社会・教育

芸能人が干される理由

2020年11月15日

テレビと歌手

芸能界において「干される」とは芸能人としての仕事がまわされないこと。

とくに芸能人がテレビへの露出を断たれるという意味で使われやすいです。

芸能人が干される理由

  1. 単純に人気がなくなったから
  2. 不祥事を起こしたから
  3. テレビ局に嫌われた
  4. 独立や転籍をめぐって事務所を怒らせた

芸能人が干される理由のうち1と2はすぐにわかるかと思います。

芸能人というのはファンからの人気が生命線ですから、大きな人気が得られないと昔は高い人気を誇ったとしても干されるのです。

ファンの好みは変わりますし、新人も次々と出てくるため人気を維持するのは並大抵のことではありません。

小さな劇場や地方営業ならまだ出られるチャンスはあるでしょうが、テレビへの出演は大きな人気がないと難しいでしょう。

さらに芸能人はイメージの良し悪しが人気を大きく左右するため、薬やひき逃げといった不祥事をやらかすと干されやすいといえます。

問題は3の「テレビ局に嫌われた」と4の「独立や転籍をめぐって事務所を怒らせた」です。これが複雑であり、なんとも日本的な理由でもあります。

それは日本の企業や学校の性質とも共通するものがあります。

どういうことかわかりやすく解説していまいります。

日本の芸能界のレベルの低さの原因までもわかりますよ。

芸能人が干されるのはなぜか【理由を解説】

突然ですが、今、あなたのスマホや音楽プレーヤーに入っている歌曲の中で、歌い手の歌唱力は低いのに売れた曲は入っていませんか。

ここで具体名はあげにくいですが、ジャニーズ事務所や女性アイドルグループAの中には上手い人もいれば下手な人もいます。

一般に歌曲というのは歌が上手い人の方が売れるはずですが、とくに日本ではそうとは限らないのです。

この原因として考えられる理由は次のとおり。

  • あまりにも作曲がよいと普通レベルの歌唱力でも売れる
  • 下手だと逆に味のある曲もある
  • テレビや映画に露出したときなど流行にのって売れた
  • 芸能事務所の売り方がうまかった
  • 歌曲の内容がよいから売れたのではなく、歌い手の人気によって売れた(芸能事務所がつくった人気↓)

そもそも人間はテレビでよく目にする人間に親近感をもちます。

これに関して芸能事務所が特定の芸能人をゴリ押しして売り込めば、その芸能人には大した資質がないとしても人気芸能人に仕立てることができます。

つまり、有力な芸能事務所は芸能人の人気を半ば強引につくり出すことができるのです。

有力な芸能事務所は所属タレントにとって都合の悪いことをもみ消して人気を保つこともできます(刑事事件レベルだともみ消せなかったりしますが)。

歌曲の内容が大してよくないのに売れた曲があるのはそのためです。

芸能界は単純に歌やトークが上手な人ほど活躍するとは限らない。コネ(世襲、有力者にかわいがられる)や運なども絡むから活躍するのが難しい。

芸能人はキャラを確立して売れっ子になるために自分からキャラをつくり出したり、事務所からキャラをつくるようにいわれます。

そのキャラが本当の自分と合っていないとメンタルが壊れたりします。

テレビ番組の視聴率は出演者に左右される

同じようなことはテレビのバラエティー番組にもいえます。

たとえば、ここ数年で定着したゲームに「人狼」があります。

この人狼ゲームをテレビで見る場合、知名度は低いけど上手な人達がやっているのを見るのと、知名度は高いけど技量は普通レベルの芸能人がやっているのとでは、あなたはどちらを見たいですか。

おそらく芸能人を見たがる人の方が圧倒的に多いはずです。

要するに、テレビの視聴率は出演者に大きく左右されるわけ。

そうなると、芸能事務所は「うちの人気タレントYのキャラクターや特技にあった企画を制作・放映してくれない?」とテレビ局にもちかけるようになります。

あるいはテレビ局から「人気タレントYを使いたい」と言われたら、芸能事務所は「Yを使わせてあげるから、うちが今売り出している若手であるZを使って」ともちかけたりします。

これがいわゆるバーター出演(抱き合わせ出演)と呼ばれる形式です。これによって実力がない人でも事務所の力によってはテレビに出演することができてしまうのです。

芸能界の中でもお笑い芸人は割と実力主義です。お笑い芸人は「面白いか、面白くないか」ばかりで判断されるから。お笑いのオーディションやコンテストの類いが多いのは実力主義の現れです。

お笑い芸人の子どもがお笑い芸人を世襲しても実力主義で旨味が少ないため、お笑い芸人の子どもはお笑い芸人になりにくいのです(お笑い芸人の子どもが俳優やモデルになるのはよくある)。

俳優の世襲だといきなり大きな役をもらえるのは旨味が大きいといえます。

売れっ子は事務所に恩義をもつ

自分に資質がないのに事務所のゴリ押しによって売れたと自覚しているタレントは、実力不足であるため親の七光りや先輩のコネに頼ったりします。

また売れないタレントは、話術、歌唱力、体型、演技力などを磨くべきですが、それよりもどうやったら事務所からゴリ押しされる存在になるのかを考たりします。

これも事務所の力が強いため。その究極系(気に入られるための策)が事務所やテレビ関係者に対する枕営業です。

つまり、芸能事務所内ではコネの強い人ばかりが勝ち残りやすいのです。

売れてきたタレントの側としても「自分に実力がなかった時代でも事務所が後押し(ゴリ押し・バーター出演)してくれたからテレビに出演できた。だから、事務所には感謝している」と思ったりもします。

テレビの企画や出演者といえばテレビ局ばかりが決めるイメージがあるかもしれませんが、事務所の力が左右している部分もかなりあるわけです。

ジャニーズ事務所の超人気グループが出演する番組には羽振りのよい大企業のスポンサーがつきやすいよ。
そうなるとテレビ局は彼らばかりを起用したがり、他事務所の男性アイドルに冷たくするわけか。他事務所と競合した方が質は上がるのに。
いわゆる忖度というやつ。これこそが芸能界・テレビ界でジャニーズ事務所が圧倒的に強いことの根源なんだけど、この先も安泰かな?

売れっ子だって所属先に反抗すると干される

しかしながら、たとえ売れる芸能人であってもデビュー当初から途中何のスランプもなく生涯ずっと売れ続ける人はほとんどいません。

そこで、芸能事務所は将来売れそうな人を育てたりスランプ期を支えたりします。

その中の一部が売れっ子になって事務所に大きな利益をもたらすわけです。

芸能事務所のマネージャーはそうやって目ぼしいタレントのスケジュールを細かく管理します。

こういう構造だと、芸能事務所としては「うちが手塩にかけて育てた売れっ子芸能人はよその事務所にとられたくない」「うちの次世代タレントの育成費は売れっ子が稼いでいる部分に頼っているから、とられたくない」と考えます。

売れっ子に独立されると芸能事務所は困るのです。

そのため、多くの芸能事務所やテレビ局はあらかじめ「独立した売れっ子はもう芸能界で使わないようにしよう」というルールをむすんでおきます。

このように、経済的な自由競争を妨げて私的に徒党を組むことを経済学ではカルテルといいます。

それでも売れっ子が所属事務所を独立したり移籍したりすると、芸能界全体はそれまでは売れっ子だったとしても容赦なく干すわけです。

こうなると、芸能界はひたすら同じ事務所に誠意を見せ続けるしかありません。

芸能人は他事務所への移籍はかなり難しいため、同じ事務所に居続けやすいです(=芸能人と芸能事務所の関係は長期的)。同じ事務所の芸能人の仲がよいのはこのため。

テレビ番組でいわゆる内輪ネタが多いのもそういった長期的関係が根本にあります。

しかし、内輪ネタがつまらないと感じる視聴者は日本でさえも結構いるように、日本での内輪ネタは海外では通用しません。

ちなみに日本の会社(上司と部下)、公立学校(クラスメイトと教師)、相撲の部屋(親方と弟子)なども長期的な関係にもとづきます。

こういう環境は人間関係がよくも悪くも濃いため、イジメも起きやすいです。

タレントの芽を摘む長期的関係

ここでちょっと考えてもらいたいのは、タレントは一つの事務所に所属し続けることが幸せなのかという点です。

もしタレントがよその芸能事務所に移って今までとは違うタイプの仕事を引き受ければ、新たな面を見れるとは思いませんか。

あるいは今の事務所とは違うタイプのマネージャーから指導されれば、そのタレントはもっと成長して今までよりも大きな視聴率を生めるかもしれないのにその機会が奪われているのです。

このような状態は業界全体の長期にとってはマイナスになっているといえます。

ちなみに現代の日本の芸能界は親近感が重視されていますが、20世紀の日本の芸能界は親近感よりも圧倒的なカリスマ性や容姿など重視されていました。

アメリカのタレントは個人主義

ちなみにアメリカの芸能界は自由が基調となっており、日本でいうマネージャーにあたる人はタレントの出演や報酬について交渉する短期的な契約関係になっています。

要するに、タレントの側が出演や交渉を有利にするためにマネージャーを雇っているという構図です。

タレント本人は、アメリカのビジネスマンが転職を繰り替えしながらキャリアアップさせるように、さまざまな下積み経験をしながら自分で自分の力を磨きます。

実際、アメリカの大物芸能人は若いころに苦労した経験をもつ人がかなり多いです。

アメリカの芸能事務所にしても映画やドラマごとにタレントと契約し、作品がヒットすれば事務所は大きな利益を得て、コケると大損害か倒産という形が多いです。

つまり、日本はタレント個人よりも所属組織の力・意向が優先されますが、アメリカではタレント個人の力の方が強いといえます。

日本のタレントは事務所にとってコントロールが可能な商品で、アメリカのタレントは自由な個人メディアといってもよいでしょう。

日本のタレントは売れない頃から特定の芸能事務所に所属し、その事務所が手塩に掛けるという感じでよくも悪くも事務所と協調するのですが、アメリカのタレントは個人主義なのです。

日本の芸能界はYouTubeから変わる

日本の芸能界の閉鎖的な体質には困ったものです。

しかし、インターネット動画のYouTubeではそれに抗うかのような動きが起きています。

というのもYouTubeの売れっ子の多くはUUUMという会社に所属していますが、こちらは旧来の芸能事務所のように閉鎖的ではない体質なのです。

やり手のYouTuberにしてもYouTubeというメディアや事務所から何か強制されるように動くのではなく、自主的に動いています(=個人主義的)。

最近では大物YouTuberが事務所を退所する例も多く見られます。

さらにYouTubeの動画はテレビよりも制作費は安いものの、よくも悪くも奇抜な企画をやりやすいものです。

こういった動きが日本のテレビ局や芸能界を変える可能性は結構あると思います。

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