通勤路線・住宅

満員電車の解消・解決策を本気で考えてみた

2020年5月27日

大都市の群衆

山手線2階建て車両、実現する? 小池氏構想にJRは…

以前、小池百合子氏は上の引用のようにオンブバッタ↓みたいな2階建て電車の導入で満員電車を解消するといって失笑を買いました。

オンブバッタ

こんな案は、

  • ホームも架線も車体も画像のとおりに工事できるわけがない(とくに地下区間の拡張は無理がある)
  • 電車の車高がここまで高いとスピードが出せない

という点で無理に決まっています。

こういう策は掲示板のネタや子どもの妄想として考えるのはありでも、選挙公約として掲げるのは詐欺に近いものがあります。

おそらく、小池氏は自分で考えたわけではなくブレインから入れ知恵されたのでしょう。

そこで今回はそんな荒唐無稽な案ではなく、満員電車のまともな解消・解決策のアイディア(アイデア)についてわかりやすく示します。

満員電車の解消・解決策

まずは現状の鉄道会社の姿勢から。

よく「首都圏の鉄道会社は満員電車をほったらかしにして運行しているなんてひどい」といわれたりしますが、鉄道会社は改善に向けてかなり頑張っています。

とくに混雑することで有名な東西線や中央線はピーク時には2分おきに発車しています。これは終着駅での折り返しがある割にかなりすごいこと。

もっと線路を増やすことができれば本数が増えて混雑率は下がるでしょうが、地下はまだ建設可能な区間が少しあるとしても地上区間はほとんど無理でしょう。

車両を増結するのもホームのスペースが限られている以上、鉄道会社の努力に期待するのは限度があります。

信号システムの改良によってもう少しだけ増発できる可能性はあるようだけどね。

椅子がまったくない車両を導入すれば混雑率は多少緩和されます。昔の山手線はそれをやっていました。

しかし、今ではやめてしまったということはすいている時間帯は不評だったのでしょう。

乗客が協力する

平日朝の小田急線上り列車が定刻通りに終点の新宿駅に到着できると、「お客様のご協力により定刻通りに到着できます」という旨の言葉を車掌が発します。

この場合の協力とは、分散乗車をする、駆け込み乗車をしないなど。分散乗車は乗車時間帯の分散と乗るドアの分散の両方を含んでいます。

なんで電車が定刻通りに終点に到着できるだけで感謝の言葉を発するのかといえば、次のような悪循環が避けられるから。

  1. 偏った乗車率(分散乗車ができていない状態など)によって定刻通りに終点に到着できない
  2. 前を行く電車が遅れると、そんなに混んでいない後続の電車までも遅れてしまい乗客のストレスがたまる
  3. 乗客のストレスがたまることは鉄道会社への不満がたまることとほぼ同義
  4. 鉄道会社への不満がたまって乗客が少なくなれば業績悪化にもつながる

よく知られているように人間の混雑に対するストレス感は所要時間が短いほど小さくなって、所要時間が長いほど大きくなる傾向があります。

混雑しているうえに遅延したら二重苦ですから、乗客は速やかな運行に協力した方がよいというわけです。

電車の乗車率が高い方が収益は大きくなるから混雑は鉄道会社にとって喜ばしい状態に見えるけど、それによって客の満足感が下がるというジレンマもあるわけか。

ダイナミックプライシングの可能性

次はホリエモンこと堀江貴文氏が『東京改造計画』で掲げたことで有名になったダイナミックプライシングについて。

ダイナミックプライシングとは、商品価格をそのときの需給に応じて細かく変えること。

これを満員電車の解消策にあてはめると、たとえば朝7時~9時に改札を通る人の運賃は通常よりも多く徴収して、それ以外の時間帯は安くするということです。

このとき需給バランスから運賃を決めるのは人工知能に任せることが想定されます。

これによって最混雑時間の利用者が減り、混雑は分散することが期待されます。

しかし、ダイナミックプライシングは航空機や新幹線といった事前予約が多い交通には適しますが、そうではない交通に導入するのは難しいです。

新幹線や航空機の予約はすでに早割制度が定着しているから、穏やかなレベルでのダイナミックプライシングがすでに導入されているようなもの。

事前予約は「羽田発新千歳行き15:00の航空便が1万円」というように搭乗前の段階で、予約タイミングによって異なる料金に同意したうえできっぷを買います。

新幹線にしても山手線にしても切符による乗車は買った時点で決まっているのです。

ダイナミックプライシングの導入が難しい理由

しかし、現代の首都圏の在来線および私鉄はICカード利用での乗車がとても多いです。

ICカードによる利用だと改札から出るときに運賃を徴収します。そこでは1円単位で運賃を設定・徴収できます。

定期券としてのICカード利用だと改札ではチェックするためにタッチするという感じですが。

この仕組みを利用すれば、ICカード利用でもダイナミックプライシングが実現できそうな感じもします。

しかし、ICカードは万能ではなく、いわゆるエリアまたぎには使えません。

エリアまたぎとは、たとえばJR東日本エリアの駅でICカードで入場して、JR東海エリアの駅でそのICカードで降りること。

エリアまたぎはきっぷなら問題ありませんが、ICカードでは不可能です

エリアを統合した料金徴収システムは複雑すぎるため、なかなか統合は進まないのです(一部の統合は可能)。

きっぷの全廃はエリアまたぎが全面解決しない限り不可能かな。

ここでICカードにはダイナミックプライシングを適用して、きっぷ乗車にはダイナミックプライシングを適用しないとすれば不公平です。

あるいは何らかの工夫によってダイナミックプライシングを導入できたとしても以下のような問題が起きると思います。

  • 運賃が値上がりする直前の列車や改札ばかりが混雑する
  • 会社での交通費精算がややこしくなる
  • 首都圏の鉄道は乗り入れがやたら多いため、運賃の表示や徴収システムがややこしくなる
通常運賃と混雑時間帯の運賃の差が大きければ、上記はより深刻になる。かといって運賃の差が小さいと大した効果はないため、やる意味がなくなる。
ICカード乗車ならピーク時の改札入場時に画一的に30円くらいを上乗せすることはできる。でも、乗り換え駅によっては複数回にわたって上乗せされるパターンもありそう。
ICカード乗車は定期券乗車と定期外乗車とでは違うしね。

ちなみにロンドン、ニューヨーク、シンガポールの都市鉄道ではダイナミックプライシングがすでに導入されています。

そういう地域は日本よりも鉄道利用者が少ないですし、単一の事業者が価格を決めて徴収します。

しかし、日本の首都圏はさまざまな鉄道会社が入り乱れている実に複雑な運賃システムであるため、そう簡単に導入できないというわけです。もちろん、エリアまたぎの問題もあります。

ダイナミックプライシングは工夫次第では導入できる可能性もありますが、現状では難点の方が気になります。

大きな効果がない割に実行して事態が複雑化するだけだったら「最初からやらない方がいい」ということになるでしょうし。

新幹線みたいな事前予約としての乗車と、ICカードでの乗車の差って大きいね。

企業が工夫をすすめる

ダイナミックプライシングは鉄道会社が運賃を操作することで乗客が電車に乗る時間帯をばらけさせるものです。

これとは別にそれぞれの企業が時差通勤や在宅ワークを奨励すれば混雑は分散します。

有名なところでは伊藤忠商事株式会社が早朝出勤を奨励しています。

もちろん、学校の類が時間差通学を意識した時間割にしてもいいでしょう。未成年をあまりに遅く帰らせるのは問題がありますが。

昨今では世界的な●●●ショックによってテレワークも進みつつあります。

ほかにも企業がハンコ文化やムダな会議などをやめさせれば、従業員を都心に通勤させる日数は少なくて済むはずです。

通勤は面倒だけど、実際に会って話すことでよいアイディアが出てくることもある。
テレワークできる仕事でも1ヶ月に数日は出社した方がいいのかもね。

東京一極集中を分散させる

筆者は東京、大阪、名古屋といった大都市圏に人口が集中するのは問題ないと思っています。その方がインフラ投資の効率はよいからです。

山奥に立派な鉄道をつくってもあまり意味がありませんが、利用者の多い都会ならインフラ投資が役立つというもの。

しかし、日本にいくつかある大都市圏のうち東京にばかり人が過剰に集まることは問題があると考えています。

東京にばかり過剰に集まると、たとえば満員電車の混雑率は180%以上が当たり前になってしまうからです(他にも問題はあります)。

東京圏で混雑する路線のワースト10は180%以上の混雑が当たり前。

一方、京阪神においては御堂筋線が混むくらいで、あとは概ね120%~140%くらいの混雑率。

名古屋圏の混雑率も京阪神と似たようなものです。

そこで東京一極集中を分散させれば東京の電車の混雑は緩和されるわけです。代わりに京阪神や名古屋の混雑率は上がるでしょうが。

具体的には他の大都市圏への政府機関の移転、そして法人税や住民税などの改正によって東京以外の土地に企業・住居・大学を置くことを奨励するのです。

ただ、日本のエリートは官庁にしても大企業にしても東京にすがりつく意識が強いため、現状では一極集中の分散はすすんでおりません。

東京一極集中は意識の問題でもあるわけか。
エリートの間では「都落ち」なんていう感覚も残っているし。

他の交通手段でもって通勤してもらう

最後に電車以外の交通手段での通勤をすすめるという手段もあります。

すなわち、路線バス、タクシー、自転車、徒歩などです。

政府や企業は電車以外の手段で通勤する人にお金を支援すれば、他の交通手段に頼る人も出てくるでしょう。

しかし、東京は線路・電車内だけでなく道路・バスもかなり混雑しているため、路線バスやタクシーでの移動は時間がかかりますし到着時間が読みにくいです。

それに自転車や徒歩はもちろん、路線バスやタクシーでの移動もそれなりに近距離でないとお金や時間が電車よりも多くかかってしまいます。

とくに郊外に住んでいる人が路線バスやタクシーで都心まで通勤するというのは無理があります。

都心の家賃は高いため、そう簡単に職住近接ともいかないでしょうし。

まとめ

満員電車の混雑を解決・解消するアイディアは、現実的なレベルではこんなところでしょう。

そこでは公的機関と企業の両方が現状を変えようと積極的に変えることが必要です。

もし、現実的に実行できるレベルで画期的なアイディアをお持ちの方がいたら筆者にご連絡ください。

東京タワーの夜景
参考東京一極集中はなぜ起きるのか

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