社会・教育

総合政策学部とは何を学ぶところ?メリットとデメリットをOBが解説

2020年7月24日

慶應大日吉キャンパス銀杏並木

日本の大学の文系学部は、文学部(文学、歴史学、哲学、社会学、教育学、言語学など)、経済学部、商学部、法学部(法律学科、政治学科)などがあります。

このあたりの学部が何をするのかは大体、見当がつくでしょう。

しかし、総合政策学部、総合情報学部、環境情報学部の類は何をする学部なのかよくわかりませんよね。

そこで今回は学際系学部について慶應義塾大学総合政策学部のOBである私が解説します。

私は社会科学の商業出版本の著者でもあるので参考になると思います。

総合政策学部、総合情報学部、環境情報学部みたいな学部をまとめて学際系学部といいます。学際とは、理系を含めたさまざまな学問が関わりあった領域という意味。

学際系学部では、たとえば文系学生でありながらもITや生命科学の基礎を学ぶことができたり、法学と経済学を組み合わせて法と経済の関係を探究することができます。

総合政策学部とは何を学ぶところ?どんな人に向いている?

たとえば、あなたが大学在学中あるいは卒業後にアフリカの貧困問題を解決したいと考えたとします。このとき、どんな学問の知識が必要でしょうか。

サバンナの夕日
参考アフリカや後発開発途上国の問題点のまとめ【解決策はあるのか】

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現地の言葉(とくに植民地で使われやすい英語やフランス語)、コミュニケーションの方法、開発経済学、国際法、国際関係論、アフリカ地域の地理知識などがまずは必要でしょう。

つまり、アフリカの貧困問題を解決したいとすれば経済学と法学と政治学など複数の領域にまたがった知識が必要なのです。

このように、最初に何か自分が解決したり実現したいことがあって、それに向かって必要な学問を学び、それらを複合的にツールのごとく使っていくのが学際系学部の特徴だといえます。

慶應大の総合政策学部の場合、その解決策は政策系(政治・経済・法律にかかわる分野)です。これと対になっている環境情報学部の場合はIT系やバイオ系が主体になります。

両者は必修単位の内容にズレがあるだけで、総合政策学部の学生が環境情報学部系の授業を履修してもまったく問題ありません(環境情報学部所属だとIT系の単位をやや多めにとる必要がある)。

総合政策学部はビジネスにも有効!

「じゃあ、具体的にやりたいことがない人は学際系学部に行かない方がいいのか」と考える人がいるかもしれません。

しかし、学際系学部はビジネスにとっても有効です。

というのも総合政策学部・環境情報学部には、法学系、経済学系、政治学系、ビジネス系(マーケティング、プレゼンテーション技法、ライティング技法、会計)、IT系(ウェブ制作やプログラミング)の科目がそろっています。

こういった知識はビジネス全般に役立ちます。

慶應の総合政策・環境情報はグループワークやフィールドワークがやや多いよ。

これに対して、たとえば法学部法律学科に進学すると法学系の科目ばかり履修することになります。

しかし、法学部に進学してきちんと勉強したとしても、法曹の資格でもとらない限り、会社や公的機関では法律専門の人材とまでは認められません。

それならば最初からさまざまな学問をつまみ食い式に学んだ方がおトクともいえます。

学際系学部のメリット

次に総合政策学部をはじめとした学際系学部のメリットを見ていきましょう。

  • いろんな学問のつまみ食いができる

たとえば、法学系の授業があなたに合わなかったからビジネス系やIT系の授業を多く履修することができます。

よく「法学部に入ったら法律がつまらなくて学生時代をムダにした」なんていう意見がありますが、総合政策学部では他の系統の授業を履修すればいいだけのこと。

大学によっては他学部で履修した単位を卒業単位に含めることもできます。これによってさまざまな学部学科・キャンパスの雰囲気を味わうことができます。

  • ビジネスマンの基本を身につけることができる

業種や職種を問わず現代のビジネスマンにもとめられる基本的な素養といえば、英語、簿記、IT、キャリア論、法や経済の基本知識です。

総合政策学部・環境情報学部の授業はそういった分野の知識やスキルをつけるのに必要な授業が広く浅く整っています。

この場合のITとは、ITの基礎知識、各種プログラミング、検索エンジンの仕組みと攻略、ウェブライティング、ウェブマーケティングなど。

当たり前かもしれませんが、みんな入学して数ヶ月でマイクロソフトのワードとパワーポイントをタッチタイピングで使いこなしています。

さらに語学の授業として英語を履修する場合、英語しか話してはいけない授業もあります。一般の社会科学系の授業では英語を中心に授業が展開された回もありました。

  • 学生が多様

政策系、IT系、バイオ系など学際系学部は文系・理系のさまざまな学問領域にまたがるため、多様な人間が集まりやすいです。

AO入試枠ではインターハイ上位のスポーツ選手、帰国子女、芸能人、その他一芸に秀でた人がいます。

あるいは就活でキー局にアナウンサーの内定をもらう人(将来の有名人)もいます。

こういった方々は個性と行動力があって面白いですよ。

  • 教授は外部出身者が多い

一般に有名大学の伝統的な学部(文経商法理工医)の教授、とくに学部長はその大学の出身者が多いです。実際、慶應の伝統的な学部の学部長は慶應出身者ばかり。

しかし、学際系学部はそういう伝統がないため、外様教授や外部(民間企業や省庁)の出身者の割合が多いです。

学術一辺倒の教授よりも民間企業を経験してきた人の方が話は面白かったりします。学術的な深みは欠けるのかもしれませんが。

  • 伝統のしがらみがないため新しいことに挑戦しやすい

法学部や経済学部のような伝統的な学部は学問としての型ができあがっており、どこの法学部や経済学部でも学ぶ内容はかなり似通っています。

一方、総合政策学部は横断的に学問に取り組むように既存の枠組みにとらわれにくいので、新しい分野に挑戦しやすいです。

教員や学生も既存の権威にすがりつくよりは何か新しいモノをつくっていこうという意識が強いため、型破りな人にはオススメですよ。

学際系学部のデメリット

次に学際系学部のデメリットを見ていきましょう。

  • 専門性がつきにくい(中途半端になりやすい)

学際系学部はいろんな学問のつまみ食いができます。それは裏を返せば専門性がつかないも同然だといえます。

そもそも法学部の学生や教授なら法学を専門的に極めることが究極目標になります。

一方、学際系学部での法学は自分がやりたいことを実現する際に使うツールというような位置づけです。

もし弁護士、公認会計士、税理士といった高度な専門職につきたいのなら、早いうちから意識を高めて専門の学部学科に入るべきです。こういう人に総合政策学部は向きません。

ちなみに事務系の公務員試験は、数的処理(数学クイズみたいな問題)、法学、経済学、政治学などから構成される。この点、総合政策学部ならどの学問にも対応している科目がある。
  • 権威に欠ける

一般に大学で取り組む学問というのは「高度に専門的」が基本です。

医学博士や法曹に権威があるのは医学や法律という難しい専門分野を高度に極めたことの証明になるからです。

この点、いろんな学問をつまみ食いしていると、そういう高度な専門性がつかないため権威に欠けます。

  • 歴史が浅いのでOBOGが少ない

学際系学部は日本では1990年前後からでき始めました。それゆえOBOGの人脈は他の伝統ある学部に比べると少ないです。

そのため、OBOGを頼りに就活するときは心もとないかもしれません。

  • 学費がやや高い

総合政策学部では理系やIT系の授業をとることもできます。

しかしというか当然というべきか、理系やIT系の授業は設備にお金がかかります。

たとえば、慶應大総合政策学部・環境情報学部にあるパソコンは最新型のMacですから設備費は高く、それは授業料の高さにも反映されるのです。

ここでは設備に費用のかからない文系の授業ばかりをとっているほど学費の高さを実感しやすいでしょう。

  • 就活などにおいて自分の学部学科や研究内容を説明するのが難しい

総合政策学部や環境情報学部という学部名は外部の方にとっては意味不明だといえます。

そのため就活では学部や専攻の内容について説明を求められやすいです。

これは大したデメリットではないでしょう。

まとめ:シラバスを確認しよう

総合政策学部や環境情報学部みたいな学際系学部について進学を迷ったら「○○大学、総合政策学部、シラバス」みたいな感じで検索してみてください。

シラバスとは、講義の要項、授業計画を示したもの。要するに時間割がもっと詳しくなったような文書。

学際系学部の履修内容は大学や時代によって異なるため、シラバスを知ることが重要なのです。

シラバスを見たときに、さきほどのデメリットばかりが脳裏に埋め尽くされるようだと総合政策学部への進学はやめた方がいいかもしれません。

しかし、シラバスを見たときに「あの科目もこの科目も面白そう!」と感じるのなら進学を検討する価値がありますよ。

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