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社会・教育

グローバル化とは?【なぜ進むのか、デメリットも解説】

2021年3月6日

今回はグローバリゼーション(=globalization、グローバル化)が進んだ理由、グローバリゼーションの過程、そしてグローバリゼーションのメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。

グローバリゼーションとは、ヒト、モノ、カネ、情報が旧来の枠組みを超えて地球規模で活動し、世界の変化や統合が起きる現象を意味します。

たとえば江戸時代の日本人は石油をほとんど使いませんでした。そのため中東諸国の政情が悪化しても関係なかったわけです(中東の油田発見は20世紀半ば)。

しかし、現代人のほとんどは石油を使います。そのため産油国の政情悪化は世界中の人間に影響します。このように地球規模で起きる現象こそグローバリゼーションの一例です。

グローバリゼーションは原因や善悪の判断が難しいですが、本記事を読めば大まかな内容はつかめます。

グローバル化はなぜ進むのか【現象の過程を見ていこう】

以下はグローバリゼーションがなぜ進んだか、そしてグローバリゼーションの過程においてカギとなる要素です。

  • 経済効率の追求
  • 冷戦構造(社会主義国)の崩壊
  • 交通手段および資源の充実
  • 政府による規制緩和
  • IT技術、とくにインターネットの発達

ここから先は上記の箇条書きを掘り下げていきます。

それらはバラバラではなく互いに折り重なっていることに留意してください。

経済効率の追求:規模の経済

まずは経済効率について。

たとえば、あなたはひとり暮らしをしていて自分だけに焼きそばをつくったとします。このときの手間を10とします。

しかし、焼きそばを1人分だけつくる手間は、焼きそばを3人分つくる手間の1/3ではありません。

  • 焼きそばを1人分だけつくる手間⇒10(10×1)
  • 焼きそばを3人分つくる手間⇒20とか(10×3の30よりは少ない)
  • 焼きそばを5人分つくる手間⇒25とか(10×5の50よりは少ない)

料理は数多くつくるほど1人分をつくる手間が下がるのです。

材料についても1人分だけ買うよりも、業務用スーパーで特大サイズを買ったほうが1人あたりの材料費は安くなります。これが経済効率がよくなることの一例。

それは企業レベルで見ても同じ。すなわち少量だけをつくるよりも、ある程度多い量をつくって多くの消費者を相手に商売した方が大きく儲かるのです。

たとえば日本の自動車メーカーは日本市場が成熟してくると海外市場に相次いで進出しました。中でもトヨタ自動車は世界の約26カ国に完成品の工場をもっています。下請け部品メーカーの生産拠点も含めるともっと多いです。

トヨタ自動車が多国籍企業と呼ばれるのも世界中に拠点をもっているからか。
企業が生産拠点を世界中に分散させれば、そのうちのどこかで政変や自然災害が起きても別の拠点を使って対処できる。

母国市場が稼げなくなったら海外市場を狙うというのは世界中のあらゆる国と会社・業種にいえることです。

このように企業が経済効率を追求すると自ずと規模は大きくなり、それは地球規模の経済活動へと発展します。これがグローバリゼーションが進むことの原因の一つです。

冷戦構造の崩壊

人間が常に経済効率を追求しているとしたらグローバリゼーションはもっと早くに進んでいたはずですが、1930~1992年あたりの世界ではグローバリゼーションは停滞していました。

これは第二次世界大戦と社会主義国を原因としています。

戦争は国家VS国家、あるいは国家連合VS国家連合を意味するなど国際関係は険悪な状態になりますから、世界大戦が起きていた時期にグローバリゼーションが停滞するのは当たり前です。

なお社会主義とは、資本主義が生み出す問題について根本的に反対して解決しようとする立場のこと。

たとえば、さきほどの自動車生産の例でいうと、トヨタ自動車のように生産の上流を担う会社は下請け会社よりも優位なポジションを築きやすいです。

このようにそれぞれの経済主体(企業や消費者)が利益を自由に追求する体制を資本主義といいます。

資本主義ではどうしても経済格差が生じてしまうため、革命家は「そんなの不公平だ!人間は平等であるべきだ!」と考えて社会主義国をつくりました。

社会主義国は外国に対して閉鎖的な体制をとるなど経済が大きく停滞しているのが普通です。それは現代で数少ない社会主義国である北朝鮮を見ても明らか。

社会主義国は1992年くらいまでは世界のあちこちにあり、日本やアメリカのような資本主義国と対立していました。これを「冷戦」といいます。

社会主義国はいろいろ無理があったため、1992年までの間に相次いで崩壊してしまったのです。

崩壊した社会主義国は社会主義時代の遺産を残しつつも資本主義へと転換しました。

中でも中国は資本主義だか社会主義だか訳のわからない国になりましたが、いずれにしても以前より経済活動が大きく活発化したことは事実です。

つまり、社会主義国が存立していた1992年くらいまではグローバリゼーションが停滞していましたが、それが崩壊してからはグローバリゼーションが加速したというわけ。

交通手段および資源の充実:石油の存在感は大きい

それから交通手段の拡充も各時代のグローバリゼーションにつながりました。やはりヒトやモノが国境を超えるには乗り物が必要ですから。

大航海時代(15世紀)~第一次世界大戦(20世紀初頭)までの長期間においてもグローバリゼーションが進んだのは、造船および航海術の発達が大きく寄与したものです。

この時代の西欧人はあちこちの動植物を絶滅に追い込んだり他の地域に持ち込んでいました。

日本人が南米原産のジャガイモやトマトを食べられるようになったのも西欧人のおかげですが、現代ではヒアリのような害虫が世界中に伝わるのは迷惑です。

  • 大航海時代~第一次世界大戦のグローバリゼーション西欧諸国と船と植民地政策が中心
  • 冷戦崩壊以降(1992年以降)のグローバリゼーションアメリカ文化と英語と多国籍企業と石油と飛行機とインターネットが中心

現代の天然資源で重要なのはやはり石油。石油の本格的な実用化は19世紀に始まり、火力発電、大型船舶、飛行機、自動車を動かすにはなくてはならないものです。

しかし、石油は大量に産出する地域が偏っており、さらに中東の産油国は政情が不安定なため中東の不安は世界経済の不安にもつながっています。

つまり、ローカルの不安がグローバルの不安につながるわけ。

グローバルの不安に関して、たとえば日本の多国籍企業の代表格であるトヨタ自動車は雇用者と下請け業者がとても多いです。そのうえ納税額や広告費も大きいですから、トヨタ自動車の不況は悪影響がおよぶ範囲も広いです。

多国籍企業の景況は小国の経済動向よりも存在感が大きい場合もあるのです。

交通手段および資源の充実:文化の融合と衝突

現代のグローバリゼーションの中でもヨーロッパ諸国は通貨の統合と共通ルールの制定と国際列車の運行が大きく進みました。

ヨーロッパ諸国は他の経済圏に対抗するために統合を進めたという点ではグローバリゼーションを意識しているといえます。

ヨーロッパ諸国は小規模~中規模の国が地続きになっており、語族(言語系統)も似ていますから統合が進みやすかったのです。

現代のドイツやフランスでは英語がそれなりに通じますが、ドイツ語やフランス語に誇りをもっているドイツ語やフランス語の母語話者から見ると英語・英語文化の普及を快く思っていなかったりします。

文化と文化は混ざり合うことで魅力的な文化になることもありますが、互いに衝突することもあるのです。

文化の衝突:日本の火葬は合理的

文化の衝突について、たとえばキリスト教徒やイスラム教徒は死者を土葬すべきだと考えています。死者の復活が信じられており、それには土葬の肉体(焼かれていない身体)が必要だから。

でも、火葬文化の国民にとって土葬は気持ち悪く見えます。そのため土葬文化の人が火葬主体の国に行くと地元住民と対立します。

ちなみに日本の火葬文化は仏教の影響といわれますが(縄文・弥生時代は土葬)、人口の割に土地が狭く湿気が多い日本では火葬の方がコンパクトで衛生的という合理的な理由もあります。

外国人は基本的には「郷に入れば郷に従え」の精神でその土地の法律に従わなければなりませんが、日本では地域によっては土葬も認められる余地が少しあります。

政府による規制緩和

次は規制緩和についてです。

一般にトヨタ自動車のように企業が事業を営むには大変な額のお金がかかります。そのため企業は事業の資金繰りについて苦労しています。

日本企業は日本国内の金融機関や投資家からお金を得るという手もありますが、海外のお金を利用するという手もあります。

一般に国家が未発達の段階だと政府は外国資本(外国企業や外国のお金の流入)を強く規制して自国企業を保護します。

しかし、国家の発展が成熟してくると外国資本に対する規制を緩和する傾向があります。日本もそんな感じで発展してきました。

世界的には1980年頃から先進国で規制緩和の流れが強まり、その後に新興国でも規制緩和の流れが出てきました。

グローバリゼーションは、各国の政府が外国のヒト、モノ、カネ、情報に対する規制を緩和したために進んだところがあります。

  • ヒトに対する規制緩和海外旅行や外国への転居がしやすくなる(外国人が秩序を乱す可能性あり)
  • モノに対する規制緩和モノの輸出入がしやすくなる(海外の魅力的な娯楽や飲食物が入ってくる)
  • カネに対する規制緩和海外に投資したり資産をもちやすくなる(海外に資産を逃避させるなど課税が難しくなる)
  • 情報に対する規制緩和海外の情報が入ってくる(自分の国を変えたくなる)

ただし、外国人労働者の就労規制は未だに強いですし、2020年には海外旅行需要が世界的に激減しました。

またカネに対する規制緩和が行われたために、富裕層は海外に資産や登記を移すなど課税を逃れやすくもなりました。

課税逃れに使う土地を「タックスヘイブン」といいます。

IT技術の発達:世界中に売りやすい

トヨタ自動車のように製造業が世界数十カ国に生産拠点や下請け業者をもつのはかなり大変な過程です。

それぞれの国に実体のある大きな工場を建てて現地の人を雇って教育し、下請け業者と調整しなければなりませんから。

しかし、20世紀後半から大きく発展したIT産業ならもっと簡単にグローバリゼーションの流れに乗ることができます。IT産業(ソフトウェアの展開)には製造業ほど大きな工場は必要ないからです。

自動車は数万点におよぶ部品製造と組み立てと販売地への運送が必要ですが、ITソフトは大元のプログラムをつくれば量産や販売は自動車よりお手軽です。

たとえばMicrosoftのOfficeは一昔前では実体のあるディスクとして売っていましたが、今やオンラインでダウンロードして使うのが主流になっています。

あるいは日本の中小企業がApp Storeでゲームを販売したら世界的な大ヒットにつながる可能性もあります。

IT企業と製造業が同じ売上規模だったとすると、IT企業の方が従業員数は少ないのが普通です。

IT技術の発達:経済を効率化させる

Microsoftに限らずパソコンやITソフトは仕事を大きく省力化させます。

これは、さきほど述べたグローバリゼーションの原因である「経済の効率化」と相性がいいです。

ITソフトのユーザーは互換性を重視します。たとえば取引先の企業がMicrosoftのOfficeを使っている場合、こちらとしてもMicrosoftのOfficeを使う方が好都合です。

これは市場の独占化・寡占化につながりやすいです。Google、Amazon、Facebook、Appleの強さは独占的。

IT技術の発達:場所に縛られにくい

たとえば今あなたが見ているこの「通勤コンパス」というウェブサイトはインターネット環境が整っている国であれば、どこからでもアクセスできます。

「通勤コンパス」は日本語サイトだけに読んでいるのは日本人ばかりですが、英語サイトなら世界中の人間に見てもらえます。

また「通勤コンパス」の管理人である私は日本の首都圏在住ですが、ウェブサイトの内容を更新するだけなら他の地域や国に住んでもこなすことができます。

つまり、IT産業の仕事は場所に縛られにくいというわけ。たとえば現代のアメリカ企業はIT業務の一部をインドに委託しています。インド在住のインド人は賃金が高くなく、ITや英語もそれなりにできるからです。

昨今では日本で人気の個人ブロガーやYouTuberがシンガポールやドバイに移住したことも話題を呼びました。

さらに個人投資家の世界ではパソコンとネット回線があれば仕事は成り立つため、各国の投資の達人は投資への課税が安い国に住所を移しています。

以上のような動きはグローバリゼーションと相性がいいです。

IT技術の発達:英語やアメリカと相性がいい

htmlの例

「通勤コンパス」は表向きは日本語ですが、制作の裏では上の画像のようにhtmlやCSSという情報技術用の言語を使って書いています。

このような情報技術の表現に使う言語をマークアップ言語といいます。マークアップ言語やプログラミング言語(プログラミングに使う言語)は英語に近い性質があります。

正直言って日本語は情報処理の記述には向かない言語です。

21世紀においてGoogleやFacebookのようなアメリカのIT企業がのし上がってきたのも、世界各地の人にとって需要のある情報サービスを簡単に利用できる形で提供したことが大きいです。

日本、韓国、中国、インドといったアジア諸国において教育熱心な層は子どもに英語やプログラミングの教育をし、アメリカに留学させようとするのも、英語は世界中で通じるうえに情報技術とも親和性が高いからなのです。

こういうアジア圏の留学エリートは母国に戻るとは限らず、留学先からそのまま待遇のよいアメリカ企業に就職したり、アメリカで起業したりします。

アメリカは世界中の有能な人材と多額のお金が集まる国ですから、有能な人材にとっては魅力的。

グローバル化はアメリカ化と相性がいいわけです。

たとえば日本人とタイ人がコミュニケーションをとる場合、日本語やタイ語を使うよりも英語を使う方が便利です。

このような共通語を「リンガフランカ」といいます。

アラブの春は成功だけではない

ただし、中国や中東諸国の独裁政権は現代でも国民のインターネット利用について強い規制網を敷いています。

独裁政権は政府にとって都合の悪い情報を国民に見せたくないからです。

しかし、中東や中国の国民でも日本や欧米に旅行することくらいはできます。インターネットについても全面的に利用が禁じられているわけではありません。

あるいは中東や中国の国民が近隣国に出かけてそこのパソコンで母国や先進国の事情を閲覧したり、外国人と交流して母国の独裁政治の酷さを知る場合があります。

そうやって母国と先進国の違いを知ると「母国も欧米先進国くらいに政治を民主化させたい(独裁政権を打破したい)」と行動する人が出てきます。

実際、独裁政権の国では国民がインターネット(とくにSNS)や海外旅行を経験したことが原因で変革が起きた地域もあります。

中でも中東や北アフリカ地域で起きた政治の民主的な変革を「アラブの春」と呼びます。

ただし、アラブの春は失敗した国もあるため、全面的に評価できる出来事ではありません。

グローバリゼーションの原因はみんなにある?

さて、この記事の前半で革命家は資本主義が生み出す問題に反発し「人間は平等であるべき」と考えて社会主義国を始めたと書きました。

たとえば利己主義という言葉は利己を押し通す姿勢を肯定するように、「~主義」という言葉には「~を推進すべき」という強烈なメッセージが含まれています。

「~主義」は英語では「~ism」と表します。資本主義は英語でcapitalismであり、資本の増殖(金儲け)を目的とします。

同じようにグローバリゼーションとグローバリズムは違います。グローバリゼーションだと「地球規模の変化」ですが、グローバリズムだと「地球規模の変化をよいと見て推進する立場」となります。

でも冷静に考えると、この世にグローバリゼーションを強力に推進している人っているんでしょうか。

  • 経済効率の追求企業として経営効率を高めただけのこと
  • 冷戦構造(社会主義国)の崩壊社会主義は最初から無理があっただけのこと
  • 交通手段および資源の充実交通手段は便利な方がいいから充実しただけのこと
  • 政府による規制緩和内需だけよりも外需を取り入れた方が経済は充実するから規制緩和しただけのこと
  • IT技術、とくにインターネットの発達人間はみんなPC・スマホとインターネットが大好き
  • プログラミングと英語の発達英語はリンガフランカやIT向けの言語として便利

上の箇条書きは、左側がグローバリゼーションの原因です。

でも、左側の変化の原因は各国の個人や組織が右側の行動を自主的にとっただけで、グローバリゼーションの現場には社会主義国の革命家や独裁者のように強力な推進者はいないということ。

たとえばグローバリゼーションの原因について「自民党のせいだ」と主張する人がいますが、自民党議員が政権をとるには比例代表と小選挙区で日本国民から数千万の得票が必要です。自民党の政策実現には国民の投票(支持)も大きく関わっているのです。

そもそもグローバリゼーションは日本一国だけでなく地球規模で進む変化であり、外国人も大勢関わる変化を意味します。

グローバリゼーションは日本政府(議員も官僚も)だけでなく外国政府も規制緩和をしないと進みませんから、自民党議員だけが原因とはいえません。

現代においてグローバリゼーションに強く反発する人でも、日本やアメリカに住んでいたらスマホやインターネットを自主的に使うのが当たり前の生活になっているはずです。

つまり、グローバリゼーションは特定個人の主義ではなく社会が全体的に変わっていることの表れであり、グローバリゼーションはみんなが原因で起きたといえます。

グローバル化のメリットとデメリット

次にグローバリゼーションのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

グローバリゼーションのメリットとデメリットは、

  • 先進国の国民と途上国の国民
  • 富裕層と中流層と貧困層
  • 働く業種

などによって違うところがポイントです。

ただし、違いを厳密に意識して記述するとややこしくなるため、ここではメリットとデメリットを大まかに知ってもらいたいと思います。

グローバル化のメリット

  • 企業にとっては生産拠点を分散できる
  • 途上国では経済や政治の水準が上がりやすい
  • 投資の選択肢は広がる
  • 外国と自国のモノが混ざることで新たな技術や文化が生まれる
  • 飲食物や娯楽は充実しやすい
  • インターネットが安く楽しめる
  • 海外旅行が楽しめる

グローバル化のメリットは途上国にとって大きいです。たとえば、日本のトヨタ自動車が途上国に工場を建てれば雇用という恩恵があります。

途上国の人々が国内だけの力でトヨタ自動車のような世界的な大企業を生み出すのはかなり困難です。しかし、トヨタ自動車のような外資に工場を置いてもらうのなら、まだハードルは低いといえます。

工場の操業によって途上国の経済水準が上がれば、政治の水準も上がることが期待されます。

先進国の企業は政情が悪い国よりも政情がいい国に拠点を置きたがるからです。途上国の政府は「ウチの国の方が政情がいいから先進国の企業さんはウチに来て」と他の途上国と誘致競争を繰り広げます。

なお途上国に進出した先進国の企業の中には、劣悪な賃金しか払わない、環境汚染が酷いというような失敗パターンもあります。

日本のトヨタ自動車が海外拠点を強化することを不満に思う人もいるでしょう。しかし、日本人の中にも外資系企業の世話になっている人がたくさんいます。

アメリカのトランプ元大統領がアメリカの超高収益企業であるGoogleを嫌っていたのも、Googleの雇用は世界数十カ国に分かれていたことが一因です(最も嫌っていたのは独占性)。

Googleに入社できるのは諸国のエリートであって大衆の雇用の受け皿になりにくいですし。

グローバル化のデメリット

  • 先進国では中流層の没落が起きやすい
  • 自国固有の文化が国際的に主流派の文化(とくに英語圏の文化)に侵食されてしまう
  • モノやヒトが国家間を行き来することで疫病が広まりやすい
  • 社会問題は一カ国だけで解決しにくい
  • 難民や移民が治安を乱したり嫉妬の標的になる
  • 動植物の絶滅や交雑種が生まれる
  • 課税逃れが発生する

20世紀後半から21世紀において先進国の製造業は工場を賃金の安い途上国に設けました。

そうなると、先進国の製造業は母国には本社や研究開発機能を残すだけになってしまうのです。これが「産業の空洞化」の代表的なパターン。

そこで先進国では製造業を失った代わりにIT産業や金融業が発達します。アメリカはこのパターンにあてはまっていますが、日本は製造業へのこだわりが強く、日本のIT産業や金融業は先進国の中では見劣りがします。

一般に製造業の工場で働く工員は、同じような工員の中では給与に大きな格差は生じにくいです。

しかし、IT産業や金融業はスキルや知識の獲得がかなり難しく、報酬も大きな格差がつく傾向があります。

たとえば、日本国内にも拠点を構える外資系企業(とくに金融業とコンサル業)の労働者の中には役員でもないのに年収2000万~4000万円を稼ぐ人がいます。これは日本の同業他社に比べるとかなり高額です。

現代の先進国の国民の間では大きな経済格差が生じるのです。

まとめ:メリットでもデメリットでもある現象

  • 政府の保護や介入はよくも悪くも少なくなる(放任的になる)
  • 反グローバリゼーションを掲げる政党が出てくる

製造業の雇用を途上国にとられ、さらに大きな経済格差が生じたことにより待遇が悪くなった先進国の国民は不満をもちます。

さらに外国のヒトやモノが自国固有の文化を乱すと、ますます大きな不満をもちます。

そのため、とくに先進国では「反グローバリゼーション」「外国人排除」を掲げる政治勢力が出てきます。

しかし、私企業が生産拠点をどこに置くかはその企業の自由であるため、有力な政治勢力といえど無理強いはできません。

「ウチの国は法人税を安くするから国内企業は拠点を海外に移さないで!」くらいの戦略はとれますが、法人税を下げることにはデメリットもあります。

基本的にグローバル化時代(現代)の各国政府は昔よりも放任的になるのです。たとえば、一昔前のエリートは「日本国内の名門校⇒東大」という感じでしたが、現代のエリートはインターナショナルスクールや外国の大学を

このあたりを解決するのはとても難しいですが、とりあえず個人としては英語やIT、論理思考、経済の勉強はしておいた方がつぶしが利きます。それらは世界中のビジネスで共通のスキルだからです。

2020~2021年ではグローバリゼーションの流れが一気に変わったように勉強はいつの世も必要だといえます。

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