ビジネス社会

将棋の女流棋士は差別ではなく逆差別だ

2020年7月23日

インテリの女性

日本には将棋のプロが170人ほどいます。

しかし、現在までのところ女流棋士は何人もいますが、女性のプロ棋士(女性棋士)は一人もいません。

今回はこのあたりの事情・理由をわかりやすく解説します。

「女子アナ」や「女医」と同じ発想で職名の前に「女子」「女」「女流」という言葉がつくとそれだけで反射的に女性差別だと騒ぐ人がいます。

そういう人は、ぜひとも女流棋士の内実を知ってください。知ったら女性差別だと騒げなくなりますから。

将棋界に女性棋士がいないのは差別が原因ではない

そもそも、女性も男性も奨励会という組織の入会試験に合格し、そこの段位別リーグ戦を勝ち上がれば問題なく男女共通としての将棋のプロになることができます。これがいわゆるプロ棋士(男性棋士・女性棋士)です。

奨励会では入会時は対局試験に加えて面接・審査がありますが、入会後は成績上位者がプロに上がれるというだけなので男女差別はないといえます。

奨励会のプレイヤーはセミプロみたいなもの。サッカーでいうならユースの選手みたいなものか。
奨励会では「四段への昇段=プロ入り」となっているよ。これはアマチュアの段位とは別物。

しかし、残念ながら奨励会四段になるだけの成績を残した女性は今までのところいません。

そこで日本将棋連盟は女流枠をつくってプロになれないレベルの女性を半ばプロ扱いしています。これが女流棋士です。

つまり、男性はプロになれない実力だとアマチュアにすぎませんが、女性はプロになれない実力でも女流という特別枠にすくい上げられるのです。

男性は2択(プロかアマ)、女性は3択(プロか女流かアマ)なのだ。自由に選べるわけじゃないけど。
たまに「女流棋士は対局料が少なくて差別だ」とかいわれるけど、女流という制度がある時点で恵まれているといえるんだよな。男性が女流棋士と同じ強さだったらアマチュアでしかないもの。

プロになれない実力でも女流枠にすくい上げられるという点は、男性にとっては差別、女性にとっては逆差別でしかありません。男流なんていう枠はなく、男はいかなる強さでも女流棋戦に参加できませんからね。

女流棋士の中で勝ち抜いた女性数人は一部のプロ棋戦トーナメントに参加することができます。

こういう逆差別は囲碁界にもありますが、囲碁の女棋士の中には女流採用の特別枠ではなく男性との正当な競合によってプロになった人も少しだけいます。

その意味では囲碁の方が男女差は小さいのかもしれません。

チェスでも世界ランキング上位は男性ばかりだけど、女性が男性に混じって活躍したことはあるよ。まあチェスの競技人口は男女ともに桁違いに多いけど。

将棋は男女別に分けられているのではない

ちなみに日本のプロ野球チームは女性を入団させることができます。

しかし、実力的にプロ野球で活躍できそうな女性は今までに一人もいないため、女性の入団はありません。ルール上は女性の入団は問題ありませんが、実力としては及ばないというわけです。

日本将棋連盟も日本野球機構もプロレベルの対局・試合を「男女別」にやりたいわけではないが、実力本位にすると男ばかりになるということか。
そう、それだと「男女差別だ!」と勘違いする人がいるから女流棋士制度や女子プロ野球がある。女流棋士制度は慈悲深い救済枠なのに、差別枠だと思っている人がいるのは困りもの。

ここで「プロ野球みたいなスポーツは肉体差があるから女性の入団はかなり難しいけど、将棋みたいな頭脳スポーツならまだ女性が入ることはできる」と考える人もいるでしょう。

その考えは大体あっていて、奨励会の三段リーグ(=プロの一歩手前レベル)のプレイヤーに女性がいる(いた)ことはあります。

日本で最高難易度を誇る東京大学理科三類に入学した女性は何名もいますしね。

筆者の予想では近い将来、女性のプロ棋士が誕生するでしょう。ガンバレ西山三段!

もうちょっとでプロ棋士になれそうな女性を特別扱いしたら、それこそ批判されるだろうね。
奨励会においてはプロの一歩手前レベルからプロに上がることが一番の難関。今のプロはみんなその難関を乗り越えている。
プロの一歩手前レベルに到達した女性はそこまで実力で上がってきたのだから、最後の一歩だけを特別扱いする必要はないと思う。

なぜ女流枠を設けるのか

女性棋士の誕生後に問題になるのが女流棋士の存在意義。

女性が男女共通としてのプロ棋士になれるのだったら「もう女流枠を設けて女性を特別扱いする必要はない」と見なされるからです。

しかし、それでも女流枠は必要とされる可能性もあります。

なぜなら、女流棋士はプロ対局の聞き手役やイベントの盛り上げ役、指導対局役としてアマチュアの男性ファンから「人気」があるからです。

この場合の人気は将棋の強さというより魅力的な異性ってこと。
野球場のビールの売り子も若い女性が好まれるからね。将棋の普及にも女性は不可欠なんだろう。

男性棋士としても自身の対局だけでなく、他の棋士の対局の立ち合いや解説、サインや本を書く、ファンとのコミュニケーションといった雑務があります。

将棋は伝統文化ですが、プロレベルではファンとスポンサーも満足させて興行収益をあげなければ成り立たない以上、客寄せ役はかなり重要です。

プロ棋士にしても女流棋士にしても自分の対局のことばかりを考えているわけではないのです。

しかし、将棋が本気で強くなりたいと思っている女性の中には客寄せ役を低い待遇で担いたくないと思っている方もいるでしょう。

そこで、かつて女流棋士の一部は日本将棋連盟の女流棋士制度に反発してLPSA( =The Ladies Professional Shogi-player's Association of Japan:日本女子プロ将棋協会)という別団体を立ち上げました。

LPSAの設立前、一部の女流棋士は待遇の低さへの不満を口にしていました。ですから、女流棋士は客寄せ役がイヤというより待遇改善を目的としてLPSAを設立したという感じです。

そのとき日本将棋連盟の男性棋士からは「不満に思う女流棋士は独立すればいい」というような発言もあったといわれています。

LPSAは「女性の、女性による、女性のための将棋団体」という感じで現在も存続しています。

本来、将棋のプレイヤーに性別、顔、年齢、学歴、国籍などは関係なく、将棋は強さこそが価値をもつ世界なのに、LPSAは「女性」という逆差別的な括りに閉じこもっている感じがします。

ABEMAやテレビの将棋解説を見ると、ほとんど男性が解説者で女性が聞き手。あれは男女差別ではなく、男性がプロで、女性は女流だから(プロの方が棋力が上)。

将棋界は実力主義の世界

なお日本将棋連盟の歴代会長はプロ棋士の中でも永世称号級の活躍をした人が選ばれるのが慣例になっています。

永世称号は、同じタイトルについて連続3~5期、あるいは通算5~10期を獲得したときに得られます。

つまり、将棋界は将棋が強い人が人望を集めるという構図になっているのです。

そのため、女性が将棋界で発言力を高めるには将棋の実力で男性をねじ伏せるような活躍が必要な気もします。

それは酷な話と思うかもしれませんが、奨励会の競争(プロになるための競争)はかなり厳しいですし、プロになってからも負けが込むと強制引退に追い込まれます。

こういう肉体的なハンディキャップがほとんどない厳しい世界では女性にも相応の覚悟と実力が必要だと思います。

一般人にとって将棋は娯楽なんだけど、棋士や奨励会員は将棋に人生を懸けているんだよな…。

まとめ

女性のプロ棋士が未だに誕生していないのは、単純に競技人口が少ないからプロも誕生しない、あるいは女性の脳力が将棋のような空間把握に適していないという説が有力です。

これらが正しいのかはよくわかりません。それは脳の優劣ではなく、男と女にはそれぞれ得意・不得意があるだけなのかもしれません。

NHK杯という早指し棋戦では女流棋士が男性プロを負かすこともたまにあるように、女性の競技人口拡大とそれに伴うレベルの底上げを期待したいものです。

藤井棋聖のブーム以降、将棋人口は増えたために将棋ウォーズのレベルは上がった。プロや女流のレベルも上がっていると思う。
マスタードラゴン
参考将棋のタイトル戦の真の序列【それって建前では?】

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