このページではローソク足と並ぶテクニカルの代表格である移動平均線をわかりやすく解説します。
ローソク足が理解できていれば問題なく理解できるはずです。
移動平均線の見方についてわかりやすく
移動平均線とは、一定期間における終値の平均を計算し、それを結んでできたグラフのこと。
↑のようなチャートは単に一定時間ごとの終値をつないだものであるため形がジグザグです。
一方、移動平均線は一定期間ごとの終値平均を結んだ線なのでそれよりは滑らかな線を描きます。
その期間は、5日(土日抜きの1週間)、25日(約1か月)、50日(約2か月)、75日(約3か月)、200日など5の倍数を使うのが普通です。
移動平均線は直近の終値から一定期間(5日や25日など)ごとの平均価格を導くため、最新の株価が算入される一方で古い株価は次々に計算から外されます。
これは1営業日が終わると、その最新の1営業日分が移動平均線に加えられますが、最も古い株価は外れるということです。
繰り返しますが、移動平均線は一定期間ごとの終値平均を結んだ線です。移動平均線だけでは出来高の多い少ないはわかりません。
移動平均線からトレンドがわかる
上のチャートの場合、実線が25日移動平均線で、赤い点線が75日移動平均線です(縦軸は株価で横軸は1週間ごとの時間)。
移動平均線は25日線と75日線が使われやすいです。
この移動平均線を使うことで日々の小刻みな動きにとらわれない大まかなトレンドがわかるようになります。
基本的に移動平均線が右肩上がりであれば上昇トレンド、逆に右肩下がりであれば下降トレンドです。
しかし、移動平均線は5日線から200日線まである中で、どれをどのように使いこなすかはかなりの経験と技量が必要です。
ただ、中長期的なスタンスで金融商品を買う際の基本は、下降トレンドの銘柄について反転を狙って買うより、緩やかな上昇トレンドの銘柄を買ってトレンドに乗ろうとする方が安全だといわれています。
移動平均線のポイントは4つ
移動平均線の基本的なポイントは4つあります。
- 移動平均線は遅れる
- 支持線と抵抗線
- 移動平均線と移動平均線の関係(ゴールデンクロスとデッドクロス)
- 移動平均乖離率
第一のポイント「移動平均線は遅れる」は、移動平均線は複数の平均株価から導かれるため、実際の株価やローソク足よりも遅れた形で動くということです。
その証拠に株価が上昇トレンドにある19週目以降は25日移動平均線が、ローソク足の下側からローソク足に遅れる形で右上がりになっています。
支持線と抵抗線
第二のポイントは支持線と抵抗線です。
たとえば7週目を見ると陽線実体の下側(週足の始値)が25日移動平均線に触れる形になっており、その後は株価が上昇しています。
これは「移動平均線が支持線になった」と呼ばれます。
要するに、7週目の始値は25日移動平均線に触れていますが、少ししか割らずに移動平均線が下支えとなって上がったので悪くないと判断できるのです。
逆に移動平均線を下回っている状態から株価が上がって移動平均線に接したとき、移動平均線に跳ね返される形になると「移動平均線が抵抗線になった」と呼ばれます。
移動平均線と移動平均線の関係
第三のポイントは移動平均線と移動平均線の関係です。
その典型がゴールデンクロスです。ゴールデンクロスは短期の移動平均線が中長期の移動平均線を下から上に抜けることをいいます。上記のチャートだと23週目があてはまります。
ゴールデンクロスが起きるということは、最近買った人(短期の移動平均線で示される時期に買った人)の含み益が増えているということです。
一般にゴールデンクロスの組み合わせは25日移動平均線と75日移動平均線が使われやすいです。
ゴールデンクロスは上昇局面に入ったと見なされるなど買いシグナルの一つなのですが、このチャートだとゴールデンクロスしてから買うので少し遅い感じです。
またゴールデンクロスが出現したとしてもその後、下落トレンドに入ることも珍しくありませんので絶対視せず参考指標の一つとして見るべきでしょう。
なおゴールデンクロスとは逆に、短期の移動平均線が中長期の移動平均線を上から下に抜けることをデッドクロスといいます。上記のチャートでは16週目があてはまります。
デッドクロスは売りシグナルの一種なのですが、ゴールデンクロスが絶対ではないようにデッドクロスもかならずしも悲観すべきとはいえません。
移動平均乖離率
第四のポイントは移動平均乖離率です。
すなわち移動平均乖離率とは現在の株価と移動平均線との離れ具合の度合いを意味します。これによって売買シグナルが見える場合があるのです。
たとえば、上のチャート8週目付近を見てください。25日移動平均線と75日移動平均線よりもかなり上に離れたところにローソク足があります。
つまり、移動平均線から上に離れたところにローソク足があると、最近の平均から離れすぎ(=買われすぎ)なので近いうちに移動平均線に近づくように株価が下がる公算が大きいということです。
逆に移動平均線よりも下に離れたところにローソク足があると、売られすぎなので近いうちに上がる公算が高まるということです。
移動平均乖離率は数字によって表すことができ、+5%以上はやや買われすぎで、-5%以下はやや売られすぎ、+10%以上となると強めの売りシグナルで、-10%以上は強めの買いシグナルといわれています。
銘柄ごとの最新の移動平均乖離率はネット証券やヤフーファイナンスなどで簡単に見ることができます。
このチャートだと移動平均乖離率はある程度的中しているのですが、これもゴールデンクロスと同様に外れることもあるので参考の一つになるにすぎません。
実際、25日移動平均線では下に乖離しているのに、75日移動平均線では上に乖離しているというように、どちらの移動平均線をとるべきか迷う場合も多くあります。