社会・教育

なぜ銀行員や商社マンは出向させられるのか

2020年2月29日

銀行員の出向

大手の銀行や商社といえば就活生から人気があり、また高給で世間体もよい就職先として知られています。

とくに大手の銀行は新卒を多めに採る傾向があります。

しかしというか当然というべきか、こういった企業は入社時の採用区分や20代の実績によって20代後半には出世コースに乗れるかどうかが決まっています。

そのため、社員の多くには出向や転籍が待ち受けています。

今回はこちらについて解説します。

なぜ銀行員や商社マンは出向するのか:ピラミッド型組織

会社の役職ピラミッド

そもそも上の画像のように一般に会社というのはピラミッド型の形状をしています。

つまり、組織の上に行くほど担当する人数が少ないのです。

そのため、人数を過剰に抱える大手企業でそれなりの年齢になっても出世コースに乗れていない人は取引先やグループ会社への出向や転籍が迫られるのです。

出向とは、業務命令によって自分の所属する企業以外の企業や役所で働くこと。

転籍とは、現在所属する企業との雇用関係を終わらせて、新たに別の企業や役所に雇われること。

一般に出向や転籍においては年収が下がる傾向にあります。それは銀行にとっては人件費の削減を意味するので合理的ですが、出向させられる側にとっては左遷や島流しなどネガティブにとらえられがちです。

とくに銀行から金融以外の業種に出向・転籍する場合は年収が下がりがち。
それは金融業の平均給与の高さを意味するけど、金融業から離れてストレスも下がれば悪くない気もする。

しかし、出向や転籍は社員を外部でスキルアップさせるために行われる場合もあります。

とくに出向先が大きな企業や官庁でしたら、本体から期待されているといえます。

そこでは企業の融資や資金調達、決済などを担当することで成長できるはず。また取引先との仲も深まります。

20代での出向は有能で将来が期待されていることの証といわれている。

本体とグループ会社・取引先との関係

一般に大手企業の本体には優秀な人物が新卒採用されるものです。

大手企業は離職率が低いですし優れた人材が多いため、中途採用も少ない傾向があります(=新卒の人材だけで会社はまわる)。

銀行は大手であっても離職率が高めですが、新卒採用はそれを見越して多く採用しているため人員は不足しにくいです。

しかしというか当然というべきか、大企業は新卒人材すべてを本体で雇用し続けられず、また自社系列以外の会社に放り出すのももったいないので関連会社へ出向・転籍させるわけです。

中年になると外部の会社に放り出すという慣習が定着すると、新卒採用はそれを恐れて有能な人材が集まらない。そこで次善策としてグループ会社や取引先にそれなりに高い待遇で雇用させるのだ。
新卒の面接のときに人材を判定できればいいけど、実際に働かせてみないと人材の良し悪し(向き不向き)はわからない。それならやや多めに雇用して出向させるのも合理的。

また銀行の取引先企業が銀行の人材を受け入れると、資金繰りに関してその銀行からはそう簡単に見捨てられません。

人材の受け入れ先企業としては「銀行の人材を受け入れてやったんだから、ウチが経営危機に陥っても銀行はそう簡単に見捨てないはず」と考えるのです。

そのため、銀行から出向してきた人材に支払う給料は高めだとしても受け入れるだけの価値があります。

そういえばTBSドラマ『半沢直樹』の近藤はそんな感じでタミヤ電機に出向していたな。でも、あれはドラマだから出向を悪く誇張していた感じがする。

銀行や商社に限らず新卒時に本体の総合職に有能な人材をたくさん集めて、彼らが30代~40代に達したらグループ会社の管理職や幹部に異動させるなんていうのは日本企業によく見られます。

つまり、新卒時において本体の会社は優秀な人材を集める装置として機能し、やがてそれを身内に振り分けるわけです。

ちなみに2020年ではANA(全日空)の社員がいろんな方面に出向しています。

社員を整理解雇してしまうと航空需要が戻ったときに人材が少なくて大変ですが、出向させておけば航空需要が戻ったときにまた活躍してもらいやすいです。

ANAの社員は優秀であるため人材不足の業界はありがたがっているのかも。

国家公務員でも似たような構造がある

このような構造はエリート格の国家公務員でも同じ。

すなわち新卒時は中央の省庁に雇ってもらい、ある程度の年齢になったら辞めて、その省庁が関連している企業や公的機関に雇ってもらうのです。

エリート国家公務員で霞が関の省庁に残り続けられるのは櫻井翔のパパみたいな事務次官レベルの人だけ。それ以外の大半は退職勧奨(通称:肩たたき)にあうか、公務員の出先機関に行く。
業種にもよるけど、大企業でも本体に残り続ける人よりも出向・転籍する人の方が多いと思う。だから出向は不名誉なことではなく、いたって普通だと思った方が気楽でいいんじゃないかな。

日本社会の制度や慣行は陰湿

たとえば、大企業では社員がローンを組んで家を買うと遠くに転勤させられたりします。

ローンで家を買うとそう簡単に会社を辞められなくなるため転勤が押し付けられるわけです。とくに大企業やそのグループ社員だと優遇金利が適用されることも珍しくありません。

でも、そうやって家を買うと転勤させられること、そして出向や保証人といった日本社会の制度は陰湿な感じもします。

そこでは社員をポジティブな誘因に向かって頑張らせるというよりは、ネガティブを避けたいがために頑張らせるという構造になっているからです。

たとえば、保証人制度において社員は「入社時に自分を保証してくれた人のためにも会社に損害を与えるわけにいかない」と考えがちです。

出向においては「ウチより規模が大きな企業から出向してきたのなら優秀だよね」という周りからの期待やプレッシャーを必要以上に感じたりします。

人間はネガティブにつきまとわれながら仕事をすると、失敗を避けるばかりで大きな成果を出せなかったりします。

こういう陰湿なやり方は日本経済にプラスになっているのでしょうか。

銀行の今後

なお最近の銀行業務はオンライン化と自動化がすすんでおり、支店の数も減っています。これによって社員が余ってきているのです。

余剰社員や銀行の将来に明るさを見出せなくなった社員のなかには、出向や転籍という命令ではなく自主的に早い段階で銀行から転職する人も増えています。

そう考えると、銀行に残っている人よりも銀行を辞めていく人の方が有能なのかもしれません。

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