英語

日本語と英語の決定的な違い

2020年6月11日

日本とアメリカ

アメリカの国務省には英語の母語話者にとっての外国語の習得難易度のカテゴリー表があります。

国務省とは日本でいう外務省のように外交政策を担当している省庁のこと。

ここで最難関の言語に分類されているのが日本語です。

16世紀の宣教師であるフランシスコ・ザビエルは「日本語は悪魔の言語」と呼んだと言い伝えられているほど日本語は西洋人にとって難しい言語。

つまり、英語話者にとって日本語が難しいということは、日本語話者にとっても英語は難しいのです。

そこには英語と日本語では大きな違いがいくつもあることが影響しています。

今回はこちらについて紹介します。

日本語と英語の違い

まず英語の文字であるアルファベットは表音文字ですが、日本語はひらがなとカタカナは表音文字で、漢字は表意文字という特徴があります。

たとえば最近の一部の日本人の名前として「アイル」と「愛流(読みはアイル)」があります。

前者の「アイル」は表音文字(英語的)、後者の「愛流」は表意文字です。

「アイル」は言葉の音しか表していません。これに対して「愛流」は「愛」と「流」という意味の漢字で示されているため、その子の両親は愛の流れを重視する人なのだと推察できます。

ちなみに、この記事を書いている私の下の名前は「峻一」といいます。一般的に「一」という漢字は長男に使われやすいため、日本人の第三者は私を長男だと推察しやすいはずです。これが表意文字の力。

まあ長女に「一加」とつける場合もありますが。

英語のアルファベットはたった26文字。でも、日本語はひらがなだけで50近くある。ここに漢字が加わるとすごい数・組み合わせになる。
アルファベットの画数は1~4画くらいだけど、漢字の画数は常用漢字でも1画~29画まである。これだけ画数と量の多い漢字を使いこなせるってちょっとスゴイことなんだよ。

で、英単語のスペルは何らかの母音を一つ以上含めつつ、子音と組み合わせて表すことが基本です。

日本語の母音はa, i,  u, e, oが基本。

英語の母音は文字としてはa, i, u, e, oの5種ですが、発音としての母音は30種近くもあります。

ひらがなの発音はそのままだが、アルファベットの発音は違う

「のぞみ」←この言葉の発音をローマ字で表すと「Nozomi」のワンパターンしかありません。

漢字は、たとえば「下」は音読みと訓読みでさまざまな読み方がありますが、ひらがなは発音がワンパターンしかないのです。

これに対して英語は、たとえばアルファベットの「e」は「i:(イー)」と発音します。

しかし、「screw」の発音は「skrú」、「employee」の発音は「èmplɔíː」、makeの発音は「méik」、「height」の発音は「háit」となっています。

eの部分はさまざまな発音があることがわかります。

英語はアクセントやリズム、そして表情を強調する言葉。

たとえば、英語ネイティブは「can' t」の「t」をハッキリ発音しないため「can't」が「can」に聞こえたりしますが、会話の流れや話の雰囲気で肯定・否定がわかったりもします。

表意文字は発音がわからなくても意味を察せる

表意文字に関して、たとえば人気漫画である『ワンピース』のウソップというキャラについて台湾語で調べてみると「勇敢的海上戰士」と紹介されています。

私を含めて日本人のほとんどは「勇敢的海上戰士」を台湾語で読めず「ゆうかんてきかいじょうせんし」と発音するでしょうが、ウソップが「勇敢なる海の戦士」というのはなんとなくわかるはずです。

むしろ台湾語で正しい発音をされた方が、日本人にとっては意味はわからないよね。

漢字は表意文字ですから、発音がわからないとしても漢字の知識があれば意味がわかってしまうのです。

一方、英語はたとえば「キャベツ」と日本語風に発音しても通じません。日本に滞在歴の長い英語話者なら拙い発音でもわかってくれるかもしれませんが、英語は発音が正しくないと理解しにくい言葉なのです。

キャベツのスペルを知らない人が「cabbage」を書き言葉として見た場合でも、表意文字のように意味を察することは難しいです。

接尾辞や接頭辞の知識があれば意味を少し推察できる単語もあるけど。

日本人・日本語は書き言葉を重視する

要するに英語はコミュニケーションが発声重視である一方、漢字という表意文字を使った言語(日本語や中国系言語)は書き言葉を重視しているといえるでしょう。

源氏物語のように日本は古代から文学が発展していたのは書き言葉重視の体系だったからかも。俳句や短歌なんかもそう。中国の科挙も筆記試験だった。
現代の日本だって漫画やTwitter、LINE、ネット掲示板などは書き言葉系の文化だよ。受験でも筆記試験重視だし。
日本人が文句を面と向かっていわずネットに書き込むのも(=陰湿)、匿名制度だけでなく書き言葉重視の文化のせいだったりして。
SNSの様子
参考なぜTwitterは日本人に人気があるのか【8つの理由】

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ちなみに日本語で「ず」と「づ」は同じ音だけど書き言葉としては使い分けるよ。
東海道線の駅名である国府津は「こうづ」と読むけどローマ字の駅名標としては「Kōzu」と書くんだよな。日本語的には「Kōdu」としたくなるけど。

ちなみに漢字は悪口を書くのにも適しています。

たとえば、プロ野球の「巨人」の悪口を言いたい場合「虚塵」と書けば簡単に悪口になります。

発音は「きょじん」と同じでも表記によって使い分けることができるわけです。

こういうのは話し言葉ではなく表音文字としての書き言葉でないとわかりません。

英語は縦書きをあまり使わない

英語をはじめとしたアルファベット表記の言語は基本的に横書きだけであり、縦書きは看板に少し見られるくらい。

一方、漢字を使う系統の言語は横書きにも縦書きにも対応しています。

ただし、古代~中世の日本語は縦書きだけであり、日本語で横書きが本格的に始まったのは欧米からの影響が強まった18世紀後半から。

日本語は漢字(漢民族の字)や欧米圏の言葉をいろいろ取り入れてきたように、ごちゃ混ぜ感がある。

日本語の日本国の日本人ばかり。

一方、英語話者は世界中に分散していますし、第一外国語(母語の次に使う言語)として英語を使う人も多いです。

英語はかつての植民地政策やキリスト教宣教師とともに世界中に広がりました。

日本語は文字のとおり読むが、英語は違う

たとえば「Good job」について多くの日本人は「グッドジョブ」という感じで棒読みしますが、英語ネイティブは「グッジョブ!」という感じで感情をこめている感じで発音します。ここでは「d」の読み方が違うわけです。

同じく「king of」は日本語風発音だと「キングオブ」ですが、英語だと「キノ」という感じで、gの音が消えると同時にnとoが合体したような発音になります。ついでにブの音も小さいです。

さらに「We are going to」は「We're gonna(ウィゴナ)」というように略して読みたがります。

going to~文語的、それを略した言い方であるgonnaは口語的。

英語の語尾の子音は発音が消えたり、前後の母音と結びつく発音になりがちなのです。

日本語にはこういう発音は基本的にありません。日本語は基本的に書かれた文字のとおり発音する言語ですが、英語は実際に発音するときは書かれた文字のとおりに読んでいる感じにはならないのです。

英語ネイティブの英語教師は表情豊かに話すけど、日本人英語教師はそこまで表情豊かじゃないんだよな。
日本人の英語嫌い・不得意は日本人英語教師の仏頂面も影響しているのかもね。他の科目は仏頂面でもいいとして、英語の会話シーンなんかは表情に感情の豊かさが必要。
ネイティブのALT(外国語指導助手)も戸惑っているよね。

日本人の笑顔は、芸能人やテレビ関係者などは歯を見せて笑いますが、一般人は歯をあまり見せたがりません。これは「慎ましさ」を美徳としているからか。

この点、英語圏の人の笑顔は全般的に歯を大きく見せます。英語圏の人は歯並びの良し悪しをかなり気にしますし。

有声音だらけの日本語と、無声音が多い英語

音といえば有声音と無声音の違いも大きいところです。

たとえば、日本人が日本語で「ストップ」と発音する場合、「ス」も「ト」も「プ」も声帯を鳴らして発音するはず。これを有声音といいます。

一方、無声音とは声帯を振動せさずに出す空気主体の音をいいます。たとえば、ちょっと汚い話ですが、ガムを噛んで「プッ」とガムを勢いよく吐き出してみてください。

このときの「プッ」はさきほどの「ストップ」の「プ」とは違って、空気をためて破裂させたような音になっており、声帯は震えていないはずです。こういう空気を主体とした音を無声音といいます。

日本語は基本的に有声音だらけの発声ですが、英語は有声音と無声音を交えます。この違いは大きいです。

たとえば、日本の民謡歌手が日本語の歌をロウソクの前で歌ってもロウソクは大して揺らめきません。日本語は空気をはかず声帯を鳴らして発音するからです。

しかし、英語圏の歌手が英語の歌を歌うとロウソクは大きく揺らめきます。英語は無声音が多く、それは空気を利用した音だからです。

もし英語の発音が上手くなりたいのなら、無声音で発音すべきところは無声音で発音しないと上達しません。

日本の学校の英語の授業で英語っぽくカッコつけた発音をすると笑われる風潮をどうにかしてくれ。

語順が違う

それから語順の違いもわかりやすいところ。

「I play tennis」では「主語+動詞+目的語(名詞)」という語順ですが、「私はテニスをする」では「主語+目的語(名詞)+動詞」という語順です。

ちなみに英語では名詞の前に前置詞を置く場合が多くありますが、日本語に前置詞はなく後置詞という扱いになります。

前置詞
参考前置詞を中学生レベルでわかりやすく解説

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話の全体像としても日本人は起承転結で結論を後回しにする感じだが、英語話者は結論を前にもっていきたがる。

単語の使い方が機能的

語順の違いを観察すると、英語は機能的という特徴がわかります。

それがわかりやすいのは、英語は動詞の原形で文が始まると命令形になるというところ。

日本語の命令形は「これを読め」という感じで語尾まで見聞きしないと命令形かどうかわかりません。

日本語の過去形にしても「私はテニスをした」のように文末で表現します。

この点、英語の命令形は文頭の時点でわかります。

つまり、英語の命令形は文頭の時点で命令形という信号を相手に示しているのです。

それは、英語は重要な情報を前にもってくる傾向があるともいえます(「前置詞+名詞」のような副詞句は後ろに来やすい)。

英語は単語を組み合わせて機能的に表現する言語。てにをは(助詞)が感覚的な感じとして難解な日本語とは根本的に違う。
現在完了形や過去完了形も単語の使い方が機能的だよね。have+過去分詞、had+過去分詞という形にすることで特定の意味を発揮する。
have,that,asなどは用法がかなり多い。

主語の省略の頻度

次に主語の扱い方の違いも大きいところ。たとえば、次の文を見てください。

「パンは手軽に食べられるが、実際に作ってみると、できあがるまでに手間がかかる」

この文は日本人なら簡単に理解することができるはずです。

しかし、これを英訳する場合、だれにとってパンは手軽に食べられるのか、パンはだれがつくるのかなど主語を補う必要があります。

日本語は主語を省略しやすい一方で、英語は主語を明確にしたがるのです。

英語にも主語の省略用法はあるけど、日本語ほど頻繁に省略しないよ。
英語はそれだけ主語を前面に押し出す自我の強い言語といえるね。

人称代名詞の数

英語の人称代名詞は、I, we, you, he, she, they, itがあります。

一方、日本語の代名詞は一人称だけでも、わたし、わたくし、自分、ぼく、オレ、わし、あたし、あっし、おいら、わて、わい、うち、当方、わがはい、朕、小生、拙者など実に多様です。

一人称の代名詞はもっと他にもあるよ。

漫画の作者としては、たとえば「拙者」という一人称をキャラに使わせれば古風な感じを演出することができます。

夏目漱石さんの『吾輩は猫である』を英訳すると『I Am a Cat 』となりますが、これはなんか味気がありませんからね。

日本語は人称代名詞が豊富なのでそれを使ってフィクションのキャラを個性化すれば、読者としてもそれだけ面白さの幅が広がります。

ただし、これだけ人称代名詞が多いと混乱のもとにもなったりします。

日本の女の子は自分の下の名前を一人称にしがちだよね。本来、固有名詞は三人称だから、ああいうのは混乱のもと。
でも、英語だと一人称単数の代名詞の主格はみんな「I」なのも、つまらない感じがするよ。
人称代名詞が統一的だと、英語を母語としない異国の人同士が英語を介して話すときも通じやすくて便利♪
英語は外交的だよね。

ビジネスにおける思考様式の違い

次は英語の性質というより言語と文化とビジネスの関係について。

  • 欧米のビジネスマン個人ベースでの専門性を誇る、自己主張が強い(話さないと理解してもらえない)、ズバズバ言う、どこの企業に所属しているかより個人としての実績が重要、積極性を重視、会議は目的を重視する、仕事とプライベートを区別
  • 日本のビジネスマン会社への忠誠心を誇る、謙虚さが美徳、空気を読む(話さなくても察する)、どこに所属しているかを重視する、組織力を重視、細部にこだわる、会議は無内容でも行う、仕事とプライベートの区別が曖昧※

企業や大学などで何か講演があった場合、質疑応答が多くて時間をたくさんとるのが欧米。日本はよくも悪くも少ないです。

※”仕事とプライベートの区別が曖昧”とは、終業後に飲み会があったり休日に仕事の電話がかかってくること。

日本企業は鉄道の正確な高頻度運転や荷物の正確で速い発送みたいなのが得意ですが、欧米だと先進国でさえも運送業は結構いいかげん。

逆にIT産業のように突出した個人の力が必要とされる業種では日本は弱く、欧米は強いです。

こういう違いはビジネスマンが普段使っている言語の特性に合わせて形成されます。

敬語表現

英語ネイティブに「What's your name?」と尋ねるのは印象がよくないとされています。

なんというか無礼な感じがするため、フォーマルなシーンでは使いづらいのです。

しかし、日本語の丁寧語や敬語はもっとルールが細かくてややこしいものです。

たとえば、英語のbrotherはそのままだと兄と弟を区別しませんが、日本語では兄と弟を区別するように年齢にも気をすごく使います。

あるいは会社の業務では社外の人に対しては身内の社員を呼び捨てにするのが通例です。普段は「さん」や役職をつけて呼ぶように上下関係にうるさいのに。

兄はolder brother,弟はyounger brotherといいます。

英単語はポジションによって品詞や意味が変わる

最後に、英語の基本語は原石感が強いという特徴について。

たとえば、英語には「light」という言葉があります。基本的な意味は「光」あるいは「軽い」です。

lightという単語はとても機能的で、名詞でも形容詞でも動詞でも副詞でも使うことができます。

lightは名詞、形容詞、動詞、副詞で使えるのは便利だけど、それだけごちゃごちゃになりやすいともいえる。

品詞はlightが文中のどこにあるかでわかりますが、日本語に訳すときは頭をひねる必要があります。

たとえば、「light truck」といったら「軽トラック」と訳すべきであって、「軽いトラック」というとまた意味合いが少し変わってきます。

他にも「light novel」は「軽い小説」と訳したらちょっとおかしいので、「軽い」をちょっと読み換えて「娯楽小説」と訳すのが普通です。まあ現代の日本では「ラノベ」として定着していますが。

このように英語の基本語を日本語に訳す場合、英語の原義を考えて読み換える必要があります。

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