今回は硬式テニスのバックハンドストロークについて前半では両手打ちと片手打ちのメリットとデメリットを、後半では両手バックハンドのコツ(とくに飛ばないという悩みを解決)を紹介します。
筆者は両手バックハンドのプレイヤーですが(バックハンドスライスは片手)、軟式出身でありバックハンドの改善には苦労しましたの参考になるはずです。
両手と片手のバックハンドのメリット・デメリット
まずは片手打ちのメリットについて。
- 上手いのであればカッコイイ
- 上手いのあれば回転量は両手よりも上
- 両手持ちよりも可動域が大きいため広い範囲の打球に対処できる
フェデラーやチチパスなど片手バックハンドが上手いプレイヤーはとてもカッコよく見えるもの。
片手打ちは両手打ちよりも自由度が高いため、広い範囲の打球に対応したり、回転量を大きくすることもできます。
鮮やかなダウンザラインを決めるのも片手打ちのほうがやりやすいです。
片手打ちのデメリット
- 下手だとカッコ悪い
- 強打(速球)は差し込まれやすい
- グリップにも左右されるが、高い打点で打つのが難しい
- 指導者が少ない
筆者の知り合いにプロの片手打ちにあこがれて両手打ちから片手打ちに変えた人がいますが、正直言って上手くありません。
こちらとしてはその人のバックハンドに速い球や跳ね上がる球を打てば、高い確率でポイントをとることができます。
昔のウッドラケットはガットを強く張れない度など強力なストロークを放てませんでしたから、その時代はプロでもアマでも片手打ちが多かったです。
しかし、その後グラスファイバーやカーボン、チタン、タングステンといった軽くて丈夫で反発力のあるラケットが生まれました。
これによってストロークの威力・速度は大きく上がったため、シングルスでのサーブアンドボレーは不利になりました。
現代はボレーヤーよりもストローカーが有利な状況になっているように高速ストロークの時代です。強者のサーブやストロークは手元に強く食い込んできます。
そのため、すごくガタイのいい欧米選手でさえもバックハンドは両手打ちが当たり前になっています。
片手バックハンドは選手も指導者も少ないのです。
両手打ちのメリット
- 片手打ちより簡単
- 強打されても差し込まれにくい
- 高い打点でも打てる
- 指導者が多い
両手打ちは片手打ちよりも自由度が低い分です。その分だけフォームが固めやすいというメリットがあります。
両手打ちは相手の強打も差し込まれにくいですし、高い打点でも打てます。
そのため現代におけるテニスの指導者は両手打ちを教える人ばかりです。
両手打ちのデメリット
- 両手打ちはリーチが短い
- 回転量は片手打ちよりは少ない
- 両手バックハンドが上手だとしてもカッコよさでは片手バックハンドに勝てない
両手打ちは片手打ちよりも届く範囲が短いです。
そのため両手打ちのプレイヤーにとってバックハンド側に来た遠いボールは片手スライスで対応するのが普通となります。
よくフェデラーが片手打ちのフラット気味の球でダウンザラインを鮮やかに決めていますが、それがスライスだと球速が遅くなりますから決まりにくくなります。
つまり、片手打ちは攻撃的かつ早めにポイントをとりたい人に向いている一方で、両手打ちはディフェンシブになりやすいのです。
両手バックハンドのコツ【飛ばないを解決する方法】
次は両手バックハンドのコツについて。それは以下の点を意識すればOKです。
- 打ちやすい打点で打つために足をよく動かす
- 下半身は少し沈み込んでから前に伸び上がる感じ
- スタンスはやや広め(腰を少し落とすのと相性がいい)
- テイクバック~インパクト時は身体は閉じて、フォロースルーでは身体が少し開く感じ
- フォロースルーはきちんととる(中途半端に止めない)
- インパクト直後すぐにヒジを曲げない(前にフォロースルーしてから曲げる)
- インパクトの瞬間だけ力を入れる(テイクバックやフォロースルーでは力を抜く)
- 脱力しながらラケットヘッドを少し下げて回転をかける
- 右利きの場合は左手の力を見直すべき※
以上のコツはブログ(文字)でぐだぐだ説明するよりも、YouTubeでスタテニ、ともやん、ぬいさんぽなどの動画を見るほうがわかりやすいです。
しかし、ここでは彼らがあまり強調していない「左手」について強調しておきます(左利きにとっては右手)。
当たり前ですが、有名なテニス系YouTuberはみんな両手打ちバックハンドがうまいです。
彼らのバックハンドが上手いのは、単純にフォームがキレイだという点が大きいですが、それ以外にも左手を使い慣れているという点も作用しています。
というのも彼らのほとんどは毎日あるいは隔日くらいのペースでテニスコートに入ってテニスをしています。
そこまでテニスをする頻度が高いと、利き腕とは逆の腕に力を入れることにも慣れています。
かたや一般プレイヤーの場合、学生以外は1~2週間に1回くらいのペースでしかテニスができないでしょう。私もそうです。
そうなると利き腕とは逆の腕に力を入れることに慣れていない人が多いはずです。これだとボールは力強く飛びにくかったり、回転がかかりにくいのです。
アウトを恐れるがあまり当てるだけのバックハンドになっている人もいるでしょう。
両手バックハンドは両手で打つだけあって右手と左手両方の力がバランスよく必要です。
具体的には右利きの場合、右手4くらい:左手6くらいの比率が適当だといわれています。
もし両手バックハンドでフォームがとくに悪くないのに打球音や飛び方、回転量に満足できない人は右手と左手の力の比率を見直すことをおすすめします。
利き腕とは逆の腕を鍛える方法
両手バックハンドを上手くなるためには利き腕とは逆の腕を鍛えるべきとは言っても、ジムで徹底的に鍛えてムキムキになる必要はありません。
中学生や高校生くらいの女子プレイヤーでも両手バックハンドがうまい人はいますし、彼女たちの腕力は成人とは大差がありませんから。
テニスで必要な筋力は軽いモノを速く動かすタイプの筋力ですが、ジムで鍛えるのに適しているのは重いモノをじっくりと動かす筋力です。
繰り返しますが、彼女たちと両手バックハンドが苦手な成人との違いは、フォーム以外の面では、利き腕とは逆の腕にも力が入るかが習慣化されているか否かです。
というのも両手バックハンドが苦手な成人は普段の生活の中で利き腕ばかりを使っているかと思います。
コップをつかむとき、ドアをつかんで押すとき、パソコンのマウスをクリックするときなど基本的に利き腕ばかりを使っているはずです。
そのため、テニスをやるときも利き腕に力を入れることには慣れていますが、利き腕とは逆の腕に力を入れることには慣れていないのです。
そこでおすすめなのが、簡単な筋トレと、普段の生活の中で左手(左利きなら右手)を優先的に使うこと。
簡単な筋トレとは、自宅でも扱える軽いダンベルを使った運動や、ハンドクリップ(握力を鍛える)が有効です。
普段の生活の中で左手(左利きなら右手)を優先的に使うとは、ドアやコップをつかむときなど日常動作は利き腕とは逆の腕を使うことです。
目指すは左手がスムーズに使えるように慣れること。この場合のスムーズとは、足、腕(手首、肘、上腕、前腕)の連鎖が滑らかになるということ。
以上のトレーニングを経た人がテニスをすると、豆や手の皮膚が剥けること、筋肉痛は左手にも生じるはずです。