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エンタメ雑記

タッチの浅倉南と和也と達也と由加と柏葉について考察

あなたは野球マンガの名作『タッチ』を知っていますか。

『タッチ』は高校野球と恋愛が絡んだ青春一直線のストーリーです。

知らないという方はアニメ(動画)かマンガで今すぐ見た方がよいと思います。

そんなに長くもありませんし、野球の小難しい面はあまり出てきませんので野球のルールを知らない女性にもオススメ。

服装は20世紀民の感覚でいうとダサいですが…。

当時の声優も今ではかなりの大物になりましたし、80年代風の音楽もいい感じです。

以下の内容・感想はネタバレを含みます。

『タッチ』の感想と考察

タッチといえばまず思い浮かぶのが、秀才の弟(エースピッチャー)が交通事故によって死んでダメ兄貴に「バトンタッチ」にする展開。

人間の死が出てくるマンガは星の数ほどあるが、タッチの死はとても重苦しいし、死が生かされたストーリーになっている。

ただし、このページでは、主要キャラの三角関係、孝太郎の態度の変化、由加のツンデレ、原田のナイスな立ち位置、柏葉英二郎の功績に絞って話をすすめます。

浅倉南は魔性の女か

まずは浅倉南について。

この人はなんと一人称が「南」と自分の下の名前!

日本の女子には珍しくありませんが、高校生というお年ごろではどうなんでしょうか。

私が高校生のころは同級生に一人称が下の名前という女子はいた記憶がございません。

ちなみに英語では人間の名前はすべて三人称であるため「一人称が自分の下の名前の女子は何を言っているかわからないから苦手」と有名な英語講師がいっていました。

ついでにいうと南は「~だぞ」という言い回しも多いです。

この言い回しを使う女子も現実にはあまりいませんね…。あざといと批判されやすいのもわかる気がします。

怒るときでさえも南は達也に本気

それは置いといて、南は主人公一家の隣に住む学校一の才色兼備の女という設定です。

南は不良にも思いやりがあったり、父親を積極的に手伝ったりと性格もよい女性ということになっています。

こういう欠点のない女性は文武両道で優しいイケメン和也が似合いそうなものですが、なんと南は和也が生きているときから達也が本命だったといいます。

達也は南の本命が自分であることに長い間気づいていませんでしたが(気づいたのは南の夢を知ったとき)、和也はもっと早い段階で気づいていました。

達也が南の夢(=達也と結婚)を知ってから、達也が「オレの方が一歩リードしてるんだぜ」といったときに和也は「知ってたよ」と返したからです。

そのもっと前のタイミング、たとえば南をポーカーチップにしたときに和也がムキになったのは「知ってたよ」の表れでしょう。

普段から南と和也は周りから「ベストカップル」として扱われていましたが、実際には南の本命は自分(和也)ではないことを知っていたからこそ和也はムキになったのです。

さらに南は和也に優しく振る舞ってばかりいますが、達也には厳しい素振りも見せます。

おそらく和也は「南は自分(和也)には優しすぎて表面的な感じがする。たまに厳しさもぶつけるなど本気で交流していた達也がうらやましい」と思っていたでしょう。

これも一種のジェラシーです。達也は南にビンタをかましたくらい本気ですから。

年ごろの男にビンタする女はめったにいないと思いたいです。どんな理由であろうと、たぶん。

南の想いは本物か

もし、和也が事故に遭わず生きていたら和也は甲子園でも結果を出したと思いますが、それでも南は和也を振ったのでしょうか。

おそらく振ったでしょう。

浅倉南は恋愛に関してはとても頑固に見えるからです。それは和也が死ぬ前日に和也を涙ながらに拒んだことに表れています。

あのときの南の涙は「真っすぐに自分を想ってくれる努力家の和也を自分は選ぶことができない」という理由で流したものでしょう。

ただ、達也も和也に譲りたがる弟想いの男であり、和也の南に対する真っすぐな想いを知っていましたから、わざとダメな兄貴を演じていた素振りも見えます。

和也の死後でさえも、達也は和也に遠慮して自分は南と幸せになっていけないと考えていたようです。

現実の高校生はそこまで考えず適当に恋愛をしますが、タッチのキャラは何かと思慮深いから面白いです。

ただ、20代以降の女性は現実的になって経済力のある男に惹かれたりしますから、南が成長したら気持ちが変わるのかなとも思います。

こういう展開だと、南にとって和也は「キープくん」のように見えてしまうわけです。

南は達也が本命ならきちんと交際すればよかったのに、下手に和也や新田明男にも配慮したために嫌な感じに見えてしまったのでしょう。

そんな南を芸人のケンコバさんは魔性の女として嫌っているようです。

半分くらいネタみたいな感じですが面白いですよね。

単純な孝太郎

次は和也と達也のキャッチャーをつとめた孝太郎です。

アニメの声は林家こぶ平(林家正蔵)さんです。声優は本職ではありませんが、とてもうまかったですしハマリ役だったと思います。

そんな孝太郎は林家正蔵氏と同じように純朴で人がよさそうな感じがしますが、当初、思い込みが強く和也ばかりを評価しすぎていました。

よく見れば達也にも才能があることは明白であり、それにうすうす気づいていたのに、あえてそこから目を背け「バカ兄貴」と呼ぶなど過剰に嫌っていました。

というのも孝太郎は、南とは和也がくっつくべきだと考えており、和也のとてつもない努力と南への真っすぐな想いを間近で理解してたからです。

たとえ才能があったとしても、努力していない人が南とくっつくのは耐えられないのです。

しかも孝太郎は和也との間柄では甲子園という夢をともに実現する相方(投手と捕手)でした。

そのため、和也の無念がまるで自分のことかのように感じられたのでしょう。

いや、孝太郎は本当は南が好きではあるけれども高嶺の花だったので、相方に自分の夢を実現して欲しかったのでしょう。

そのため和也が亡くなると、ますます達也に対する反発が強くなりました。

しかし、達也の才能と本気の努力を自らのミットで受けてからは、達也の優しさや努力も知り、心身ともに強くなりました。

とくに、達也が孝太郎の制服を投げたら孝太郎は500円玉を紛失し、それを雨の中で探していたら風邪をひいてしまったというエピソードは印象に残っています。

孝太郎にとってその500円玉は好物の肉まんを買うための全財産であり、紛失にひどくがっかりしたため、そのあと達也は肉まん(中には500円玉)をさりげなく差し入れたのです。

達也は照れ屋なのか優しさをぶっきらぼうな形で見せてくるところが魅力的です。

また達也は、孝太郎が大きなミス(2年生時の打順ミスや鈍足アウト)をしたときでも怒りませんでしたし、柏葉による集中的なしごきにも耐えました。

そういった行動を間近で見ていた結果、孝太郎による達也の呼び方は「バカ兄貴⇒上杉⇒達也」と変わり2人は大親友となったのでした。

原田というナイスガイ

次は原田についてです。

原田は図太そうに見えて和也や南よりも洞察力のある男。

見た目の年齢も高いですが、精神年齢もやたら高いように見えます。

重要な場面では遠くからなにかと主要人物を観察しています。

すべてを察したかのように「なるほど」とよくいうように、和也が死んだときもいち早く察したり、達也の天才ぶりには早い段階で気づいていました。

また、達也と和也と南の三角関係をもっとも的確にとらえていたのは原田でした(原田自身は南が好き)。

野球部の関係者でもないのに主要キャラのほとんどと接点をもっていたのはこの男くらいでしょう。

由加のツンデレ

主人公・達也のライバルである天才打者が新田明男であり、その妹が由加です。

由加は達也を追って明青学園のマネージャーになったほど達也に積極的にアプローチしました。

物語の前半は男2人(達也・和也)と女1人(南)の三角関係でしたが、後半は男1人(達也)と女2人(南・由加)の三角関係になったわけです。

そこに新田明男と西村、そして和也という死んだ男の幻影も絡んだために話は複雑になりました。ここが『タッチ』の面白いところです。

南は和也の死後、達也に対してそんなにアピールしませんが、由加はどこまでも真っすぐにアタックしていきます。

このように由加はひたすら直球勝負なので、思慮深い南よりも素直な由加の方が好きという人は多いでしょう。

それに由加は運動神経と学校の成績はよいものの、性格が強すぎたり、料理が下手だったりとクセがすごいです。

ただ、由加は負けず嫌いなので料理をうまくなろうと努力しますし、達也のこともあきらめません。

フィクションとしてはこういうツンデレ女性の方が魅力的に映ったりします。

ツンデレのアニメキャラは『未来少年コナン』のモンスリーや『エヴァンゲリオン』のアスカのようにヒロインを上回る人気があったりしますから存在感は侮れません。

由加が、勢南の最後の試合で負けて泣いた西村を笑っていたのはひどかった。あのときばかりは西村がかわいそうだった。

由加は頭はいいのですが思いやりに欠けます。だから達也にプールに落とされたのでしょう。

柏葉英二郎というかわいそうな弟

最後に紹介するのは柏葉英二郎という男。柏葉英二郎はそれまでのさわやかな雰囲気をぶち壊したとんでもない男です。

練習中は竹刀を振り回すとともに平気でビールを飲むなど、現実にいたら真っ先にクビになっているはず。

また西村を竹刀でぼこぼこに殴ったり、甲子園予選で佐々木を先発投手にしたのはひどい行為でした。

しかし、英二郎は単なる荒くれモノではなく、兄弟事情に関して達也・和也と比較できる興味深い面ももっています。

  • 柏葉英二郎兄が果たせなかった夢を果たそうとしたものの、逆に追い出され、その復讐のために戻ってきた
  • 上杉達也亡き弟の夢を果たそうとする男
周囲の評価 野球の才能や態度 性格・内実 兄・弟への態度
上杉達也 出がらしの兄だが人をひきつけるものがある 天才肌で気まぐれだが、弟と南のためにも頑張る男 飄々とした男 野球の才能も性格も高く評価
上杉和也 素直な天才投手 周りから天才と見られるが、実は努力の人で負けず嫌い 裏表がない 野球の才能を評価するが、恋愛面ではライバル
柏葉英一郎 野球部の優等生で卒業後も成功者 才能も人望もあったが弟に嫉妬 裏表が激しい 学生時代は嫉妬、卒業後は距離を置きたがる
柏葉英二郎 危険人物 兄以上の天才で兄が果たせなかった夢に向かって努力もしたが、周りに拒まれた ひねくれているがコアは悪ではない 一時期は思いやっていたが、今は憎悪の対象

元々は高校時代の兄・英一郎が優等生で周りから評価されていたために中学時代の弟・英二郎はグレていましたが、そのうち弟は改心しました。

弟は、改心の証拠あるいはグレていた時期の償いかはわかりませんが、兄がやらかした交通事故の身代わりを買って出ました。この時期は兄思いの弟だったといえます。

しかし、兄の卒業後(弟入部後)のイジメによって弟は挫折し、ひねくれてしまいました。

英二郎には野球の才能があり、それまでのグレた生活から改心し、強い目標(兄が果たせなかった甲子園の夢の実現)と憧れの女性を追おうとしていただけに高校時代の挫折はかなりきつかったはずです。

そして英二郎が野球部の監督になって明青が勝ち進んだとき、英一郎は野球部に豪華な差し入れを贈りましたが、あっさりと燃やしていたように英二郎は憎悪を抱えていました。

一方、兄・英一郎は高校を卒業してからも仕事と美人の嫁とかわいい子どもにめぐまれるなど見てくれ(世間体)はとてもいいものです。

しかし、英一郎については内面の純粋なところでは黒いものを感じざるを得ません。裏表がとても大きいのです。将来、英一郎は妻や子どもに対して酷いことをしそうな予感さえします。

逆に弟は見てくれは(わざと)悪いうえに指導法もめちゃくちゃで家庭も経済力もありません。

しかし、犬や、終盤の南と達也は気づいていたように内面の純粋なところでは悪くない人物です。

孝太郎が割れたガラスを裸足で踏みそうになったときも柏葉はとっさに「危ないぞ」といってくれましたし。

ああいうとっさの言動や行動というのは人間の本性が出るものです。

柏葉英二郎はここに大きな葛藤を抱えていました。

当初は明青学園野球部に復讐する気でやってきたものの、内実としては野球を憎み切れない優しい男なのです。

野球エリートの道は周りから強引につぶされ、意中の女性は兄に奪われ、目の病にまでおかされるなど柏葉英二郎はかわいそうな男でした。

しかし最後は、達也や西尾監督からは感謝されたことで少しは報われたはずです。

柏葉英二郎はよくも悪くも和也亡き後の『タッチ』を盛り上げたといえます。

とくに最後の須見工戦で柏葉監督が急に本気の采配を見せたところは印象的。「確率の問題だ!」はカッコイイ。

そしてウィニングボールとしての野球ボールを定番のお見舞い品とかけて「リンゴ」と表現するのは文学的な感じで美しい響きです。

あだち充先生は文学系の才能ももっているといえます。

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