社会・教育

女性の社会進出と少子化と対策をわかりやすく解説

2019年7月17日

働く女性と議会

現代の日本は「女性の社会進出」がそれなりにすすんだ時代に見えます。

そもそも社会進出とは、女性がレジ打ちや介護といった身近な仕事だけでなく、国会議員や大企業の幹部に就くことも含んだ広い概念だと筆者は考えています。

ここで、よくある意見(とくに保守派から)として「女性の社会進出がすすんだから少子化もすすんだ。だから、女性を専業主婦化すれば少子化は改善する」があります。

確かに女性の社会進出は少子化に影響したっぽいのですが、女性の社会進出率が高い国でも出生率が高い国はあります。

ということで、今回は女性の社会進出と少子化の関係をわかりやすく解説いたします。

まずは筆者の個人的な意見ではなく、少子化の原因を客観的に見ていきましょう。

女性の社会進出と少子化と対策の経済的な理由

まず、政府や企業が少子化の改善に向けてどんなに頑張っても一般に先進国では子どもは少産少死で、途上国では多産多死になる傾向があります。

これは構造的な要因が強いです。

2016年の合計特殊出生率 2016年の平均寿命
日本 1.44 83.98歳
アメリカ 1.82 78.69歳
フランス 1.92 82.27歳
韓国 1.17 82.02歳
スウェーデン 1.85 82.20歳
ニジェール 7.2 60.06歳
ナイジェリア 5.5 53.43歳
ニカラグア 2.2 75.40歳
上の表のうち日本~スウェーデンが先進国、ニジェール~ニカラグアが途上国です。

上の表からはニジェールとナイジェリアの出生率が明らかに高いことがわかります。

そして先進国の中では日本と韓国が低い一方で、スウェーデンとフランスとアメリカが高いです。

先進国と途上国の間においてはなんでこんな違いが表れるかというと、経済面では以下のような違いがあるからです。

  • 先進国主力産業は第三次産業。そこでは基本的な読み書きや計算ができないと戦力にならない。そのため政府と親は子どもに高い学力をつけてもらおうとする。子どもの学歴と教育費は高い。
  • 途上国主力産業は肉体を駆使した農業(先進国の農業より非効率)。そこで親は子どもに早くから畑で働いてもらおうとする。そのため子どもが多い方が合理的。
先進国では子育て費用が高いから子どもの数は少なくおさえがち。その分、愛情は少ない子どもに集中できるけど。というか途上国の子どもは親から愛される対象なのか疑問(途上国の子どもは労働力)。
途上国では子どもの性別は男の子が好まれる。男の子の方が労働力として役立つからだ。昔の日本もそうだった(日本の場合は家督としても必要とされた)。

先進国の農家は財務諸表を読んだり高度な農具を使って効率的な農業を営みます。また高級品をつくってブランド感を出したりもします。

しかし、途上国の農業はそこまで効率的ではないのが現状です。そのため、もとめる人材や教育の質も変わってきます。

また途上国は食料事情や治安の悪さ、交通事故率の高さ、そして病気と医療水準の低さによって子どもを早い段階で失う可能性が先進国よりも高いです。

こういう環境では子どもをたくさん産む方が合理的です。

途上国では未だに人身売買がはびこっているからな…。

途上国には未熟という希望がある

それに途上国の経済は絶対的な水準では先進国より低いとしても未熟な分「これから伸びていく」という希望があります。

高度経済成長期の日本や一昔前の中国もそんな感じでした。

こういう希望があると賃金も上昇傾向になりますし、子どもをつくりやすいのでしょう。

一方、バブル崩壊後の日本は景気回復した時期もあるけど庶民には実感が薄く、将来への不安が大きくて子どもをつくれないって感じかな。

昔の日本には「いつかはクラウン」という時代がありました。

高度経済成長と年功序列型賃金と終身雇用によって一つの企業で地道に働き続けていれば、トヨタ・クラウンのような高級車?を買えたということ。

こういう時代は終わったっぽいです。

ただ、そうはいっても経済成長(成長して財源を得る)、子育ての手当拡充、教育負担の軽減化といった経済対策は必要でしょう。

日本の中で出生率が高いのは沖縄県。日本で出生率は田舎(とくに南方)>都会の傾向がある。都会で大卒まで面倒をみると教育費が高くつくけど、沖縄で大卒をめざさずにのんびり暮らすのなら、そこまでの費用はかからない。
沖縄県民の平均所得は少ないのに出生率が高いということは南国気質が大きいんじゃないかな。沖縄県は離婚率も高いし。
沖縄県の中でも離島部の出生率がとくに高いことから、不便さや娯楽の少なさなども出生率の高さに影響しているっぽい。

娯楽や価値観も影響する

途上国のように娯楽が少ないと、若者にとって欲求の対象は現実の異性(身近にいる異性)にばかり目が向きがちです。

とくに途上国の人間は避妊や中絶について絶望的なまでに知識がなかったり、中絶を禁止にしていたり、女性の権利を蔑ろにして望まぬ子どもを数多くつくっていたりします。

アフリカの出生率の高さはこのあたりも大きく影響しています。出生率が高すぎる社会は女性にとって不幸な確率も高いのです。

この点、先進国の人間は男女ともによく教育されています。先進国では男女の間で子どもをつくる場合、法律にもとづき結婚してから、たがいによく話し合って合意のうえでつくるからです。

日本の恋愛と結婚と人間関係と子づくりはそれだけ面倒だともいえるよね。

また、現代の日本のように娯楽が充実していると現実の異性に費やすエネルギーは少なくなります。

日本人はインターネットや人形、特定のお店などを使えば異性に対する欲望を解消できるということです。

さらにかつての日本では「男は家庭をもって一人前、女はさっさと家庭に入って子どもを産むのが当たり前」などといわれてきましたが、こういう考え方は若い世代を中心に薄れてきました。

いわゆる草食男子なんていうのもそれらの価値観の表れといえるでしょう。

日本の場合、一昔前はお見合い結婚が多かった。ここでは若い男女をなんとか結びつけようと世話を焼く中高年がいたけど、現代ではそういうことをする中高年が減ったために結婚が少なくなったという指摘もある。
なんか経済発展とともに個人主義が拡大した感じなのかな。

社会進出は真の原因か

オフィスで働く女性

それに現代の先進国では女性の高学歴化と社会進出も活発です。

こういう環境だと最終学校を卒業したのが遅い分、結婚も遅くなりがち。これが晩婚化という現象です。

晩婚の方が生理的に子どもが少なくなりやすいのは説明するまでもないでしょう。

また日本では女性が大卒で就職したのに早くに寿退社すると、そこでキャリアは途絶えてしまいます。

大卒で寿退社せずにキャリアを続けた場合と、退職して子育てを数年経験してから職場に戻った人との生涯賃金格差は数千万円にも達するといわれています。

そのため、とくに高学歴・総合職のキャリアウーマンは早々と結婚して子どもを産むことに気が進まないのです。

これを対策するとすれば、企業は従業員が育児休業をとったとしてもキャリア面で大きなハンデにならないようにすることが必要です。

専業主婦の存在とスウェーデンの事情

ここで考えたいのが専業主婦の存在。

というのも、日本の高度経済成長期は専業主婦が多く、出生率も高かったからです。

しかし、最近では専業主婦率と出生率はどんどん下がって共働き世帯が増えています。

そのため、保守派は「専業主婦率を上げれば出生率も上がる」なんてことをいうわけです。

確かに日本の専業主婦率は下がっているのですが、それでも専業主婦率は30%近くあります。これはスウェーデンの専業主婦率1~2%に比べるとかなり高いです。

つまり、女性の社会進出率が高いスウェーデンは出生率もそれなりに高いですから、女性の社会進出は関係ないともいえるのです(あるいは女性が社会進出したとしても環境や政策によっては出生率を上げられる)。

スウェーデンは男性の育児休暇率も高いため、子育ては女性にばかり負担がかからず、女性は安心して産めることが出生率の高さの要因といわれています。

日本人は結婚に厳しい倫理観をもっている

また、フランスやスウェーデンといった先進国では婚外子やシングルマザーもかなり多いです。

日本はそれに比べると婚外子やシングルマザーがかなり少ないのは、日本人はそれだけ形式や周りに気をつかっているからです。周りに気をつかいすぎると、少子化の一因にもなります。

日本の女性にとって結婚は「よその家に入る」という感覚が根強いように、親戚や姑との関係も面倒ですから結婚に及び腰になるのです。結婚相手として長男が嫌われるのはそれをよく表しています。

日本の芸能人や議員が不倫をやらかすと世間から強く叩かれ、謝罪会見を行う。しかし、不倫みたいな民事で謝罪会見をする必要があるのか。実際、欧米では不倫だけで謝罪会見をする事例はあまり見たことがない。つまり、日本は結婚に関して世間の目がとても厳しいのだ。
日本人がシングルマザーや婚外子に厳しいのと共通するものがあるね。そこには有名人に対する羨望や嫉妬もあるんだろう。

「男は外で仕事、女は家庭で専業主婦」なんていうのがまかり通っていたのは高度経済成長期だけであって、それ以外の時代では共働きが普通です(貴族はのぞく)。

つまり、少子高齢化がすすんでいる現代の日本では女性も立派な労働力だといえます。国民の多数が労働力としての移民を受け入れるのがイヤであれば、女性も積極的に働かないと国がもちません。

フグ田サザエ、野比玉子、さくらすみれ、野原みさえみたいな有名家族アニメの母親はすべて専業主婦。それらは1940年代~1990年に連載を開始したマンガが原作だから設定も古いのだ。
そういえば「妻の内助の功があったから自分は成功した」と発言する芸能人やアスリートは見なくなった。この発言は女性を家庭に閉じ込めるのを肯定している感じで好感度が下がるからだろう。

子育て環境が整っていない

少子化の原因の最後は、子育て環境が整っていないという指摘です。

これは日本では保育所が整っていないとか、都会の満員電車は妊婦や小さい子ども連れに厳しいというようなことです。これも少子化に影響しているでしょう。

このあたりの対策は政府や鉄道会社による奮起がもとめられるところ。まあ限界もあると思いますが。

また、会社員の夫が忙しいため家事や育児にあまり協力できないというのもよく指摘されるところです。

最近では男の育児休暇も制度上は整えられつつありますが、企業に勤める男は「男が育児休暇をとったら出世に悪影響がおよぶし、職場の雰囲気もとれる感じじゃない」ととるのを控えます。

そのため企業としては、男性の家庭進出促進策として男性従業員が育児休業をとってもキャリア上は不利にならないようにすることが必要です。

ここまでのまとめと対策(まだ続きがあります)

左側は少子化の原因、右側は少子化の対策

  • 経済の問題(子育て費用の高さ、経済の成熟感)経済成長、手当拡充、教育負担の軽減化
  • 娯楽や価値観の多様化対策なし(娯楽や価値観は政府や企業が介入することではなく各自の自由)
  • 女性の社会進出・晩婚化女性が育児休業をとったとしても、キャリア上は大きなハンデにならないようにする
  • 法律婚や親戚・姑関係がわずらわしい婚外子やシングルマザーを差別しない。子どもをどうするかは現役の夫婦が決めるべきであって夫婦の親は過剰に干渉しない。
  • 子育て環境の不備男性の家庭進出促進、保育所拡充

以上が少子化の原因と対策です。

少子化の原因と対策がつかめたところで次に女性の気持ちを考えてみましょう。

社会進出と少子化の間で揺れる女性の気持ち

ここで気になるのは出生率を左右する年ごろの女性の気持ちです。

現代では女性の気持ちはかなり多様化していると思います。それは以下のとおり。

  • 子どもを産むのなら専業主婦として育てたい
  • 子どもはいらないから管理職としてバリバリ働きたい
  • 旧帝大卒だけど金持ちの男と結婚して専業主婦になりたい
  • 本当は働きたくないけど、夫の収入の低さや病気の可能性、将来の年金などを考えると保険だけに頼らず働きに出るしかない
  • 一昔前の専業主婦は夫に問題があってもそう簡単に離婚できなかったけど(経済力ダウンが大きすぎる)、今のキャリアウーマンは男性を頼らずとも一人で生きられるようになったのは大きいと思う
  • 仕事をしているとイキイキとする女性と、そうではない女性がいるが、前者タイプは仕事に就いた方がいい
  • 能力のある女性ほど「女性の社会進出」を訴えているような気がします
  • うちの家庭は、夫がフルタイム労働、私はパートと家事と育児と介護。どちらが大変かな
  • フルタイムの仕事を辞めたら子どもから優しくなったといわれた
  • 女性が要職に就けても子どもにめぐまれないと不満に思う人もいる。女の幸せって何なんだろう?
  • 今の時代は祖父母や私塾が学童保育を担っている面がある
  • 子どもが熱をだしたり風をひいたとき、フルタイムで共働きの夫婦では妻が仕事を休むことになりがち
  • 専業主婦が多かった1980年代は学校がとても荒れており、少年犯罪の件数やイジメなどがひどかった(=専業主婦がよい子を育てられるとは限らない)

こうして見ると、いろんな女性がいると感じると思います。

ただ、現状の日本では女性の労働者が働く先は医療・福祉と小売業に偏っています。

そこで筆者としては、女性は他の業種にももっと進出してほしいと思います。

たとえば、女性がメーカーのマーケティング・企画担当になれば生活用品や家電の企画開発で優れた感性を発揮できるはずです。

他に建設業やIT産業などでも女性の感性を活かせば収益向上に役立つと思います。

このように女性の社会進出と少子化をめぐる現代では、政府だけでなく企業や民間人にも配慮がもとめられます。

まとめ

日本は企業幹部や議員に女性が少ない国です。政財界では男というだけで有能とは限らないにもかかわらず偉そうにしている人もいます。

政財界に有能な女性がもっと増えて、女性の感性が広まれば日本社会は多少なりとも改善するように思います。

ただし、よく左派は「男女平等」を主張しますが、子どもは女性にしか絶対的に産めないように男と女では違うところがあります。

そのため完全な平等ではなく、両者がうまく補い合える仕組みをつくるべきだと思います。

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