このページではストローク(フォアもバックも)、サーブ、ボレーのいずれにも通じる硬式テニスのコツをわかりやすくお伝えします。
正直言って初心者向けの内容です。
結論からいうと初心者にとって硬式テニスのコツとして重要なのは回転の種類と量をコントロールすること。
どのショットでも一定レベルの回転をかけられるようになれば脱初心者みたいなものです。
テニスのコツ【回転を意識しよう】
テニスの初心者はストロークでもボレーでも大して力を入れていないのにボールが簡単にアウトになった経験をもっているはずです。当然、昔の私にもあります。
「そうなるとラケットを振りきるのが怖いから当てるだけにしよう」とか思いませんでしたか。
確かにテニスボールはラケットにちょっと当たっただけでだけでもアウトになるときがあります。
しかし、テニスのプロやアマチュアで上手な人を見てください。彼らはラケットを強めに振っているにもかかわらず、ボールをコート内におさめています。

力を入れていないのにボールがアウトになる人と、力を入れているのにアウトにならない人の違いは何か。
それは打球方向と回転量の違いにあります。
上手い人はネットの少し上を通るようにして打ちますし、打球自体も回転がかかっているため(=ラケットを振り切っている)ボールがコート内におさまりやすいのです。


回転がかかる原理
次に疑問となるのが「どうやって回転をかけるの?」ということでしょう。
そこでご覧いただきたいのが次の引用動画。ここではテニスの基本中の基本であるボールに慣れる動作を解説しています。
0:45~1:50あたりを見ると、ラケットの向きはほぼ水平、ラケットの動き方の方向は軽く上下、ボールの動き方は上下、そしてボールにはほとんど回転はかかっていません。
次に2:28~3:45あたりを見ると、ラケットの向きはほぼ水平、ラケットの動き方の方向は軽く左右、ボールの動き方は上下、そしてボールには回転がかかっています。
この違いはかなり重要なところです。
要するに、ボールが飛ぶ方と同じ方にラケットを動かすとボールには回転がかかりませんが、ボールが飛ぶ方と違う方にラケットを動かすとボールに回転がかかるのです。
これはこの世の物理法則にもとづいているため、ウィンブルドンでフェデラーがやっても、日本で初心者がやってもボールは同じ動きをします。
ストロークやボレーでも原理は同じ
テニスの物理法則はラケットの向きを垂直や縦にしたときでも同じ(ストロークやボレーで多いパターン)。
ナダルがよくやるように下からこすり上げるとラケットには順回転がかかりますが、水平に振ると回転量は少なくなります。
ラケットを水平に近い感じで振り厚く当たっているとしても、インパクト付近のプロネーション(手首のひねり)が強いとボールには強い回転がかかります。
ちなみに手首だけで回転をかけることを俗に「こねる」といいます。「こねる」を継続的にやると手首を痛めるため、回転をかけるときは腕全体や下半身も使うことをおすすめします。


またボレーにおいても回転を軽くかけることは重要です。ボレーはストロークよりもアウトまでの距離が短いため、短めに飛ばさないとアウトになってしまうからです。
ボレーでボールを短めに飛ばすときは厚く当てるよりも薄く当てて横回転や逆回転を軽く入れることが必要になります。
サーブでも原理は同じ
もちろん、それらはサーブにも通用します。
すなわち、ボールが飛ぶ方向と同じ方へ振るほど回転はかからず(=フラットサーブ)、ボールが飛ぶ方よりも右の方へ振るほど回転のかかったサーブになります(=右利きのスピンサーブ)。
上のフェデラーのスローモーションはスピンサーブの強烈版であるキックサーブですから、ボールが飛ぶ方向とラケットを振る方向が明らかにズレています。
サーブで回転がかからないという悩みをもっている人は、スマホで自分のフォームを撮ってスロー再生してみてください。
回転がかからない人ほど、振る方向と飛ぶ方向が一致しているはずです。
あるいは回内(プロネーション、手首の返し)が弱いと回転はあまりかかりません。
回転とグリップの関係
以上の理屈はお分かりいただけたかと思います。
テニスの初心者にありがち失敗パターン:
- ラケットを振る方向とボールが飛ぶ方向をいつも同じにしようとする
- ボールに回転がかからない
- 当てるだけのテニスになる
- ラケットを振り切らないテニスは爽快感に欠けるため「テニスはつまらない」と感じる
- テニスをやめてしまう
ラケットを振る方向とボールが飛ぶ方向を一致させない打ち方(=回転をかける打ち方)は初心者にとって難しいですが、これは反復して練習すればだれもができるようになります。安心してください。
ただし、それはやみくもに練習すればいいというわけではありません。
なぜなら人間の骨格にとっては、回転をかけやすいグリップと回転をかけにくいグリップとがあるからです。これは打球の種類によっても変わります。
- フォアハンドストロークで順回転(トップスピン)を多くかけたいのなら
ウェスタングリップ
- フォアハンドストロークで横回転や逆回転をかけたいのなら
イースタングリップ、コンチネンタルグリップ
- サーブのグリップ(スピンもスライスもフラットも)
コンチネンタルグリップ
- ボレーのグリップ(回転をかけようがかけまいが)
コンチネンタルグリップ
厚いグリップでもサーブに回転はかかりますが、より回転がかけやすくてスピードも出るのはコンチネンタルです。
厚いグリップでのサーブはデメリットだらけなので、サーブが上達したいのならコンチネンタルで握りましょう。プロとアマチュア上級者はほぼ例外なくサーブのグリップはコンチネンタルです。
なおバックハンドストロークはグリップがちょっと特殊です。これはプロや上級者の間でも意見が分かれており、片手打ちか両手打ちかでも違います。
バックハンドストロークだけはご自身で試行錯誤してみて最適なグリップを探してみてください。
3球種使いこなすことが目標
さて、一般論として同じような力を入れてサーブを打った場合、以下のような関係が成り立ちます。
- フラットサーブ
回転量少ない、速い
- スピンサーブ、スライスサーブ
回転量多い、フラットサーブよりは遅い
要するに回転量を多くすると速さは失われるわけです。これはストロークでも同じ。
ここで「フラットとスピン、どっちがいいの?」と思う人がいるかもしれませんが、どっちもできた方がいいんです。
考えてもみてください。フラットしか使わないプレイヤーと、フラット・スピン・スライスの3球種を使う人のどちらが対戦相手として手ごわいと思いますか。
普通は3球種使う人の方が手ごわいでしょう。
ストロークでもサーブでも球種はどれも打てた方がいいです。
実際の打ち方は中間型が多い
さきほどのフェデラーのサーブは回転重視のスピンサーブ・キックサーブです。
しかし、フェデラーは回転量を少なめにしてサーブの速度を速くすることもあります。ファースサーブでは攻撃性を高める一方、セカンドサーブでは入れることを重視して回転量を多くするからです。
あるいはフラットサーブとスピンサーブの中間くらいで打つこともよくあります。これはアマチュアでもよくやる技術です。ストロークにしても同じ。
つまり、フラット100%(速さばかりのショット)とか、スピン100%(回転ばかりで前に押し出す力に欠ける)なんて極端なことはせず、回転量は多め・少なめみたいな感じで打ち分けます。
対戦相手としてもいつも同じ速さと高さで打たれるよりも変化球やエッグボールも打たれるなど緩急をつけられた方がイヤですから、緩急をつけることは効果的です。
フラットとスピンとスライスは厳密に使い分ける必要はなく、適当な中間路線でもいいのです。
具体的な練習方法
最後にテニスボールに回転をかけるためのお伝えします。
具体的な練習方法は、
- 上手い人をよく観察する(さきほどのYouTube動画がおすすめ)
- 原理を理解したうえでマネしようとする
- 回転量を増減させる意識をもつ
- 地面にカラーコーン、あるいはネットの少し上に的を置いて狙った場所に打つ
の3つが大切です。
男子プロのサーブは上半身の反りが大きいため、アマチュアにはそう簡単にマネできません。もしマネできたとしても負担が大きいため、ずっと打ち続けられるとも思えません。
そのため、フォームをマネするなら女性プロやアマチュア上級者の方がよかったりします。
回転をかける練習をするときに打つのは黄緑一色のテニスボールではなく、色分けされたボールを使うと回転量がわかるためおすすめです。
最初は回転量が多く出せないでしょうが、慣れれば多少は増えます。
ラケットを振る方向とボールが飛ぶ方向のズレに慣れれば脱初心者みたいなものですよ。
