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社会・教育

大人が社会勉強を進める際の基本

2021年2月10日

このページでは大人(社会人)が社会について勉強する際の基本を、社会科学の商業出版本の著者でもある私がわかりやすく示します。

もうすぐ社会人になりそうな高校生や大学生にも参考になりますよ。

大人が社会勉強を進める際の基本【やり直し学習】

  1. 学術系中高の社会科の教科書に載っていたような内容(歴史、地理、思想、堅い政治経済)
  2. 実利・生活系実用書によくある内容(株式投資、簿記、保険、税金対策、ビジネスなど)、借金、不動産、交通ルール、労働法

まず申し上げたいのが社会の勉強は学術系と実利・生活系の2つがあるということ。

あなたは中高の社会科の時間がつまらなかった記憶はありませんか。あれは社会科の内容が学術的だったのが原因の一つです。

学術的とは簡単に言うと、堅苦しい、大学入試や大学での勉強の前段階の内容、日常生活ですぐには役立ちにくい、といった特徴がある分野のこと。

たとえば世界史のフランス革命は文系の大学生ならみんな知っておくべき出来事ですが、フランス革命について知ったところで現代人の日常生活に直接的には役立ちにくいでしょう。

中高でつまらなかった内容を大人になってからやり直してみると意外と楽しかったりする。

実利・生活系の社会科

一方、実利・生活系とは実用書に書いてあって日常生活ですぐに役立つような内容のこと。

実用書の内容は金銭面でプラスになる内容が多いです。

実利・生活系の内容は大学ではあまり習わなかったりします。

大富豪の読書内容が示唆すること

これに関して興味深いのがアメリカの大富豪であるビル・ゲイツ氏は読書家であり学術系の本ばかりを読んでいるということ。

ビル・ゲイツ氏は経営の第一線からは退いているために実利・生活系の知識をもう身につける必要がないともいえますが、彼はなぜ学術系の本を読むのでしょうか。

おそらく、人間として厚みを出すためだと考えられます。

というのも人間はお金さえ持っていれば尊敬されるわけではなく教養や品性も必要です。

そのうえ実利・生活系はすぐに役立つがゆえに深く考えなかったりしますが、学術系の難しい本は深い思考力がないと噛み砕けません。

金持ちは深い思考力でもって資産を築いてきたため、学術系を通じて培われる思考力を大切にするのだと思います。

あなたとしても、教養のない富豪よりも知的な話ができる富豪の方が尊敬できるでしょう。

そう考えると人間は学術系と実利・生活系の両方を学ぶ必要があるといえます。

実用書しか読まないのってなんとなく薄っぺらいんだよな。

読書や問題演習が基本

学術系の社会知識をつけるにはAmazonで「小学生 社会」「中学生 社会」「高校生 社会」などと検索してお好みの本を選んで勉強するのが手っ取り早いです。

小学生向けの本でも参考になる本って意外と多いんですよ。

活字が苦手な人はカラー写真が多い本がおすすめです。

活字でも読める自信があって高校生レベルの知識をつけたい人は東進ハイスクールの本が無難でおすすめ。

一昔前なら池上彰さんの本がおすすめでしたが、最近では怪しいです。

なお手前味噌ではありますが、高校生~大学教養レベルでわかりやすい社会科本が求めている人は私の著書である『高校生からわかる社会科学の基礎知識』がおすすめ。

それすら「簡単すぎる」と感じる人は新書や専門書を読み漁りましょう。

YouTubeの政治経済動画は偏りや間違いを含んでいる場合もあるので気をつけましょう。

社会勉強の基本

  • 日本社会の「当たり前」を疑ってみよう
  • 実社会の様子を観察してみよう
  • 数字のマジックに注意
  • 人間の行動や関係を考えよう
  • 社会の構造に注目してみよう
  • それは個人的が打開できる構造か
  • 知識も更新しよう
  • 社会勉強が進む方法がある
  • 耕した経験は残り続ける

ここからは社会の勉強に際して念頭に入れるべき基本をお伝えします。これは学術系と実利・生活系にまたがった内容です。

ここでは生命保険の話が出てきますが、それはあなたに保険を買ってもらいたいと思っているのではなく社会勉強のたとえ話に使いやすいだけのこと。

筆者は保険について懐疑派です。

日本社会の「当たり前」を疑ってみよう

以前、私はある企業のチェック業務において日本人(ほとんど一般人)の保険加入率の高さを目の当たりにしたことがあります。

いや、保険に加入すること自体は個人の自由ですし将来が不安なのもわかります。しかし、そのときの私は「日本人の保険の加入率および支払額は一般人の割に高すぎる」と思ったものです。

日本社会では保険に入ることが当たり前になっているのです。

保険についてきちんと調べて納得したうえで買っているのならいいのですが、

  • 「勧誘してきた人が信頼できる感じだったけど中身はよくわからん」
  • 「社会人になったからとりあえず保険に入ってみた」
  • 「有名企業の保険だから安心」
  • 「ジャニーズの超イケメンの〇○くんがCMで宣伝しているからいい保険に間違いない」

みたいな考え方は一度見直すべき。やはり物事は鵜呑みにするのではなく自分なりに噛み砕かないと企業から搾取されるばかりです。

とくに積立保険は怪しい度が高いですよ。

もし保険に入るにしても、保険料はもっと少ないプランでもいいかも。

このように社会勉強においては基本知識を身につけつつも社会の常識を疑ってみることも必要です。

実社会の様子を観察してみよう

  • 有名芸能人を起用したテレビCM
  • 都心や駅前一等地にたくさんある立派なビル(〇〇生命ビル)
  • 正社員の高い給料(金融業界の賃金は高い)
  • 保険金を出し渋る

民間企業の保険が怪しいのは以上のような高コスト体質を見るだけでもわかります。いうなれば、加入者の割高な保険料は上の箇条書きに化けているようなもの。

テレビCMや街中のビルといった実社会の様子を見て自分の行動を選択するのは重要なんです。これも社会勉強の一種。

日本は自然災害が多い国。だから保険加入率が高いのもわかるけどね。
日本人は親戚や知人を絡めて保険に入る場合が多いから解約しにくいんだよな。
日本人の保険好きは自然災害の多さと関係あります。つまり、社会現象と自然現象には関連があるということ。

「2人に1人はガンになる」は本当か:数字のマジックに注意

日本人の2人に1人はガンになるって広告にあったから保険に入りたい」と考える人もいるでしょう。

確かに日本人の2人に1人がガンになるというのは本当です。つまり日本人がガンにかかる確率は50%。

しかし、それは人生約80年を全うしたときに平均として起きる確率であって20代~40代のときだとガンにかかる確率は低いです。

このように企業の宣伝や社会科本(とくに経済系)の内容には数字のマジックが隠れていることもありますから気をつけましょう。

身近なところだと日経平均株価は「ユニクロ指数」と呼べるほどにユニクロに偏った平均株価。

保険に入ると不健康になる?:人間の行動や関係を考えよう

保険の加入者は保険料を支払い、契約にあてはまる事態に陥ると保険金をもらうことができます。

しかし、たとえば医療保険や生命保険に入ると「特定の事態に陥ってもお金がもらえるから安心♪」と考えて暴飲暴食や運動不足に陥るのはよくあることです。

保険の加入者は四六時中、保険会社の社員に見張られているわけではありませんから、保険会社にとって都合の悪い行動にも出るのです。

つまり、保険の安心が悪い方へ機能してしまう場合もあるというわけ。

そもそも社会は人と人の関係からできていますから、社会を勉強するときは社会全体だけでなく個人単位にも目を向けるべきなのです。

このように社会勉強においては個人の行動パターンや人間関係を考えることも重要です。

人間関係の例

  • 戦争におけるA国とB国
  • 戦争におけるA国の政府と一般庶民
  • 選挙における候補者と有権者

社会の構造に注目してみよう

保険は肯定的な面と否定的な面がある金融商品です。

しかし、日本の大手のテレビ局や新聞社は保険に関して否定的な報道をあまりしません。

彼らにとって保険会社は一大スポンサーであるため、そこに否定的な報道をすると広告を出稿してもらえなくなるからです。

このような社会構造は学生でも社会人でも必ず知っておくべき。

社会構造とは一種の枠組みであり多くの人間を従わせるだけの力をもっているのです。

日本社会の構造の例

  • 世襲議員が多い
  • 年功序列が今も残っている
  • 都市部の地価は駅前が高い

社会の構造:それは個人的が打開できる構造か

民間の報道機関は保険に否定的なことを言えないとしても、NHKなら民間企業の保険に否定的なことが言えます。

NHKは民間のスポンサーではなく視聴者の受信料をもとに成り立っている事業体だからです。

しかし「そうはいってもNHKの受信料は高いからNHKに受信料を払いたくない」という人は多いでしょう。

そこでNHKがイヤな人はテレビを手放せば受信料から解放されます。

NHKの予算は国会承認が必要なように国策ともいえる性質を帯びており簡単に構造は変わりませんが、テレビを手放すことなら誰にでも簡単にできます。

つまり、社会では一個人で打開できる構造と打開できない構造を考えて行動すべきなのです。

こういう知識も社会勉強から得られます。

新聞やテレビが斜陽産業だなんてのも構造的な現象。
新聞やテレビがインターネットに対して劣勢なのは明らかだからね。

社会は変わる:知識も更新しよう

さて、日本人が民間の保険に入るあまり必要がない理由として公的保険が優れていることがあります。

しかし、日本の公的保険はこのままずっと手厚いままとも思えません。いつか改悪される可能性も十分ありえます。

そのため、今の社会を生きる人は将来に備えて変化を予想することも重要です。

この変化の激しい時代においては社会知識はたびたび更新されるから学校卒業後も継続的に勉強すべき。
数学の内容は不変だけど、社会科の内容は変わるよ。

社会科の中でも学術系は実利・生活系よりも知識が変化しにくい分野です。

たとえば日本史の内容について私が学生の頃と今とで変わった内容というと、聖徳太子の存在の怪しさ、士農工商という序列はなかった、鎌倉時代は1185年から始まった(以前は1192年)くらい。

つまり、学術系の知識の方が変わりにくい分だけ人間としての土台になりやすいのです。小中高で教わる内容は学術系が多いのはこのため。

社会勉強が進む方法がある

しかしながら、社会科の中でも分野によっては勉強する気が起きない分野もあるはずです。

たとえば金融(銀行、保険、証券など)については勉強が進まない人も結構いるかと思います。

金融は専門用語や計算が煩雑だからです。

そこでおすすめなのが少額投資を始めること。

自分で自分のお金を運用するとあれば「損をしたくない」という気持ちが働いて社会について勉強するモチベーションが高まるからです。

投資は「投資している会社が儲かりそうか」だけでなく政治や法律、国際情勢なども見る必要がありますから、よい社会勉強になりますよ。

投資の中でも投資信託は運用会社に運用を頼む商品であり手数料が高いですからおすすめしません。

そのうえ投資信託のような他人任せの商品だと勉強量は少なくなりがち。したがって投資をやるなら個別銘柄への投資にしましょう。

なお投資の初心者は知識と経験がつくまでは元手はかなり少なく抑えた方がいいですよ。知識と経験がつかないうちに大金を投じて大損したら投資がイヤになってしまうからです。少額投資なら負けても痛くありません。

耕した経験は残り続ける

社会科の知識は忘れてしまう部分も結構あります。

あの東大生でさえも学部4年生になってからセンター試験に取り組んでみると社会科の点数があまりよくないのはそれを例証しています。

しかし、人は社会科の知識を忘れるとしても過去の勉強はムダになるわけではなく、真剣に脳内を耕したときの経験は脳に残り続けます。

こういう経験は社会人になっても、そして会社を定年退職した後でも役立つはずです。

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