つくばエクスプレスは東京の秋葉原と茨城県のつくばをむすぶ首都圏の鉄道路線です。
つくばエクスプレスはJR常磐線の北側を走る路線として知られています。
そんな常磐線は、かつて日本でもっとも混雑する通勤電車といわれていました。
とくに常磐緩行線(営団地下鉄千代田線直通列車)は今でもかなり高い混雑率であるように、ものすごい混雑でした。
そこで政府が主体となって常磐線の北側に「常磐新線」という新路線をつくることに決定しました。
これが今日のつくばエクスプレスの源流です。
つくばエクスプレスでの通勤と人気ぶり
つくばエクスプレスが開通したの2005年とかなり新しいだけあって、以下のように先進的な特徴がある路線です。
- 第三セクター方式による経営(自治体と民間企業が共同で出資)
- 旅客列車はすべて6両編成(2030年代には8両編成化する計画を発表)
- 新規に建造された路線であるため運賃が高い
- 路線距離が58.3kmの割に駅数は少ない
- 全駅にホームドア完備(人身事故が起きにくい)
- 全線が地下か掘削構造か高架で踏切が一切ない
- 現在のところ他社線や支線の乗り入れはない
- 郊外は線形がよい(線路が真っすぐでスピードが出しやすい)
このうち4~9の特徴によってラッシュ時でも早い所要時間を安定的に実現しています。
速度だけを見ると中部地方や関西地方にはつくばエクスプレスよりも速い路線があるのですが、ホームドア完備で踏切なしという高速の通勤路線は他に見当たりません。
つくばエクスプレスに限らず常磐線や北総線も首都圏ではかなり速い部類に属しますから、遅い路線の沿線民にとってはうらやましいといえます。
つくばエクスプレスの路線図の簡単な説明
会社の区分 | 首都圏新都市鉄道株式会社(第三セクター) |
路線 | つくばエクスプレス |
他社線への直通運転 | なし |
運賃以外に料金が必要な列車 | なし |
通勤型電車の車両数 | 6両 |
ラッシュ時の女性専用車両 | あり:つくば方面寄り先頭車 |
栄えている駅 | 秋葉原、浅草、北千住、柏の葉キャンパス |
上り快速の始発駅 | つくば、守谷、八潮 |
朝の最混雑区間と平均混雑率 | 八潮⇒北千住:175% |
路線図
つくばエクスプレスの路線図
※区間快速は六町駅に停まるタイプと停まらないタイプとがあります。
※つくばエクスプレスは、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県を走ります。
つくばエクスプレスの接続数は物足りない
他路線との接続
つくばエクスプレスの駅 | 乗り換え路線 |
秋葉原 | JR山手線・京浜東北線・総武線、 東京メトロ日比谷線 |
新御徒町 | 都営大江戸線 |
北千住 | JR常磐線、 東武伊勢崎線、 東京メトロ日比谷線 |
南流山 | JR武蔵野線 |
流山おおたかの森 | 東武野田線 |
守谷 | 関東鉄道常総線 |
※つくばエクスプレスの浅草駅は他線の浅草駅と400m以上も離れているので乗り換えに適していません。
全体としてつくばエクスプレスの他路線との接続の数は物足りない水準です。
北千住と秋葉原が大きい駅なのでそれに救われていますが、郊外の接続は弱いと言わざるを得ません。
また沿線に新幹線との接続駅が欲しかったところです。
さらに地下鉄との相互乗り入れがあってもよかったでしょう。
ラッシュ時の混雑率
つくばエクスプレスのラッシュ時の上り列車の混雑率は180%くらいです。
もっとも混雑する区間は八潮⇒北千住あたりで、この区間においては区快・通快と普通の差は小さくどちらもかなり混んでいます。
ただし、このデータはピーク時の最混雑区間の平均値なので他の区間ではもう少し混雑率は低いです。
つくばエクスプレスの乗客は微増傾向にありますので、今後も混雑率は高まるかもしれません。
競合路線と運賃・所要時間を比較
さて、次に競合路線との間で運賃や所要時間を比べてみます。
そこで比較対象にした路線がJR常磐線と京成本線です。
つくばエクスプレスと常磐線は競合的な関係にあり、どちらも首都圏の通勤列車の中ではかなり速いです。
この比較自体が首都圏ではハイレベルなので、標準的な速さである京成本線も比較対象としました。
比較条件
- 平日朝8時頃に出発する上り最速列車
- 東京都区内まで30kmくらいの通勤
上り区間 | 距離 | 所要時間 | きっぷ運賃 | 1分あたりの距離 | |
JR常磐線快速 | 柏⇒上野 | 29.1km | 29分 | 490円 | 1.003km |
つくばエクスプレス通勤快速 | 流山おおたかの森⇒秋葉原 | 26.5km | 28分 | 630円 | 0.946km |
京成線通勤特急 | 京成津田沼⇒京成上野 | 29.7km | 41分 | 450円 | 0.724km |
比較条件
- 平日昼間の上り最速列車
- 東京都区内まで30kmくらいの移動
上り区間 | 距離 | 所要時間 | きっぷ運賃 | 1分あたりの距離 | |
JR常磐線特別快速 | 柏⇒上野 | 29.1km | 27分 | 490円 | 1.078km |
つくばエクスプレス快速 | 流山おおたかの森⇒秋葉原 | 26.5km | 25分 | 630円 | 1.060km |
京成線特急 | 京成津田沼⇒京成上野 | 29.7km | 34分 | 450円 | 0.873km |
比較条件
- 平日朝7時30分頃に出発する上り最速列車
- 東京都区内まで60kmくらいの通勤
上り区間 | 距離 | 所要時間 | きっぷ運賃 | 1分あたりの距離 | |
JR常磐線快速 | 土浦⇒上野 | 66km | 69分 | 1180円 | 0.957km |
つくばエクスプレス通勤快速 | つくば⇒秋葉原 | 58.3km | 52分 | 1210円 | 1.121km |
京成線・快速特急と普通 | 京成成田⇒京成上野 | 61.2km | 78分 | 860円 | 0.785km |
比較条件
- 平日昼間の上り最速列車
- 東京都区内まで60kmくらいの移動
上り区間 | 距離 | 所要時間 | きっぷ運賃 | 1分あたりの距離 | |
JR常磐線・特別快速 | 土浦⇒上野 | 66km | 58分 | 1180円 | 1.138km |
つくばエクスプレス・快速 | つくば⇒秋葉原 | 58.3km | 45分 | 1210円 | 1.296km |
京成本線・特急 | 京成成田⇒京成上野 | 61.2km | 69分 | 860円 | 0.887km |
基本的につくばエクスプレスは郊外区間において駅間隔が広いです。
一方、秋葉原~北千住は駅間隔が狭いうえに全列車が各停です。
そのため郊外区間における速さは、快速という朝ラッシュ時の上りには運転しない列車でこそ活かされます。
つくばエクスプレスの終電は早い
つくばエクスプレス秋葉原駅の平日下り方面・終電付近の時刻表(太字が終電)
0時 | 07(普通・守谷) |
つくばエクスプレスの終電は首都圏の他の路線に比べると早いです。
高速で走るため地上区間での騒音に配慮しているのかもしれません。
浅草~つくばの見どころ
さて、つくばエクスプレスの終着駅付近に広がる茨城県つくば市は学術都市として有名です。
また、筑波山というまあまあの観光地もありますので、朝のラッシュ時では下り列車にもほどほどに客が入っています。
浅草以北の具体的な見どころは以下のとおりです。
- 浅草寺や仲見世(浅草)
- 水元公園(八潮)
- ららぽーと柏の葉(柏の葉キャンパス)
- 科学万博記念公園(万博記念公園)
- イーアスつくばというショッピングモール(研究学園)
- 筑波宇宙センター(つくば)
- 筑波実験植物園(つくば)
- 筑波山(つくば)
このように新興路線だけあって観光地は物足りない感じです。
ただ、全体的につくばエクスプレス沿線は発展途上という感じがしますから、まだいろいろ変化する余地があります。
地価と住宅情報
つくばエクスプレスの地価については以下のとおりです。
つくばエクスプレスの沿線は東京都内については既存の街という感じですが、東京都を出ると、新興感が強い街です。
東京都以外のつくばエクスプレスの駅前はさっぱりとしています。
※新築マンション価格と付近の賃料は、各社の「駅から徒歩5分圏の物件(70㎡)」を見比べて公示価格に合わせて多少補正した大まかな目安です。
※駅は山手線圏内から均等に数kmごとの住宅街系の駅を選んでいます。
※つくばエクスプレスの乗客は増加傾向にあるように、沿線の住宅需要は今は緩やかに堅調だといえます。一部ではミニバブルともいわれますが。
※東京都区内の一極集中を分散させるための政策が強力に発動されれば、つくば市は行政機関のさらなる移転候補地として有力です。
※つくばエクスプレスは電車の速さに定評がある路線です。そのため駅近くはそれなりの地価ですが、駅から離れると他路線よりも下落率が高い傾向があります。
駅名 | 市町村 | 新築マンション価格 | 付近の賃料 | 山手線からの直線距離 (この場合は新御徒町) |
北千住 | 東京都足立区 | 6700万円 | 21万円 | 約5km |
八潮 | 埼玉県八潮市 | 5300万円 | 18万円 | 約12km |
南流山 | 千葉県流山市 | 4700万円 | 17万円 | 約18km |
柏の葉キャンパス | 千葉県柏市 | 4500万円 | 16万円 | 約26km |
守谷 | 茨城県守谷市 | 4000万円 | 14万円 | 約33km |
つくば | 茨城県つくば市 | 3600万円 | 13万円 | 約51km |
まとめ
評価 | |
ラッシュの混雑率 | 近年では乗客が増加傾向。 |
沿線下り方面の魅力度 | 下り方面にはつくば山と研究都市があるが、小田急線に比べると弱い。 ただ、混雑率や地価は高くないので住宅をもつのは悪くない。 |
沿線の地価 | 千葉方面の地価は神奈川方面に比べると少し安い。 |
他路線との接続 | 地下鉄直通列車がないのと秋葉原では乗り換え時間が長いのが不満。 |
電車の速達性 | 全線高架・地下で踏切もなく、またすべての駅はホームドアがついているので首都圏の普通列車の中ではトップクラスに速い。 乗り入れ運転がないのでダイヤの安定感もトップクラス。 |
運賃の安さ | JR線と同程度か少し高い。新しく建設された路線なので建設費用が高くついた。 |
つくばエクスプレスはこんな人におすすめ
- つくばエクスプレス沿線に通勤通学の目的地がある人
- 埼玉県と千葉県と茨城県にあるつくばエクスプレスの駅周辺の新興感が好きな人
- 郊外の駅前にある歓楽街が好きではない人(つくばエクスプレス沿線の歓楽街は東京都のみ)
- つくばエクスプレス沿線の地価は現状維持か上昇だと思う人(乗客は増加傾向)
- 郊外から速度の速い列車で通勤したい人