、『フランダースの犬』はストーリーが悲しすぎることに原因の一つがあると感じます。

すなわち日本人は悲しい分野について感性が鋭いため『フランダースの犬』を評価しますが、欧米人は悲しすぎる話を評価しないということ。

実際、アメリカで出版された『フランダースの犬』は原作を改変してハッピーエンドになっていますから。

現代日本における社会問題についても「日本人は社会問題について感情的になりすぎる」と感じることがよくあります。

そういう鋭い感性はフィクションをつくるときには役立ちますけどね。

孫悟空、ルフィ、ナルト、冴羽獠、緋村剣心、竈門炭治郎、鉄腕アトム、間黒男(ブラック・ジャック)の生い立ちは複雑。みんな大きな悲しみを背負っている。
ディズニーのミッキーやドナルドは単純なキャラなのとは対照的だね。ディズニーキャラは悲しい面をあまり見せない。
昔から日本の古典・フィクションは悲しいストーリーが割と多いんだよな。

現代日本の製薬会社や精肉業者は、彼らが大量に殺してきた害虫や被験動物、家畜動物を定期的に弔っています。食肉加工場に行くと敷地内に家畜の慰霊碑とかあるんですよ。

これも日本人は悲しさに対する感情が発達していて懺悔の気持ちを表したがっているからではないでしょうか。

日常の閉鎖性への反発と異世界への想像力の豊かさ

日本人は感性・感受性が豊かですが、世間体や恥を大きく気にするため人前で感情を大きく表そうとしません。

日本人は学校や職場で、性、政治、宗教などについて自己主張しにくいのです。

陰湿な人
参考日本人はなぜ陰湿なのか

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2chやTwitterでは自己主張が盛り上がっているのは、普段の学校や職場で自己主張しにくいことの裏返しでしょう。

日本社会は表向きでは自己主張が抑え込まれてストレスがたまっているため、私的に表現する芸術は感性が鋭いのです。

日本各地には奇妙な性的祭りがあるのも日常では性が抑え込まれているからでしょう。

笑いに関しても同じでアメリカの大統領はジョークも口にしますが、日本の首相はジョークをほとんど発しないように日本社会は表向きは笑いが封じ込められています。

しかし、日本のお笑い番組や漫才劇場、ギャグ漫画は海外に比べて充実しています。

平安時代の文学作品である源氏物語の主人公がスゴイ性的嗜好なのも、昔から日本の日常は閉鎖的だからこそ反発してああなったのではないでしょうか。『源氏物語』を高校で学ぶって実はスゴイことなんです。

同じく平安時代の竹取物語なんていうのも「月へ帰る」という展開がなんとも想像力と創造力が豊かです。

江戸時代の春画もスゴイ性的嗜好が表れています。

『浦島太郎』の想像力もなかなか。
日本人は、よく言えば感受性豊か、悪く言うと神経質かな。

現代で一般向けの作品を描いている有名な漫画家やアニメーターの中にもスゴイ性的嗜好をもっている人がたくさんいると聞きます。

あなたの学生時代にもいませんでしたか、表向きは真面目でおとなしいのに実はすごい趣味をもっていたり、いざ重い口を開くと面白い人とか。

これに関してお笑い芸人の有吉弘行は「口数の多いリア充タイプの企画者より口数の少ない非リア充タイプの方が企画は面白い」と言っていました。

さらに日本は閉鎖的な島国であるため昔から海外や異世界を都合よく想像する傾向がありました。

日本の漫画・アニメ作品のキャラは顔のつくりも身体のつくりも欧米人っぽいのは欧米への憧れの反映か。

こういった日本人の閉鎖性と抑圧された性的嗜好と外界に対する憧れ・想像力は魅力的な漫画・アニメをつくる際の原動力になっています。

日本人にはオタク気質の人が多い?

漫画やアニメは利権化しなかった

それから日本の漫画やアニメは省庁にとって利権化しなかったことも成功の要因といえるかもしれません。

今でこそ公的機関は漫画ミュージアムみたいなのをつくっていますが、昭和の時代の日本政府は漫画やアニメについて自由放任状態でした。

歴史上の芸術作品は政府が芸術家に強制的につくらせたのではなく芸術家が自由につくったものが多いように、漫画やアニメは日本政府が介入しなかったからこそ作家は才能を自由に発揮できたのです。

昔は漫画家や声優の社会的地位は低かった。
にもかかわらず頑張った漫画家や声優はスゴイな。
たとえばドラゴンボール初期の下ネタは面白いが、もし日本政府が強く介入していたらコンプライアンス重視になって下ネタやグロは控えられ、それによってつまらなくなる可能性が高い。
中国は共産党政権で表現の自由が大きく制限されている限りは面白いエンタメ作品を生み出せなさそう。

市場競争が作品の水準を引き上げた

漫画家は作品が「面白いor面白くない」ばかりで判断されます。親の血筋とか学歴はほぼ関係ありません。

日本企業は年功序列や正社員の解雇規制、コネクションが強いですが、漫画界はほぼ実力主義の世界。冨樫義博のように若くして大成した漫画家も多いです。

過去に人気作品を描いた漫画家であっても新作は面白くなかったばかりに鳴かず飛ばずで終わった例はたくさんあります。これも実力主義の現れ。

あの手塚治虫でさえも打ち切りにあった作品はいくつかあります。

中でも週刊少年ジャンプは読者アンケートを重視していることで有名で、低空飛行が続くと連載は打ち切りになりやすいです。

『NARUTO 』の作者・岸本斉史による『サムライ8 八丸伝』は1年くらいで打ち切られたな…。

ストーリー的に切りが悪いタイミングでも突然、連載漫画が打ち切られたのを見て驚いた経験がある人も多いのでは。

似たような仕組みは他誌にもあります。あとからデビューしたい人は先行している不人気作品に退場してもらわないとデビューできませんからね。

漫画のヒット作は連載開始前にはわかりにくいため、出版社はとりあえず何人もデビューさせて、ダメなようであれば半ば強制的に退出してもらうのです。

つまり、日本の漫画雑誌には読者が作家の奮起を促すとともに競争を煽り、不人気作品を打ち切る仕組みがあるのです。

視聴率とスポンサーに左右されるアニメ作品もこれと似たようなもの。日本の漫画やアニメは厳しい市場競争の中で育ってきたのです。

週刊少年ジャンプは人気作品の連載を引き伸ばす姿勢が強いことでも有名。
それは漫画の完成度を下げているのかも。
ドラゴンボールはフリーザ編までは『たったひとりの最終決戦』と相まって素晴らしかったが人造人間以降はイマイチ。とくに超は駄作。
逆に『SLAM DUNK』『鬼滅の刃』は人気絶頂期で連載終了したよな。

日本では1950年代から優れた漫画が受賞できるコンテストがありました。これも市場競争を促す仕組みの一つ。昨今では賞が乱立した感もありますが…。

ちなみに海外では漫画賞やさまざまな漫画の連載を詰め込んだ漫画専門雑誌は少ないです。

声優も市場競争が激しい

日本は人口の割に声優および声優志望者が多く、彼らはオーディションを通じて配役が決まりやすいです。

そういった競争は激しいほうが良質な声優は出現しやすいでしょう。

ベテラン声優による若手指導も気合が入っています。

声優はそのアニメの役に合うか合わないかという点が重要なので、大物声優とてオーディションでは希望する役がもらえないこともあります。

逆にアニメ映画でよくあるパターンとして、人気はあるけど声の実力がイマイチな芸能人をゲスト声優としてねじ込むのはどうかと思っています…。

芸能人の中にも声優並みに上手い人はいますけどね。

ゲーム会社やおもちゃメーカーとも結びついた

たとえばドラゴンボールは原作の連載終了から30年近く経過していますが、いまだにゲームやフィギュアは結構売れています。

そうやって漫画・アニメの市場規模を大きくすれば新たに参入するクリエイターも増えるなど業界は活性化するものです。

日本には優れたゲームメーカー、おもちゃメーカー、フィギュアメーカーが古くから存在していたように、娯楽分野のクリエイター魂はかなり強かったと思います。

ドラゴンボールのテーマパークは中東で建造されている。
ディズニーもアニメとテーマパークが結びついて時価総額が大きくなったなぁ。

編集者が有能なパターンもあった

漫画家にとって重要なのは自分の能力とやる気です。

そうはいっても自分一人だけでつくるよりも他人からアドバイスをもらった方がうまくいく場合は多くあります。

というか、新人が漫画原稿を出版社に持ち込むとデビュー以前にこき下ろされたりしますからね。

まあ逆に無能な編集者や行き過ぎた商業主義が作品の出来や作者の才能をつぶしたというパターンもあったでしょうが。

基本的に漫画家は個人事業主で、漫画の編集者は出版社に勤務するサラリーマンです。

漫画家は自分が描きたいことを優先する一方で、編集者は読者の人気や会社の売上が大きくなることを優先します。

かつての鳥山明氏を担当した鳥嶋和彦編集者は厳しくもかなり有能。
ドクターマシリトはいいキャラだな。

日本人の性格の細かさが活きた

漫画は数ある芸術の中でも表現技法としては細かい部類に入ります。なぜなら漫画の制作は次のような過程をたどるから。

  1. キャラやストーリーを構想
  2. コマ割り
  3. 下描き
  4. ペン入れ
  5. 効果線
  6. 下書きを消す
  7. ベタ塗り
  8. スクリーントーンを貼る
  9. セリフを入れる

ご覧のとおり漫画制作は手間だらけ。アシスタントがいるとはいえ、これを週刊ペースで続けるのはかなりの重労働です。

当然、編集者にダメ出しされることもあります。

アニメについても尺(時間の長さ)やCMのタイミングを気にしたり声や音楽・効果音などを入れるのに手間がかかります。

また今のアニメはデジタル彩色ですが、昔は手書きのセル画だったため一層面倒でした。

要するに良質な漫画やアニメの制作者は面倒くさがりでは務まりませんし、そういう細かいところが海外に受けているのです。

よく日本人は仕事上のルールや制作物(料理や家電など)が細かいといわれるため、漫画やアニメの制作に合っているといえます。

ストーリーの設定や心理描写(心の声)も細かいですし。

徒弟制度:アシスタントになって経験を積む

今でこそ東京や大阪には漫画スクールがあり、ネットには漫画制作情報が大量にありますが、昔はそういった学校がありませんでした。

そのため、漫画のプロとしてデビューをめざす人は教本を見て独学で描いたり、すでにデビューしている漫画家のアシスタントになって修行を積んでいました。

漫画家のアシスタントは背景やモブキャラを描いたり、ベタ塗りやトーン貼りを担います。

モブキャラとは名もなき群衆たちのこと。ドラマでいうエキストラみたいな存在です。

若者はアシスタント入りによって漫画制作の技量と経験値を上げることができたのです。たとえば『ワンピース』の尾田栄一郎は若い頃、徳弘正也のアシスタントをしていました。

日本の徒弟制度はブラック労働化しやすいという特徴もあります。

そもそも徒弟制度とは、若者を業務に従事させつつ職務上の教育も行う制度。そこでは師匠と弟子の関係が濃密です。

もともと職人系や囲碁将棋の世界でよく見られる制度ですが、日本の場合はサラリーマンの世界でも見られます。

海外勢に比べてジャンルが多様

日本の漫画・アニメはジャンルがかなり多様です。

海外産の漫画はアクション系が多いため、日本の多様なジャンルは優位性を築けたといえます。

ギャグ系の漫画・アニメも充実しているのは近世の落語や洒落本などが源流にあるのかも。日本は戦前から喜劇も盛んでしたし。

下の箇条書きのカッコ内は私が思うそのジャンルの代表作。『新世紀エヴァンゲリオン』『風の谷のナウシカ』『ドラえもん』は名作ですが、内容が壮大すぎてジャンルがわかりませぬ。

私のお気に入りである『タッチ』なんかも恋愛・野球・学園の総合漫画という感じです。

  • 哲学(火の鳥 未来編)絶対読むべき
  • 歴史(三国志)
  • 戦争(はだしのゲン)
  • バトル(ドラゴンボール)
  • 冒険(未来少年コナン)
  • ファンタジー(進撃の巨人)
  • 恋愛(NANA)
  • ラブコメ(めぞん一刻)
  • ホラー(漂流教室)
  • ミステリー(名探偵コナン)
  • SF(AKIRA)
  • 宇宙(銀河鉄道999)
  • ロボット(機動戦士ガンダム)
  • 各種スポーツ(SLAM DUNK)
  • 自動車(新世紀GPXサイバーフォーミュラ)
  • 演劇(ガラスの仮面)
  • 音楽(のだめカンタービレ)
  • 医療(ブラック・ジャック)
  • 動物(ジャングル大帝)
  • 受験(ドラゴン桜)
  • 料理(美味しんぼ)
  • 子育て(赤ちゃんと僕)
  • 家族(クレヨンしんちゃん)アニメは子ども向け、漫画は大人向け
  • 不良(ろくでなしBLUES)
  • 囲碁(ヒカルの碁)
  • 麻雀(アカギ 〜闇に降り立った天才〜)
  • サラリーマン(課長島耕作)
  • 警察(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
  • 忍者(NARUTO)
  • 海賊(ONE PIECE)
  • 泥棒(ルパン三世カリオストロの城)
  • ギャグ(世紀末リーダー伝たけし)
  • 釣り(つり吉三平)
  • ギャンブル(賭博黙示録カイジ)

たとえば、スポーツジャンルはセパタクローやカバディなど日本ではマイナースポーツに位置づけられる競技まで漫画化されています。

ここまで多様な理由の一つは「オレは漫画家になったけど他人の人生を描いてみたい」「オレは普通のサラリーマンになったけど他人の人生を感じてみたい」というように、日本人は他人の人生に強い興味があるからだと思います。

日本社会は一定の年齢に達するとキャリアの変更が難しいため、日本人は他人の人生に強い興味があるのかも。

日本人はコスプレやRPG(ロールプレイングゲーム)が好きなのもそれと合致しています。

ストーリーや絵柄がパクリだと叩かれるから多様化した


日本の漫画・アニメの絵柄やストーリーが豊富な理由の一つにパクリ批判を恐れることがあります。

というのも、ある漫画家が人気作品と似たような絵柄やストーリーにすると掲示板やSNSでは「あれはパクリ」だと批判されやすいです。

イラストのトレース疑惑とかも「こんなのよく発見したなw」という感じでまとめられて徹底的に叩かれます。まるで第三者によって無料で校正されているかのよう。

普段はおとなしいのにネット掲示板だとすごく攻撃的になって作品にケチをつけまくる日本人は珍しくありませんからね。

今は下火になりましたが、昔はアニメ専門誌での議論が活発でした。

そうなると漫画家や編集者としては他の作品と似ることを避けるのです。これによって日本の漫画・アニメは多様化しました。

同じアニメ作品でもアニオタは「〇〇監督の作画がいい」という具合で好みが細かい(とくにセル画時代)。
漫☆画太郎、福本伸行、古谷実、澤井啓夫、徳弘正也、蛭子能収みたいな絵柄・作風は世界的に見ても結構異質だよなww

実世界の問題を取り入れて大人もうならせる

日本の漫画には現実世界に通じる問題がよく取り入れられています。かなり重いテーマですが、下にあげた名作は見事な表現でした。

  • 『風の谷のナウシカ』における国家対立と、人間と自然の共生
  • 『紅の豚』で「友の命を奪った戦争はもうしたくない、人を殺したくない」と考えてブタになった男
  • 『ドラゴンボール』におけるフリーザはとんでもない悪党だが、それを討つサイヤ人もまたかなりの悪党(悟空は善だが、サイヤ人による地上げは鬼畜)
  • 『ロミオの青い空』における人身売買と児童労働
  • 『小公女セーラ』における女のいじめ
  • 『新世紀エヴァンゲリオン』における人造人間とパイロットの自我
  • 『るろうに剣心』における幕末の人斬りの贖罪
  • 『ドラえもん』における未来の便利な機械を使いこなせないのび太
  • 『幽遊白書』で老いを拒んだ戸愚呂弟と受け入れた幻海
  • 『ダイの大冒険』での人間による異種族に対する強い差別
  • 『魔法騎士レイアース』で愛してはいけない男性を愛してしまったがゆえに世界を狂わせたお姫様
  • 『火の鳥:未来編』における人工知能が統治する未来世界
  • 悪役は絶対悪ではなく同情できる要素がある
巨神兵と火の七日間

巨神兵と火の七日間(映画で巨神兵が王蟲にプロトンビームを放って着弾し、少し間をおいてから爆発するのが好き)

『風の谷のナウシカ』のOPにおける壁画、『天空の城ラピュタ』におけるインドラの矢、エヴァンゲリオンという福音、『ふしぎの海のナディア』におけるバベルの塔、『ドラえもんのび太と雲の王国』におけるミュージカル『天国の誕生』などは宗教臭くて魅力的です。
アトランティス大陸やバミューダトライアングルみたいな伝説も日本の漫画・アニメにはたまに出てくる。

昔のディズニーアニメはミッキーやドナルドが面白く動いて子どもだけを楽しませればいいという感じでしたが、日本の人気作品は大人をうならせるだけの奥深さがあります。

とくに『るろうに剣心』の志々雄や『ブラックジャック』のキリコなどは悪役ではありますが、絶対悪ではなく同情できる要素もあるなど敵ながら魅力的なキャラになっています。

以上に関してあるフランス人は「日本の漫画・アニメには深い哲学があるから面白い」と言っていました。哲学好きで有名なフランス人らしいセリフです。

絶対悪として有名なキャラは『ドラゴンボール』のフリーザくらいか。
逆に正義側のキャラにも落ち度はある。ナウシカなんてカワイイように見えて人を大量に殺している。

そのため、日本の漫画やアニメは海外の大学では研究対象になっていたりします。

人気アニメは声も一級品

次にアニメの声について。

日本人の人気声優は海外でも人気があります。

個人的には好きなのは以下のとおり。

野沢雅子、杉山佳寿子、田中真弓、島本須美、久川綾、小原乃梨子、林原めぐみ、三石琴乃、皆口裕子、日高のり子、横山智佐、冨永みーな、藤田淑子、麻生美代子、高乃麗、大谷育江、緒方恵美、富沢美智恵、鶴ひろみ、高山みなみ、神谷明、小林清志、内海賢二、鈴置洋孝、納谷悟朗、山田康雄、宮内幸平、田の中勇、青野武、永井一郎、塩沢兼人、井上和彦、玄田哲章、古川登志夫、速水奨、三ツ矢雄二、山口勝平、堀川りょう、田中秀幸、千葉繁、池田秀一、草尾毅、難波圭一、江原正士、古谷徹、八奈見乗児、島田敏(敬称略、故人含む)。

この一因としては、日本語は有声音ばかりで発音するため声に個性があるということが挙げられます。

有声音とは声帯を震わせて出す声のこと。これとは対照的なのが無声音で、声帯を震わさず空気として発声します。

無声音はおもに空気を使った音だけに声質は没個性的ですが、有声音は声帯を使うだけに個性的です。

そのうえ無声音よりも有声音のほうが子どもっぽい声を出しやすいですし、日本のアニメの主人公は若者が多いですからね。

日本のアニメを英語に吹き替えたバージョンを聴くとがっかりしやすいのは、英語は無声音が多いことに起因します。

日本の名作アニメは、ストーリー、キャラ、声、音楽が渾然一体となった芸術作品に仕上がっている。
『風の谷のナウシカ』はそんな感じだね。宮崎駿、島本須美、久石譲ってスゴイ。

同じ作品について漫画とアニメで2度楽しむ

たとえばドラゴンボールで孫悟空がスーパーサイヤ人3になるシーンは原作漫画だと割とあっさりしています。

しかし、そのアニメ版はかなりこだわった演出がなされています。

孫悟空が荘厳なBGMとともに宇宙空間の中で大猿を経て赤子に戻り一気にスーパーサイヤ人3に変身する姿が実にカッコイイのです。

視聴者は原作漫画をすでに読んでいたとしてもこのアニメシーンには感動したはず。

ほかの作品でも漫画とアニメでそれぞれ楽しめるパターンは多いです。

日本人はさまざまな国柄を出すことができる

さらに日本の人気アニメやゲームは流れる音楽も完成度が高く、それは見る者を魅了します。

そういった音楽の多くはお国柄が強く出ていません。

たとえばインドの実写映画の音楽はどれもインド感が強いですが、日本人がつくったアニメ音楽は一部を除いて日本風にこだわっていません。

音楽について下手に日本風ばかりを押し出してしまっては世界中で人気にならなかったと思います。

たとえば『エヴァンゲリオン』は舞台が日本の都市(とくに箱根)ですが、流れる音楽は未来的なBGMか、西欧クラシック曲の壮大なアレンジという感じで音楽はお国柄が出ていません。

  • 『風の谷のナウシカ』は中央アジア風
  • 『魔女の宅急便』は西欧風
  • 『らんま1/2』の音楽やキャラは中国風
  • 『もののけ姫』は日本風
  • ゲームのドラクエシリーズは西欧風
ストーリーやキャラの顔は日本人がつくるからといって和風とは限らないんだよな。日本人は欧米風や中東風、中国風もつくれる。
さまざまな国柄が混じった、国柄が特定できない作品も多いよ。
アメリカ人がつくった実写版映画『ドラゴンボール・エボリューション』はひどかったなw

アニソンによって本編前の時点でテンションを高める

日本のアニメにはいわゆるアニソンが付き物。

名作アニメには神がかったアニソンがバックにあるといってもいいでしょう。

優れたアニソンを聴くと、本編を見る前の時点でテンションが高まります。

テンションが高まった状態でアニメ本編を見るとアニメ本編の評価も高まるというもの。アニソンは興奮作用のある薬みたいものなんです。

ドラクエをやる前に序曲を聴くとテンションが上がるのも似たようなモノ。

なかでも外国人のお気に入りは以下のとおり。

  • CHA-LA HEAD-CHA-LA(ドラゴンボールZ)
  • DAN DAN 心魅かれてく(ドラゴンボールGT)
  • ペガサス幻想(聖闘士星矢)
  • ソルジャードリーム(聖闘士星矢)
  • 残酷な天使のテーゼ(新世紀エヴァンゲリオン)
  • ムーンライト伝説(美少女戦士セーラームーン)
  • ゆずれない願い(魔法騎士レイアース)

海外では作中のBGMでさえもオーケストラによって演奏されているのも珍しくありません。

やはり1990年代は強いな。

ちなみにゲーム音楽の作曲家の場合、任天堂ゲームの近藤浩治、ファイナルファンタジーの植松伸夫、クロノトリガーの光田康典は世界的に有名ですし高く評価されています(敬称略)。まったく素晴らしい才能です。

まとめ

現代の日本では身近なところに漫画やアニメがあふれています。

具体的には、個人経営のラーメン屋や床屋の古びた漫画、図書館、児童館、レストランやコンビニでのタイアップ商品、新聞の4コマ漫画、駅の発車メロディ、痛車、鉄道のラッピング車両など。

今の若い世代はそういった環境で生まれ育ってきました。

しかし、現代のクリエイターにとっては過去作品がそれだけ充実していると新たな驚きがある作品をつくりにくくなります。

現代のクリエイターはそれだけ難しい勝負を強いられていますが、過去作品が充実しているとインスピレーションも豊富になります。

そのため、これからも素晴らしい作品が出てくることを期待します。

ちなみに優れた漫画・アニメをつくる才能・努力は日本が世界一だと思いますが、アニメを介した金儲けはアメリカのディズニーに到底かなわない感じがします。

日本のアニメはとても厳しい労働環境でつくられてきた金銭面で割に合わない産物ともいえるからです。成功した漫画家個人の収入は大きいですが、漫画家は重労働ですし、アニメーターの経済状態はかなり厳しいでしょう。

官民ファンドであるクールジャパン機構だって失敗続きです。

一方、アメリカのディズニーは時価総額にしてトヨタ自動車に匹敵するほどの規模があります(2020年水準)。エンタメ分野の一企業がトヨタ自動車並みの時価総額ってものすごいことなんですよ。

ディズニーの著作権への厳しさは有名だよな。
それはお金に厳しいともいえるね。任天堂の法務部も強くて有名。

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