マナーとは、法に定められない範囲でも人として表した方がいい作法のこと。
たとえば公道で飲酒運転をしたらマナー違反というより法律違反です。一定量以上の酒気帯び運転は減点対象であるように、そこには警察による強制力があります。
一方、高速道路の渋滞最後尾でハザードをつけないとしても減点対象にはなりません。
しかし、最近の日本では追突事故を防ぐためにも高速道路の渋滞最後尾ではハザードをつけるべきという風潮があります。
飲酒運転が法令で禁じられているのは世界共通でしょうが、ハザードの点灯が高速道路でのマナーになっている国はかなり少ないと思います。
このように「法として定められていないとしても人としてなんとなく表した方がいい作法」がマナーです。モラルもそれと似たようなもの。
マナーは国によって違いますが、相手を思いやる、相手を不快にさせない、それなりに合理的であること、相手の時間を無駄に奪わないなどが基本線にあります。
食べるときに大きな音を立てると相手が不快になるため、それはマナー違反と見なされる国が多いと思います。
結論から言うとマナーはとても重要ですが、この日本には余計なマナーもたくさんあります。
今回はマナーに関する話題の中でも一部のマナー講師(失礼クリエイター)のマナー違反について述べていきます。
なおマナー講師の全員がマナー違反をしているわけではないのであしからず。
妙なマナー講師はいらない
たとえばYouTubeでは江頭2:50さんやヒカルさんが某マナー講師に厳しくダメ出しされる動画があります。
江頭さんは業界経験の長いプロの芸人さんですから、すべてが素ではなく演技も交えるなどして面白い動画に仕上げています。
マナー講師の側としても「バラエティ番組」をかなり意識しているはずです。
しかし、マナー講師は素人相手にも厳しく指導します。
そのマナーとやらがまともなマナーだったら少しは擁護できますが、「お前が勝手に創作したマナーだろw」「そんなの揚げ足取りじゃん」という感じのマナーもあります。
インターネットが発達していない時代だったら容認されても、今の時代はだれもがおかしさを指摘できる時代ですから妙なマナーはすぐに批判されます。
芸人・YouTuberと素人では違う
芸人相手なら現代でも面白くなるマナー指導ですが、素人相手に指導すると様相が変わります。
素人相手の厳しいマナー指導だと泣き出す人まで出てくるからです。
とくに一部のマナー講師はドヤ顔と恫喝じみた言葉によって企業のマナー研修を請け負っていますが、恫喝はマナー違反でしょう。
恫喝にもとづく教育は研修というより調教であり、テレビ番組の中でその様子を見るだけでも気分が悪くなります。
恫喝は一歩間違えると犯罪にも発展しますしテレビ番組は影響力も強いですからテレビ局側は面白がって放映しないほうがいいと思います。
おかしいマナーを広めるな
冒頭の方で述べたようにマナーと法律は強制力の面で違います。そして法案は国会で可決されれば法律になるように割と早くつくることができます。
しかし、マナーはその国の人々(=多くの人間)が長きにわたって「なんとなくこの方がいいかな」という行為を続けてきたところに成立するものです。
渋滞最後尾のハザード点灯がまさにそう。ハザード点灯は最近では警察の高速隊もすすめているくらいです。
マナーは確立するまでに時間がかかるといえます。これに関して物議を醸しているのがテレワークのマナー。
日本でテレワークの歴史はまだかなり浅いにもかかわらず、一部のマナー講師(=一部の人間)は「これがマナーだから守れ」と押し付けているからです。
たとえば一部のマナー講師は「とっくりの注ぎ口は円の切れ目であり縁の切れ目を想起させるから切れ目から注ぐのはダメ」とか言っていますが、こんなのは質の悪いこじつけでしょう。
これはマナーの捏造に近いものがあります。マナー講師によるマナーの捏造と流布はマナー違反ではないでしょうか。
マナー講師は「世間では〇〇というマナーが広く行われていて、これは合理的だからやってみて」という感じで紹介するようにマナー講義を展開すべきでしょう。
昨今ではマスクの色や柄について捏造マナーを流布するマナー講師がいますが、それは個人、あるいは個々の法人ごとに決めればいいのであってマナー講師が踏み込む領域ではありません。
日本企業の業務には至るところに「マニュアル」があるように、企業がマナー講師を使うのも曖昧なマナーをマニュアル化して安心したいのでしょう。
テレワークは合理化が基本線のはず
昨今のテレワークではIT機器やソフトを使うことが基本であり、IT機器やソフトは作業内容や時間について合理化を指向します。
そんなIT機器やソフトを使っているのに無駄なマナーに時間をとられるとしたら害悪としか言いようがありません。
もちろん、電子メールにおいては一定のマナーがあるようにテレワークにおいても少しのマナーがあることまでは否定しません。
しかし、昨今の日本が不合理な慣習を減らす方に向かっている中で、テレワークについて余計なマナーを流布するのはやめてもらいたいものです。