社会・教育

自然科学と人文科学と社会科学の違いを簡単に解説

2020年11月10日

大学教授と卒業生

このページでは自然科学と人文科学と社会科学の違いについてわかりやすく(簡単に)解説します。

こういった学問はどれも欧米が発祥の地です。

これを参考にすると大学の学部選びにも役立つはずです。

わかりやすく解説しますので見ていきましょう。

自然科学と人文科学と社会科学の違い

まずは自然科学の分野と意味について大まかに確認します。

自然科学の代表的な分野

  • 物理学
  • 工学
  • 化学
  • 生物学
  • 医学
  • 地学
  • 自然地理学

自然科学とは自然がつくり出したモノを研究する分野を意味します。

自然がつくり出したモノとは「人間がつくり出したモノではないモノ」と言い換えることもできます。

人間がつくり出したモノではないモノとは、物体運動、生命体、化学物質、地球、宇宙、気象など。

たとえばプラスチックは人間が人工的につくり出した化学物質ですが、その原料である石油は人間がつくり出したモノではありません。

そういった現象やモノは人間が絶滅したとしても存在し続けます。自然科学は人間が存在しないとしても通用する現象や法則をもとめるのです。

科学の基礎と応用

また医学や生物学の対象である生命および生体は、人間がゼロ(無)からつくり出して生命を吹き込めるモノではないので自然の範囲に入ります。

ただし、たとえば単に人体の仕組みを研究するだけなら学問としてありふれていますが、クローン人間のように人間が人間をつくり出す研究となると危険視されます。

車のパーツ取りのように臓器を都合よく提供するだけの人間が生み出されるなどクローン人間の人権は危ういからです。

自然についてありのままの仕組みや性質を探るような研究と、何か新しいモノを生み出す研究とでは重みが違うといえます。

ちなみに分類が難しいのは数学や情報学で、これは自然科学というより形式科学に入ります。

形式科学とは人間がつくった普遍的な記号や論理に沿って理論を展開する分野のこと。

人間がつくったという点は人文的ですが、普遍的に通用する理論という点は自然科学に近いといえます。

人文科学の意味

次は人文科学について。

人文科学の代表的な分野

  • 哲学
  • 文学
  • 言語学
  • 文化学
  • 歴史学
  • 心理学
  • 宗教学
  • 図書館学
  • 人文地理学

人文科学とは人間がつくり出したモノを研究する分野を意味します。

人間がつくり出したモノとは小説や美術品のような有形のモノだけでなく言語や哲学など無形のモノも含みます。

哲学とは人間や自然などについて根本的なところを理屈っぽく考えること。

宗教学の研究対象である神は、人間の思索がつくり出した産物だとすれば宗教学は人文科学の範囲に入ります。

社会科学の意味

次は社会科学について。

社会科学の代表的な分野

  • 法学
  • 政治学
  • 行政学
  • 経済学
  • 経営学(商学)
  • 社会学

社会科学とは、人間と人間の関係から生み出されたモノを研究する分野を意味します。

社会とは人間と人間の関係から生み出された領域のこと。
  • 法学人と人の強制的なルール(=法)の研究
  • 政治学人と人の権力関係の研究
  • 経済学人と人によるモノの交換や生産などの研究

たとえば人と人の間には強制的なルールがないと人間関係は上手くいかないため、社会には法が存在します。

ということは、もし世界に人間が一人しか人間が存在しなかったら法が存在する意味などないのです。

あるいは人と人が出会うと「オレの食料とあなたの毛皮を交換しないか」という発想が出てきます。これが経済学にいう物々交換。お金を利用した売買は物々交換の発展型です。

お金は他人と売買する際に使う記号みたいなモノですから、世界に人間が一人しかいなかったらお金に存在価値はありません。

その場合はお金を貯める価値もない。人間が一人しかいない世界では紙切れよりも食料の方がよっぽど価値がある。
人間が一人しかいなかったら国をつくる意味もないよね。国という概念自体が成立しないだろうし。
ちなみに経済学は文系・社会科学の一分野ではありますが、数学を多用し物理学の世界観が込められているなど理系っぽい分野でもあります。

真実に対する意識の違い

社会科学と自然科学の間で違うのは真実・真理の解明に対する姿勢です。

そもそも自然科学は自然について真理を解明することを究極目標とします。

しかし、社会科学においては真実の解明をめざすとは限らずバランスのよさをめざすことがあります。

その典型は、政府が父子間のDNA鑑定を義務付けないことです。

そもそも父親は、配偶者である母親が浮気した子どもを自分の子どもとしては育てたくないはずです。

しかし、政府がそれを助けるべく父子間のDNA鑑定を義務付けてしまうと、放っておけば平穏だったはずの親子の仲を切り裂き、それは大きなトラブルへとしてしまいます。

そのため政府が父子間のDNA鑑定を義務付けるのは無理があるのです。これは日本だけでなく世界中で通用します。

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中間地点としてのまとめ

ここまでの各分野の定義を簡単にまとめてみます。

  • 自然科学(理系)自然がつくり出したモノを研究する分野
  • 人文科学(文系)人間がつくり出したモノを研究する分野
  • 社会科学(文系)人間と人間の関係から生み出されたモノを研究する分野

ポイントは、各分野は人間の存在をどのように捉えているかです。

そこで各分野と人間の関係を示すと以下のようになります。

  • 自然科学(理系)人間が存在しないとしても通用する現象や法則をもとめる
  • 人文科学(文系)人文科学の所産である言語や文化は人間による使用や鑑賞などが重要であるため、人間が存在しないと学問自体に意味がなくなる
  • 社会科学(文系)社会科学の所産や事象は人間が複数存在しないと存在する意味がない※
※社会科学的な所産や事象とは、お金、法、権力など。これらは人間が2人以上いてこそ発生します(他人の存在が前提)。

自然科学と人文科学は世界に人間が1人しかいなくても研究する価値は一応あります。

それは今後の天気を研究するとか、自分が信じている神を研究するといった具合。

しかし、社会科学は人間が複数いないと研究する意味がありません。それは世界に人間が一人しかいないと、研究するだけの社会科学的な所産や事象が存在しないともいえます。

こういった想定は極端ですが、学問は極端な想定をすると本質が見えてくることがよくあるんですよ。

地理学には人文分野と自然分野がある

ここから先は補足的な情報について述べます。

まず地理学には自然地理学と人文地理学という二大系統があります。

自然地理学は地形や気象といった自然を研究します。

これに対しては人文地理学は人口や交通といった人工的な面を研究します。

これは結構わかりやすい違いです。

理系も文系を、文系も理系を学ぼう

それから、たとえば原子力および原子力発電を研究する分野としては物理学や工学の領域があてはまります。

しかし、原子力発電は経済コストも考えなければならない以上、原子力を研究している人が経済学を学ぶことには大きな意義があります。

理系も文系を、文系も理系を学んだ方がいいパターンは他にもたくさんありますので専門外の領域についても教養レベルで学んでみてはいかがでしょうか。

歴史学の範囲

最後は歴史学の特殊性について。

一般に歴史学は人文科学の一つに位置づけられやすいです。

しかし、歴史は人と人の関係からでき上がっているため社会科学の一つといえなくもありません。

実際、法学や経済学を細分化すると法制史学や経済史学という分野もあります。

一般に歴史学や考古学は人類が現れた時代以降を研究の対象とします。

それ以前の時代(人間のいない時代)の研究は地学や古生物学が主役という感じです。

前者は人文科学・社会科学系で、後者は自然科学系です。

まとめ

今回の自然科学と人文科学と社会科学の区分けは「それなりに妥当」という見解であって絶対的な正解ではありません。

数学、地理学、歴史学などは分類が難しいですし、他にも細かいツッコミどころはあります。

何か気になることがあったら、あなた自身でも開拓してみてください。

ちなみにアメリカの大学は学部4年間が教養的で、大学院が専門的な傾向があります。

日本でも教養学部や総合政策学部といった学部に進学すると学部4年間を教養的な内容で埋め尽くすこともできますよ。

筆者は総合政策学部の出身ですから。

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