世界中のほぼすべての国家に存在する軍隊と警察。
日本の自衛隊は法制面では軍隊ではないとかいわれています(使い方はかなり限定されているから)。
しかし、自衛隊が陸海空にわたって訓練された隊員と強力な武力を大量にもっている点は実質的には軍隊に相当します。そこには多額の税金がつぎ込まれています。
これに関して人々の脅威となる軍隊を廃止すれば平和が実現し、また軍隊に投じていた税金を社会保障などに使えると考える人もいるでしょう。
しかし、現実には軍隊の廃止はものすごく難しいです。というか、ほぼ不可能です(一部機能の民営化くらいなら可能)。
そこで今回は日本にとって自衛隊・軍隊・警察が必要な理由(存在意義)をわかりやすく解説していきます。
軍隊や警察の存在意義は極端な想定からわかる
軍隊や警察の廃止が難しい理由は、ものすごく極端な世界、つまり日本だけが軍隊や警察を全廃した世界を想像してみればわかります。
このとき他国はどのように行動してくるでしょうか。
その場合は残念ながら、日本の領土・領海における天然資源の略奪、日本への不法入国、日本へのミサイル発射が現在よりも格段に増えると予想されます。
つまり、軍隊や警察を廃止できない理由の一つは、それでは他国からの侵略が加速してしまうからです。
これについて「軍隊が武器という脅しを使うから、むしろ外国の闘争心を駆り立ててしまう。だから、軍隊や武器を廃止すれば平和になる」という考え方もあります。
しかし、たとえば日本の住宅や企業がカギをかけることを全面的にやめたらどうなるでしょうか。おそらく泥棒天国になります。
それが国全体におよべば日本全体が泥棒天国になります。それゆえ政府は軍隊や警察を廃止できないのです。
その意味では軍隊や警察の類は人間の悪なる部分に対応した機関だといえます。
軍隊と警察の存在意義:対内的な理由
軍隊や警察は対外的な理由だけでなく、対内的な理由としても重要です。
なぜなら、もし政府が軍隊や警察を全廃したら国民の中に存在する悪人が勢力を伸ばして国を支配してしまうからです。
政府が強い軍隊や警察をもっているうちは、そういう悪人はおとなしく従っていました。もし悪人が罪を犯したとしても法に則って警察につかまり、裁判所や牢獄に行くしかありませんでした。
しかし、政府が軍隊・警察を全廃すると政府が弱体化するため、その隙を狙って悪人が国をひっくり返してしまいます。
そうなると、今まで悪人を処罰する際の根拠となっていた法律や、悪人を取り締まる警察、司法判断する裁判所、囚人を収監する刑務所までがつぶされてしまいます。
これでは社会はメチャクチャになるのは誰の目にも明らか。
それをマンガにたとえると、『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王や『北斗の拳』のラオウが全盛期にあったとき、民衆の殺人や窃盗が野放しにされていたような状態です。
そのため政府は、悪人が武力を使って国を無理やりひっくり返さないようにするために、国民(民間人)には軍隊の武力未満の武器までしかもつことを許可しません。
つまり、軍隊はその国の中では最強の存在でないと国家は秩序を保てないのです。
軍需利権の存在
さらに軍隊を廃止できない理由として「廃止すると政府と癒着している軍需産業が困るから」と主張する人もいます。
確かに軍需利権は各国に存在します。
しかし、軍需利権が存在するとしても、これまでに解説した対外的な理由と対内的な理由の2つがあまりに大きすぎるため、軍需利権はある程度仕方ないというのが現実的な見方です。
また「戦争が起きると軍需産業の株価が上がるため、一部の政治家や金持ちが戦争を起こしている」なんてことを指摘する人がいます。しかし、戦争が起きたら軍需産業以外の株は暴落します。
軍需産業の株は株式市場全体のごく一部でしかない以上、株を大量にもっている人にとっては戦争が起きない方が好都合です。そのため、ほとんどの政治家や大株主・金持ちにとっては平和な方が望ましいといえます。
まとめ
軍隊と警察の存在意義
- 外国からの侵略を防ぐため
- 国内の悪人が国家を転覆させることを防ぐため
- 軍需利権
なお世界の小国には軍隊を廃止できた国がありますが、そういう国は警察が軍隊並みの武力をもっていたり、近隣国の軍隊に国防を任せています。
ですから実質的な意味で軍隊を廃止できた国は存在しません。
以上は何ら右翼的な見方ではなく、いたって中立的で常識的な見方です。
軍隊や警察に対して中立的な見方がもっと広まればと思います。
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