情報格差とは、情報、とくにパソコンやインターネット情報を扱える人と扱えない人の間に関する格差のこと。
英語ではデジタル・ディバイド(digital divide)といいます。
昔は単に情報にアクセスできるかできないかを意味していましたが、現代では情報を使いこなせるかどうかも含んでいます。
その意味ではIT格差という感じで広くとらえた方がよいのかもしれません。
今回は情報格差について具体例と解決策を4パターン示していきます。。
情報格差とは?【具体例と解決策】
まずおさえていただきたいのは情報格差は次の4パターンあるということ。
- 知識の格差
- 操作能力の格差
- 思考力の格差
- 表現力の格差
どれも経済格差、すなわち就業や所得の格差につながりやすいところが問題点です。
場合によっては生命さえも左右することがあります。
また情報弱者、とくに高齢者は孤立しやすいところも問題点です。
知識の格差
知識の格差とは、情報を知っているか知らないかの差とお考えください。
これに関してはPCデポの事件が有名です。
2016年にPCデポというパソコン・スマホショップが高齢者に詐欺みたいな価格でサポート契約を結ばせていたのです。
そのサポート契約の内容はちょっと知識があればすぐにおかしいと気づくのですが、高齢者の中には知識がなく、さらに判断力が鈍くなった方もいますから契約してしまったのです。
この事件でPCデポは世間からひどく批判されました。
知識の格差の解決策:インフラの普及とマスコミの公正さ
知識の格差は人々が情報機器をもっていないことに起因します。
そのため政府は情報機器をもっていない人に普及させる政策を行うべき。現代ではテレビはもはや時代遅れでしょう。
とくに途上国では情報機器以前に電力やネット回線がまともに敷設されていないため、政府はインフラを強化する必要があります。
また情報機器やネット回線が手元にあったとしても、中国のように政府がマスコミを牛耳っていると政府に都合の悪い情報は報道されません。
実際、旧ソ連では殺人鬼の存在が秘密にされていたために殺人の規模が大きくなってしまったなんてことがあります。
情報が報道されないと生命さえも危うくなる場合があるわけです。
2020年においては小林化工という製薬会社が薬をつくる過程で誤って異物を混入させてしまったために回収を急ぎました。
この薬を服用している人にとっては早い段階で知らないと命取りになる情報だったといえます。
操作能力の格差
次に操作能力の格差とは検索エンジンや事務ソフト、電子メールなどを操作できるか否かの格差。
さきほど述べたように知識の格差を是正する政策の結果として情報機器や回線が普及したとしても、それを操作できないと意味がありません。
テレビを操作するのはとても簡単ですが、パソコンの操作はちょっとした慣れ・訓練が必要です。
こういった操作能力の可否は現役世代にとっても格差となります。
たとえば、転職面接においてMicrosoftのオフィスソフトを使うことができる人物とできない人物が一つの採用枠を競争する場合、できる人物の方が有利でしょう。
タッチタイピング(キーボードを見ずにキーボードを叩くこと)なんかも操作能力の一つです。
最近の若者の中にはスマホは使えるけどパソコンは使えないという人がいますが、パソコンの方が画面が広いうえに処理速度やタイピング速度も明らかに上です。
さらにパソコンではインターネットの閲覧ブラウザ(chromeやIEなど)とオフィスソフトとメモ帳を同時に起動させることができます。
そのため企業ではパソコンを使うのが当たり前になっています。
操作能力の格差の解決策:教育と試行錯誤が重要
パソコンでMicrosoftのオフィスソフトや電子メールを操作するのはそんなに難しくありません。
今あなたがそれらを使えないとしても、やる気をもってちょっと訓練すれば標準レベルには割とすぐに到達します。
したがって、操作能力の格差の解決においては学校の情報教育を充実させることがカギになります。
あるいは親類や友人から教えてもらうなんていう手もあります。
若い世代は高校や大学の授業で情報を学ぶ率も高いため慣れるのも早いようですが、高齢者の中にはパソコンにアレルギー反応を示す人が結構いるため、その方々を慣れさせるのは大変です。
Microsoftのオフィスソフトは値段がちょっと高いのが難点。
なおオフィスソフトの操作はちょっと間違えたとしても、バックアップをとっていれば大きな問題にならない場合は多いです。そのため試行錯誤を数多くこなすことが重要となります。
思考力の格差
Microsoftのオフィスソフトに入力すべき内容が単純な内容だったら、思考力はあまり使わず、ただ機械的に入力していけば大丈夫です。
しかし、情報の解釈となると思考力が必要です。
これは機械には務まりにくいですし、人間が思考力を身につけるには時間がかかります。
たとえばあなたのメールアドレスに「かならず100万円儲かります」というメールが届いたとします。
99.99%の人間はそんなメールは疑って迷惑メールフォルダに振り分けるでしょうが、まれにインチキメールを信じてしまう人もいます。
つまり、情報は単に集めるだけではダメで自分なりに噛み砕く必要があるのです。情報量が多すぎる現代では余計な情報はスルーした方がいいですし。
金融商品取引法においては「かならず儲かる」「100%儲かる」というような断定的な表現は禁止されています。
これを知っていれば文言を見た瞬間にアウトだと判定できます。
表現力の格差
あるいはTwitterで自社商品を宣伝する場合、下手に差別的な表現を使うと炎上して会社ごと嫌われてしまうなんてこともあります。
明らかに炎上要素がない場合は独断のツイートでいいとしても、攻めたツイートを行う場合、他の数人に見てもらうくらいの手間が必要です。
文章の巧拙は年収の格差に比例するとかいいますし。
情報格差とは思考力や表現力の格差でもあるわけです。

思考力と表現力の格差の解決策:読解系の教育が大切
迷惑メールの真偽の比率は圧倒的に偽の方が多いですから、正確な真偽は不明だとしても多くの人間は迷惑メールを無視するわけです。


しかし、世の中には真偽の判断が難しい情報もあります。というか「真偽」と聞くと一方は100%正しくて、もう一方はまるっきり間違っているという感じですが、現実にはもっと複雑です。
たとえば、株式投資においては儲かりそうな企業の株式を買うのが基本です。
ここで保有株の企業の決算において前期比で売上および営業利益が+5%アップしたという情報が公開されたとします。
+5%のアップは悪くありませんが、それでも今後株価は上がると確信できるほどでもありません。
株価が上下する原因は決算以外にもいろいろあるため、+5%というだけではなんともいえないのです。
こういう場合、決算をきちんと読み込んだうえでなんとなく確率が高そうな方を選ぶしかありません。
確率が高い方を選ぶには基本的な知識に加えて読解力や数学力が必要となります。
こういった読解力や数学力は小中高の課程で身につける割合が大きいですから、ここでも教育が重要だといえます。


ITは格差を縮める効果も一部にある
現代人はITに関して知識と操作能力と思考力と表現力を身につけないと苦しいものがあります。
それはITを身につけた人と身につけていない人との間に格差が生じることを意味します。
なお現代ではテレワークが発達しています。
そのため都市部の住民がブロードバンドがあるレベルの田舎へ移住してテレワークを行えば都市民と地方民の所得格差も縮まります。
ITは格差を縮める作用も一部にあるわけです。
IT系の起業は費用が少なめに抑えられることもあって中流層がIT分野で起業して大成功することもありますし。
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