ガラパゴス化とは、他の地域と隔絶した環境下でモノ(人間、商品、文化、制度)が進化すると、世界の主流派から取り残されたモノになり、それは外部のモノとの関係で競争や接続に弱いということ。
ガラパゴス化は、他の地域と隔絶した環境で進化したために独自の生態系ができたガラパゴス諸島(エクアドル領)が由来です。
日本のガラパゴス商品の典型はいわゆるガラケー(ガラパゴス・ケータイ)でしょう。ガラケーのおサイフケータイ機能や赤外線通信は日本独自のモノなんです。
ガラケーにはよいところもありますが、世界の主流はとっくの昔にスマートフォンになったため日本メーカーのスマホ進出は遅れをとってしまいました。ガラパゴス商品は外部との競争や接続に弱いのです。

このページではWikipediaのガラパゴス解説とはあまり重複しない日本のガラパゴス的なビジネスと文化について記していきます。
日本のガラパゴス化の事例・具体例
私が思うガラパゴス化の事例は以下のとおり。よいものもあれば悪いものもあります。
- 新卒一括採用
- パチンコ店がそこら中にある
- キャッシュレス化の遅れ
- ソーシャルゲームのガチャ課金
- 記者クラブ
- 株主優待
- 銃規制
- ハンコ文化
- 学生の4月入学
- 元号
- 英語教育
- 多機能トイレ
- 異性の体型に対する好み
- ジャニーズアイドル
- 将棋の持ち駒
- 宗教が多神教
日本のガラパゴス化したモノに関して「日本は世界の主流派に合わせよう」という考えと「日本は独自の商品や制度を生かしておこう」という考えがあります。
経済効率を重視するのであれば世界の主流に合わせるべきですが、日本の独自性にもいいところはあるでしょう。これは時代背景と関連してケースバイケースで対処すべきです。
ここから先は、ビジネス系と法制度系と文化系に分けてそれぞれのガラパゴスを簡単に紹介していきます。
ビジネス系のガラパゴス
まずはビジネス系のガラパゴスの代表格である新卒一括採用から見ていきましょう。
新卒一括採用は横並びの象徴
海外では学卒者は自分なりに専門的なスキルをつけながらインターンや転職を繰り返すことが主流になっているため、年度ごとの入社式は基本的にありません。
一方、日本企業は新規学卒者を一括採用することが主流です。新規学卒予定者はそこからこぼれないように在学中に就職活動に勤しみます。
日本企業は年度ごとに一括採用するため年度の最初に入社式を設けているのです。
20世紀では日本の新卒採用はうまくいっていましたが、これからの時代は海外の主流に合わせた方がいいと思います。
日本の新卒一括採用は専門性に欠けるからです。
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パチンコ店がそこら中にある
世界各地にギャンブルができる施設はいろいろあります。
ギャンブルは人々の息抜きとして必要ではありますが、害も大きいため各国政府はギャンブル施設の営業を特定の地域でのみ認めるのが普通。
しかし、日本特有のギャンブルであるパチンコ店は都市部なら駅前に、地方・田舎なら幹線道路沿いにあります。
要するに日本のパチンコ店は普段の生活から身近なところにたくさんあるのです。あなたの住んでいるエリアの近くにもあるのでは?
学校や福祉施設の近くには立地してはいけないという風営法の規制もありますが、それでも大きな問題でしょう。
日本のパチンコやパチスロは実質的にはギャンブル(=賭博)ですが、法的には遊戯(=賭博ではない)と見なされています。
具体的には「パチンコやパチスロの出玉⇒現金」という直接的な換金は禁止で、「パチンコやパチスロの出玉⇒特殊景品⇒現金」という換金は一応合法です。
特殊景品とは少量の貴金属が埋め込まれたプラスチックケースのこと。
特殊景品は物理的には大した価値はなく、もっぱらパチンコの出玉を現金に換える際の橋渡し役にしかなっていません。
こんな変な換金システムがまかり通っているのは三店方式という制度と警察利権のせいです。
ちなみに昔、韓国にはパチンコ店がたくさんあったのですが、中毒者が続出して社会問題になったため早期に全廃しました。一部の韓国人は日本に渡って打っているそうです。
最近では台湾の一部でパチンコが盛り上がっていますが、この先も続くかは?です。

キャッシュレス化の遅れ
日本は現金への信頼が厚いため、キャッシュレス化が後発国の中国よりも遅れています。
ただし、大きな自然災害や停電が起きると電子決済の類は使えなくなるため、自然災害が多い日本では現金決済もそれなりに合理的だと思っています。
キャッシュレスもいいですが、現金決済の道も少しは残しておいた方がいいでしょう。
ソーシャルゲームのガチャ課金は賭博か
世界各地にゲームの類はたくさんあります。
しかし、日本のソシャゲの課金ガチャは海外では賭博と見なされやすく「クールジャパン」という感じでは見られていません。
ちょっとした課金ならいいですが、庶民が数年間で何百万円もガチャ課金するのはどうかと思います。
パチンコ店の多さといい、日本人はギャンブル好きなのかも。
記者クラブはやたら閉鎖的
記者クラブとは日本の大手マスコミがつくった団体のこと。各種の官公庁や経済団体にはその組織専門で情報を集めているマスコミ社員がいます。
早い話、記者クラブに加盟している大手マスコミの社員でないと官公庁や経済団体に取材しにくい構造になっているのです。これも大手マスコミが既得権を維持して部外者を排除したいから。
記者クラブの構造はかなり閉鎖的であり、また癒着事件をたびたびやらかしているため「廃止すべき」とよく批判されています。
「世界報道自由度ランキング」において日本の順位が先進国としては低い位置にあるのは記者クラブの閉鎖性が大きいといわれています。
株主優待より配当や株価が重要?
上場企業の株主になると、その中の一部の企業は配当金や優待品をくれます。この場合の優待品とは、その企業に関連する各種の割引券や飲食物、クオカードなど。
当然、そこには商品の選定や送料も含めて結構なコストがかかっています。
そのため、とくに外国人投資家は「優待にお金をかけるなら自社株買いをするか、配当金を上げろ」という声をあげています。
それで外国人投資家の買いが集まって株価が上がるのなら、私個人としてもやってほしいと思います。
法律系のガラパゴス
次は法律系のガラパゴスについて。
銃規制が強い
みなさまご存知のように日本は銃の所持および使用がかなり厳しい国です。
これが世界トップクラスの治安のよさの一因につながっています。
これはよいタイプのガラパゴスでしょう。
ちなみにアメリカのようにみんなが銃をもっていると、自分だけ銃をもたないというのはかえって危険だというのが通説です。
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ハンコ文化は廃れてきている
人間が書類を扱って確認したときには何らかの印を入れたいもの。
このときに使うのが印鑑(ハンコ)ですが、現代の日本以外では単なるサインや電子署名を使うのが主流になっています。
ビジネスや行政手続きにおいて「ハンコは面倒」と思った人も多いでしょう。
しかし、最近の日本ではネット通販の品を受け取るときにハンコが不要になるなど省略化の傾向を見せています。
学生の4月入学
世界の主流は9月入学ですが、日本の学校は4月に入学が集中しています。
そのため世界の主流に合わせるべきという意見が強まっていますが、それを切り替えるタイミングにおいては入社式や入学試験がややこしくなります。
メリットとデメリットがいくつもあるため、なかなか判断が難しいところ。
元号は残すべきか
元号とは一定年代ごとにつける称号のこと。具体的には、令和、平成、昭和など。
日本の場合、元号は天皇の代替わりごとに改めると元号法で定められています。
元号はもともと中国で始まった制度でありアジア圏に広まりましたが、現代では使用が控えられています。
元号は皇帝(君主)とともに存置する制度であるため、君主制がなくなった国では元号も廃止されやすいからです。
また西暦と元号が併存しているとわかりにくいですし、コンピュータの情報処理もややこしくなります。
西暦に統一した方がわかりやすいですが、日本古来の伝統もまた価値がありますから元号の改廃は難しいところ。

文化系のガラパゴス
最後は文化系のガラパゴスについて見ていきましょう。
WBC人気は異常
WBC(ワールドベースボールクラシック)は日本ではかなりの人気があります。
しかし、日本でのWBC人気は日本代表戦にばかり向いていますし、日本以外でWBCに人気があるのは台湾と韓国とベネズエラくらいです。
アメリカはMLBがありますが、MLBのプレイヤーやアメリカ国民の多くはWBCに注目していないでしょう。
英語教育はスピーキングも大事
日本の中高の英語教育は難関大学合格を主眼としています。
こういう受験英語は読み書きとリスニングを重視してスピーキングを軽視するため、よく批判されています。TOEICも同じ傾向です。
受験英語はすべてが悪いわけではありませんが、やはり英語はスピーキングも大切です。
トイレが多機能すぎ
日本の洋式トイレは機能の多さに関してはガラパゴス化しています。
具体的には、トルネード洗浄、ウォシュレット、音姫、温度が変わる便座、人感センサーでフタが自動で開くこと、オートパワー脱臭など多様な機能があるのです。
洋式トイレそのものを発明したのは欧米人ですが、日本人は洋式トイレを魔改造したといえます。
異性の体型に対する好み:日本は肥満の基準が厳しい
欧米で女性から人気がある男の体型はガッチリしたタイプです。髪はある程度短いでしょう。
そのせいか欧米のミュージシャンや俳優などアスリート以外の男も鍛えている人が多いと思います。
欧米や南米の女性にしてもガリガリに痩せているよりもメリハリのついた体型が好まれます。
一方、日本では細めの体型の男に女性からの人気があります(理想の身長は175cm前後らしい)。髪は男性にしてはやや長めでウェーブがかかっています。
日本人の女性で異性から人気があるのは童顔かつ小柄で太っていないタイプが多いでしょう。要するに華奢な感じです。
日本人は骨格や体質面で欧米人のような体型にはなれませんが、もし日本人が自分の体型を自在に調節できるとしても欧米人ほどのガッチリ体型を望む人は少ないでしょう。
日本は国土面積が狭くて人口密度が高いため、大きな体型よりも細め(細マッチョ)や小柄に人気があるのかもしれません。

ジャニーズは東アジア以外では人気がない?
日本の芸能人の中には海外進出を積極的に試みた人がいます。
しかし、ある程度の人気が出たのはPUFFY、BABYMETAL、坂本龍一、坂本九、渡辺謙などかなり限られています。
これは英語という壁もありますが、とくに男性の場合は身長や体型も影響しているでしょう。
ジャニーズは台湾や韓国では人気がありますが、欧米では振るわない、というか欧米進出に積極的ではないでしょう。

日本のスポーツの代表戦で地上波が中継するような試合だと、ジャニーズやアイドルが試合の前後やハーフタイムに登場する率が高いです。
このようにスポーツ中継で客寄せパンダのような形でアイドルを起用する国は、ほかに韓国や台湾くらいしか思い浮かびません。
将棋の持ち駒
日本の将棋や欧米のチェスの源流はインドのチャトランガというゲームにあります。他にも中国のシャンチーや韓国のチャンギもチャトランガ系のゲームです。
しかし、船で日本に伝わった際に平べったい駒の方が倒れにくいため、将棋の駒は平べったくなったといわれています(シャンチーやチャンギも平たい駒)。
これに対してチェスは陸路で西欧に伝わったためか立体的な形をしておりデザインもおしゃれです。日本企業は現代の工業製品でも実用性重視、欧米企業はデザイン重視ですよね。
ただし、日本の将棋は他のチャトランガ系のゲームと違って持ち駒(捕虜)が使えるというルールがあります。
チェスでもそういった特別ルールはありますが、標準ルールとしては持ち駒は使えません。
欧米人は戦争に際して「異民族を滅ぼせ」みたいな徹底的な思考に陥りやすいですが、日本人は敵に対してそこまで徹底的な考え方はしません。
それが将棋の持ち駒ルールにつながったのかも。
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宗教が多神教
日本の宗教は、おもに神道と仏教と儒教とアニミズム(精霊信仰)が混じった世界的に珍しいものです。
日本では一神教の神は八百万の神の中の一つと見られるなど、一神教が根付きにくい独特の風土が形成されています。
これは個人的にはかなり支持しています。
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