首都圏の放射状路線のうち、山手線から見て北東の松戸・取手・土浦・水戸・日立・いわき方面に向かうJR東日本の路線が常磐線です。
常磐線は沿線に新幹線はありませんが、特急の往来はそれなりに豊富。
このページでは東京への通勤圏の北限圏であり、また直通の快速列車がある勝田(水戸の近く)までを対象とします。
常磐線での通勤と混雑
会社の区分 | JR東日本 |
路線 | 常磐線 |
他社線への直通運転 | 常磐線各停⇒東京メトロ千代田線⇒小田急小田原線 |
運賃以外に料金が必要な列車 | 特急ひたち・ときわ、中距離快速に連結しているグリーン車 |
通勤型電車の車両数 | 特別快速と快速は15両が基本(10両もあり)、 各停は10両 |
ラッシュ時の女性専用車両 | 各停にはあり:綾瀬方面寄り先頭車 |
栄えている駅(上野~勝田まで) | 上野、北千住、松戸、柏、水戸 |
上り快速の始発駅 | 取手、土浦、勝田、 我孫子、松戸、水戸、高萩、成田 |
上り各停の始発駅 | 我孫子、取手、松戸、柏 |
朝の最混雑区間と平均混雑率 | 松戸⇒北千住:155% |
常磐線のイメージおよび特徴
- 昔は首都圏ワーストクラスの混雑路線だったが、つくばエクスプレスができてからは緩和された
- 松戸~北千住あたりは快速より緩行線(各停)の方が混雑している
- 昔より治安が改善された
- 快速も有料特急も速い(首都圏の在来線では最速級)
- 東京都内では下町感が強く、取手以遠は田舎感が強い
- 一部の特急列車はいわき経由で仙台まで行く
常磐線の路線図
※常磐線で重要なのは大きく分けて3つのタイプがあること。
まず一つ目は、車体側面の帯が緑色の快速列車です。緑の快速は15両編成か10編成のロングシート車両であり、品川~取手を行き来します。
ただし、こちらの車両は我孫子から下りは成田線にも使われます。
二つ目は車体側面の帯が青色の快速列車。
青の快速は15両編成か10両編成か5両編成であり、常磐線のほぼ全線で運転されます。青色の快速列車は中距離列車とも呼ばれ、走る距離が長めです。
そこで乗客がトイレのために途中下車しなくても済むように、車内にはトイレが設けられています。
特別快速の車両に使われるのもこの青の編成であり、クロスシートもあります。
三つ目は車体側面の帯が緑色の常磐緩行線(常磐線内と千代田線内はすべて各駅停車)です。こちらは10両編成しかありません。
この列車は上り方面においては上野や品川には行かず、東京メトロ千代田線と直通します。下り方面も我孫子どまりが基本です(朝晩は取手行もあり)。
常磐の各停といえば緑の帯が基本なのですが、小田急線からの乗り入れ列車は青の帯です。
行き先やホーム上の案内などでもわかると思いますが、中距離列車と間違えないようにお気を付けください。
※綾瀬~北千住の区間はかなり特殊で、JR常磐線の区間でもあり東京メトロ千代田線の区間でもあります。
普通に乗るだけだったらまず気にする必要はないのですが、興味のある人は外部サイトの「千代田線 綾瀬・北千住間の運賃」を読んでみてください。
※品川から日暮里の各駅に停車するのは山手線と京浜東北線各停です。
※途中の我孫子では快速列車の増結や切り離しが行われる場合もあるため、こちらも始発駅の一種といえます。
常磐線の乗り入れ運転
★東京メトロ千代田線を通じた相互乗り入れ運転の概略図
★千代田線の路線図
常磐線の各駅停車は、綾瀬から上りは東京メトロ千代田線に入ります。
その千代田線は小田急線と乗り入れ運転を行っています。これによって綾瀬から乗り換えなしで小田急線沿線に行くことができます。
常磐線は線は割と便利な路線
他路線との接続
常磐線の駅 | 乗り換え路線 |
品川 | JR山手線・京浜東北線・横須賀線・東海道線、 東海道新幹線、 京急線(都営浅草線直通) |
新橋 | JR山手線・東海道線・横須賀線、 東京メトロ銀座線、都営浅草線、ゆりかもめ |
東京 | JR各種新幹線, 京浜東北線・中央線・東海道線・宇都宮線・高崎線・常磐線快速, 総武線快速横須賀線・京葉線、 東京メトロ丸ノ内線 |
上野 | JR各種新幹線・山手線・宇都宮線・高崎線、 東京メトロ銀座線・日比谷線 |
日暮里 | JR山手線・京浜東北線、 京成本線、 日暮里舎人ライナー |
南千住 | 東京メトロ日比谷線、 つくばエクスプレス |
北千住 | 東京メトロ日比谷線・千代田線、 東武伊勢崎線、 つくばエクスプレス |
綾瀬 | 東京メトロ千代田線支線 |
金町 | 京成金町線(京成金町駅) |
松戸 | 新京成線 |
馬橋 | 流鉄流山線 |
新松戸 | JR武蔵野線 |
柏 | 東武野田線 |
我孫子 | JR成田線 |
取手 | 関東鉄道常総線 |
佐貫 | 関東鉄道竜ヶ崎線 |
友部 | JR水戸線 |
水戸 | JR水郡線、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線 |
勝田 | ひたちなか海浜鉄道 |
※松戸、柏、我孫子、取手では常磐快速線と常磐緩行線との間で乗り換えができます。
全体として常磐線の他路線との接続数の多さは全体としてまあまあの水準です。
新幹線との接続駅もありますので郊外に伸びる路線としては十分な水準です。
上野東京ラインが便利なのはもちろん、日暮里や北千住も便利です。
ラッシュ時の混雑率
常磐線のラッシュ時の上り列車の混雑率はもっとも混雑する区間の平均値で160%くらいです。
ただ、中距離快速(青の快速)と取手始発の快速(緑の快速)と緩行線とでは混雑率に多少の違いがあります。
どちらかというとが取手始発の快速の方が混雑率は低いので、お試しください。
競合路線と運賃・所要時間を比較
常磐線、とくに快速のよいところは首都圏の路線の中では速度がトップクラスに高く、ラッシュ時でさえも昼間と所要時間がほとんど変わらないということです。
実際、時刻表を見ると取手から品川までの快速列車の所要時間は、朝も昼も夜も60分くらいです。
ただし、昼間しか運転しない特別快速の所要時間は約50分です。
中央線快速で八王子から新宿に行く場合、平日朝と昼では15分ほど所要時間が異なりますが、常磐線では平日朝も昼もほぼ同じなのです。
常磐線の終電は標準的
常磐線(快速)上野駅の平日下り方面・終電付近の時刻表(太字が終電)
0時 | 00(快速・取手)12(快速・我孫子) 23(快速・松戸)33(快速・松戸) |
常磐線(各停)北千住駅の平日下り方面・終電付近の時刻表(太字が終電)
0時 | 06(普通・我孫子)14(普通・我孫子) 22(普通・我孫子)37(普通・松戸) 48(普通・松戸) |
常磐線の終電は首都圏の他の路線に比べると標準的です。
日暮里~勝田の見どころ
常磐線に限らず首都圏の鉄道は、朝のラッシュ時に通勤需要として上り列車が混雑するのは当たり前のことです。
しかし、そのとき下り列車を観察するとガラガラの路線もあれば、ある程度混んでいる路線もあります。
常磐線の場合、沿線に大学は少ないですが、ビジネス需要は土浦・水戸・日立を中心にそれなりにあります。
また観光地としても以下のようなものがあります。(カッコ内は最寄り駅)
- 水元公園(金町)
- 松戸競輪場(北松戸)
- 本土寺(北小金)
- セブンパークアリオ柏(柏)
- あけぼの山農業公園(我孫子)
- 手賀沼(我孫子)
- 弥生軒という我孫子駅ホームのそば屋
- 牛久大仏(牛久)
- 霞ヶ浦(土浦)
- 筑波山(土浦)
- イオンモール水戸内原(内原)
- 偕楽園(偕楽園最寄りの偕楽園駅は特定期間の土日しか営業しない臨時駅)
地価
常磐線沿線の地価については以下のとおり。
※新築マンション価格と付近の賃料は、各社の「駅から徒歩5分圏の物件(70㎡)」を見比べて公示価格に合わせて多少補正した大まかな目安です。
※駅は山手線圏内から均等に数kmごとの住宅街系の駅を選んでいます。
駅名 | 市町村 | 新築マンション価格 | 付近の賃料 | 山手線からの直線距離 (この場合は日暮里) |
北千住 | 東京都足立区 | 6800万円 | 21万円 | 約4km |
金町 | 東京都葛飾区 | 6000万円 | 18万円 | 約10km |
新松戸 | 千葉県松戸市 | 4800万円 | 15万円 | 約17km |
柏 | 千葉県柏市 | 4100万円 | 14万円 | 約23km |
我孫子 | 千葉県我孫子市 | 3900万円 | 13万円 | 約27km |
取手 | 茨城県取手市 | 3800万円 | 11万円 | 約32km |
牛久 | 茨城県牛久市 | 3300万円 | 10万円 | 約43km |
土浦 | 茨城県土浦市 | 3200万円 | 9万円 | 約55km |
まとめ
評価 | |
ラッシュの混雑率 | つくばエクスプレスが開業したためか、以前よりも混雑率は下がった。 |
沿線下り方面の魅力度 | 中央線や小田急線などに比べると下り方面の魅力はちょっと乏しい。 |
沿線の地価 | 千葉方面の地価は世田谷方面や神奈川県方面に比べると少し安い。 |
他路線との接続 | 北千住と日暮里~品川は他路線との接続がとてもいい。 |
電車の速達性 | 快速はラッシュ時でも安定して早い。 |
運賃の安さ | 上場している大手私鉄よりは高いが、つくばエクスプレスよりは安い |
常磐線はこんな人におすすめ
- 常磐線や千代田線の沿線に通勤通学の目的地がある人
- 茨城県や千葉県北西部から都心に早く出たい人
- ラッシュ時も昼間と同じ速度で通勤したい人
- 世田谷方面や神奈川方面よりも割安価格で住みたい人