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北島マヤの本能と姫川亜弓の理性

面白い少女漫画もある


皆さんは『ガラスの仮面』という少女漫画を御存知でしょうか。簡単に言うと、これは伝説の演劇「紅天女」について、誰がどのように演じるかまでの過程を描いた作品です。成人男性でも楽しめる演劇漫画なので、食わず嫌いせずに見ていただきたいと思います。

※ガラスの仮面を既によく知っているという人へ
(私の感想としては、姫川亜弓を好きになれません。乙部のりえを失脚させてからの亜弓は優しく、そして良い感じで気高くなりましたが、お蝶夫人みたいな初期の嫌味な描写が好きではないからです。また、オリゲルド役の役作りとしてスケバンと絡んでいた時の凶暴な姿が脳裏に焼き付いていること、さらにガラスの仮面で最大?の悪役である小野寺と組み続けている点もマイナス印象です。貧しいけれど仲間の多いマヤに嫉妬しているところなんかは人間臭くて印象深い場面でしたが、かといって演技の上達のために間進という純情男を弄んだのもどうかと思います。おそらく姫川亜弓の本質はオリゲルドと同様に牢獄(姫川亜弓の場合は親の七光り)からの脱却を目指す孤独な野心家なのでしょう。)

パリのオペラ座

三重苦を示すためのオーディション


この漫画の初期に展開された「奇跡の人(ヘレン・ケラー)」という演劇の選抜オーディションにおいて、主人公・北島マヤと、そのライバル・姫川亜弓は対照的な才能を示しました。

見えない・聞こえない・話せない、の三重苦の状態にあったヘレン・ケラーを演じるには大変な才能と努力を要するということで、才能あふれる少女数名がオーディションに挑むこととなったのです。

オーディションの最終審査では、審査員は候補者数名を部屋に閉じ込めて「ヘレンとして待て」という指示を下し、この後、その部屋に非常ベルを流しました。つまり審査員は、候補者たちの中に非常ベルに反応しない者(聞こえない演技ができる者)がいれば、それは三重苦の演技ができるほどの演技者だと踏んでいたのです。結果として北島マヤと姫川亜弓は非常ベルに反応せず、見事ヘレン・ケラーの役をダブルキャストとして手中に収めました。

対照的な才能


ここで注目したいのが、結果として北島マヤと姫川亜弓は同じ行動をとったものの、二人の意識はまるで違っていたということです。

まず姫川亜弓は、審査員から「ヘレンとして待て」と言われたので、非常ベルが聞こえたときに理性を駆使して非常ベルに反応しそうな反射を抑えたというのです。彼女は「理性の人」と評価できるでしょう。

劇場の階段対照的に北島マヤは、ヘレンになりきることで非常ベルへの反応を示さなかったというのです。通常、凡人が非常ベルに出くわしたときには、それがオーディションの最中であっても、非常ベルという非日常的音声を即座に「身に迫る危険」として解釈して動揺するものです。また姫川亜弓のように訓練された「理性の人」ならば、理性によって非常ベルへの反応を抑えられるかもしれません。非常ベルに反応することが理性的反応だとすれば、非常ベルへの反応を抑えることも理性的反応なのです。

しかし、天才・北島マヤはそんな凡人的段階を飛び越して「我を忘れること」で難関を乗り越えたというのですから、北島マヤの才能には驚くべきものがあります。




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