あなたは日々、どれくらいの量の文を読んでいますか。
平均的な日本人を想定すると、以前と比べて本や新聞で文を読む量は減っていてもネットやスマホを通じて文章を読む量はそれなりに多くなっているはずです。
つまり、文章を読む量自体は以前と大して変わらないと推察できます。
しかし、ネットやスマホで見かける文章は一文が短めなのが基本。また漢字の使用も本に比べると少なめに抑えるのが基本です。

当サイトの閲覧者についてもスマホユーザーの方が多いため、文章はやや短めを意識しています。
他にLINEやTwitter、テレビ・動画のテロップ、各種の掲示板、電子メールなども短めの文章が好まれます。


短文や漢字を少し控えた文章は確かに読みやすいのですが、そういった文ばかりに慣れていると複文や長文が読めなくなります。それは読解力の低下を意味します。
しかし、日本社会を生き抜くにはどう考えても読解力があった方が有利です。
読解力は社会人の基本:試験で有利
まず、高校も大学も日本の受験科目は国語力・読解力があるほど有利。
試験の問題文は日本語であり、答えは日本語で書くからです。実際、センター試験の国語は読解系の配点が大きいです。
英語の試験とて読解問題の比重が高く、日本育ちの日本人のほとんどは日本語で物事を考えますから、国語力・読解力があった方が有利です。
暗記科目と見なされがちな社会科についても国語力があれば、それだけで選択肢を減らせる設問は結構あります。
就活や会社でも活きる
就活系の試験でも読解力を試す設問は多いです。それもそのはず、会社での資料の制作は読解力が必要だからです。
まともなビジネス資料をつくるには文章作成力だけでなく、自分がつくった文章を見直す必要があります。これは読解力にほかなりません。
さらに会議でも配られた資料を読み解けないと、的を射た発言ができないでしょう。
書き言葉は読解力とつながっており、それは話し言葉ともつながっているのです。
- 上司の指示(人を動かすこと)
- 上司の指示を聞き取って動くこと(単に指示だけを聞いて動くというより、その背景にある会社全体の戦略や方針まで読み取って動かすことが望ましい)
- 会議で話す内容や提案
- メールの作成や応答
- 契約書や請求書
- 営業や広報のPR文
- 従業員との面談や求職者との面接で放つ言葉
会社の業務はどれも言葉(書き言葉・文書と話し言葉)が介在しており、たがいにつながっています。こうした能力は年収をも左右します。
そう考えると、受験勉強をしない社会人にとっても読解力を鍛えることは不可欠だといえます。


現代では読解力がない人はAI(人工知能)に仕事を奪われるという懸念もあります。
最先端のAIは大学入試において偏差値60付近に達しているからです。中でも計算問題や知識問題を解くことは大得意です。
しかし、AIは読解問題や論述問題を解くことがやや苦手ですから、それに対抗する人間は読解や論述ができないとAIに仕事を奪われそうなのです。
資格試験でも活きる
また、知識量を試す資格・検定試験の類でも読解力は活きます。
一般に資格・検定試験というのは、その分野に対する知識量がものをいいます。
しかし、日本の資格・検定試験のなかには専門知識がなくても読解力があれば解けてしまう問題がかなりあるのです。
逆にいうと、知識がそれなりにあっても読解力がないと解けない問題もあるといえます。
投資では情報を読み解く必要がある
試験の類を離れたところでも読解力は役立ちます。
たとえば、株式投資では企業からは昨今の業績と事業状況が、マスコミからは政治ニュースがたびたび示されます。
このとき、それなりの知識と読解力がないと内容を読み解くことができません。
投資信託にしても商品によって運用ルールや手数料はさまざまなので投資家は読み解く必要があります。
たとえば大銀行が売っている投信の中には手数料が高い商品があるのですが、大銀行が売っていると「大手だから大丈夫」などと考えて思考停止におよんでしまう人も少なくありません。
このように投資情報を読み解くことができないとお金の損失にもつながります。

大金や生命を左右する場合もある
他にも、
- 保険や住宅を選ぶとき
- 家電の説明書を読むとき
- 飲食店でクーポンを使うとき
- 通販商品を買うとき
なども読解力があった方が合理的な買い物になりやすいです。
とくに生命保険や分譲住宅なんかは長期にわたって利用し続ける場合が多いため、買う時点で読解力がないと厳しいものがあります。
住宅を買うときは自治体のハザードマップや避難マップも参考にしましょう。これを読み解いたうえで決めた立地の住宅の方が水害に遭う確率も低くなるはずです。
そう考えると、読解力の有無はときに何百万円というお金や生命をも左右するといえます。
読解力以前に読もうとしない人がいる
また、クーポンや通販を利用するの読解力は「送料無料」や「期間限定」などというちょっとした表現に気づけるかどうかがものをいいます。
ネットオークションでは「商品画像の色合いはユーザーの環境によって少し変わる」と書いてあるのに、「送られてきた商品と画像の色が違う」とクレームをつける人がいます。
こんなのはよほどの違いでなければ、言いがかりみたいなもの。
これらは大した読解力ではないのですが、そもそも説明文や注意文を読まない人がいるのは問題があります。
たとえば以前、前澤社長が起業案を募集したときに審査料として10万円をもとめました。
そしてこの審査料は、募集ページに行くとわかるように”返金はできない”と書いてありました(下の画像)。

にもかかわらず、Twitterでは「審査に落ちたら返金されますか」と尋ねている人が何人もいました。
このくらいの読解力がない人が果たして起業に成功できるのでしょうか?



投資詐欺や妙な情報商材に引っかかりやすいのは、自分でろくに調べず、すぐに成功者に聞く人だといわれています。
成功者にコツを聞くのは確かに有効ですが、グーグルで検索すればすぐにわかることまで聞くと成功者から疎まれます。成功者は忙しいからです。
Twitterの炎上文を冷静に観察してみると
SNSの運用でも読解力が必要です。
たとえばホリエモンさん(堀江貴文氏)のTwitterはたまに炎上していますが、ホリエモンさんの主張をきちんと読解してみると炎上に値しないこともあります。
その文脈や社会背景などにまで配慮しながら真意を読み解くと意外とまともだったりするのです。
ブログやニュース記事などではパソコンユーザーよりもスマホユーザーの方が最後まで読んでいない率が高い傾向があります。
スマホはパソコンよりも画面が小さく表示に制約があるため、最後まで読むのは面倒なのでしょう。


文章の読解は得意分野と苦手分野にわかれる
ちなみに筆者は政治経済の著者だけあってノンフィクション系の文章の読解は得意ですが、フィクションはマンガを除いて苦手です。
逆にフィクション系は読めて、ノンフィクション系は読めないという方もいると思います。
筆者も含めてそういう人は単純にその分野での読書量が少ないことが、読解力のなさの原因です。
読解力のない人は読めたフリをしがちですが、読めないものは読めないと認めたうえで改善が必要でしょう。
苦手な分野の読解はまず易しい文章の本から読み始めて徐々に難しく本の読解に移っていくと、読解力は改善します。


まとめ
- 大学受験
- 就活
- 会社での資料の制作と読み込みと見直し
- 資格試験
- 株式投資
- 保険選び
- 住宅選び
- 家電や住宅の説明書
- クーポンを使うとき
- 通販商品を買うとき
このように読解力は広い範囲で活きます。
読解力は学校で勉強しているときは受験でしか活きないような感じがしますが、そうでもないのです。
学校で学ぶ読解力は堅い文章が主体であるため学生は身が入らないのでしょうが、投資や買い物では読解力の有無は実利に直結します。
そのため、学校では実利的な文章を用いて学生の意欲をかき立てながら読解力をつけさせるべきだと感じます。

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