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吉本やジャニーズの芸能人はなぜ事務所と距離を置くべきなのか

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芸能人はどちらが幸せか

2019年7月、かつて隆盛を誇った吉本興業とジャニーズ事務所の界隈が激しく揺れています。

ここで重要なのは、吉本やジャニーズ事務所に所属する芸能人は、テレビ局や事務所との関係を強めるべきか、それともテレビ局や事務所との関係を弱めて個人主義的に生きるべきか、どちらが幸せなのかということです。

これは芸能界を見る側の立場であるわたしたちとも無関係ではありません。

今回はこちらについてわかりやすく解説してまいります。

なお、今回の解説の前提となる日本の芸能界の実情は下の内部リンクがわかりやすいのでぜひともご覧ください。

旧来型の解決策

そもそも先進国の芸能界は、上の立場にいる数少ない人たちはかなりの好待遇である一方で、下は人数が多く待遇も悪いです。

そこで芸能人の待遇改善として考えられる策は、下のツイートのように関連組織との協調を強めて格差を縮める形です。

要するに上のツイートの後半部は「稼いでいる芸能人や事務所、テレビ局は売れなくて貧しい芸能人に利益をもっと分配すべき。そのために芸能人も組合をつくろう。業界のみんなは協調しよう」という主張です。

日本のサラリーマン社会でも高給取りの方々には所得税を多めに負担してもらい、それを社会保障を通じて低所得者や高齢者にまわしているように芸能界も分配の度合いを強めようというのです。

一見するともっともらしい主張ですが、重大な問題点が二つあります。

まず一つ目は芸能人は法的にサラリーマン・労働者なのかという問題です。

そもそもサラリーマンとはどこかの会社と契約し、そこで働いた対価として賃金を受け取る人を意味します。

普通、サラリーマンは正規雇用にしても非正規雇用にしても週3日~6日くらいは働きますし、1日あたりの勤務時間は6時間~13時間くらいには達するはずです。

しかし、よく知られているように芸能人のスケジュールはよくも悪くも不安定です。

それなりに知名度のある芸人でも1か月の半分以上は休みという人もいれば、1年のうちまともな休日はほんの数日という芸人もいます。1日の拘束時間もサラリーマンより不規則です。

大型のドラマやバラエティー番組などに起用されたりCDが大ヒットしたりすると、それまでの極貧状態から一転してスター街道に乗るなんてこともあります。

芸能人に限らず会社に所属していない作家や芸術家は、よくも悪くも収入は不安定なのが普通。

そうやって売れっ子の芸能人が忙しくも華やかに活動する一方で、売れない芸能人は芸能人として請け負う仕事がとても少なくアルバイトに勤しんでいたりします。芸能事務所は芸能関連の仕事に関して所属芸能人を均一的な忙しさにできないのです。

芸能事務所が所属芸能人を均一的な忙しさにできないのは、所属人数が多すぎることも一つの要因。つまり、芸能事務所には芸能人としての実力がない人も多くいるわけだ。

そのため、芸能人の多くは個人事業主として事務所と契約するというパターンが多いです。

少し前に吉本興業が舞台のギャラを200円しか払わなかったということが話題になりましたが、その舞台で働いた時間が1時間だとしたら最低賃金を大幅に下回っているので違法です。

しかし、最低賃金はサラリーマン・労働者に適用される制度であって個人事業主は適用の対象外です。

そのため200円というギャラは倫理的な問題はあるとしても、ただちに違法とはいえません。

このように芸能人は労働者とは見なしにくい存在なのです。

夢がなくなりぶっ飛んだ個人がいなくなる

次の問題は芸能界を均質化した場合に伴う問題です。

というのも、さきほどのツイートのように儲かっている芸能人と事務所とテレビ局が、売れない芸能人に分配を推し進めた姿を想像してみてください。

そうやって業界が均質化してしまうと夢がなくなりますし、夢を見て芸能界をめざす才能ある個人がいなくなると思いませんか。

本来、芸能界はプロ野球界のように普通の会社や役所ではめったにいないぶっ飛んだ人が多くいるからこそ魅力的なはずです。

容姿の美しさやかっこよさ、演技の上手さ、歌・ダンスの上手さ、笑いをとる才能など成功した芸能人は庶民とはかけ離れたモノをもっているため、芸能界はお金を払ってまでも見るに値する存在であるはずです。

スポンサーとしても芸能人が庶民とはかけ離れた才能をもっていないと、高い広告費を払うに値しません。

つまり、芸能事務所とすれば、成功した芸能人とそうではない芸能人に格差をわざとつけることによって好待遇に憧れる人を生み出しているのです。

もし、日本の芸能界が均質化したら日本を捨てて中国や欧米などに進出する芸能人が増えてもおかしくありません。

あるいは現代の場合、才能ある個人はYouTubeのようなネットメディアに流れるなんてことも考えられます(もう流れている面もありますが)。

つまり、その場合、日本の芸能界とテレビ界はつまらなくなるわけです。

こういう問題があるため、芸能界の均質化はとても難しいと思います。

しがらみを弱くする体制へ

そこで考えられるのが、むしろ芸能事務所とテレビ局のしがらみを弱くして芸能人を自由にするという方策です。

これを実現させると、芸能人は他事務所へ移籍しやすくなります。

これまでの芸能界だと、とくに売れっ子にとって他事務所への移籍はかなり難しかったため、恫喝を繰り返すようなヤバイ芸能事務所であっても長期的に所属せざるを得ませんでした。

日本の会社(上司と部下)、公立学校(クラスメイトや教師)、相撲の部屋(親方と弟子)なども長期的な関係にもとづく。こういう環境は人間関係がよくも悪くも濃いから充実する場合もあれば、イジメに発展しやすかったりする。

そこで才能ある芸能人を陰湿な事務所から解放したり、多様な事務所や仕事を経験してもらうためにも、芸能人を事務所やテレビ局のしがらみから解放するのです。

このように報酬が高い方がぶっ飛んだ個人が現れる可能性は高いですから、視聴者にとっても芸能界を見るだけの価値が上がります。

筆者はこちらの方策を支持します。

ただし、これだと魅力的な芸能人ほど移籍するごとに高い報酬にありつけるにしても、そうではない芸能人ほど困窮するでしょう。

つまり、芸能界の格差はさらに拡大するのです。

また先輩と後輩のむすびつきや、芸人とマネージャーの関係が弱くなるなど人間関係が希薄にもなるでしょう。

国全体の経済政策のように、芸能界一つをとっても何もかも万全に行く施策は存在しないといえます。

まとめ

芸能界はタレント個人の待遇だけでなく全体のイメージも重要な世界です。

イメージが悪くなる問題が発生すると視聴者は芸能界を見なくなり、それによってスポンサーは芸能界から手を引いてしまうからです。

芸能界は今起きている問題に本気で対処しないと、視聴者およびスポンサーはますますネットメディアに流れるでしょう。

日本の芸能界が魅力的であり続けるためにも本気での問題解決に期待します。

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