今回はアップル社(Apple Inc.)のiPhoneやMacBookはなぜ人気があるのか(売れたのか、成功したか)解説します。
なおスマホ市場におけるiPhoneとAndroid系のシェアは次のとおり(2020年)。
iPhone | Android系 | その他 | |
世界 | 2割ちょい | 7割ちょい | わずか |
日本 | 6割ちょい | 3割ちょい | わずか |
AndroidとはGoogleが開発したOS(基本ソフト)であるAndroidOSを組み込んだスマホのこと。
スマホ本体は各メーカーがつくった、Xperia(SONY)、AQUOS(SHARP)、Galaxy(Samsung)など。
iPhoneの値段はAndroid系のスマホよりも高い傾向があるため、購買力の高い先進国ではiPhoneが健闘しています。



アップルとiPhoneに人気がある理由
アップルに人気がある理由は以下のとおり。
- すべてが一体的
- アップル製品ばかり連鎖買いしやすい
- 洗練されたブランドイメージ
- 路面店でさえもミニマリスト的でカッコイイ
- iPhoneの操作はAndroidよりはシンプル(簡単)
- シンプルでかわいいGUI
- デザイナーやプログラマーに愛用されてきた実績
- セキュリティレベルが高い
- スマホの保護フィルムやケースはそこら中に売っている
ここから先は箇条書きの内容を掘り下げていきます。
すべてが一体的:アップル製品ばかり買いやすい構造
そもそもアップル社の事業領域は次のように分けられます。
- おもな機器
iMacとMacBook(パソコン)、iPhone(スマホ)、iPad(タブレット)、iPod(音楽プレイヤー)
- おもなサービス
上記の機器にて使うアプリやコンテンツの販売プラットフォームの運営
- おもなソフトウェア
iOS
- その他アクセサリー
時計やイヤホン
- 実店舗の運営
- 保守サポート
一般にIT産業では機器の研究開発とソフトの研究開発は別々の傾向がありますが、アップルはサポートやアクセサリーも含めて一社で担っています。
アップルはすべてが一体的な世界観を消費者に体験してもらいたがっているといえます。
どのアップル製品も他社製品を着脱できますが、機器の互換性やデザインの統一感、そしてユーザーサポートを考えるとiPhoneを買った人がPCを買う場合、同じアップル社のPCを買いやすいです。
こういったアップルの包括的な売り方は俗に「囲い込み」と呼ばれます。
つまり、消費者がひとたびアップルの機器本体を買うと次々にアップルの製品を買うことになりやすいのです。
こうして「アップル信者」が誕生するわけ。


洗練されたブランドイメージ
さて、世の中にはITや機械に詳しい人と(=少数派)、それらについてあまり詳しくない人がいます(=多数派)。
詳しい人は機器の操作性やスペックを細かいところまで気にして選びますが、詳しくない人は、製品間にかなり大きなスペック差や価格差がない限りブランドイメージを優先します。
アップルはこのブランドイメージが大変に優れています。
簡潔にいうとアップルのブランドイメージは「革新的」「シンプル」「柔和」の3語で表すことができます。
ちなみに日本や韓国メーカーのスマホはスペックや価格は悪くありませんが、ブランド力ではiPhoneに負けています。

iPhoneはおしゃれ
アップルのブランドイメージのうち「シンプル」「柔和」についてはiPhoneやiPodの外観とメイン画面から感じ取ることができます。
アップル製品の外観色は白系が似合うと思いますが、最近ではゴールドやシルバーも人気。ゴールドは柔和な高級感があるんですよね。
とくに若い女性はスマホをファッションアイテムの一つとしてもとらえるため、iPhoneのブランド力とファッション性の高さは魅力に映るのでしょう。
アップル製品はメイン画面のGUIもおしゃれですし、スマホケースも種類が多いです。こちらは後述します。
実店舗は世界観を体験させる場所
アップルのブランドイメージである「シンプル」「柔和」については実店舗としてのアップルストアからも見て取ることができます。
アップルストアは「ストア(販売店)」とはいうものの、実質的にはアップル製品を体験できる空間という感じです。
ここでは売上よりもアップルのブランドイメージをポジティブな形で受け入れてもらうことが大事なのです。

アップルストアの外観はとても大きなガラス張りになっており、まるで現代アートのミュージアムのよう。これならデートにも使えますね。
アップルストアの内部は上の画像のようにとてもシンプルなつくりになっています。なんだかミニマリストがデザインした家電量販店という感じ。
ここで店員はアップル製品のデメリットまでも丁寧に教えてくれます。

アップルストアとAmazonは似ている
アップルストアの光景は、おしゃれかつシンプルで、それでいて店員は強引に売り込んできません。
そんなアップルストアはネット通販サイトでいうとAmazonと似ています。率直に言ってAmazonのサイトの見た目はシンプルです。
要するに欧米的な感性においては、ゴリ押しで売ることやごちゃごちゃのウェブサイトはダサいということなのでしょう。
これは日本の家電量販店のスマホコーナーでは所狭しと各社の商品が並べられていて店員は「売り込んでくる気満々」なのとは対照的。

iPhoneの操作はAndroidよりはシンプル(簡単)
アップルはストアだけでなく製品本体の操作もシンプルです。
機械本体とソフトウェアはアップルだけでつくられているためサポートは効率的ですし、新しいバージョンのスマホやPCになっても操作は大きく変わりません。
機器相互の互換性も高いです。
これだと「iPhoneが壊れたら次世代のiPhoneを買う」ということにもなりやすいでしょう。

シンプルでかわいいGUI
アップルのシンプルな操作はGUIが代表的な例です。
GUI(Graphical User Interface)とはグラフィック重視のユーザインタフェースのこと。
↑パソコンやスマホのメイン画面ではアイコンがいくつも並んでいて、それをマウスでクリックしたり指でタップすると次に進むのはGUIの典型。
とくにアップルのGUIは操作がわかりやすいです。そのうえアイコン自体もかわいい感じのものが多いため、女性やパソコン初心者でも親しみやすいといえます。
これはWindows系のパソコンやAndroid系のスマホもマネしたところです。
デザイナーやプログラマーに愛用されてきた実績
一昔前ではパソコンを使ったデザインやプログラミング、音楽作成といえば、アップルのMacを使うことが当たり前でした。
Macはクリエイティブな作業に適した機能とソフトが充実していたからです。
そのためデザイナーやプログラマー、デジタル音楽家はアップル信者が多いです。アップル製品におしゃれなイメージがあるのはこのためでもあります。
まあ現代ではWindowsもかなり充実しましたが。
セキュリティレベルが高い
アップル製品はスマホもPCもセキュリティレベルが高いという特徴もあります。
世界シェアでいうとスマホはAndroid、PCはWindows系が高いため、インターネットで悪さをする輩にとってはシェアの大きい方を狙うのが効率的だからです。
最近ではアップル製品を狙うハッカーも少しいますが、それでもAndroidやWindowsに比べるとセキュリティが高いのは間違いありません。

1台あたりの価格はiPhoneの方が高いとしても、セキュリティレベルまでも高いとあれば、法人が社員にもたせるスマホとしてはiPhoneの方が有用でしょう。
アップルはApp Storeに申請されたアプリについて独自に審査します。要するに質や安全性が低いアプリはApp Storeの審査によって拒否されるというわけ。
これもアップルのセキュリティレベルの高さにつながっています。


スマホの保護フィルムやケースはそこら中に売っている
スマホユーザーがスマホ本体とともに買いたがる商品といえばスマホケースや保護フィルム。
しかしながら、Android系の場合はメーカーや型番によってスマホケースや保護フィルムがそれぞれ違うため、小売店や製造業はそういったアクセサリー商品を充実させにくいです。
一方、iPhoneは規格が統一的であるためアクセサリー商品を充実させやすいです。
スマホケースにこだわる人は女性が多く女性はiPhone使用率が高いですから、お店としてはiPhone関連商品を充実されておけば、それなりの売上が見込めるのです。



まとめ
IT産業の勝ち組は市場を独占しやすいという特徴があります。
それはグーグルやマイクロソフトを見てもわかるでしょう。
アップルにしても囲い込みのような売り方で驚異的なまでに売上を伸ばしてきました。
残念ながら日本メーカーのスマホは売上面では中韓にも負けている感じです。

なお今後のスマホ市場は「成熟感が出てきたためアップル製品ばかりが売れることはない」というのが有力な見方です。
しかし、アップルはウェアラブル製品(メガネや時計など)の分野でも革新的な製品を出しつつあります。
これによって業界がどう変わっていくか注視したいと思います。