このページでは関係代名詞の意義(なぜ使うのか)と基本について、どこのサイトよりもわかりやすく解説します。
関係代名詞(かんけいだいめいし)とは、文と文をつなぐとともに名詞を後ろから説明する働きを導く言葉のこと。
関係代名詞は長文読解やリスニングではかなり重要な位置を占めます。
関係代名詞は中学レベルでは丸暗記で凌げますが、それだと応用が効きませんので本質から覚えるべきです。
このページで基本と本質を理解してから、難易度が高めの文にも取り組んでみてください。
関係代名詞とは?わかりやすく説明
まずは下の例文1と例文2をご覧ください(例文3はまだ気にしないでください)。
例文1:I met a boy. 私は少年に会った。
例文2:He speaks five languages. 彼は5ヶ国語を話します。
例文3:I met a boy who speaks five languages. 私は、5ヶ国語を話す少年に会った。
この場合、例文1のboy=例文2のHeとします。例文1も2も訳・意味はとても簡単ですね。
ここでだれもが考える発想が、例文1と2をつなげて「私は、5ヶ国語を話す少年に会った」という一文にすること。
例文1も2も一つの文としては短すぎますし、1と2は同じ少年のことを言っていますからひとまとめにしたくなるのです。
このときに使う言葉・用法が関係代名詞です。
なぜ関係代名詞を使うのか
たとえば夏休みの日記が「今日はお父さんの実家へ出かけた。お父さんの実家はおばさんの家にも近い」と短文(単文)ばかりで書かれているとします。
それは文法的に間違いはないとしても淡白で幼い印象を受けます。
それよりも「今日、私はおばさんの家から近いところに位置するお父さんの実家へ出かけた」とひとまとめに書いた方が成熟して見えます。関係代名詞を使う発想もこれと同じ。
まあ英語でも日本語でも一文が長すぎてもよくないのですが。
修飾を理解しよう
次は修飾について。修飾とは詳しく説明すること。
このあたりは関係代名詞の理解にとって関係ないように見えて実は関係あるところですよ。
例文4:She is a happy girl. 彼女は幸運な女の子だ。
例文4の場合、happyという形容詞一語は直後のgirlという名詞を「幸運な」と説明しています。これが修飾の例。
英語では形容詞一語のような短い修飾語句は修飾される言葉の前に来やすいと覚えておきましょう(例外あり)。
形容詞とは物事の状態や性質を表す言葉のこと。
日本語でいう形容詞の例:小さい、美しい、賢い。
英語の修飾は長いと後ろに置かれやすい
一方、英語では修飾が長くなると修飾される名詞の後ろに置かれやすいです。
例文3:I met a boy who speaks five languages. 私は、5ヶ国語を話す少年に会った。
例文3は「who speaks five languages」という長い部分が「boy」を修飾しています。
すなわち、まず「I met a boy(私は少年に会った)」というメインの内容があって、その次に少年に対する修飾として「who speaks five languages(その人は5ヶ国語を話す)」があるのです。
例文3の場合、5ヶ国語を話すのは「私」ではなく「少年(彼)」であることに注意してください。
このように修飾する部分が長くなると、英語では修飾される語句(この場合はboy)の後に来やすいです。
関係代名詞は文と文をつなぐとともに名詞を後ろから説明する働きを導いているのです。
先行詞という言葉を覚えよう
関係代名詞を使った文において修飾される名詞を先行詞といいます。例文3ではboyが先行詞です。
先行詞が人である場合、関係代名詞はwhoかthatを使います。
例文3の先行詞はboyという人であり関係代名詞はwhoと書いてありますが、thatでも正しいのです。
主格の関係代名詞
例文1:I met a boy. 私は少年に会った。
例文2:He speaks five languages. 彼は5ヶ国語を話します。
例文1+例文2=例文3
例文3:I met a boy who speaks five languages. 私は、5ヶ国語を話す少年に会った。
例文3においてはboyが先行詞。ここでは「主語+動詞」が2箇所あるのがわかりますか。
それは「I met~」と「who speaks~」です。
例文2では「He」だった部分が、例文3のように関係代名詞として合成して使われるとwhoやthatになるのです。
つまり、関係代名詞whoは「主語+述語」と「主語+述語」をつなぐと同時に主語の役割を果たしているというわけ。
このように主語の働きをしている関係代名詞を主格(主格の関係代名詞)といいます。
例文3の「a boy who speaks」の部分のように先行詞+関係代名詞(この場合はwho)の直後に動詞が来たら、その関係代名詞は主格ですよ。
目的格の関係代名詞
関係代名詞には目的格という用法もあります。
目的格の関係代名詞は「関係代名詞+主語+動詞~」という形でもって先行詞を修飾します。
例文5:This is the girl. こちらはその女の子です。
例文6:I met the girl yesterday. 昨日、私はその女の子に会いました。
例文5+例文6=例文7
例文7:This is the girl that I met yesterday. こちらは私が昨日会った女の子です。
例文5と6の2つの文について関係代名詞を使って合成したのが例文7です。例文5と6は関係代名詞を使っていませんよ。
例文7においては「the girl」が先行詞、「that I met yesterday」が「関係代名詞+主語+動詞~」という形でもって先行詞を修飾している部分です。
例文7のポイントは「This is the girl that I met yesterday.」とあるように、thatの直後に「I met」という「主語+動詞」があるところ。
この時点でthatは主格の関係代名詞ではないことがわかります。もしthatが主格の関係代名詞だとしたらthatの直後に動詞があるはずだから。
しかし例文7では本来なら「I met」の後ろに目的語(例文7の場合はthe girl)が入るはずなのにありません。
これはthatが「I met」の目的語の役割を果たしていると同時に前に出てきたと考えてください。
つまり、関係代名詞の直後に「主語+動詞」が続き、そのあとに目的語がなかったら、その関係代名詞は目的格です。
目的格の関係代名詞は省略できる
例文8:This is the girl I met yesterday. こちらは私が昨日会った女の子です。
なお例文8のように目的格の関係代名詞は省略することができるという特徴があります。
目的格の関係代名詞は置かれていなかったとしても「主語+動詞+あるはずの目的語がない」という形でもって見抜けるからです。
所有格の関係代名詞
関係代名詞には所有格もあります。
所有格の関係代名詞は「 whose + 名詞~ 」という形でもって先行詞を修飾します。
例文9:He got a new desk. 彼は新しい机を手に入れた。
例文10:The height can be adjusted. その高さは変えられる。
例文9+例文10=例文11
例文11:He got a new desk whose height can be adjusted. 彼は高さが変えられる新しい机を手に入れた。
例文11の先行詞はdeskです。で、whose以下はdeskのheightについて説明しています。
先行詞が人ではなく物だとしてもdeskとheightの間には「机の高さ」という所有関係のようなものがあります。
関係代名詞whoseは文と文をつなぐとともに所有関係にある名詞を後ろから説明する働きを導いているのです。
あるいは人を先行詞とすると下のような例文ができます。
例文12:She has a friend whose father is a professional shogi player. 彼女は、父親がプロ棋士である友達がいる。
この場合、友人とその父親の間には”friend's father”という所有関係があります。
ここまでのまとめ
関係代名詞の基本的な構造は以下のとおり。
- 主格「先行詞+主格の関係代名詞+動詞~」
- 目的格「先行詞+目的格の関係代名詞+主語+動詞+あるはずの目的語がない」
- 目的格の関係代名詞を省略「先行詞+主語+動詞+あるはずの目的語がない」
- 所有格「先行詞+whose+名詞~」
関係代名詞の表
関係代名詞においては覚えるべき定番の表があります。
主格 | 目的格 | 所有格 | |
先行詞は人 | who | who/whom | whose |
先行詞は人以外 | which | which | whose |
先行詞は人でも人以外でもOK | that | that | whose |
関係代名詞の直後の語句 | 動詞 | 主語+動詞 | 所有関係の名詞 |
所有格はすべてwhoseなのでわかりやすいですね。
主格と目的格においてはthatが万能です。
ちょっとだけ難しい例文に挑戦
例文13:The boy who can speak five languages is intelligent. 5ヶ国語を話すことができるその少年は賢い。
例文13は、
- boyが先行詞
- 「who can speak five languages」は「主格の関係代名詞+動詞+目的語~」
- 全体の主語(主部)は「The boy who can speak five languages」
- 全体の動詞はis
です。
すなわち例文13は「先行詞+主格の関係代名詞+動詞+目的語~」は「intelligent」だと評しているのです。
be動詞はThe boyに対応してisという単数形になります。
英語の語順で読めるようにしよう
例文3:I met a boy who speaks five languages. 私は、5ヶ国語を話す少年に会った
例文3を普通の日本語訳にする場合、とくに初心者は以下のような順番で単語を見ていく人が多いでしょう。
- I(私は)
- five languages(5ヶ国語)
- speaks(~を話す)
- a boy(少年)
- met(~に会った)
しかし、実際のリスニング問題や英会話で上のような順番(=日本語の順番)で解釈している余裕はありません。
というか、紙面における長文読解でもそのような順番で解釈すると時間が足りません。
そうなると、英文は関係代名詞に限らず、なるべく英語の語順のままで理解すべきなのです。
「そんなのできないよ」と嘆く方もいるでしょうが、繰り返し練習すれば必ずできるようになります。
たとえば例文3の場合、「I met a boy(私は少年に会った)」⇒「who speaks five languages(その人は5ヶ国語を話す)」という感じで読み進めます。
まとめ
今回の関係代名詞の解説は中学生レベルです。
しかし、もっと上のレベルを目指せることを念頭に置きながら基本を解説しました。
今回の解説を土台により高いレベルをめざしてみてください。