社会・教育

社会学とは?意味をわかりやすく解説

2020年10月25日

多様性ある人々

このページでは社会学の意味を簡単に解説します。

そもそも社会とは「人間と人間のかかわりによってできる領域」、社会学とは「そんな社会(とくに現代社会)の性質や原因、法則性を探究する学問」を意味します。

この時点ではよくわからない人が多いと思うので、わかりやすく噛み砕いていきます。

私は社会科学の分野で商業出版を出した実績もあるため信用できる記述だと思います。

社会学の意味をわかりやすく

たとえば政治学の分野で「元内閣総理大臣・安倍晋三の足跡(そくせき)」という論文があったとします。

ここでは論文の中身はどうでもいいとして、政治学の分野で有名な政治家個人を研究対象にするのはよくあることです。

では、今この記事を読んでいるあなたが山田太郎さんという名前で無名の一般人男性だった場合、あなた自身は他人から社会学の研究対象にされると思いますか。

答えは「個人としてはほとんどありえないものの、個人の集合たる社会としては研究対象になりうる」です。社会学では特定個人にのみ焦点をあてることはあまりありません。

こちらの点がどういうことかわかれば社会学の意味は理解できたようなものです。

家族は個別と集合とでは見方が変わってくる

ここで参考になるのが山田太郎さんの仮想データです。

  • 住所:東京都S区
  • 年齢:19歳(大学生)
  • 家族構成:50代の両親と20代の姉と同居
  • 両親の仲:良好
  • 世帯年収:700万円

上の個別(戸別)データを見ても「山田家が地方民なら世帯年収は多いけど、都民としてはどれも平凡だな」という感じでとくにそれ以上の感想や疑問は出にくいと思います。

ところが、その山田家も含めて家族のデータを日本中からたくさん集めたところ、次の傾向がわかったとします。

  • 日本は昔よりも核家族が多くなった
  • 共働き世帯が多くなった
  • ひとり親世帯が多くなった
  • 晩婚化がすすんだ
  • 日本の男女は結婚して子どもが生まれると恋愛感情を失いやすい
  • 日本の家庭は子どもが自立する年齢が諸外国に比べると遅い
  • 日本の中でも沖縄県は出生率と離婚率が高い

核家族とは、夫婦のみ、あるいは夫婦と未婚の子どもからなる家族のこと。クレヨンしんちゃんの野原家が代表例。

ちなみに家族類型には拡大家族というのもあります。拡大家族とは子どもが結婚後も両親と同居する類型。要するにサザエさんみたいな家族です。

上の箇条書きの傾向を見ると「日本の家族は昔に比べるとなぜ変わったのかな?」「沖縄県の出生率と離婚率が高い原因は南国気質かな?」「海外の家族との違いは?」といった疑問をもつでしょう。

学問においては社会学に限らず傾向や一般論などに着目するのが基本。

つまり、個人や個別家族のサンプルだけだとなんてことないデータでも、その集合である社会(この場合は全体統計)として見るといろいろ発見や疑問が生まれてくるわけです。

これこそが社会学の真髄。

無名の山田太郎さんのデータだけだと社会学の研究対象になりませんが、集合的な社会として見ると研究対象に含まれるわけです。

このように社会学においては社会現象に関するデータを集め、そのデータを分析することが基本です。

ちなみに政治学は人間の権力関係に注目するため、内閣総理大臣のような大きな権力をもった個人は研究対象になりやすいです。

社会学の研究対象

社会学の具体的な研究対象としてよくある領域は次のとおり。

それぞれの研究対象には古典的な理論があり(社会学の教科書に書かれている内容)、後続の研究者は先行事例も参考にします。

  • 自我
  • 家族
  • 非行
  • 社会病理
  • 自殺類型
  • 社会階層
  • 文化
  • マスコミ
  • 市民運動
  • 都市(年収と居住地の関係など)
  • 災害

たとえば災害についていうと、災害の原因は地学、災害時の救難は医学、災害に強い構造物は工学、災害のコストや復興政策は経済学、そして災害に伴う人間関係や地域変容は社会学が担当するという感じです。

ちなみに都市論についていうと、東京の高級住宅街は港区や目黒区など都心にありますが、アメリカでは都心はスラム化しやすく金持ちはそれを嫌うため郊外に高級住宅街があります。

アメリカの住宅街は関西でいう芦屋みたいなもので、傾斜地の上部(丘)と敷地の広さと閑静さを重視するといえます。

こういった国ごとの違いもちょっと興味深いところ。

研究する際に意識すべきこと

次に研究する際に注目すべき要素について。

  • 統計および当事者へのアンケート結果
  • 古典理論
  • 歴史(とくに封建社会と近現代社会の違いが重要)
  • 海外との比較
  • 宗教
  • 教育
  • 経済
  • 法律
  • 政策
  • 地理
  • 心理

たとえば核家族や拡大家族のような家族形態を研究するのなら、宗教、教育水準、年収、法律、政策、地域特性は家族形態といかなる関連があるのかを調べましょう。

それらは家族形態に大きく影響するからです。その際には古典理論や歴史、海外との比較も参考になります。

封建社会と近現代社会の違いが重要なのは簡単にいうと自由度が違うからです。

たとえば封建社会のように思想、居住地、結婚相手、経済活動が不自由だと家族形態は画一的になりがち。

しかし、近現代になって自由度が高まると家族は多様化しました。

こうして社会学を眺めると社会学は雑多というか、さまざまな要素から構成されているとわかります。

よくテレビやラジオに社会学者が出演していろんなことに口を出しているのは、もともと社会学はいろんな方面を研究するからです。

ただ、社会学者が軽い感じで多方面の社会問題に触れると、それぞれの分野の専門家は苛立ったりもしますが。

大学は法曹や医者のような高度に専門的な人材を輩出するところに権威があります。

それゆえ社会学のような「なんでも屋タイプ」はテレビ・ラジオでは使い勝手がいいのですが、学界での権威は低めです。

社会学の特徴

次に社会学の特徴を見ていきましょう。専門性と権威に欠けるという点はすでに触れましたのでそれ以外について。

  • 専門性と権威に欠ける
  • 普遍的に統一された理論体系がない
  • 割と手軽
  • 質問力がつく
  • 資格は手薄

たとえば、経済学にはマクロ経済学とミクロ経済学という二大巨頭の理論があります。

それは数学と物理学に近い性質をまとっており、数学と物理学は普遍的に通用するため、経済学もまた普遍的に通用します。

経済学部の学生はまずそういった型を学ぶのが基本です。

しかし、社会学はそういう普遍的に統一された理論体系がありません。

その意味では経済学は窮屈で、社会学は自由なのですが、社会学の学問領域は曖昧なところが引っかかる人は多いでしょう。

実際、社会学は学問の定義からして不明確なため、社会学を専攻していると周りの人からは「社会学って何なの?」とよく聞かれるはずです。

ちなみに日本の自民党は「家族は助け合うべき」と考えるように政治家は「べき論」を考える傾向があります。

もちろん、学生が「べき論」を考えてもいいのですが、まずはありのままの家族の状況を知った後に入るべき。

現況を知らずに「べき論」を主張すると的外れになっていることもかなりあるからです。

社会学は手軽

それから社会学は割と手軽という特徴もあります。

たとえば医学部医学科の論文は、高校生レベルの生物学の知識で読み解くのは非常に難しいです。社会科学系の人間である私もまともに読めません。

しかし社会学の論文、とくに学部生が書いた論文は高校生でも読めてしまうものが多いです(大学院生や教授レベルだとちょっと難しい)。

まあ社会学の論文は手軽に読めるとしても、あなたが大学で社会学に取り組むのなら本気で完成度の高い論文をつくってもらいたいですが。

質問力がつく

社会学においては対象となる人々にアンケート調査をする場合があります。

このアンケート調査の質問文では、長過ぎる文、解釈が多義的な言葉、難しい専門用語、誘導尋問、ダブルバーレル、偏見は避けるべきであり、個人的なことを尋ねる場合は「慎重に」という原則があります。

そうでないと公平かつ正確な調査結果が得られないからです。

ダブルバーレルとは1つの質問文の中で2つ以上の内容を問うこと。

「あなたは電車やバスを使いますか」みたいなのはダブルバーレルです。

そのため社会調査を行っていると統計学にも詳しくなります。

こういった質問力をつけておくと企業のマーケティング調査や警察の聞き込み、報道機関の記者職などで役立ちます。

まとめ

社会学部や社会学科でとれる資格としては社会福祉士、学芸員、社会調査士などがあります。

法学部や経済学部に比べると資格は手薄と言わざるを得ません。

公務員試験とて法学や経済学の問題が多いです。

しかし、社会学は「大学では高度に専門的に学ぶよりも気軽に教養として学びたい人」には向いています。

もし社会学系へと進学したいのなら、社会学は就職には役に立ちにくい以上、英語やプログラミングなども学んでおくことをおすすめします。

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