世界中どこの地域でも近隣国同士は仲が悪いといわれています。
逆に近隣国同士で仲がいいのは、オーストラリアとニュージーランドとその近くの小さな島国など南太平洋のイギリス連邦系の国くらいしか思い浮かびません。
ここで気になるのは、地球上で政治経済や疫病の水準が最も悪い部類にある国はアフリカ大陸の後発開発途上国であるチャド、ソマリア、コンゴだということ。
もし日本企業の従業員が業務命令でそこに海外赴任を命じられたら躊躇してしまう人も多いでしょう。
たぶん先進国の国民の多くはアフリカの後発開発途上国がひどい状態であることは知っているはずですから、アフリカの後発開発途上国こそ嫌われる国の最上位にありそうな感じもします。
しかし、現実には日本人が嫌っている国の上位は近隣国である北朝鮮や韓国でしょう。
なぜこんなことになるのかわかりやすく解説します。
近隣国は仲が悪い場合がとても多い件【日本と韓国にもあてはまる】
近隣国の仲が悪い理由は以下のとおり。
- 昔(地域によっては今も)戦争した関係にあるから
- 歴史や教科書の解釈がぶつかりやすい
- 近い国はマスコミや評論家のターゲットになりやすく、悪いところが見えやすい
- 経済や領土に関して利害が対立しやすいから
- 文化(言語、宗教、風習など)の衝突
- 発展していない国は、発展している近隣国に嫉妬しやすい
- ライバル心が強い
- 近い国はたがいに人々の流出入が多く、それが問題を引き起こす
基本的には遠い国よりも近い国のほうが悪くなりやすい条件がそろっているというわけ。
ここから先は以上の箇条書きをわかりやすく掘り下げていきます。
戦争や植民地関係は複雑
たとえば日本と韓国の仲が悪いのは、戦前の日本が韓国を併合したことが大きいです(=日韓併合)。
併合と聞くとなんだか戦前の日本人は韓国に極悪非道なことをしたかに見えますが、韓国にとって意外と悪くない面もありました(悪い面もありました)。
他にも豊臣秀吉は朝鮮に出兵したり、中国は韓国を属国としていた時代もあったように韓国人の感情は複雑です。
このような戦争や植民地は世界各地にあり、それはとくに近隣国との間で激しいものでした。
同化政策とは、優勢にある民族が劣勢にある民族に自分たちの文化や言語に染まるように強制する政策のこと。
現代でアフリカの国々の公用語は英語やフランス語ばかりであるのも、昔の植民地・同化政策が残った結果です。
国の領域は複雑に変わってきた
戦争が行われるとその結果によって国の領域(領土、領海、領空)は変わるのが普通。
負けたほうは領土没収・賠償金負担、買ったほうは領土拡大・賠償金獲得となります。
日本は島国であるため国の範囲はいつの時代もわかりやすいのですが、大陸諸国の移り変わりはかなり激しいですし、地続きですからわかりにくいです。
そうなると「私が今住んでいる地域は昔は神聖ローマ帝国(大部分は今のドイツ)だったけど、今はフランスの領土か…」などという思いを抱えることになります。
お金の恨みは強い
戦争の勝敗に際して領土の範囲が変われば経済的な利益も変わります。とくに海には海洋資源がまだまだ埋まっていますから。
戦争とはちょっと違いますが、経済的な利益に関して日本は中国と尖閣諸島を、さらに日本は韓国と竹島を争っています。
両国との関係はそれらの島を争ったときにはかなり悪化した時代もありました。
お金に関する争いは強い恨みになるのです。
教育政策が「嫌い」の原因になる場合あり
戦前の韓国や台湾は日本の領土でした。
ここで気になるのは現代の台湾人は日本に反発的な感情をあまりもっていない一方で、現代の韓国人は日本人を嫌う傾向にあるということ。
台湾も韓国も日本に近いのになぜこのような違いが出るのでしょうか。その理由はいくつかありますが、最も大きいのは政府の教育政策の違いでしょう。
というのも戦争を実際に経験していない世代にとって戦争を知る機会といえば学校の教科書です。
韓国の歴史教科書は反日的な傾向であるのに対して、台湾の歴史教科書はさほど反日的ではないようなのです。
歴史教科書が反日的だと現代の韓国人は当然、日本人に反発したくなるというわけ。
まあ個人的には反日云々よりも公平な真実を教科書に記すべきだと考えています。
近隣国はメディアのターゲットになりやすい
日本の書店には嫌韓本や嫌中本はたくさん置いてありますが、アフリカや中米における治安が悪い国を嫌った本はほとんど見かけません。
マスコミの報道もアフリカや中米よりも中国、韓国、台湾など日本の近隣国に関する話題のほうがよくも悪くも多いです。
つまり、日本人の著者・マスコミも読者も日本から見て遠くにある後発開発途上国よりも近くにある国に興味があるのです。
「嫌いなら関わらずに無視すればいいじゃん」という考え方もありますが、中国や韓国は日本にとって重要な交易相手でもあります。
また中国や韓国を放っておくと、いつのまにか日本にとって不利益なことを勝手にされてしまうという懸念もあります。
そのため、もし中国や韓国が嫌いだとしても彼らに身勝手な主張ばかりをさせるわけにもいきません。
嫉妬とライバル心:敗戦国なのに先進国
ドイツや日本は第二次世界大戦の敗戦国です。まあ朝鮮半島も敗戦国みたいなもの。
しかし、ドイツ(とくに西ドイツ)や日本は敗戦国ながらも戦後はいち早く復興し先進国の地位にまで上り詰めました。
そのため、たとえばドイツと敵対していた国の民衆としては「ドイツは第二次世界大戦を引き起こしホロコーストを行った国なのに、なぜ戦後は先進国になっているんだ」と嫉妬します。
日本に対してもこういう嫉妬心をもっている人は結構います。この嫉妬心は「嫌い」という感情と密接です。
まあ戦争を仕掛ける国というのはその時点でそれなりの国力をもっているように潜在能力が高いですから復興も早いのだと思います。
人の流出入で摩擦が起きる
日本は島国ですから国境が割とわかりやすいですが、大陸諸国は領土が激しく変わってきました。
そのため、たとえば今の中国と昔の中国では領土が大きく異なったりもします。
こういった過程では人が交雑したり、開戦や終戦とともに転居したり、出稼ぎに行ったり、海外赴任したりするなど人の流出入が大規模に起きます。
現代でも北朝鮮の木造船が日本海沿岸に漂着するなど不法入国もあります。こういった外国人の流出入は近隣国同士のほうが盛んです。
外国人の流出入にはよい面もありますが、犯罪増加という悪い面もあります。
たとえば現代の日本で韓国人や中国人が犯罪をしでかしたら腹を立てる人も多いでしょう。
メキシコに近い地方のアメリカ人がメキシコ人を嫌うのも、彼らはアメリカ人の雇用を奪ったり治安を悪化させると考えているからです。