転職の進め方を丁寧に【20代後半・アラサー編】

適材適所と雇用流動化は正しいのか【人材論のメリットとデメリット】

適材適所 転職

ここ20年ほどの間で週刊少年ジャンプの人気マンガといえば『ワンピース』でしょう。

ワンピースは海賊を題材にした冒険マンガです。これは今回のテーマである適材適所に参考になる部分があります。

適材適所とは、人材の適性にもとづいて人材をふさわしい業務に配置すること。

今回の記事は『ワンピース』をまったく知らなくても理解することができます。

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適材適所はルフィ船長に学ぼう

参考になる部分とは、主人公・船長であるルフィは航海士や船大工として能力・適性がある奴を見つけては仲間にスカウトしていることです。

つまり、ルフィ船長は強い奴を適当に仲間にしてから、その人を航海士や船大工として育てているわけではないのです。

たとえば、ひどく方向音痴な人に航海士のポジションを任せたら一味は遭難してしまいます。そこで最初から航海士として能力のある人を探して、その人に航海士を任せるわけです。

方向音痴な人を教育して航海士として育てるという手もあるけど、それは効率が悪いだろう。本人だって嫌がるだろうし。

このように、最初に会社(ワンピースの場合はルフィ船長)が欲している専門能力があって、それに相応しい能力の人を組織に補充していく雇用をジョブ型雇用といいます。

ジョブ型雇用においては、たとえば会社は「経理ができる人を募集します」と呼びかけます。そうなると、経理の能力があってその会社で働きたい人が応募してきます。

つまり、ジョブ型雇用は人材の能力とポジションが一致しやすいのです。このジョブ型雇用こそ適材適所の基本的な考え方になります。

それとは逆に、とりあえず会社の一員になる人を集めて彼らを教育して、それぞれの部署に振り分けていく雇用をメンバーシップ型雇用といいます。

現状の日本はメンバーシップ型雇用の企業ばかりです。

日本の新卒主義と総合職採用はメンバーシップ型雇用そのもの。

メンバーシップ型雇用と適材適所の相性は悪い

しかし、メンバーシップ型雇用は適材適所になりにくいという弱点があります。

メンバーシップ型雇用において社員を教育してそれぞれの部署に振り分けるのは会社側が会社の都合によって行うからです。

社員が適材適所にならないと(社員が不向きなポジションを任されると)離職率が高まりますし、仕事の生産性もあがりません。

そこで日本でもメンバーシップ型雇用にもとづく適材適所の導入が検討されています。

しかし、実社会では複雑なメリットとデメリットがあります。

適材適所のメリット

まず適材適所のメリットは自分の才能や適性を発揮できることにあります。

自分の才能や適性を発揮できればよい成果も出るでしょうし、周りからの評価も高まります。これによって社員の定着率も上がるでしょう。

そう考えると、社会全体で適材適所を実行すれば日本企業の生産性は大きく上がるような気もします。

逆に適材適所になっていないと離職の原因になるわけです。

適材適所のデメリット

適材適所はよい考え方に見えますが欠点もあります。

まず適材適所といっても人気職のポスト数は限られていることがあります。

たとえば、テレビ局のアナウンサーに就ける人数はかなり限られていますから、希望者や適性のある人すべてをアナウンサーとして雇うことはできません。

テレビ局のアナウンサー職に就くのはかなりの難関だとしても、他の業種でのアナウンス部門でしたらそこまでの狭き門ではなかったりします。

あるいは会社全体の従業員数があまりに少ないと、人事担当者にとっては適材適所を考えるほどの選択肢はないでしょう。

そういう職場では経営者も雑務をこなすなど一人がいくつもの業務を兼務する柔軟な業務体系になるはずです。

また、適材適所にもとづいて配属された部署で得意分野ばかりを伸ばしてると(=弱い分野を放置していると)、環境が変わって今度はその弱い分野が求められたときに適応できなくなるでしょう。

適材適所は雇用の流動化につながる

そして適材適所に関して、もっとも大きい難所が雇用の流動化です。

雇用の流動化とは、採用も解雇もしやすい制度にして人材の流動化をすすめる政策を意味します。

たとえば、ある人をアナウンサーに採用したとしても、そのアナウンサーには適性がなかっただとか、自ら他の部署や会社に行くことを希望したとします。

この場合、その人にはずっとアナウンサー職にいてもらうよりは、他の部署や会社に行ってもらった方がいいでしょう。

あるいは、そのアナウンサーが終身雇用を希望していたとしても、若くて有能な人材が入ってきたら経営者側としては後者を使いたくなるものです。

終身雇用を希望していたアナウンサーとしてはショックでしょうが、後進の有能な人にもポジションを譲らないと不公平ともいえます。

それにアナウンサーだった人が他の分野に活路を見出そうと奮闘していたら、政治家の道を見つけて、そこではアナウンスの経験が役立つなんてこともあるでしょう。

こういう体系においては雇用の流動化が制度として整っている方がよいのです。

適材適所の考え方は雇用の流動化につながるわけです。

二者択一が迫られる

そもそも企業は労働者を簡単にクビにできないと採用に慎重にもなります。

たとえば、N社という現在大きく成長している企業があるとします。

N社は大きく成長している途上にあるので人材を多く採用すればもっと売上が伸びるでしょう。

しかし、数年後にN社の成長力が落ちたときに、かつて多く採りすぎた人材を解雇できないのであれば採用も慎重になるに決まっています。こういう現象は日本企業の成長の足かせになります。

そこで現在の日本企業は、クビを切りやすい非正規社員の採用や外注を増やしたり、既存のメンバーが無理に残業して人員不足をカバーするわけです。

労働者の側としても自分の勤める会社や業務が好きではないのに我慢しながら勤めている節があります。

辞めて転職しようとすると、むしろ待遇は悪くなると見ているからでしょう。

つまり、労働者は辞めても他に行き先がないから、勤務先がブラックだとしても奉仕し続けるわけです。

しかし、雇用が流動化されて転職することが当たり前になれば、ブラック企業に勤めたがる労働者は少なくなりますからブラック企業は淘汰されるでしょう。

転職を繰り返すたびにキャリアの価値が上がったと判断されればいいんだけど、そういう人って少なくない?自分としてもなんだか不安。
そうかもしれない。専門的なスキルや資格をもっていないとよい転職先を見つけるのは難しいかも。また流動化した人材は会社への帰属意識が低い傾向がある。そういう人を低賃金で働かせると会社を簡単に辞めるから人手不足は深刻になりうる。その分、ブラック企業を淘汰できるだろうけど。

日本人の会社意識

ブラック企業において労働者は、そう簡単に辞められない事情があるわけです。

一方、ホワイト企業において労働者は、基本的に辞めたくないと考えているはずです

もし、そういう会社をクビになったら大変なショックを受けるでしょう。

日本人は会社の存在を一種のコミュニティと考え、会社での地位を自分の人格と密接したものであると考えるため、クビになったときに大きなショックを受けるのです。

しかし、ホワイト企業の労働者を強く保護していると、ホワイト企業に入社したい人は毎年の定年退職者の分くらいしかポストが空きません。これは不公平です。

また仮に解雇が全面的に解禁になったとしても、経営者が理不尽な解雇を連発しているようだと、残っていた有能な社員も恐れをなして逃げてしまいます。

ですから、雇用の流動化はそんなに恐れるべきではないと考える説もあります。

大学生および教授にとっても雇用の流動化は大きなインパクトになる。たとえば、大学でこの人は教授として不適格と思った人はいるよね?
そういえば、高学歴だけど思想があまりに偏っていて感じがよくない教授がいたな。あとは無駄だなと思った授業がいくつかある。
そういう妙な教授をクビにできれば、就職難にあえいでいる若くて有能なポスドクを試すことができる。競争すれば授業の質も上がるだろう。
年齢は関係なく実力のある人こそ教授になってほしいな。そのためにもいろんな人を試してほしい。そうでないと大金を払って大学に通うメリットは新卒チケットくらいしかない。
その新卒チケットとやらも中途採用の高まりによって価値は薄れていきそうな感じはするけどね。
雇用の流動化のメリットとデメリットのまとめ

これまで見てきたように適材適所と雇用の流動化はセットの関係にあり、そこにはメリットもデメリットもあります。

メリット

  • ブラック企業を淘汰できる
  • いくつかの職や会社を渡り歩いているうちにスキルが上がる
  • 自分の長所を活かせる職に就ける率が上がる
  • 企業の生産性や成長度が上がる

デメリット

  • 人気職は希望者が多いので適性があったとしてもなれるとは限らない
  • 従業員数が少ない企業の中では適材適所が成り立ちにくい
  • 残っていたい企業からクビにされる場合あり
  • 企業が欲しがるようなスキルや資格のない人は転職先を見つけるのに苦労する

メリット兼デメリット

  • 採用も解雇も増える
  • よくも悪くも日本の既得権の一つは壊れる

こういう状況下で社会人・有権者がとるべき選択肢は「採用しやすくクビにしやすい社会」か「採用しにくくクビにしにくい社会」です。

筆者個人は適材適所と雇用の流動化(「採用しやすくクビにしやすい社会」)に賛成ですが、もしやるとすれば法改正が必要です。

しかし、そうはいっても民間企業で解雇規制を緩めるとなると反対論も大きいでしょう。

そこで、まずは政界や官界が人材の適材適所と流動化の見本を見せねばならないと思います。

これがすすむと民間企業での流動化もすすめなければならなくなるでしょう。

どの道、今この記事を読んでいただいているあなたは将来に向けて策を練っておいた方がよいと思います。

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