株式投資のまったくの初心者の場合、最初にどれを買えばよいのか迷うでしょう。昔の筆者もそうでしたし、今でも迷う場面は多くあります。
最終的にどれを選ぶかはあなたの自由ですが、個別銘柄の選び方は大きく分けて3パターンあることを知っていただきたいと思います。
その3パターンとは以下のとおり。
- 配当や優待には期待できないけれど株価の大きな上昇には期待できる(新興株に多い)
- 株価は大きく上昇しなさそうだけど、大きな下落もなさそうだし、配当や優待に期待できる(中型株~大型株に多い)
- 株価が特定のレンジを行き来しているパターン(ボックスレンジ)
今回は以上についてわかりやすく解説します。
まずは1からです。
初心者が覚えるべき個別銘柄の選び方:新興株
結論からいうと、東証マザーズやジャスダックに上場している銘柄で時価総額500億円未満くらいの銘柄は今後、業績も株価も大きく伸びる可能性があります。
東証マザーズやジャスダックには新興企業が上場しますから、そこでの株は新興株と呼ばれます。
新興企業の世間的な知名度は低いですが(メルカリなどはのぞく)、大きな値上がり期待があるため個人投資家に人気があります。
こういった新興株は基本的に配当も優待もないのですが(あるとしても少ない)、株価の上昇には期待できます。
とくに、バイオ、ゲーム、ITに関連した業種で、売上および利益が上がると予想されている銘柄は株価上昇の期待度も大きいです。
現状の業績は赤字でも近い将来、大きな利益があがりそうだと見なされると株価が急騰することもあります。
しかし、新興株は株価が数倍になる夢がある一方で、数分の一になるリスクもあります。
つまり、新興企業はまだ新しく小さいため伸びしろが大きく、さらに経営がよくも悪くも不安定であるため株価の動き方も大きいのです。
もし、あなたが新興株を買うのなら株価の動き方が大きいという点には十分注意してください。
新興株の注目銘柄
次に新興株について筆者の注目銘柄を紹介します。これらは筆者の個人的な予想であり、読者に強いるものではありません。投資は自己責任で行ってください。
- 6050 イー・ガーディアン
インターネットに関するセキュリティを総合的に扱う会社。詐欺対策だけでなく誹謗中傷や違法動画の監視も行う。業績はじわじわ伸びているうえに時価総額はまだ約300億円。ネットの誹謗中傷対策は国策となりつつあるなどまだまだ伸びしろはありそう。
番外編:古い企業の中に掘り出し物があるかも
ここで創業および上場年は古いものの、時価総額が低い企業も一つ紹介しておきます。
この類の銘柄は古い業種である場合が多く、伸びしろにも欠けやすいですが、たまによさげな銘柄もあります。
- 6101 ツガミ
おもに小型自動旋盤という工作機械を生産する会社。機関投資家による評価はまあまあ。新興国の開拓を重視している。
中型株~大型株は新興株に比べると穏やか
次は「株価の大きな上昇には期待できないけれども、大きな下落もなさそうだし、配当や優待に期待できるパターン」についてです。
こういう銘柄は東証一部に上場している企業のうち、時価総額が5000億円以上の銘柄に多いです。これらは中型株や大型株と呼ばれます。
一般に中型株や大型株は、
- 業績は新興株に比べると手堅い
- 配当や優待は中~やや高レベル
- 日経平均株価に影響されやすい
- 機関投資家が積極的に参加している(新興株は発行数が少ないため、大量に売買する機関投資家は積極的に参加しづらい)
- ボラティリティは新興株に比べると小さい(株価の1日の変動幅は小さい)
という特徴があります。
中型株~大型株の株価は下がるにしても上がるにしても新興株よりは緩やかな傾向があるため、初心者にも対応しやすいです。
また大型株は、ソニー、トヨタ、ソフトバンク、三菱商事、三井不動産など知名度の高い企業ばかりのため、なじみやすいです。
こういった銘柄を100株だけ買って、その脇では新興市場の株価も観察するという方法は初心者におすすめのパターンです。
大型株の株価の動きに慣れ株式投資の知識もついてきたら、他の分野の銘柄にも挑戦するとよいでしょう。
初心者がいきなり不安定な銘柄(新興株に多い)に大金を投じると、みるみる含み損が増えて投資が嫌いになってしまう場合もありえます。
そのため、初心者は株価が安くてあまり動かない株を少額だけ買った方がよいというわけです。
中型株~大型株の買い方
なお中型株~大型株を買うのでしたら、四季報や証券会社のデータなどを参考に以下のような感じで銘柄を選んでみましょう。
- まず外需銘柄か内需銘柄かを選ぶ(外需銘柄は国際情勢に左右されやすくやや不安定なため、安定をもとめるのなら内需銘柄)
- ここ数年は増収増益基調で来期も増収増益予想
- メガバンクや地銀、実店舗証券、郵政系、テレビ局のような斜陽産業は避ける
これだけでは絞り切れない場合、その中でもあなたにとってなじみがあったり、知識のある業種から企業を選んでみてはいかがでしょうか。
大型株のゆでガエル理論的な下げに注意
基本的に大型株の1日の変動幅は小さいです。しかし、その小ささも連続すれば中長期的にはそれなりに大きな下げとなります。
じわじわとした下落だと、そのまま緩やかな右肩下がりに慣れてしまう場合もある点には要注意です。
カエルを熱湯に入れるとカエルはビックリして逃げ出しますが、カエルを水に入れてじわじわ温めると事態の変化に気づかず、そのままのぼせてしまいます。これをゆでガエル理論といいます。
ゆでガエル理論はビジネス全般で持ち出されやすい教訓として有名です。
東芝や東電の株価は東日本大震災後に暴落したり、日立やトヨタはリーマンショックとともに業績および株価が大きく低迷したように大型株とて苦境に陥る時代もあります。
今後も「まさかあの大企業が…」と驚かれるような展開があるかもしれません。
場合によっては、その苦境から立ち直させるべく政府が公的資金によって助ける場合もあるでしょう。
中型株~大型株における個別銘柄のおすすめ
次に中型株~大型株における個別銘柄のおすすめについて述べます。2020年の段階で100株あたり30万円以下で買える銘柄ばかりを選びました。
これらは筆者の個人的な予想であり、読者に強いるものではありません。投資は自己責任で行ってください。
- 1414ショーボンドホールディングス
建設株はボラティリティが小さく、配当がやや高めの場合が多い。また建設株は大地震が起きたときには復興需要期待で株価が上がったりもする。
インフラ補修に特化している点に注目。日本のインフラ更新費用は今後30年で100兆円以上もかかるため長期投資にはいいかも。
- 1951協和エクシオ
電気通信工事大手。5G関連で需要向上と見込んだ。
ボックスレンジ
次にボックスレンジについて見ていきましょう。
新興株にしても中型株~大型株にしても株価をよく観察していると、株価が特定のレンジを行き来している銘柄が見つかる場合があります。これをボックスレンジといいます。
ボックスレンジの銘柄においては下値で買って上値で売れば理論上は利益が出ます。
しかし、そこには問題もあります。それはボックスレンジのパターンはいつ崩れるのかわからないことです。
基本的に新興株は不安定であるためボックスレンジを狙うのに向きませんが、中型株~大型株で業績に安定感があればそれなりに通用します。とくに地合いが安定している時期の方がボックスレンジもまた安定しやすいです。
初心者にとってボックスレンジはちょっと難しいため、もし狙うなら慎重にやってみるべきです。
業績がよい中型株~大型株での少額投資なら大損はしにくいはずなので試行錯誤して上達しましょう。
まとめ
- 配当や優待にはまるで期待できないけれど株価の大きな上昇には期待できる(新興株に多く、リスクが高め)
- 株価は大きく上昇しなさそうだけど、大きな下落もなさそうで、また配当や優待に期待できる(中型株~大型株に多い)
- 株価が特定のレンジを行き来しているパターン(ボックスレンジ)
これまであげた筆者の予想を眺めると、やはり新興企業の方が予想が難しいです。新興株は赤字状態でも突然、発表されたニュースや1回の決算によって株価がぶっ飛ぶことがあるからです。
たとえば、筆者は2012年にレアジョブというオンライン英会話を受けて「これはよいな」という感想をもちました。
レアジョブはその後2014年に上場しましたが、株価が大きく上がったのは2019年からです。2019年においては株価はなんと10倍以上にも上がりました。
このとき筆者はレアジョブ株を買っていなく、また株価が上がっている最中はそのうち下落すると思っていましたが順調に上がり後悔したのでした。