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株式投資

アメリカ経済はなぜ強いのか【大国として先行できた理由】

2020年11月23日

アメリカはだれもが認める経済大国です。

日本もかつては経済大国といわれていましたが、今では斜陽感があります。

そこで今回はアメリカが経済大国である理由について日本との比較も少し出しながら解説していきます。

アメリカ経済はなぜ強いのか【大国として先行した理由】

アメリカが経済大国として君臨する以下のとおり。

地理、歴史、思想、人材、資源、制度など多岐にわたる理由が折り重なっています。

  • 先発優位性にめぐまれた
  • 国土が大戦の戦場にならなかった
  • アメリカは西欧からの移民にとって望ましい地理的条件だった
  • 農業大国でもあるように平地面積が広い(経済力はもちろん、国土も軍事力も図体も態度も自動車も冷蔵庫も料理もデカい)
  • 人口密度が低くて監視されにくいから金持ちが住みたがる(日本で有名人は何かと目立つが…)
  • アメリカ本土の気候はおもに温帯~亜寒帯であるように人間にとって暮らしやすいし、農作物の生育にも適している
  • 貴族制の伝統がなく大衆型の文化が強い
  • 国民が多様性に富んでおり、アメリカ企業は多様性に対応した製品をつくる
  • 普遍的に通用するという思想が強い
  • キリスト教系の寄付文化やサンタクロース文化(あしながおじさん文化)には魅力がある
  • 英語はビジネスやプログラミングに有利
  • ぶっ飛んだ個人(リーダー)が引っ張る
  • 企業行動がドライ
  • もともと移民の国であり、世界中から有能な人材と多額のお金が集まって自由に競争する(すごいのはアメリカ人だけではない)(お金も有能な人間もお金のあるところに集まる)(物価や賃金も上がりやすい環境になる)
  • 物価、株価の水準は長期的に上昇基調(生活コストは高いが、賃金や株価も上がりそうだという期待も大きい)
  • 賃金は高いが、好業績の企業でさえも解雇されやすいなど人材の流動性が強い(日本の正社員はその逆傾向)
  • 人口は緩やかに増加(中国やインドのような急速な増減ではない)
  • 消費意欲が強い
  • エンタメ感が強い(たとえば大手の職場や球場は明るく楽しさがあふれているが、日本のは根性主義が強い)
  • 雇用の流動性が活きている(活発な転職人材とともに新しい知識や気風も外部から入ってくる)
  • 年齢差別は一応禁止
  • 白人や黒人は体力があるから長時間労働をやってもタフ
  • 行政関連の利権が弱い(現代ではITや半導体など時代ごとに付加価値が高い産業に経済の中心をシフトしてきた)
  • キャリアはジョブ型雇用といって自分の専門性をもとに形成(日本は総合職という何でも屋的な職種が中心だから能力も成果も出しにくい)
  • 社会保障が弱いから自分で資産を形成することに熱心
  • 軍事大国でもあり最先端の技術は軍事研究から出てくることも多い
  • 強い軍事力と諸国からの集まったお金によって攻撃されにくい環境を確立

ここから先は以上の箇条書きを紐解いていきます。

ちなみにアメリカといえば「自由」のイメージですが、自由の度合いが大きいのはビジネス面であって、乳幼児~高校生までの教育、酒、宗教、音楽に関しては不自由が多かったりします。

西欧の自滅を活かして先発優位性を確立

まずはアメリカの地理および歴史について。

そもそもビジネスにおいて他者(他社・他国)に先駆けて発展した主体は、自分たちに都合のいい規格や市場をつくるなどしてビジネスを有利に展開することができます。これを先発優位性といいます。

で、それを国単位で見ると19世紀の先行者は経済大国イギリス(大英帝国)でした。

しかし、1910年代には第一次世界大戦が起きたために西欧は大きく疲弊してしまいました。

西欧はそれまで世界経済をリードしていたのですが、大戦によって自滅したような形になってしまったのです。

※第一次世界大戦は「世界」とはいうものの欧州中心の大戦です。

※中世では西欧よりも中国や中東が発展していました。

一方、アメリカは第一次世界大戦の戦場とならなかったため国土は荒廃しませんでした。アメリカが戦場になったのは1860年代の内戦である南北戦争くらいのものです。

1910年代のアメリカは第一次世界大戦に合わせて軍需品を輸出するなどして大きな利益をあげました。

1920年代のアメリカはヨーロッパに代わって世界経済の中心地となりました。この時代のアメリカは「黄金時代」と呼ばれるほど繁栄しました。

1920年代末からはアメリカを中心に世界恐慌(大不況)に襲われますが、アメリカは第二次世界大戦の戦場にもならなかったため国土が荒廃しませんでした。

これが現代の経済大国アメリカの歴史的な基礎となっています。

西欧の移民にとってアメリカは望ましい環境だった

もともとアメリカの国土にはネイティブアメリカンが住んでいましたが、その数は少なく大航海時代以降は移民(とくに西欧からの入植者)が相次ぎました。

現代のアメリカで活躍するアメリカ人の源流をたどると移民ばかりです。

たとえば西欧が戦場になった場合に昔の西欧人は「アフリカや中東は未開感が強いし、アジアは遠いうえに言語や文化も違う」と考えてアメリカに移住したパターンは多かったでしょう。

アメリカの国土の中でも最も発展し、なおかつ人口が多い都市はニューヨーク(北東部の東海岸)であるのは、西欧からの移民にとって便利な街だったからでもあります。

アメリカは東部から発展した国であり西部開拓は後回しになりました。

ついでにいうとアメリカの超一流大学は北東部に集中しています。

映画でも有名なタイタニック号は20世紀初頭においてイギリス(サウサンプトン)とアメリカ(ニューヨーク)をつなぐはずだった豪華客船。

タイタニック号をはじめとして西欧からの移民はアメリカに対する夢や野心が大きかったはずです。

一方、日本は国土が狭いだけに移民を多く入れるには適していない。
移民が少ないためか、治安はいいけどね。
日本は治安はいいけど、天災のリスクがかなり大きいんだよな。

アメリカ経済の強み:大衆型の経済で時代をリードした

アメリカは移民がとても多い国です。

しかし、西欧からの移民が多かったといってもアメリカに王制や貴族制は持ち込まれませんでした。

そのため現代のアメリカ企業は大衆向け商品に強みをもっています。

王制や貴族制のある国は血筋やコネクションが重視されがちだけど、アメリカはそれがないからか実力主義が強い。

イギリスとスイスは伝統的に金融業が強く、それはアメリカにも受け継がれました。

さらにロスチャイルド家(金融に強い西欧の大財閥)はアメリカにも拡散したためか、現代のアメリカは金融業も強いです。

ヨーロッパ系の大企業といえばルイヴィトンやポルシェ、オメガなど高級ブランドに強みをもっている一方で、アメリカ系の企業は大衆向け商品に強い企業ばかりです。

ヨーロッパにも大衆向けの企業はたくさんありますし、アメリカにも高級志向の企業はあります。あくまで強みの問題。

アメリカの大衆向け商品の企業はたとえば、フォード、マクドナルド、ペプシコ、マイクロソフト、アップル、ウォルマート、ディズニー、アマゾン、ナイキ、グーグル、アメリカンエキスプレスなど。

1920年代のアメリカではT型フォードというフォードの自動車が爆発的に売れ、それは自動車中心の大衆社会を形成しました。

現代の日本でもよく見られる幹線道路沿いに大型店を並べるという都市構造はアメリカが生み出したようなものです。

高級ブランドは単価および利益は高いですが売上点数は少ないものです。この点、大衆向け商品は単価および利益は低いですが売上点数は多いです。

18~19世紀の産業革命以降は人口が爆発的に増え、先進国は大衆社会となりましたから大衆向け商品を大量に供給できたアメリカ企業が世界経済の構造で優位に立ちました。

マイクロソフト、グーグル、アマゾンなんかは「独占」と呼べるほどに制圧してしまったために独占禁止法に反しているという説もある。

普遍的に通用するという思想

次は思想面について。アメリカは多様な人々がいる国ですが、その思想の基本はキリスト教と英語です。

で、キリスト教は西欧の宣教師が交通の不便な中近世に日本をわざわざ訪れたように布教に熱心な宗教でもあります。

この背景には「キリスト教は普遍的に通用する」という思想があります。

同じように英語を母語として話す人は「英語は普遍的に通用する言語だから、日本人だって英語くらい話せるようになれ」みたいなことを思っています。

要するにアメリカ人は「自分たちの思想は普遍的に通用する」と考えているわけです。そのため、アメリカ企業がつくる商品・サービスも「普遍的に通用する」が基礎にあります。

それに世界中に英語の使用者は母語話者以外にもあふれていますから、英語圏発の事業は市場規模の面でも明らかに有利です。

実際、マクドナルド、コカコーラ、マイクロソフト、アップル、アマゾン、ディズニー、インテルといったアメリカ企業の商品・サービスは世界中に普及しました。

あなたの身の周りも、グーグルのような無形サービスも含めるとアメリカ企業系の商品であふれているのでは?

日本企業の商品は世界に通用するか

なお日本企業の自動車やゲーム機は世界市場でも強いですが、家電やITソフトは世界市場では弱いです。

日本の家電製品は規格がガラパゴス化していたり無駄に機能が多かったりデザイン性に欠けるため、現代では売れ行きが今ひとつ。

日本人は自分たちの言語や文化は「特殊」と思っているから普遍的に通用する商品をつくれないのかも。
日本製の自動車は耐久性と燃費とコンパクト感によって世界中で売れたという感じだね。
日本車のデザインがよかったらもっと売れたのに。

アメリカは諸国の人材とお金を惹きつける

次は人材面について。アメリカの人材戦略が全体的にすごいのはアメリカで生まれ育った人以外の人も惹きつける圧倒的なパワーにあります。

その典型は世界中の優秀な人材はアメリカの大学(とくに一流大学)に入りたがること。

アメリカはアメリカ人向けの初等~中等教育のレベルが低いとしても、高等教育が魅力的である限りは人材に困らないのです。

これは日本は初等~中等教育の学力水準は高い一方で、高等教育の水準が低いのとは対照的です。

ビジネスや学問に限らずプロ野球やテニスといったスポーツでも「アメリカでレベルを上げたい」「アメリカで自分の力を試したい」「アメリカで大きな報酬を得たい」と考える人は世界中にたくさんいます。

野球の大谷選手、バスケの八村選手、アメリカが練習拠点のテニスの錦織選手などはその典型。

なんかアメリカには↓のような雰囲気があるんですよね…。

「バスケットの国アメリカの──その空気を吸うだけで僕は高く跳べると思っていたのかなぁ…」

引用:井上雄彦『SLAM DUNK』22巻 21ページ 1994年 集英社

アメリカのメジャーリーグは各国の野球エリートばかりで構成されている。
ビジネスもそれと同じで有能な人はアメリカの有望な企業を目指すよな…。起業も盛んだし。
それだけ有能な人が多く集まって自由に競争すれば生み出す富も大きくなる。

日本の義務教育課程では技能教科(体育、音楽、美術、技術家庭科など)が苦手な人も最低限は教わりますし、筆記試験や技能試験もあります。つまり、平均的な底上げをめざす半強制的な育成システム。

しかし、アメリカの義務教育では技能教科をあまり教えませんし、部活動の締め付けも弱いです。こういった技能分野は、やる気とお金のある人が放課後に私的なスクールで自主的に試す分野という感じです。

ちなみに報道番組は、日本ではわからない人にも嚙み砕いて解説する感じですが、アメリカは専門家が専門的に解説する色彩が強いです。

このようにアメリカの大学・スポーツ・企業に人気があるのは、

  • 優秀な人材、成果を出した人に対する報酬が大きい(優秀な学生は学費が無料どころか、むしろ報酬が支払われる)
  • 世界中からレベルの高い人が集まっているから自分のレベルも上がる
  • 名門大学は寄付金と奨学金がかなり多く設備も充実している(学費は超高いけど有能な学生には魅力的)
  • 出る杭を伸ばす気風がある(12歳で名門大学に入学した例もある)
  • 自由とアメリカンドリームに憧れる

といった理由があるから。アメリカで人気のスポーツの監督は、大学生のようなアマチュアでも年俸が100万ドル以上に達します。

アメリカは有能な人が上をめざしたり大きく稼ぐには優れた国だといえます(それ以外の人にとって住みよいかは?ですが)。

お金持ちが住む環境としても狭い日本より広いアメリカの方が快適でしょう。

まあ頭脳が流出した国にとっては大きな損失ですが。

日本の企業や大学はアメリカに比べると研究費が少ないし優秀な人材に対する報酬もよくない。
アメリカの大学は報酬が高いため世界中から有能な人材がくるからノーベル賞も多い。

日本のVC(ベンチャーキャピタル)の投資規模は米国の1/50~1/100くらい。日本にも優れた起業家はいますが、支援環境がアメリカほど整っていません。

とくにアメリカはエンジェル投資家(ベンチャー企業に対する投資家)が充実しています。

しかし、アメリカにおける起業家の資金調達競争はすごくハイレベルで英語が必須であるため、むしろ日本のほうが起業して資金を獲得しやすいという意見もあります。

日本の優秀な若者は医師、法曹、官僚、内外の大企業などにすすみやすいのであってリスクを取りたがりませんし…。

日本はシェアの奪い合いが強いが、アメリカはパイ自体を大きくできる

たとえば日本でプロ野球のチーム数を増やそうとすると、既得権側の球団は「新参者が現れるとオレたちの取り分が減るから新参者には反対」みたいな態度をとりやすいです。

これは日本の既得権球団の経営陣にとっては合理的ですが、ファンにとってはよくない面もあるでしょう。

つまり、日本経済は奪い合いの構造になりやすいため、既得権者が新参者を拒みやすいのです。

日本人や日本企業は新規発明より改善のほうが得意なんていわれるのも、そういう激しいシェア争いの中で他社と差別化しようとする精神から来ているのかもしれません。

一方、アメリカのようなお金も人材も大きく集まってくる国だと「新参者でも経営が成り立つチームならいいと思う。新参者も加わることで球界を盛り上げてほしい」みたいな感じで全体的に拡大路線に向かいやすいです。

奪い合いっぽいところもありますが、ファンにとってはアメリカ型のほうが望ましいでしょう。

こういうのはスポーツだけでなく、さまざまなビジネスに通用します。

まあ経済条件だけでなく地理条件の差から言っても仕方ないことではありますけどね。

日本のJリーグは例外的に拡大路線で来たけど、人口の割にチーム数を増やしすぎた感もあるなぁ。

アメリカの競争はインチキっぽいところもある

アメリカは基本的に競争社会ですが大学入試は明らかに歪んでいます。

たとえば東京大学に入学するには、一部の推薦枠をのぞくと筆記試験で一定得点をとるしかありません。筆記試験だけの判定なら公平です。

しかし、アメリカの一流大学は筆記試験だけで合否判定すると日本、韓国、中国、インド出身者の比率が高まってしまうため、筆記試験以外の要素も含めて判定する人種ごとに入学者が操作されています。

こういう競争社会に似つかわしくない人種差別的な歪みは強く批判されるべきでしょう。

野球の松井さんは日本に帰ってくるのか

EUはアメリカのグリーンカード(永住権)に対抗してブルーカード(労働ビザ)を発行して高い技能をもつ外国人を獲得しようとしている。
青色ダイオードの中村修二さんはアメリカ人になったけど、野球の松井秀喜さんやバスケの八村塁さんはいずれ日本に帰ってくるのかな?
松井さんやイチローさんが日本にいたらスーパーで買い物しているだけでも騒がれるけどアメリカなら騒がれないから居心地がいいのかも。

アメリカ人は貯金をあまりしない(消費や投資が多い)というデータもありますが、これは強さでも弱さでもあります。

企業としては消費額が多いのはうれしいでしょうが、借金で首がまわらなくなるとリーマンショックのように企業も個人も連鎖的に破綻するからです。

ぶっ飛んだ個人が重要な時代

次は雇用と個人のリーダー性について。

そもそも1990年頃までは先進国の製造業は自国に生産拠点を置いていました。先進国の中心産業が製造業だった時代では日本の厳しい解雇規制はうまく機能していました。

そこでは年功序列型賃金と終身雇用という長期的関係がよい意味での忠誠心やモチベーションとなっていたからです。

また、日本の教育は製造業の現場で役立つ画一的な人材を供給できていました。

しかし、ソ連崩壊や中国の開放政策によって先進国の工場は賃金の安い途上国に移転しました。そのため現代の先進国では企業の本社機能やIT産業の重要性が増しました。

こういった時代・産業では、経営者やプログラマーなど一部のリーダー的な個人の資質(専門性)がとても重要です。

経営者は以前よりも素早くて的確な経営判断をもとめられますし、プログラマーはITによって事業各所の改善を担うからです。

プログラミング言語は英語に似ているため英語話者は有利。

プログラマー出身の有能な経営者も数多く見られます。それは過去の例も含めると、ビル・ゲイツ(マイクロソフト)、ラリー・ペイジ(グーグル)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック)、ジェフ・ベゾス(アマゾン)など。

企業行動がドライ:日本の組織は湿っぽい

  • コネ人材、自爆営業が多い、ゼロリスク志向、高齢者のITアレルギー、赤字事業の撤退の遅さ、行政系利権の強さ、マスコミの忖度、ゾンビ企業、8次請けみたいな多重下請け
  • Winny事件で天才プログラマーと次世代のビッグビジネスをつぶした(包丁による殺人事件が起きたら包丁をつくった職人も悪いみたいな理論)
  • (組織力、勤勉さ、忍耐力、おもてなしの心では世界トップクラス)

以上は日本企業によく見られる行動です。そこにはよくも悪くも強い共同体意識があり、ビジネスマン個人としての自己主張の強さは平均的には欧米人よりも弱いです。日本は民族の同質性が高いから人間関係に強く配慮するのかもしれません。

しかし、アメリカは多民族国家であり解雇規制が緩い転職社会ですから企業は黒字段階でも大量に解雇することがあります。

社長については出身国にはとくにこだわらず、能力を重視して決める感じです(近年はインド系が目立つのは、英語ができるうえに自己主張が強くて楽観的という点がプラスに作用)。

さらに欧米の金融機関は「儲かる」と見なしたら空売りを徹底的に仕掛けてきます。株主の企業価値向上への要求も強いです。

そこには温情などなく、とにかく合理的に利益を追求してきます。

アメリカ大企業は新規事業への投資も1兆円単位で行うなど経営のメリハリが日本人から見るとかなり鋭いです。

日本企業で正社員の解雇は最終手段に近い位置づけだよ。

※外資系企業がすべてドライというわけではなく、外資系の日本法人だとウェット(湿っぽい)という評判もよく聞きます。

※転職人材は転出先に新たな知識や気風も持ち込みます。日本の名門企業は生え抜き人材による守秘義務や内部統制を重視するのであって、そういう外的な気風を嫌う感じもしますが…。

※たとえば日本の住宅は3Dプリンタ製であっても建築基準法に合ったものでなければなりませんが、アメリカの3Dプリンタ製住宅は市場展開とともに改善していく感じです。こういう先端的な分野でのスピード感ある事業展開はアメリカは強いです。

キャリアは専門性重視

そのうえアメリカのキャリア体系は自分の専門性を磨き、それによって稼ぐことが根底にあります。こういう専門性重視の体系はIT産業と相性がいいです。

「私の専門性は大きな利益につながっているから、もし給与を上げてくれないのであれば退社する」みたいな交渉も行いやすいです。

解雇規制が緩いと人材をとりあえず試してみるということも盛んに行われやすい。
逆に日本みたいに解雇規制が厳しいと、非正規でない限り試しに雇用してみるということがしづらい。IT産業は試行錯誤が重要なのに。

さらにアメリカの大学は諸国の才能ある個人がこぞって入学したがるうえに、才能ある個人を伸ばそうとする気風があります。エリートの起業家精神も強いです。

要するにアメリカは企業や人材の新陳代謝が活発で、すぐれた個人が経済を引っ張る構造になっているのです。

一方、日本にも優れた人はいますが、日本社会の競争はアメリカほど多様な人材にもとづいた競争でありません。

高学歴の人材がこぞって医師や成熟した大企業ばかりをめざしていては、優れた企業や発明が生まれにくいです。

そのうえ日本のキャリア体系は「総合職」という言葉にも示されているように専門性が欠ける「なんでも屋」みたいな体系。

これは外資系企業の専門的な人材に意欲面でも負けやすいです。

たとえば営業は営業が得意な人に任せるべきであって、営業が苦手な人に営業を任せても大きな成果は期待しにくいでしょう。

アメリカのキャリア観は就が強いが、日本のキャリア観は就が強い感じだな。

※総合職は他部署や子会社などに欠員が生じたときに配置転換させやすいという特徴があります。日本は社員をクビにしにくい社会ですから、少なめの社員数と、そういう配置転換でしのいでいくのが基本。

※たとえばApple製品の英語圏向けCMを見ると、プレゼンターはApple製品について専門知識のあるApple幹部や技術者ばかり。

しかし、日本企業の端末CMを見ると美男美女のタレント(端末知識は素人)が多いです。日本企業はなんでも屋が多いようにCMまで素人感が強いといえます。

官僚が利権を保持しにくい構造と新陳代謝

最後はアメリカの政治について。

アメリカの政治の中でも経済大国ぶりと関連がありそうなのが、アメリカは大統領の交代とともに高級官僚(上級公務員)も入れ替わるということです。

その人数はなんと約4000人。こうも高級官僚が大きく入れ替わると日本のように省庁が利権を長く保持しにくい構造になります

省庁が長期にわたって利権を保持しにくいこともあって、アメリカでは企業の新陳代謝や新産業への移行が日本よりはなめらかです。

アメリカ国内の利権といえば銃利権ですが、これは全米ライフル協会や軍需企業の利権であって省庁の利権とは言いにくいです。

一方、日本ではゾンビ企業といって本来つぶれているはずの企業が政府の支援によって生き延びています。これは行政やグループ企業の手厚い支援が原因です。

日本は企業や産業の新陳代謝がアメリカほど活発ではないのです。

議員や官僚としても旧態依然の接待やコネを大切にするなど新しい(若い)人材や企業がアメリカほどには育っていません。

たとえばアメリカでは紙製の新聞が急速に廃れていきましたが、日本の新聞は不動産事業やテレビ局との結託があるため衰退速度は相対的に遅いです。

アメリカは三権(立法、行政、司法)のうち司法が強いことで有名。
日本社会は筆記試験重視の体系だから東大卒と官僚に権威がある。あとは大陸法の伝統も官僚重視の傾向とつながっている。

※日本で世界に通じる天才が育っている何人も業界といえば、漫画、アニメ、ゲーム、エンタメ音楽(ゲームやアニメの音楽)など政府から大きな支援がない業界のクリエイターです。たとえば、鳥山明、尾田栄一郎、高橋留美子、宮崎駿、庵野秀明、植松伸夫、近藤浩治、すぎやまこういち、光田康典、下村陽子、久石譲(敬称略)。

ほかの国でも偉大なクリエイター作品は政府の抑圧・保護下で生まれるのではなく、自由な環境から生まれているパターンが多いとみられます。

※たとえば中国ではAIチャットが中国共産党の欠点を堂々と指摘して中国共産党が怒ったため、中国で人類にとって望ましいAIチャットは発展しないでしょう。

アメリカは宗教目的以外では攻撃されにくい:最先端の技術は軍事から?

現代でアメリカの経済大国ぶりは確たるものになりました。

その証の一つとしてアメリカには世界中の資産が集まっています。

スイスにもいえますが、外国から資産(とくに富裕層のお金)が多く集まっている国は外国から攻撃されにくいです。

なぜなら、もしアメリカを攻撃したらアメリカの金融機関に預け入れられているお金やアメリカ企業に投資されているお金は台無しになってしまうから。

そのうえアメリカ軍は世界でも指折りの強さを誇りますから、アメリカを下手に攻撃したら強いしっぺ返しを受けます。

1940年代の日本はまさにそれをやらかしてしまったわけです。

現代で他国がアメリカ本土を本格的に攻撃するとしたら宗教目的のテロくらいでしょう。

それが如実に現れたのが2001年の同時多発テロなのでした。

※アメリカは世界中の人材とお金が集まるうえに天然資源にも恵まれていますから外交は「強気」が基本です。

同じく天然資源の埋蔵量が多いロシアも外交と軍事政策は強気です。

まあアメリカの原油消費量はアメリカでの産出量以上に多いため原油は輸入もしないとまかなえませんが。

※逆に日本は、原油、天然ガス、ベースメタル、レアメタルといった重要資源は大陸諸国からの輸入ばかりに頼っているため外交は弱腰になりがち。日本は水資源が豊富なのはいいんですけどね。

※GPSや携帯電話など最先端の技術は軍事研究が元になっていることも多いです。アメリカは軍事力が強く軍事研究も盛んですから最先端の技術が生まれやすいのでしょう。

まとめ

アメリカ経済の強さがご理解いただけたかと思います。

では、経済が停滞している日本はそれを見習うべきかといえば単純にそうはいえない面もあります。

日本とアメリカでは言語や地理的な条件が大きく違いますから、単純にアメリカをマネすればいいとは言い切れないのです。

まあマネをしたほうがいい面もありますけど。

個人的にアメリカをマネたほうがいい面だと思うのは年齢や学年に対する考え方。

日本人は「○○歳なら○○するのが当然」「○○歳で○○は恥ずかしい」みたいな価値観をよくもっていますが、そういう年齢にとらわれすぎる生き方は経済成長や個人的な幸福追求の足かせになっているような気がしてなりません。

横並びにこだわらずもっと大きな飛び級も認めていいでしょう。

あるいはたとえばニデック(日本電産)の永守氏は若いころ(まだ小さな町工場)、自社製品の提案について日本の大企業からは年齢や工場規模を理由に冷たく対応されましたが、アメリカ企業からは製品性能を認められて大量受注したという出来事がありました。

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