あなたは読売ジャイアンツ(読売巨人軍)が好きですか。
巨人が嫌いだとしても、あるいはプロ野球自体をあまり知らないとしても読売巨人軍の存在くらいは知っているでしょう。
巨人軍の全国的な知名度・人気は日本のプロ野球団の中で最も高いはずです。
そこで今回は、読売巨人軍はなぜ人気があるのかを解説します。それはアンチ巨人にとっても興味深いですよ。
巨人に人気がある理由
まず巨人軍に人気がある一つの理由は、巨人軍は文京区後楽の東京ドームに本拠地を構える在京球団であり、東京圏は人口多いためファンの数も多いという理由があります。
やはり人口が少ない地域が本拠地だと、近くにライバル球団がなかったとしてもファンの数を稼ぐには不利です。
しかし、同じ東京の神宮球場を本拠地とする東京ヤクルトスワローズは巨人ほどの人気はありません。
このような差が生じる理由、巨人特有の人気がある理由は以下のとおり。そこではいくつもの理由が重なっています。
- 人は強いチームを好む
- 栄光の長い歴史
- 純度が高い
- 知名度の高い選手や監督、OBが多い
- 読売新聞と日本テレビの資金力と宣伝力
- 東京ドームのブランド力
ここから先は上の箇条書きを掘り下げていきます。
巨人は強い:人は強いチームに魅了される
まず巨人軍は超長期的に見ると圧倒的に強いです。アンチ巨人から見ても憎たらしいほどに。
日本のプロ野球は約90年もの歴史がある中で、巨人の最下位は1975年のたった1回限りで、リーグ優勝は38回、日本一は22回を誇ります(2020年現在)。
1965年からはV9(日本シリーズ9連覇)なんてのもありました。
プロ野球の球団数は戦前も含めると7チーム~12チームある中で、巨人の優勝回数と最下位回数は異常ともいえる数値です。
そもそも人間は強いチーム・選手に魅了されるものです。応援する対象がプロならなおさらのこと。
それは野球に限らず、スペインサッカーのレアルマドリードやNBA(バスケ)のロサンゼルス・レイカーズも同じ。
テニスのフェデラーや将棋の藤井聡太二冠のように個人単位で活躍をするプレイヤーも同じで、トップレベルの強者にこそ人気が集まります。
あなたが弱いプロスポーツチームを応援しているとして、もしそのチームが強くなったらうれしいでしょ?それは応援しているプロスポーツに強さをもとめているから。
広島東洋カープの2010年代の3連覇は、90年代後半~2000年代が暗黒時代といわれていた反動もあってカープファンにとってはかなりうれしかったはずです。
巨人は長年にわたって安定して強いからこそ人気も知名度も高いのです。
栄光の歴史
ここで「なんで巨人は安定して強いの?」という疑問が浮かぶかと思います。
これには巨人軍の歴史を大まかに知る必要があります。
そもそも日本のプロ野球は1920年から始まりました。
ただし、1920年代のプロ野球はチーム数も試合数もかなり少なかったため、本格的な開始は1936年です(それでも試合数は少なかったですが)。
プロ野球にとって記念すべき1936年の秋にリーグ優勝したのが東京巨人軍(今の読売ジャイアンツ)です。
創設当初の東京巨人軍は、当時やり手の財界人だった読売新聞社社長の正力松太郎が中心となって有力な選手を集めたこともあって強かったのです。
現代のプロ野球では先発完投型の超優秀な投手に沢村栄治賞が授与されるように、あの伝説の沢村栄治氏が巨人軍の現役選手として活躍したのは1936年~1943年。
残念ながら沢村栄治氏は戦争によって早世しますが、球速は凄まじく速かったと伝えられています。
巨人軍においては戦前は沢村栄治氏、戦前~終戦直後は川上哲治氏と三原脩氏が大活躍しました。
戦後も、王貞治氏、長嶋茂雄氏、松井秀喜氏など若い有力人材は巨人軍に入団し、スーパースターへと飛躍しました。これらの方々は日本史の教科書に載っているレベルのスーパースターです。
他にも「巨人軍以外のチームへは入団拒否する」「なんとしても巨人軍に入りたい」という姿勢を貫いた選手は少なくありません。
やはり巨人には、プロ野球界を引っ張ってきた盟主としての歴史、圧倒的な順位実績、過去の名選手の多さがありますから、現代でも「巨人軍に入りたい」という選手はそれなりにいるのです。
野球のうまい中学生だって進学先は甲子園の常連校を選ぶ場合が多いでしょ?あれと同じようなものです。
純度が高い:巨人軍は身売りや解散がない
プロ野球の球団は親会社の都合によって解散したり、経済的な理由から親会社や本拠地が変わったり、合併することがたまにあります。
しかし、巨人と阪神だけは1936年から参加していますし、親会社や本拠地が変わっていません。
巨人の本拠地は後楽園球場から東京ドームに変わっていますが、所在地が隣りになっただけです。
ちなみに1936年は春と秋の2リーグ制だったのですが、巨人はアメリカ遠征のため春リーグに参加しませんでした。
巨人は資金力とメディアへの露出が大きい
次に親会社・グループの大きな後押しについて。
巨人軍の親会社・グループといえば、全国メディアである読売新聞社と日本テレビ放送網です。
有力なスポーツ紙であるスポーツ報知もグループの一角を占めていますから巨人軍の報道にとても積極的。
日本の新聞社は今でこそ凋落傾向が鮮明ですが、戦前~バブル期にかけては大きく発展しました。日本の戸別新聞購読率はとても高かったですからね。
それからテレビ局も戦後~現代にかけて大きく発展しました。
大卒の読売新聞記者や日テレ総合職の平均年収は1400万円ともいわれていたように、読売系列は利益を大きく稼いでいました(今は少し下がった)。
親会社・グループがそれだけ稼いでいると当然、巨人の選手にも高い年俸や契約金をわたすことができます。
人間は高い報酬に惹かれるので、他球団の有力選手も巨人に移籍したがります。
つまり、プロスポーツでは人気と強さと資金力は一体的な重みをもっているのです。
露出が多いと親しみもわく
また読売新聞社と日本テレビは全国メディアですから、巨人に関するニュースや中継を大きく露出させ続けることができます。
1990年代の春~秋の19時~の時間帯といえば、キー局(大手テレビ局、とくに日テレ)のいずれかは巨人戦をかならずテレビ中継しており、その視聴率は20%近くに達するのが当たり前でした。
人は同じ人や物に接する回数が多いほど親しみを感じますから、視聴者としても露出の多い巨人戦に慣れ親しんだのです。これをザイオンス効果といいます。
とくに長嶋茂雄氏は選手としても監督としても大人気でした。
さらに漫画・アニメ界では『巨人の星』『侍ジャイアンツ』『ミラクルジャイアンツ童夢くん』『ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん』といったジャイアンツ系の作品に人気がありました。
他球団が主役の漫画で有名なのは『かっとばせ!キヨハラくん』くらいしか思い浮かばないくらいです。
つまり、子どもたちも漫画やアニメを通じてジャイアンツに親しみをもっていたのです。
東京ドームと地方試合も魅力的
それから巨人軍の人気理由としては小さいでしょうが、東京ドームと地方での主催試合の効果もあります。
今でこそ魅力的な野球場は東京ドームの他にもいくつかできましたが、昔は後楽園球場⇒東京ドームが聖地という感じでした。
後楽園球場は数少ない天覧試合も行われたように、高校野球でいう甲子園くらいの存在感を放っていました。
後楽園球場は今の東京ドームがあるところのすぐそばにありました。
天覧試合とは天皇陛下が観戦する試合のこと。
天皇陛下には明治神宮に近い神宮球場が似合いそうな気もしますが、神宮球場は大学野球の聖地ですから。
東京ドームにしても80年代後半~90年代においては、東京ドームの未来のような雰囲気が珍しいものであり魅力的でした。
現在、北海道を本拠地としている日本ハムは、かつて東京ドームを本拠地としていた名残でいまだに主催試合の一部を東京ドームで開催しているくらい東京ドームは魅力的なのです。
それから読売ジャイアンツは東京が本拠地ですが、全国的な人気が高いこともあって複数の地方球場で主催試合を開催し続けています。
これは地方の巨人ファンにとってうれしい措置です。
まとめ:いずれ低迷の道が待っている?
以上のように巨人軍は栄光の歴史をたどってきました。
しかし、最近ではパリーグの人気とソフトバンクの実力に定評があります。
球場も東京ドームの他に魅力的なところがいくつもできましたし、最近では野球ファンや野球部員が減ってきています。
巨人戦のテレビ中継(地上波放送)もほとんどなくなりましたし、沢村栄治氏および沢村賞のすごさも読売グループによる神格化が原因ともいわれます。
巨人関係者の不祥事もいろいろ明らかになった割に過去の栄光に対するプライドは高いです。
そのため長嶋茂雄氏が巨人の選手や監督だった頃を知らない若い世代は、巨人にあまりいいイメージをもっていないでしょう。
さらに巨人軍の親会社・グループの主力事業であるテレビと新聞は斜陽産業であるため、金満球団で居続けられるかも疑問です。
現状ではソフトバンクや楽天の方が野球にまわせる資金力は大きいのかもしれません。
以上の点から言って巨人がこれからも栄光の歴史を築くのはなかなか難しいといえます。
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