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上級国民は下級国民に比べて本当に優遇されているのか【日本と海外】

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上級国民は本当なのか

近頃、「上級国民」という言葉が各所で使われています。

もともと、上級国民という言葉はネットスラングなので正式な定義はありませんが、この記事では地位も財産も優れている人と見なします。

日本の上級国民は優遇されているとされますが、本当に優遇されているのでしょうか。

そして国際的に比較すると日本の上級国民の度合いはひどい方なのでしょうか。

今回はこのあたりをわかりやすく探ってまいります。

日本には法の下の平等があるが

結論から言うと、上級国民は優遇されている面もありますが、不遇にされている面もあります。

そもそも日本の法体系の中心には「法の下の平等」という考え方があります。

これは、あらゆる法の内容は平等であり、またその適用も平等であるべきという原則です。

現実には加害時の年齢や前科なども考慮されるけどね。

たとえば、ある人が交通事故を起こして人を殺してしまった結果、懲役5年の判決を受けたとします。

それと同じような罪を犯してしまった人は、同じような刑罰でないと不公平です。

しかし、上級国民と呼ばれるような人はそれが優遇されている面は確かにあります。

それは下の記事をご覧いただいても明らかです。

池袋母子死亡事故、暴走した88歳「上級国民」の特権はやはり存在するのか?

引用:文春オンライン

ちなみに「逮捕」はそれ自体、有罪や懲罰を意味しません。逮捕は被疑者が逃走や証拠隠滅を図るのを防止するために行われるものだからです。

そのため逮捕されたか否かは関係なく、どの程度の刑罰を受けるのかが焦点になります。

上級国民が犯人で間違いない事件では、上級国民は素直に謝らず、言い訳がましい気がする。

それが疎ましく思われる原因だろうね。上級国民はプライドが高かったり、所属する機関に配慮したりするからそう簡単に謝れないのだろう。

日本の芸能界はコネ重視

また、上級国民の優遇は私的な領域である芸能界にも強く見られます。

というのも、芸能界では上級国民の子どもはコネを使えば若いころから活躍できるからです。

一般に日本の芸能界は事務所の力が強いので、実力(容姿やダンスなど)だけでなく事務所からゴリ押しされるだけの「何か」が必要です。

このとき親(上級国民)の七光りは大きく役立つのです。

おそらく、あなたも七光りの芸能人として売れた人を何人もあげることができるでしょう。

テレビ局(キー局)のアナウンサーにしても実力でなろうとするとかなりの難関ですが、有名人の子どもだと簡単になれたりします。

これらは不公平と言わざるを得ませんが、私的な会社がコネ採用を私的に行っていると批判しにくいという現実もあります。

日本の芸能人のなかでもお笑い芸人は実力主義。コネや容姿よりも、面白いか否かが見られるからだろう。

この点、アメリカの芸能界は実力主義なので、今は大物でも若いころは苦労したという経験をもつ人が多いです。

そういえば、日本の国会議員は世襲が多いよね。それは不公平じゃないの?
国会議員は選挙によって民主的に選ばれる。有権者の過半数が世襲議員を嫌うのであれば避けられるから、不公平とはちょっと違う。日本では会社や公務員を辞めて議員に立候補するのはリスクがかなり高いから、世襲や芸能界出身で知名度があってお金や再就職先に困らない人が立候補しやすい。つまり、世襲議員の多さは構造上の問題なのだ。

役人は脱税をすべて摘発できるわけではない

しかし、それらとは逆に上級国民だからこそ不遇にされている場合もあります。

その典型は税務調査です。

当たり前ですが、脱税は犯罪ですから税金は正しく納めなければなりません。

しかし、そういった税金の納め具合を監視している役人は、数のうえでも情報収集力のうえでも限界があります。

つまり、役人は世の中にあるすべての脱税を明らかにすることができません。

脱税すると、つかまって刑罰が適用される人と、逃げたままになってしまう人にわかれてしまうのです。これは不公平です。

では、どんな人が役人の標的になりやすいのかといえば、基本的には収入や納税額が大きくて目立つ人です。

小さな脱税をした人に捜査の費用や人員をかけるよりも、大きな脱税をした人にかける方が回収率はよいからです。

また、それは世間的な見せしめにもなりますし、収入や納税額が大きな人は妬まれやすいため、密告の対象になりやすいのです。

Facebookの経営者1人の1年間の警護費はプライベートな時間も含めて約10億円にものぼる。どんだけ狙われているのか、恐ろしい。

なお、日本の公務員やサラリーマンは源泉徴収であり、また毎年昇給するとしても実業家の収入のように振り幅は大きくありません。

ですから、公務員やサラリーマンは副業や投資などで結構な収入がある人以外は税務調査のターゲットにされにくいでしょう。

逆に税務調査のターゲットにされやすいのは法人と個人事業主、それも申告内容に大きな動きがあったときです。

実業家は成功すれば収入もかなり大きくなるけど、会社を売らない限り気を抜かずに経営し続ける必要がある。一方、雇われの人は創業家よりも収入は少ないけど、経営者よりは気楽だし経営が傾いたら他の会社に逃げるという手もある。
日本のお金持ちや若くて有能な実業家のなかには海外に逃げている人もいると聞くね。

社会的制裁

さらに上級国民とやらは社会的制裁も受けやすい立場です。

社会的制裁とは、法や公権力によらない制裁のこと。

本来、刑罰を決めて実際に罰するのは法にもとづいて公権力が行わなければなりません。

私的な勢力がそれを勝手にやると、刑罰が不公平になったり、本当は犯人ではない人を犯人と断定して人権を侵害したりと法秩序がめちゃくちゃになってしまうからです。

しかし、 私的な会社であるマスコミによる報道には一種の制裁効果があります。それは犯人・容疑者が大物であるときの方が派手に行われやすいものです。

さらに大物なのに不当に扱いが甘いと、個人からも叩かれますし、インターネットにはいろいろな記録も残ります。

これは大きなストレスになるでしょう。

たとえば一般人同士の不倫はまるで報道されないけど、有名人の不倫はかなり報道されるうえに大衆から叩かれる(不倫は民事)。有名人=上級国民とは限らないけど。
有名人は街中で無断で写真を撮られまくるよね。これは盗撮なんだけど、有名人がそれを煙たがると人気が下がるから強く主張できなかったりする。
同じように異性からの人気を売りにしているアイドルは、結婚すると人気が大きく下がる。だから内心では結婚したいと思っていても、アイドルグループの他メンバーに配慮して結婚できないなんてことがよくある。

日本では上級国民になるハードルは高いのか

最後に上級国民とやらになるのは難しいのかを、諸外国と比較して考えてみます。

結論から言うと、それは難しいですが、諸外国に比べるとまだマシ(絶望的ではない)かなと思います。

たとえば、東大京大を経て官僚になって有力な機関に天下ることで上級国民と見なされるのだったら、東大京大へはペーパーテストだけで入れますからまだ門戸は公平に開かれているといえます。

日本の芸能界は実力だけでなくコネも必要なので成り上がるのは難しいですが、官界や財界での出世は東大クラスの学歴があれば、それなりに有利です。

日本の国立大学は基本的に公平だよね。推薦枠も少しあるけど。これに対して私大の推薦は不公平。

この点、アメリカの名門私立大学は人種ごとに合格枠に大きな格差があったり、寄付金によって差別されたりとペーパーテストだけで合否が判定されません。

これはどう見ても不公平です。競争社会といわれるアメリカらしくありません。そのためアメリカの名門私立大学には「セレブ」の子どもが多く在籍しています。

またアメリカの名門私立大学の学費はかなり高く、奨学金が得られるようなそれなりに優秀な学生でないと厳しいものがあります。

アメリカの大学は学費が高いけど、奨学金も充実している。
アメリカじゃ官僚は社会的に評価されないんだってね。成功した起業家やアスリートが尊敬される。

さらに欧米は人種差別と階級差別が日本よりも激しいですから、黒人はプロスポーツのような肉体的で実力主義の体系でないと成り上がるのが難しいという現実があります。

中国での成り上がりは共産党員になることがゴールなのか

他方、中国では共産党員になることが上級国民への第一歩になります。

共産党員になるには、党員の推薦、学業、思想、前科の有無といった審査をパスすることが必要です。

学業については実力主義ですが、党員の推薦が必要という点はコネです。そこには不当なコネや腐敗もたくさんあるでしょう。

中国共産党への入党審査は厳しいですが、共産党員は約9000万人もいますから、党員になってさらに党内で出世しないと上級国民とはいえないのかしれません。

中東の事情も興味深い

他方、中東諸国はコネがないとよい就職がしにくい社会、そして王族と宗教的権威が闊歩する社会として知られています。

中東の王族は地中から湧き出るオイルを独占してものすごい贅沢に及んでいます。

また中東は表現や報道の自由が欠けている国ばかりなので、上級国民は国内や近隣国のマスコミからはそう簡単に批判されません。

ですので上級国民としての優遇度合いは日本よりもかなり高いといえます。

ただし、中東は一夫多妻制であるため、王族の数もまた明らかに増えています。

そうやって王族が増えると王族同士での争いが大きくなったり、財産が分散するなど上級国民としての旨味はなくなるでしょう。

日本の皇族は少ないし、ものすごいレベルの贅沢はしていない。また国内のマスコミからもほぼ自由に批評されている。
えっ、皇族は東京の超一等地に住んでいるじゃん。あれって贅沢じゃないの?
あれは明治時代に江戸城を受け継ぐ形で皇居になり、そのあと政府が皇居の周りに官庁や東京駅を建てたら、大手企業もこぞってやってきて地価がべらぼうに上がったという構図。つまり、皇族が一等地に狙って住んでいるのではなく、皇居が周辺の地価を上げたということ。
へぇ、そういえば中東や西欧の上級国民は家というより城に住んでいるけど、城に住むレベル(趣味?)の金持ちは日本にはそんなにいないね。
日本では明治時代に廃城令というのが出されて、今では城は公有の遺跡という扱いになっている。私的に「お城風」の建築物を建てることは可能だけれど、それをやる金持ちはほとんどいない。おそらくお城風の建築で高級感と災害への耐久性を出すのは難しいからだと思う。街並みからも浮いてしまう場合が多いだろうし。
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