株式投資

損益計算書の見方【初心者向け】

2020年12月3日

損益計算書とは、一定期間における会社の利益や損失を明らかにした書類のこと。

この場合の一定期間とは、四半期(3ヶ月)あるいは一年が多いです。

上場企業は決算において損益計算書を示さなければなりません。

そのため投資家や社会人にとって損益計算書の項目は常識だといえます。

そこで今回は損益計算書の見方の中でも初心者向け(常識レベル)をわかりやすく解説いたします。

損益計算書は英語でProfit and Loss Statementといいます。よく「PL」と略されます。

損益計算書の見方を初心者向けに解説

損益計算書の例(単位=百万円)

科目 金額
売上高 1000
売上原価 700
売上総利益 300
販売費及び一般管理費 150
営業利益 150
営業外収益 10
営業外費用 20
経常利益 140
特別利益 10
特別損失 20
税引前当期純利益 130
法人税等 30
当期純利益 100

たとえば、ある起業家がカフェチェーンをつくったとします。

その商品やサービスの売上の合計額を売上高といいます。

このカフェチェーンの場合、売上高は10億円です。

売上原価

次に、商品の仕入れ原価や商品の製造にかかった費用を売上原価といいます。カフェでいうと仕入れた原材料があてはまります。

売上原価は業種によっては製造原価や工事原価とも呼ばれ、企業経営にかかる費用の中でも中心を占めるものです。

売上総利益(粗利)

そのような売上原価を、売上高から引くと売上総利益(粗利)がもとめられます。

ということは、もし売上が増えている割に粗利が増えていないと銘柄を発見したら、その企業は利益率の低い仕事をとっている可能性が考えられるわけです。

売上総利益=売上高-売上原価

販管費

売上原価のほかにカフェ経営にかかる費用としては人件費や店舗の賃料、水道光熱費、広告宣伝費、通信費などがあげられます。

このように企業の営業活動にかかる費用を販売費及び一般管理費といいます。

販売費及び一般管理費は略して販管費とも呼ばれます。

人件費は非製造業では販管費に仕訳けられるが製造業では売上原価に仕訳けられます。

営業利益

売上総利益から販管費を引くと営業利益が出ます。営業利益は企業が本業で稼ぎだした利益を意味します。

一般に企業の良し悪しを判断する際にはまず売上と営業利益の伸び率を見ることが多いです。

たとえば売上が増えていない割に営業利益が伸びている企業は、成長したというよりも販管費の削減によって利益を増やした可能性が疑われます。

営業利益=売上総利益-販管費

営業外収益と営業外費用

カフェに限らず一般に企業経営ではお金の貸し借りや有価証券の売買など金融に関する支出と収入が発生します。

具体的に営業外収益としては受取利息や有価証券売却益などが、営業外費用としては支払利息や有価証券売却損などがあります。

ちなみに小売業(飲食業は小売業の一種)の悲しい宿命ともいえる万引きや廃棄にかかる費用は営業外費用、あるいは販管費に仕訳けられます。

経常利益

営業利益に営業外収益を足して営業外費用を引くと経常利益が出ます。

経常利益は金融面も含めた企業経営の利益を意味しますので、非金融系企業の損益計算書の中で営業利益よりも経常利益が多かったら、その企業は本業以外でも稼いでいることになります。

一方、金融機関や非金融機関の中でも投資業務にも力を入れている企業(不動産関連企業や商社など)を分析する際には経常利益の伸びを見ることが多いです。

一般に銀行の決算には営業利益が見当たらず、経常収益や経常利益が書かれています。

というのも本来、売上というのは牛丼やスマホ料金みたいにモノやサービスを売った対価を意味します。

しかし、銀行の収益源である金利や手数料は売上とは違うため、銀行の損益計算書には営業利益という概念をあてはめにくいのです。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

特別利益と特別支出

企業経営では販管費や営業利益のように恒常的にかかる費用・収入もあれば、一時的なものに止まる費用・収益もあります。

具体的には、災害により発生した費用や不動産売却益などです。これらは特別利益、特別損失と呼ばれ、一時的・単発的な性質があります。

したがって、特別利益や特別損失はよほど大きくない限り重視されません。

税引前当期利益

経常利益に特別利益を足して、さらに特別損失を引くと税引き前利益がもとめられます。

税引前当期利益=経常利益+特別利益-特別損失

当期純利益と配当金

税引き前利益から法人税等を引くと当期純利益が出ます。

企業が配当を出す場合、この当期純利益から引き出します。配当の源泉は当期純利益という企業利益の最終段階なのです。

ただし、純利益は翌年以降の設備投資や不況への備えとしても使われるもの。これは俗に内部留保と呼ばれます。

法的にも会計的にも内部留保(利益剰余金)は株主のものです。

しかし、それを株主にすべて放出すると経営が不安定になるため、ため込む部分もあるのです。

とくに成長著しい企業やそれまでの経営が苦しかった企業だと、多少の純利益が出ていても無配(配当なし)とされ、経営の安定やさらなる成長に資金がまわされやすいです。

純利益は会社が法人税を納めたあとの最終利益です。そこから株主に支払われた配当への課税されると、いわゆる二重課税になってしまいます。

二重課税は厳密には違法ですが、仕組みが難しかったり、軽減措置があったり、利権が絡んでいたりで根本的な改善は難しいところ。

当期利益(純利益)=税引前当期利益-法人税等(法人税+法人住民税+法人事業税)

損益計算書

投資家のジレンマ

ここまでファンダメンタルズの基本である損益計算書の基本を見てきました。

ここで重要なのは従業員にとってよい企業と投資家にとってよい企業は異なるということです。

一般に企業の従業員にとってよい企業とは、賃金と雇用と労働環境と知名度が高い水準で安定している企業でしょう。

一方、投資家にとってよい企業とは株価を上げたり高い配当を出してくれる企業です。

したがって、投資家は企業の利益が減ってしまう要因に敏感であり、とくに投資先の企業が販管費(賃金や広告費など)を上げることに否定的です。

企業にとって賃金や広告費はある程度の水準までは削ろうと思えば削ることができる支出だからです。

しかし、企業が従業員の教育費用や賃金を削りすぎると、それはそれで優れた人材が育たず(集まらず)長期的には利益にならないという批判もあります。

高度な能力をもつ人材を必要とする企業や部門(研究・開発や国際税務など)の場合では高賃金は受け入れられるかもしれません。

しかし、そうではない企業や部門の場合、株主からの要求もあって賃金は低めにおさえられやすいというわけです。

現代では労働者兼投資家という人も少なくありませんから、彼らは自分の賃金は上げてもらいたい一方で投資先の人件費は下げてもらいたいというジレンマにいることになります。

赤字の企業に投資しない方がよいか

なお赤字の企業に対する投資は基本的に避けるのが正攻法ですが、黒字化すると一転して大きな株価上昇が見込めます。

たとえば赤字のバイオ企業においては発明・申請や治験結果に優れた成果が出ると大きく株価は上昇します。

しかし、期待外れだと株価は大きく下がりやすいように、赤字企業に対する投資はギャンブル性が強いといえます。

赤字企業は人件費をおさえやすいものだけど、赤字の新興バイオは人件費が高いみたい。もっと人件費を減らせないのかな。
新薬の開発や再生医療は高度な能力をもったレア人材でないと務まらない。だから赤字でも人件費は高水準になりやすいんだろうね。

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