このページでは青春18きっぷの首都圏日帰りのおすすめプランを10コ示してみます。
すべて東京駅を起点としていますが、新宿や横浜などからでも十分に対応できます。
私が提案したプランについて逆回りで行ったり、一部区間を省略するのもよいと思います。
その際は基本的に風景のよい場所は昼間にくるように、そしてご利用の施設が営業時間に合うように計画を立てるべき。
ノープランで行くのも楽しかったりしますが、初心者はきっちり計画を立てることをオススメします。
田舎の列車は都心と違って本数がかなり少ないからです。
青春18きっぷのおすすめ日帰りプラン【東京発】
さて、青春18きっぷでは都心の短時間乗車とは異なって長時間にわたって同じ列車に乗る場合が多いです。
田舎の列車は乗車率が低い場合が多く、またドアの数もドアが開く頻度も少ないです。車両数も少ないため弱冷房車もほとんどありません。
そのため時期や座席によっては空調が自分に合わないことが多くあります。
とくに車内空調が強い暑い日は、体感温度を調節できる服装で行くことをおすすめします。
暑い日こそ厚着という逆説が成立するのです。筆者は暑がりな方ですが、冷房が効きすぎた電車に乗り続けたために具合が悪くなってしまったことがあります。
※青春18きっぷの値段は5回分で12,050円(大人・子ども同額)。1回あたり2410円なり。
※行程の横に「車内時間長し」と書いてあるプランは、1日のうち列車内にいる時間が長いプラン。最初に始発付近に乗る必要がありますし、列車が遅れると接続できず日帰りできなくなる可能性もあります。その表記がない場合は下車や周辺観光の余裕がまあまああります。
1.偕楽園と袋田の滝をめぐる旅(★要注意:偕楽園駅は春限定)
偕楽園は茨城県が誇る梅を中心とした日本庭園の名所。
東京駅から偕楽園駅までの片道普通運賃は2332円かかります。
つまり、青春18きっぷなら東京から偕楽園を往復するだけでもお得です。
しかし、東京と偕楽園を往復するだけだと時間に余裕があります。ですので、水戸から水郡線で袋田の滝に行くのはどうでしょうか。
袋田の滝は首都圏近郊にありながらも華厳の滝ほどメジャーではなく、水戸や偕楽園に行ったときについでに行ける距離にあります。
ただし、袋田駅から袋田の滝まではちょっと距離がありバスの本数が少ないです。タクシーを利用した方がよいかもしれません。
常磐線の我孫子駅ホームには弥生軒という立ち食いそば屋があり、そこのから揚げそばは量が多くて有名です。ぜひお試しあれ。
2.東日本大震災の爪痕を知る旅:「車内時間長し」
常磐線のいわき~仙台は東日本大震災において大きな被害を受け、長らく不通が続いていました。
しかし、現在では常磐線はどうにか復旧し、東京圏から仙台直通の特急が走っているくらいです。
これはそんな東日本大震災の爪痕を知る旅。いわき~仙台の区間は車窓からでも津波の爪痕がよくわかりますが、それでも震災後に定住している人もいます。
そこでは除染作業の風景が見えますし、放射線の線量計も駅構内に設置されています。
常磐線経由での東京~仙台は約8時間、東北線経由の仙台~東京は約7時間かかります。かなり時間がかかりますから計画は慎重に立てるべき。
往路を東北線にして復路を常磐線にすると常磐線沿線の風景が暗くて見にくいので、往路に常磐線を使って常磐沿線の風景を感じましょう。
もし時間的に帰るのが厳しければ東北新幹線を部分的に使うという手もありますが、新幹線は運賃も料金も青春18きっぷとは別に支払う必要がありますからご注意を。
3.日光の世界遺産と宇都宮餃子をめぐる旅
日光は東照宮や華厳の滝、いろは坂、中禅寺湖、金谷ホテルなど世界的に有名な観光地です。
鬼怒川温泉も同じ日光市内ですが、日光駅からはかなり離れています。
東照宮や金谷ホテルは日光駅から割と近いですが、華厳の滝や中禅寺湖は日光駅からちょっと離れています。
JR日光線は単線であり本数が少ないので時刻にお気をつけください。
もし途中下車しないとすれば片道3時間が目安。正規の片道運賃は1700円ですから青春18きっぷならお得です。
日光といえば浅草⇔東武日光を往復する東武特急が有名ですが、JR線を乗り継いでも行けるんですよ。
下りの場合、時間帯によっては東京から上野へ山手線で行って、そこから上野始発の宇都宮線に乗るほうが早い場合もあります。
4.犬吠埼と房総半島をめぐる旅
上の写真は犬吠埼灯台の近くの様子です。
GPSが普及したために全国的に灯台が廃止される中で、犬吠埼は東京駅から日帰り圏内にあって灯台の物静かな魅力を味わえる数少ないスポットです。
江ノ島や鎌倉の七里ヶ浜などとは違ってかなり静かです。
犬吠埼の灯台の敷地内に入れる時間は通常AM8:30~PM4:00とやや早いです。そのため最初に内房線から行程をたどると、犬吠埼では灯台の敷地内に入れなくなるかもしれません。
犬吠埼の近くを走る銚子電鉄は私鉄ですから別料金です。銚子駅での銚子電鉄への乗り換えはJRのホーム先端にあります。
銚子電鉄のきっぷは銚子電鉄の車内で買うことができますから、銚子駅では改札外に出てからきっぷを買う必要がありません。
青春18きっぷの旅行者は東海道方面や甲信越方面に多いのか、基本的に房総半島ではボックスシートへ座ることにあまり苦労しないでしょう。
時間に余裕のある方は御宿駅近くの温泉に寄ったり、いすみ鉄道や久留里線など千葉県の内陸路線に乗るのもよいと思います。
あるいは時間に余裕がない場合、房総半島の南部まで回らず、銚子から直線的に千葉・東京方面に戻ってもよいでしょう。
東京駅から銚子駅までのJRの片道運賃が2270円ですから、銚子までの往復だけでも青春18きっぷならお得です。
内房線の館山~大貫あたりは車窓から海が見えます。
5.4の変形版:鹿島神宮と犬吠埼と成田空港をめぐる旅
こちらはさきほどの犬吠埼の旅を変形した旅程です。最初に鹿島神宮(上の画像)、次に犬吠埼、最後に成田空港をめぐる旅です。
鹿島神宮は伊勢神宮の小規模版という感じで厳かな雰囲気があります。鹿島神宮駅から歩いて10分ほど着きます。
佐原と鹿島神宮でゆっくりするのであれば銚子に行く必要はないかも。
最後の成田空港に関しては他の案としてその近くの成田で降りて成田山新勝寺に行くか(成田空港には行かない)、あるいは酒々井で降りてアウトレットモールに行くのもよいと思います。
千葉以遠の成田線と総武本線は本数が少ないので計画はしっかりと立てるべきです。
6.松本城と信州そばを味わう旅
国宝・松本城と中央路の風景を楽しむ旅です。松本城は黒い名城として全国的に知られており、松本駅から徒歩圏に位置しています。
電車の乗車戦略に関しては、八王子あるいは高尾から直通の松本行が朝の時間帯にあります。
ただし、直通の松本行は本数が少なく、また長い区間を座ろうとするライバルが多いのでご注意ください。
もちろん、大月や甲府などで乗り継いでいくパターンもあります。信州そばやブドウを味わうための途中下車もよいかと思います。
ちなみに筆者は、中央本線の信濃境駅付近を通るたびに昔TBSで放映されていた『青い鳥』を思い出します。
『青い鳥』は駅員役の豊川悦司さんと地元有力者の嫁役の夏川結衣さんが鉄道で不倫逃避行するドラマで、出演者も街も主題歌も鉄道も独特の寂しげな雰囲気を醸し出しています。
その舞台の中心となった信濃境駅には今もゆかりの品が飾られているなど、ファンにとっては降りる価値のある駅です。
7.高原を走る小海線の旅:碓氷峠(うすいとうげ)に行くのもあり
小海線はJR管内では最も標高が高い地点を通る路線として知られています。
小海線は非電化路線であり(走っているのは気動車かハイブリッド車)、風景も美しいです。
小海線では週末と長期休みを中心に「HIGH RAIL 1375(1375はJR線標高最高地点)」「HIGH RAIL 星空(冬季の夜運転)」という観光列車が走っています。
この「HIGH RAIL 1375」 は快速列車という扱いなので、専用の指定席券も購入すれば青春18きっぷで乗ることができます。
なお、土休日ではホリデー快速で大月まで行くという手もあります。繁忙期には小淵沢まで行く臨時ホリデー快速もあります。小海線の野辺山や清里、小海などでは途中下車もありでしょう。
小諸付近から高崎経由で東京方面に行くには途中まで別料金となる私鉄(しなの鉄道)かバスかを使う必要があります。
小諸駅から5kmほど離れている佐久平駅まで行けば北陸新幹線(別料金)もあります。
それらを避けたければ適当なところで折り返して小淵沢方面から帰るべき。
軽井沢~横川は有名な碓氷峠であり付近にはハイキングコースや碓氷峠鉄道文化むらもありますから寄るのもいいと思います。
8.秘境モグラ駅とあしかがフラワーパーク・わたらせ渓谷をめぐる旅
上の画像は日本一のモグラ駅と呼ばれる上越線土合駅です。
田舎の駅ですが深さが70mもあり、地上入口から下りホームにたどり着くまでに約10分も要するという駅です。
最大深度49mの大江戸線よりも深く、まっすぐな階段で行くしかないため、ものすごい迫力があります。
その光景は『HUNTER×HUNTER』というマンガに出てくる一次試験の大階段かのよう。
そして秘境駅に行ったら普通に帰るのではなく、両毛線というややマイナーな内陸路線で帰るのはいかがでしょうか。
とくに両毛線のあしかがフラワーパーク駅は、観光地として評価の高いあしかがフラワーパークに近いです。
ここは藤の花とイルミネーションが有名なので、季節を見計らって訪れてみるとよいでしょう。
東海地方への日帰り旅
次は東海地方への日帰り旅行について。
9.飯田線を走破する旅:「車内時間長し」
まずは風光明媚な飯田線を走破する旅から。
先に静岡県まわりで飯田線に向かうと昼間の富士山を車窓から眺めることができるため、以上のようなプランにしました。
飯田線には秘境駅がいくつもあり、普通列車でさえも通過する駅もあります。そんな飯田線でとくに本数が少ない豊川~辰野の間は、都会の人間には非日常感があります。
秘境駅が最も多い北海道に行くのは一苦労しますが、飯田線は首都圏の人間にとってローカル線の日帰り圏にありながら非日常感が味わえるのです。
なお、このプランでは始発から終電の手前を覚悟する必要があります。
乗り換えのタイミング以外ではほぼ一日中、電車の中にいます。そのため初心者にはおすすめできないハードなプランです。
とくに天候悪化や車両トラブルなどがあると列車の接続が正常に行われず、時間内に首都圏まで戻ってこられない可能性もあります。この点にはお気を付けください。
また青春18きっぷの有効時間は本来1日単位です。したがって、夜の0時を過ぎて最初に止まった駅まで青春18きっぷの1回分は有効です。
しかし、電車特定区間と呼ばれるエリアでは0時を過ぎても終電まで青春18きっぷは有効となります。
電車特定区間とは、中央線でいうと高尾から東京のように東京圏や大阪圏の利用客が多いエリアです。
10.富士山を鉄道で大回りする旅
日本一高い山・富士山を鉄道だけで大回りする旅です。
正常に列車が接続すると9時間ほどで東京駅に帰れますから、下曽我、御殿場、沼津、富士宮、甲府、猿橋などでは途中下車する余裕があります。神奈川県の下曽我は梅の名所として有名。
なお国府津⇒沼津においてはJR東海道線かJR御殿場線の2択となりますが、筆者は御殿場線をおすすめします。
沼津に合理的に向かうだけなら東海道線の方が早いですが、御殿場線は富士山に近いところを走るなど眺めは上だからです。
- 東海道線(東京~熱海)の特徴東京~熱海の区間はJR東日本の管轄、複線、15両か10両、本数は普通、芦ノ湖の南経由で箱根越え、速い、トンネル多い、車内はロングシートが多い、途中下車に適しているのは湯河原や熱海といった温泉街
- 御殿場線(国府津~沼津)の特徴御殿場線はJR東海の管轄、単線、2両~6両、本数はかなり少ない、芦ノ湖の北経由、遅い、東海道線よりトンネルは少ないし眺めがいい、車内はクロスシートが多い、途中下車に適しているのは御殿場
国府津からの御殿場線は御殿場どまりもまあまあ多いですが、御殿場始発の沼津方面行もあるので乗継も検討してみてください。
ちなみに昔は御殿場線が東海道の主力路線(東海道本線)だったので、その頃の複線の跡がかなり残っています。