あなたは将棋のプロにはどうやったらなれるか知っていますか。
基本的には小学生~中学生の年齢で奨励会というプロ棋士養成機関に入って、奨励会としての四段にまで上がるとプロになることができます。
今回はこの奨励会の厳しさと優しさについて解説いたします。
奨励会は厳しさと優しさをもっている
さて、奨励会における段位は強豪だらけの厳しい環境のなかで、かなりの勝ち星を収めたときに上がるものです。
当たり前ですが、四段になるとプロになれますから三段のまま昇段できずにいるとプロになることはできません。
これに関して以前、かなりの苦労の末にプロ四段になれた棋士の話を聞いたところ、三段のプレイヤーはプロ下位~中位と同じくらいの実力をもっているそうです。
しかし、三段のプレイヤーがプロと同じような実力とはいっても、制度としては三段のプレイヤーのなかでトップクラスの成績を収めて四段に上がれないとプロになれません。
「これはプロになりたいのなら乗り越えなければならない壁。制度として割り切らなければならない」とその棋士はいっていました。
将棋界は実力主義が強い
小学生から中学生くらいの年齢で奨励会に入って将棋漬けの生活をおくったとしても、四段に上がれるとは限らないのです。
たとえばプロ野球の世界だと「あいつはまだ実力不足だけど育成枠で入団させて試してみるか」「実力はプロレベルではないけど、人気や知名度はスゴイから客寄せパンダにしよう」という温情もありえます。
しかし、奨励会は所定の順位や勝率を達成した際に機械的に昇段するシステムですから温情が絡みません。
プロの引退規定についても主要棋戦で一定レベルの結果を残せないと機械的に適用されます。
三段リーグの厳しさ
奨励会に所属するプレイヤーにとって四段への最後の関門となるのが三段リーグです。
三段リーグとは関東と関西の三段プレイヤー30数人が半年間で約18回戦を戦うというリーグ。
人によっては「地獄のリーグ」と呼びます。
三段リーグでは半年間の成績上位の2人が四段へと昇段します。ということは、1年間に4人が四段へと昇段できるわけです。これに関しては男女の区別はありません。
奨励会ではどこかの期間において6連勝・8連勝や9勝3敗などを達成した時点で昇段・昇級しますが、三段リーグだけはそうなっていません。前者は「いいとこどりの成績」と呼ばれます。
「いいとこどりの成績」では4連敗しても、そこで切り替えて6連勝すれば昇級・昇段できるのです。
しかし、三段リーグでは最初の方で連敗したとしても勝敗はリセットされず、その後も半年間にわたって戦わなければなりません。
それにプロ棋士は10代から60代まで100数十人もいますが、三段リーグのプレイヤーは同年代(大半は10代後半から20代)の30人ちょっとなので、たがいの棋風はかなり知っています。
己の将棋と人生をかけた戦い
三段リーグでよく知っている同年代の相手と人生をかけて面と向かって戦うときの雰囲気は、かなり張り詰めているそうです。
同年代の一般人は次々と進学・就職し、また奨励会・三段リーグを自主的あるいは年齢制限によって退会する人もいる中で、三段リーグのプレイヤーは人生をかけて戦います。こういう展開は精神的に厳しいものがあります。
まとめ
プロになるまでの概要
- 奨励会は6級から始まり、最後の関門が三段リーグ
- 三段リーグは10代~20代のプレイヤーが30人ちょっと在籍
- 奨励会は三段リーグ以外はいいとこどりの連勝や高勝率によって昇級・昇段するが、三段リーグだけは半年間のリーグ戦の上位2人が昇段
- 半年間での18回戦のうち12勝~15勝が上位2人に入る目安(総当たり戦ではないから、少しだけ運にも左右される)
- 三段リーグのプレイヤーはプロ下位~中位と遜色ない実力
- 退会に関して年齢制限がある
- 精神的にかなり厳しい
- 男女の区別はなく、最近では女性もわずかにいる
- 消化試合はあまりない
藤井聡太七段はかつて14歳で三段リーグを勝ち抜きましたが、それは例外中の例外で、昇段できるとすれば大半は10代後半から20代半ばまでに昇段するという感じです。
なお現在では三段リーグを退会したとしても、所定の公式戦でプロ相手に好成績を収めればプロ編入試験を受けることができます。
こちらも三段リーグと同様にかなりの難関ですが、それでも可能性はゼロではないところに魅力があります。
筆者は将棋を趣味として指すくらいのものですが、世の中には人生をかけて将棋を指している人がいることに注目と尊敬の念を抱いてます。
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