現在、都民である私は今までにさまざまな場所に住んだ経験があります。短い期間ではありましたが、田舎に住んだこともあります。
そこで今回は東京都心部と大都市郊外と地方と田舎での暮らしの違いについて記しました。
なお、この記事でいう大都市郊外とは姫路市や立川市、地方とは高松市や倉敷市など地方の県庁所在地や中核市レベルの街と考えてください。
東京都心部 (港区や中央区) |
大都市郊外 (立川市や姫路市) |
地方都市 (高松市や倉敷市) |
田舎 | |
不動産 | めっちゃ高い | 普通より少し高い | 普通 | 安い |
日用品の物価 | 高い | 普通 | 普通 | 普通 |
とくにかかる費用 | 見栄張り競争 子どもの教育費 |
※選択可 | 自動車関連 | 自動車関連 |
おもな交通手段 | 公共交通機関 タクシー 自家用車 自転車 徒歩 |
公共交通機関 自家用車 自転車 |
自家用車 公共交通機関 |
自家用車 |
おもなストレス | 人工的な騒音 タワマンや道路の渋滞 経済競争 |
都心までは満員電車 | 店/雇用/学校の選択肢が少ない | 人間関係 自然関連の騒音 店/雇用/学校の選択肢が少ない |
※選択可について、たとえば田舎暮らしで自家用車をもたないのは無理があります。しかし、大都市郊外なら自家用車をもたない選択肢をとれますし、見栄張り競争に入らない選択肢もとりやすいです。
東京と地方都市と田舎の違い:都会の住環境
まず都会の住環境について。一般に家賃や分譲価格は人口が多く便利なところほど高くなります。当たり前ですね。
東京都区内でも1か月あたり数万円払えばアパートを借りられますが、数万円ではかなり狭いのが実情です。
それに都会の安アパートだと壁が薄かったり他にも隣人が「アレ」だったりするので深夜でもうるさい場合があります。
東京は多くの人が密集して住んでいる以上、深夜や早朝でも生活音が聞こえてくるのです。田舎だと珍しい救急車やパトカーの音なんかも頻繁に耳にします。治安もちょっと心配ですしね。
まあ公営住宅に入れればまだマシかもしれませんが、公営住宅の入居倍率の高さは結構な壁です。
私は犬が好きなので犬を飼いたいと思っていますが、都会だと不可能ではないにしても気をつかうでしょう。とくに集合住宅で飼うのは制度的にも雰囲気的にもきついですね。
また都会の幹線道路の近くは24時間営業の店がゴロゴロしていますからうるさいですし、電車は朝5時から夜1時まで動きっぱなしです。
もちろん、これらは裏を返せば便利ということでもあります。病院だって24時間対応のところも結構あるのでいざという時には頼りになります。
さらに都会ではコインランドリーや図書館も多いのでシェアリングエコノミー型の生活が楽しめます。
自動車や自転車についてはもちろん、オフィスや工房などでもシェアリングエコノミーが普及しつつあります。
自宅に立派な道具がなくても、シェア工房を借りれば電動工具や3Dプリンターなどを使って結構な作品をつくることができるのです。こういうのをうまく使えば安く面白く暮らせます。
シェアリングエコノミーとは違いますが、都会にあふれている大型商業施設を使えば休日を安く楽しめます。
昨今では出版不況と書店の閉店ラッシュが叫ばれていますが、都心では大型書店がまだ健在。
また大学図書館の蔵書数についても大都市の総合大学は強いです。
田舎の住環境
この点、田舎だと一か月に数万円も支払えばそれなりの住宅に住めます。
というより、田舎に長く住むなら賃貸より持ち家をもった方がコスパはよいでしょう。新築なら1000万円台でも立派な家が建てられます。
空き家をリノベーションすれば魅力的な家に仕上げることだってできます。これで長くて重たいローン生活からおさらばできます。
住宅ローンに伴う金利負担がなくなれば可処分所得は大きくなります。待機児童問題だってありません。大型犬だってのびのびと飼えるでしょう。
しかしというか当然というべきか、田舎の夜は灯りの類がとても少ないためかなり暗いです。
夜中に音を出すのは虫くらいなので静かに眠ることができます。田舎は虫が多いですし、そのサイズも大きいですが。
ただし、中には早朝のニワトリの鳴き声に悩まされる人もいます。
みんなの寝静まる時間も早いです。漁村や農村では漁獲・収穫のために朝も早いです。というか、漁獲・収穫を始める時間は夜中の3時台も当たり前にありますから、朝が早いというより深夜から始まるといった方が適切かもしれません。
田舎の人間関係
よく田舎は人間関係は面倒だといわれます。確かに噂話は絶えません。
私の知り合いの田舎出身者は青春期に地元商店で××本を買ったことが地元で噂になったと嘆いておりました。
他にも年齢、婚姻歴、葬式、受験・就職の合否などはよく噂になります。
私自身も田舎で短期アルバイトの業務についたことがあり、そのときはよそ者で短期雇用にもかかわらず地域のイベントに参加させられたりしました。
そのとき私と初対面だった人が私のことを知っていました。おそらく、雇用先から噂が広まったのでしょう。
また私が田舎の列車に一人で乗って旅をしていたら、見知らぬおばちゃんに話しかけられて車内で手作りの昼食をごちそうしてもらったことがあります。もちろん無料。
東京近辺の電車では考えられないことです。
田舎の人はポジティブにいうとすれば面倒見がよく、悪く言うとすればお節介なのです。
都会の人間関係
この点、都会は人の数は圧倒的に多いですが、人間関係は田舎ほど煩わしくないです。
以前、私が都会の終電に乗ったとき、電車内で食べ物を戻して熟睡していた人がいますが、周りの人は疲れているのか少し離れてみんな寝ていました。
田舎では愛想のよかった高齢者についても都会だと不愛想に見えたりします。
つまり、都会人は赤の他人に対して無関心の傾向があるわけです。
前に都会では騒音が多いと述べたように、いちいち多くの赤の他人に反応すると疲れるため無関心のままでいるのでしょう。
田舎では珍しい外国人や芸能人についてもそこらじゅうにいますが、大物でない限りそんなに騒がれません。
たとえばプロ野球1軍の準レギュラークラスの選手が街を歩く場合、地方球団の選手のほうが声をかけられやすいです。要するに、札幌、仙台、広島、福岡といった地域密着感の強い地方チームですね。
逆に東京ヤクルトスワローズの選手はかなりの有名選手でない限り、気づかれにくいとのこと。
天災への対応
次に日本人にとって悩みの種となる大地震についてです。
まず田舎では崖や海の近くに住んでいない限り生存率は高いでしょう。それに田舎は人口あたりの量で考えると水や食料が豊富です。
一方、都会だと「ここで大地震が起きたら死ぬだろ」と思う場所がいくつもあります。具体的にはビルのガラス飛散や木造住宅密集地での火事に伴う死です。
エレベーター内や地下街、電車の車内など都会の人工物内に取り残されるのもこわいです。
もちろん人工物だけでなく多くの人間がパニックになることで起きる大混乱もこわいでしょう。物流寸断による食糧不足もこわいです。
経済面についても、欧米の大手保険会社が見積もった自然災害が危険な世界の都市ランキングでは日本の首都圏がダントツのワースト1位です。
欧米や中東から遠く、また宗教にも無関心な国民性なのでテロの心配は低いですが、欧米人は日本の大地震をかなりおそれています。
交通環境の違い
次に交通環境について。よくいわれるように田舎は公共交通が極端に少ないので自家用車がほとんど必須です。
田舎は自家用車の所有が当たり前の社会であり、自動車をもっていなかったり、自転車を使っていると不審に思われるくらいです。
駐車場代は安いというか無料みたいなものですが、車の維持にはそれなりの費用がかかります。家族それぞれの通勤用や農業用などで複数台所有していたらなおさらです。
地方都市はというと自宅と職場の間にバスや鉄道が整っていれば自家用車をもたなくても生活は可能です。
でも持っていた方がやはり便利です。地方都市の公共交通は山手線や都営バスみたいに頻繁に来ないうえに料金も高いからです。
それに地方都市でバスや鉄道が走っている地域はかなり限られています。そのためちょっと外出するなら自家用車があった方が便利なのです。
地方都市は駅前よりも国道沿いの方が開発されているせいでシャッター通りがあちこちにあります。
この点、東京都区内だと自家用車は高くつきます。駐車代は住宅でも商業施設でも実に高いからです。道路だって渋滞が慢性化しています。
それに港区・千代田区・目黒区あたりだと自家用車は中上位~高級レベルばかりなので、周りに合わせるのに苦労するなんてことがあります。
そのため、都区内で交通費を節約したいのならは公共交通と自転車と徒歩に頼るしかありません。
しかし、東京の電車のラッシュは半端ないものです。とくに乳幼児をベビーカー(正確にはストローラー)でお連れの方には日中や土曜でもツライところでしょう。
でも、あれは中央線なら国分寺~新宿、田園都市線なら溝の口から渋谷、そして道路なら環八や環七など東京都心の一歩手前が最混雑区間です。
つまり、郊外から山手線の内側あたりまで来ると混雑が和らぐのです。まあ山手線の内側は生活費が高いですが。
交通環境と健康の関連
よく田舎に住むと「空気がよくて健康的」とか「野菜中心の食生活で健康的」「早寝早起きが健康的」といわれるように田舎の環境は健康にプラスです。これはイケハヤ氏もいっていますね。
でも、地方都市で自動車に頼りっきりの人は一日の歩数がかなり少なかったりします。
一方、都民で自家用車に頼っていない人は歩数がかなり多かったりします。電車に乗るにしても駅までや乗り換え駅では歩かなければならないからです。
そのため都民は地方民より健康という場合もあります。
大都会のコンビニは駐車スペースがろくにない場合も多いですから、徒歩でコンビニに行くというのはよくあります。高収入の芸能人ですらそういう人はいます。
しかし、地方都市だと近くのコンビニに行くのにも自家用車を使うという人は多いです。
まあコンビニまでの平均距離が違うので習慣に違いが出るのは当たり前でしょう。
食べ物について
よく田舎は食べ物がうまく安いといわれます。確かに野菜類の鮮度はよく食べ物は安いです。山菜も豊富ですし、地産地消をうたった飲食店の価格も安いです。
ご近所から野菜や総菜の差し入れも日常茶飯事です。
でも、スーパーマーケットや飲食店までは距離が離れていることも少なくありませんし、営業時間も長くありません。
また山奥系の田舎だと鹿肉や鶏肉はあったりしますが、新鮮な魚介類があまりありません。
加工食品についてはネット通販を使えばよいのですが、やはり新鮮な魚介類も欲しいところです。
この点、都会だと市場に行けば安くて新鮮な魚介類が手に入ります。スーパーマーケットにしたって市場までの距離が近いのでそれなりに新鮮です。
それにスーパーマーケットに夜行けば刺身や総菜は半額になったりします。私は魚介類の刺身が大好きなので安くなった刺身をよく買います。
都会の娯楽環境
娯楽については都会はインドア系に、田舎はアウトドア系に強みをもっています。
たとえば都会は美術館、水族館、商業施設、遊技場などが田舎よりも明らかに充実しています。
フリマや骨董市など不定期で開かれるイベントもたくさんあります。無料で高層ビルの展望室にのぼることだってできます。
しかし、たとえば都会でテニスをやると安い公営コートを使っても2時間で1000円から3000円くらいかかりますし、土休日は予約がかなりとりにくいです。
こういう環境だと、他人とコートをシェアして1人あたりの負担を減らそうという発想になりやすいわけです。
これに関して都会ではネットでテニスの個人参加を募って、当日、それまで面識のなかった人同士が一緒に楽しむなんてことも盛んに行われています。
ここではたがいの社会的地位や人間関係は大して意識されず、当日だけ楽しめればよいという感じで行われています。
私も何度か参加したことがありますが、基本的には当日だけの関係なので気楽なものです。
田舎の娯楽環境
一方、田舎や地方都市ならテニスコートは数百円から無料で使えますし、混雑とはほとんど無縁です。
他にも釣り、ラフティング、ダイビング、キャンプ、サイクリングなどアウトドア系の娯楽は田舎の方が充実しているでしょう。
野菜や山菜をとるのはもちろん、祭りに参加するのだって人によっては娯楽でしょう。
自動車をなんとなく運転するのだって都会よりはまだストレスなく運転できます。
都会での運転は、煽り、信号、横断歩道ではないところを横断する人、飛び出し、渋滞などが田舎よりも多くてストレスになります。
でもよく考えてみると田舎の人はアウトドアが日常なので、それらには「娯楽感」が欠けているかもしれません。
逆に普段、都会で生活している人がたまに田舎でアウトドアを楽しむと何気ないことでも娯楽感が強まるのです。
田舎に慣れた人が満天の星空を見ても感動しないでしょうが、都会人は満天の星空を見ると感動するでしょう。あれと同じことです。
ちなみに千鳥の大悟さんは故郷の離島に初めて自動販売機が導入されたときにはボタンを押すための行列ができたといっていました。
人間は普段、目にしないものを見ると感動する生き物なのです。
仕事環境
都会は住宅費用も高いですが、賃金も高めです。これは政府の最低賃金制度にも表れていますね。
最低賃金制度について2020年では東京都が1013円ですが、高知・鹿児島・沖縄あたりだと約790円となっております。
コンビニのバイトでいうと東京は時給1000円くらいですが、もう少し頑張れば高い時給の仕事にありつけるので都心のコンビニバイトは外国人の割合がかなり多くなっています。
仕事の種類や求人数も東京は実に多いです。というか埼玉県や千葉県などに住んでいる人でも東京都区内に通勤する人は多いように、社員としての職場は東京都内に偏っています。
そのため千葉県や茨城県などで仕事を探してみると意外と少ないなんていうことはあります。
とくに待遇のよい求人は都区内に集中しており、競争率も高いです。東京都区内の昼間は他県からの流入人口が多いのです。
私は以前、東京でオフィスを探したことがあり、そのときオフィス代はもっと安くならないかと思いました。
シェアオフィスを借りれば多少安くなりますが、路上に面したスペースが欲しかった私としては不動産費用の高さはキツイところでした。
この点、田舎は人口あたりの求人数も業種数も少ないです。とくに待遇のよい求人は少ないのでそれは結構な倍率になるようです。それゆえ地方公務員の地位が都会よりも相対的に高くなるのでしょう。
実際、都会の公立学校の教職は人材不足気味ですが、地方は未だに倍率が高いところもあります。そのため地方の公務員採用は未だに縁故採用がはびこっている地域もあるようです。
ネット環境や交通環境が整っている地域は穴場かも
なお後発の起業家にとっては超激戦区で活動費用も高い東京よりも田舎の方がチャンスがあるかもしれません。
地方や田舎はオフィス費用も人件費も安く、まだ開発されていないものがあるからです。
オフィスは自宅と兼ねることもできます。週末だけ趣味として営業してもよいでしょう。
都会で自宅をオフィスにしてそれを公開するといろいろこわいですが、田舎ならまだマシな感じです。
今の時代はクラウドサービスを使えば田舎でも都会みたいな仕事に就くこともできます。
田舎への移住はワンクッション置くべき
ところで地方には大規模チェーン店を嫌う節があります。
たとえば以前、低価格の理髪店チェーンが地方にも進出し始めたころ、地元自治体が「髪をカットするだけの理髪店でも洗髪台を設置しないと営業しちゃダメ」という条例をつくりました。
つまり、格安理髪店チェーンは昔からの地元理髪店を脅かしているため、自治体は余計に経費がかかるようにして進出を食い止めようとしたのです。こういう陰湿なやり方はどうなんだろうかと疑問に思う人は多いでしょう。
さらに田舎の中には全国的な法律よりも地元の有力者や慣習の方が有力視されているところもあります。
こういうのは事前の調査やショートステイでわかる場合もあります。
そのため田舎に住みたい場合、いきなり田舎に住むよりもその近くの地方中核市に住むなどしてワンクッションを置く方がよいでしょう。地方の中核市は都会と田舎の中間くらいの性質があるからです。
人間関係にうるさい田舎は地元の人々と仲良くなるという過程も踏まないと定住しにくいものです。
田舎の法意識で疑問なのは自治会費や消防団費の類。
たとえば「あなたはこの地域に住んでいるのに消防団に入らないのなら1年間につき5万円を払って」とかいわれるのです。
ここで徴収されたお金は消防団の運営費に使われるはずですが、下っ端の団員は報酬を受け取っていなかったり、上層部の団員が飲み代に使っていたりするのです。
これは税金(強制的にとられるお金)ではなく、自治的な組織が行っているので法的にはグレーゾーンでしょう。まあ本来の目的に使っていなかったら詐欺っぽいですが。
都会の転職や引っ越しはお手軽
一方、田舎から都会に出てこようとしている人の中にも都会で失敗したらどうしようと思っている人がいるでしょう。
確かに都会の物件は2年縛りや敷金・礼金という妙な文化があります。しかし、違約金を支払えば再度の引っ越しはできます。転職だって田舎よりも選択肢は格段に多いです。
都会の人間関係は田舎よりはあっさりしており、また引っ越しや転職はとくに珍しくないため、気ままな行動が可能なのです。
いろいろ経験するのが私の幸せ
まあ私個人は都会も地方都市も田舎もどれも経験するのがよい、つまり多様な経験が人生を面白くすると思う立場です。そのためこれからもいろいろ経験していきたいです。
でも海外は、旅行や出張レベルで経験するのはよくても、永住レベルだとためらうところ多い気がします。
日本のどこかに住めるというだけで地球上の全人口70億人の中ではかなりの勝ち組なのでしょう。