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未来少年コナンに見られるイデオロギーの対立

大戦後の社会


人工衛星・太陽エネルギー「未来少年コナン」というアニメ作品をご存知でしょうか。これは宮崎駿氏らが、アレクサンダー・ケイの「残された人々」という原作をもとに描いた冒険活劇です。

「未来少年コナン」のあらすじは、地球で多くの動植物を死に追いやった超磁力戦争が起きた後、生き残った数少ない人間たち(=主人公側・根拠地ハイハーバー)が守旧派(=レプカ局長派・根拠地インダストリア)と闘いながら新たな生活を開拓していくというものです。

インダストリアは統制経済型の共同体


この作品の大きな対立点は、守旧派がソ連のような統制経済(おそらく戦時体制を引き継いだ形)を営む一方で、主人公側が戦争の反動から第一次産業を中心にした原始共産主義的な生活を営んでいるということです。

守旧派が統制経済をとっていることの根拠は、以下のようなインダストリアの様子に見られます。

  • 食料や服など日常物資の入手経路は市場取引ではなく配給制である
  • 三等市民、二等市民、貿易局、行政局、委員会など、公的分野の官僚制だけでなく市民についても等級が発達している
  • 密告や政治的貢献に基づく市民の得点減点制度があり、それによって待遇が大きく変わる
  • 実質的な指導者といえるレプカに反抗すると、監獄行きか日干し(死刑)である

インダストリアでは工場でつくられた合成食品を食べることが日常であって、天然のコーヒーを飲むことは贅沢と見なされているようなので、その困窮度は相当なものです。

現実社会では統制経済の類はほとんど滅びましたが、インダストリアは資源の入手に非常に苦しんでおり、さらに彼らのエネルギー源である原子炉までもが寿命を迎えつつあるなど、非常に厳しい経済状態に置かれているので統制経済をとるしかないのかもしれません。これは『北斗の拳』のラオウが、乱世においては恐怖で治めるしかなかったことと似ています。

ハイハーバーは原始共産主義型社会


一方、ハイハーバーにおいては、以下のように牧歌的な生活の様子が窺えます。

  • 硬貨や紙幣の類は見られず、物々交換、あるいは小麦を基本的な媒介物として各自の生産物を交換している
  • 不労所得は好ましくなく、自らの職掌(おもに第一次産業)を全うすることが善と見なされている

ただし、ハイハーバーの人々は牧歌的な生活を営み、大戦の反省から平和を強く望んでいるといっても、一部の人間は銃や爆弾を保持・使用するなど最低限の防衛意識はあるようです。

新大陸は原始共産主義のままでいられるか


最終回においてコナンたちは「新大陸」にて新たな生活を始めるところまできました。しかし、新大陸の文明が発達したら、人間には欲望がある以上、皆は共産主義的な生活でも満足できるのか疑問です。




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